-IS- 夢動かす機械   作:かきな

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前回のあらすじ

偉そうに稀零君は説教を垂れましたとさ


第三話 転校生は同居人⁉ その一

 クラス代表トーナメントが近づく中、今現在我ら一組のクラスはある話題で持ち切りだ。

 

 それがなんであるかの察しは聞こえてくる単語で大体わかるし、俺自身にその話題をふられたこともある。

 

 つまりだ。クラスの女子が言うには、俺が寮の自室に校外の女子を連れ込み、一夜を共にしたらしい。

 

 ……言葉だけを追えば事実と合致しているのが怖い。これが報道の裏側か‼ ま、内包する意味はまったく違うんだけどな。

 

 つってもこれはまだましな方だ。師匠から聞いた話だと、尾ひれどころかフカヒレが付いたようなものもあるらしい。

 

 勘違いも甚だしいのだが、止めちまった俺が悪いよな。ま、あの時はああするしかなかったから仕方ねえよな。

 

 そんな話を一夏も聞いたようで席に座ったまま、体をこちらに向けて俺に聞いてきた。

 

「実際のところどうなんだよ、稀零」

 

「いや、ただ泊めただけだぜ? 宿がないらしかったからな」

 

 うん、嘘は言ってないぜ。

 

「そうなのか。なら何もおかしなことはないな」

 

「え?」

 

 いやいや一夏よ。男が女を泊めるというだけでおかしなことではあるだろうよ。

 

「たまに思うが一夏の貞操観念ってどうなってるんだ?」

 

「いきなりなに聞いてんだよ。普通だって」

 

 普通……なんだろうか? あの鈍感具合は気づかないというよりも、あの二人のアプローチを普通だと思っているからなんじゃないか? そう考えた方が納得できるぜ。

 

 始業のチャイムが鳴り、会話に華を咲かせていたクラスの女子たちは迫る出席簿の脅威を恐れ、そそくさと自分の席に戻った。一夏も例外ではなく、座り直し前を向いている。

 

「だいぶ利口になってきたな」

 

 チャイムが鳴り終えると同時に扉が開き、織斑姉が入ってきた。その頃にはもう全員着席は完了していた。

 

 と、よく見ると織斑姉の背後に人影が見える。背丈から真耶ちゃんではなさそうだ。

 

「転入生が来たぞ。入ってこい」

 

 後ろの影が教壇の横に立つ。

 

「……花城摩理です」

 

 見覚えのあるその転入生は、俺の同居人だった。

 

 

 

 

「ふう」

 

「お疲れ様だぜ」

 

 放課後、俺と摩理は転入祝いと称して学園内のカフェテラスでお茶をしている。いつもは甘いもの好きな女子で賑わっているのだが、この時間はみんな部活中なので人が少なく、のんびりできる。

 

「すごい質問攻めだったな。何をそんなに聞かれたんだ?」

 

 ま、転校生のお約束ってやつだろ。どこから来たとか、前の学校で何してたとか……。あれ、これ摩理答えられる奴なくね?

 

「主に稀零のことね」

 

「は?」

 

「泊まったってことがばれたでしょ? 怪しまれないように親戚って答えたら稀零の話を聞かれたわ」

 

 まじか。しかし、親戚か。うまいこと考えたものだぜ。俺は知り合いって答えちまったけどな。そこをツッコまれたら『そう言ったほうが面白いだろ?』って言って誤魔化すか。

 

「人気なのね」

 

「いやいや、珍しいだけだろ? 世界で二人。そりゃもうたいそうな珍獣だろうぜ」

 

「ち、珍獣……」

 

 さすがにもう入学当初の騒々しさは見られないが、今でも一組以外奴からは好奇の目で見られる。

 

「それに人気があるなら一夏のほうだろ。俺と違ってあいつは優しいからな。女子を引きつけるような魅力を持ってるぜ」

 

「そうなの? 一夏ってもう一人の男性操縦者よね」

 

「そうそう」

 

 ちなみに一夏は今、アリーナで師匠と箒から訓練を受けているようだ。ぶっちゃけ師匠から教わるのはわかるが、、アリーナで箒からは何を教えてもらうんだ? ISの操縦だけなら一夏のほうが経験あるし、上手いだろうし。それでも箒からしたら一夏と師匠を二人っきりにするわけにはいかないんだろうな。

 

 紅茶の入ったカップを取り、一口飲む砂糖の甘さと紅茶の香りを味わう。4つ入れた角砂糖の溶け残りが底に見えたので再度かき混ぜる。

 

「それにしてもよかったのか?」

 

「なにが?」

 

 主題の抜けた俺の質問に摩理は首をかしげる。

 

「いや、今までずっと病院にいたわけだろ? それなのにせっかく自由になって学校なんかに来て、もっと別のとことかあったんじゃね?」

 

 わざわざ学校なんかに拘束されても面白くないだろ。

 

「私はここでいいの」

 

「そうか?」

 

「ええ。それに私は学校にもろくに行けなかったから」

 

 なるほどな。摩理は学校が嫌になるまで行ってないのか。

 

「ま、それなら嫌になるまで学校で青春すればいいぜ」

 

「そうね」

 

 摩理が笑う。なんかおかしなこと言ったか?

 

「あなたも十分優しいわよ」

 

「は?」

 

 その言葉に唖然とする。何がどうなってそんな発言が出てくるんだ?

 

「私のことなのに、これで良いのか悪いのかってちゃんと考えてくれてるところとか、そういうのを優しさっていうんじゃないの?」

 

「ばっ……バカなこと言うなよ。そんなんじゃねーぜ。ただ人生楽しまなきゃっていう俺の考えを押し付けてるだけだっての」

 

「ふふっ」

 

 なんだか恥ずかしくなって、話を一旦切るようにケーキを頬張る。甘いクリームが口に広がり、糖分が俺の体の疲れをいやす。

 

「いや~、疲れた時には甘いもんに限るぜ‼ 授業の疲労感は半端じゃねーからな」

 

「……確かに知らない言葉ばかりで難しかったけど、稀零は寝てたわよね」

 

 うおっ、鋭いツッコミだぜ。

 

 確かに俺は大体の授業を睡眠学習していたし、疲れる理由はないかもしれないが、だがしかし‼

 

「授業というものはな、内容如何に関わらず受けるだけで気力を消費するものなんだぜ‼」

 

「そういうものなの?」

 

「そういうものだぜ」

 

 摩理は授業というものが新鮮でまだ楽しめているようだ。まったく、どうすればあの授業の中に面白さを見いだせるんだ?

 

「そう言えばさ、前に俺の虫見せたけどさ、同化型っていってたよな」

 

「ええ、そうよ」

 

 摩理によると虫には三つの種類があり、その能力の発現の仕様から、分離型、特殊型、同化型と呼ばれ区別されている。んで、それぞれは違うものから生まれてくるらしい。

 

 俺の虫はその中で最強の称号を持つ同化型。と言っても、今の俺は少し欠けているらしい。

 

「機械媒体に同化してそれを支配領域に置くことでISを起動させてるみたいね」

 

 何が欠けているかというと……

 

「でもそれがあなたの虫の能力ではないわ」

 

 そう、俺の虫の能力だ。同化型は武器や自分自身と同化することで武器の性能や身体能力を上げるらしい。それで師匠との戦いのとき、ISの予測値以上の性能が出たわけだ。

 

「俺が能力を使えない理由とかって分かるか?」

 

「わからないわ。自分の能力を理解できない例は稀だもの」

 

 女しか扱うことのできないISを動かせる。それだけでも十分なんだが、さらに上があると知れば、ほしくなってしまうのが性というものだ。

 

「試したことはねーけど、こいつって機械と俺以外にも同化できんのか?」

 

「できるわ。別に何かに限定して同化するわけではないもの」

 

 つまり、わざわざ携帯に同化させる必要はなかったってことか。

 

「虫は持ち主の夢を喰らっているの。だから、むやみに能力を使いすぎると……」

 

「虫に殺されるってか?」

 

「……」

 

 無言で頷く。

 

「マジで?」

 

 え、なんか便利な奴としか認識していなかったんだけど……。ああ、そういわれれば、そんな噂もあったような気が……。

 

「つまり、力を使いすぎなきゃいいってことだな?」

 

「そうよ。使いすぎたら虫に夢を喰い尽くされてしまうわ」

 

 夢を食い尽くされるねえ……。

 

「前も言ったけど、夢なんて何度でも見れるんだし大丈夫じゃね?」

 

「虫憑きになる人間の夢の大抵はそんなに簡単なものじゃないのよ。そういう意味では稀零は特別なのかも」

 

 簡単じゃないか……。それは摩理自身にも当てはまるんだろうか。なら、それは少し悲しいな。

 

 ……いやいや、何を考えてるんだ? これじゃあ、まるっきり摩理の言った通りの優しい人間じゃねえか。

 

「頭を抱えてどうしたの?」

 

「いや、なんでもねーぜ」

 

 不思議そうな顔をする摩理。原因はお前なんだけどな。

 

「ケーキうめぇ~」

 

「そうね」

 

 また摩理が笑う。なんだかつられて俺も笑う。

 

 そんな感じの午後だった。

 




閲覧ありがとうございました

いや~、長らく開いてしまって申し訳ないですm(__)m
その割に内容がない部分を投稿してしまってなんか申し訳ないです

え、タイトルに鈴ちゃんがいないって?

……気のせいじゃないですかね?
ちなみに私はISで二番目に鈴ちゃんが好きです
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