空から主人公が墜落する系アニメ その名もIS
てかあの授業本当に授業として成り立ってるの?
時は変わって放課後。昼に摩理をからかったらその後ずっとご立腹の様子だった。怒るとすげえ怖いんだよ摩理って。目が鋭くなって、睨まれた時には織斑姉を彷彿とさせる恐怖が腹の底から湧き上がってくるんだよな。
「あの眼は狩人の目だぜ」
ま、そんな摩理の機嫌を取るためになんかジュースでも買ってこようと思ったんだが……。
「ここはどこなんだ……」
無駄に広い校舎が災いして俺は迷子。一か月もいるのにまだ把握し切れていない俺が悪いのか。どうしようか。
「……お、何かちょうどいい所に人がいるじゃん」
目の前にはツインテールの女の子がツカツカと歩いていた。
「ちょっといいか?」
「なによ」
なんだ、なんか機嫌悪そうだな。ま、人にはいろいろ事情があるんだろし、道が聞ければそれでいいか。
「道を聞いていいか? 確かに俺は寮に帰ろうとしていたんだが、ここがどこか分からなくなってな。」
それを聞いて正面の女は鼻で笑う。
「ばっかじゃないの。こんな狭い場所で迷うなんて。やっぱり男は愚鈍ね」
「おいおい、なんか喧嘩腰だな。何があったかは知らんが俺に当たられても困るぜ」
しかし、入学当初の師匠といい、前の一件といい、この世界の女たちはほんとに男を見下してんだな。これで恋人とかって成り立つのか?
「なによ、男のくせに偉そうに」
「女だからって偉そうにしているお前も同族になるぜ」
だいたい俺は道を聞いただけなのに何故こうなるんだ? 機嫌が悪いのはわかるが、そんなに突っかかって来なくてもな。
「うるさいわよ。ていうか、なんで男がここにいるわけ? 不法侵入ならつまみだすわよ」
……俺制服着てるじゃん。そりゃあ、この学園に元々女しかいなかったわけだから違和感はあるだろうが、ちゃんと女子の制服と合わせて作られてんだぜ? ほら、模様は一緒だろ?
「落ち着いてよく見てみろ。どれほど自分が馬鹿なのか分かるぜ?」
「……うるさいわね」
「んっ?」
なんか雲行きが怪しいぞ。
「あんたみたいな『男』に馬鹿にされる覚えはないのよ!」
「おいおい。男とか女とか関係ねえだろ。女がISを使えたらそんなに偉いのか?」
「男の腕力は児戯、女のISこそが正義なのよ」
なんか宗教の洗脳みたいだな。ISってもんはそんなにも大きな力だったのか……。すごいって言うのはわかるが、物に振り回されてるようじゃ、楽しくねえだろ。
ちょっと目を覚まさせてやるのもいいかもしれないぜ。
「よし、なら来いよ。お前の正義、俺の児戯ではった押してやるぜ」
あ、そういえば勝手にISを出したら罰則とかあるんだっけ? 電話帳に書いてたな。
「と思ったが、また今度だ」
「は? 今更逃げんの」
……相手も引っ込んでくれねえか。そりゃそうだな。俺が吹っ掛けたわけだし……。でも、罰則は嫌だな……。摩理の件で織斑姉には目を付けられてるしな。
「ちゃんと見せてみなさいよっ‼」
部分的に展開されたISの腕が俺の眼前に迫る。
「(ああ、もう。短気で困るぜ‼)」
虫を自身に同化させる。そしてその強化された腕でISの拳を受け止める。ものすごい衝撃が来るものの、強化された腕力はそれを相殺した。
「えっ?」
「これが児戯ってやつだぜ」
受け止められてすぐに女子はISを解く。目を丸くして、驚いていることがありありと見える。
「うそ、なんで? 手加減とかして無かったわよ⁉」
「それ、俺じゃなかったら死んでんじゃね?」
相手が解いたのを見て俺も同化を解く。能力は使いすぎない方がいいって言われたしな。
「ついでに、俺の名前は渡宮稀零。見ての通り、この学園の生徒だぜ」
名乗ると、俺の服を見て気付いたらしい。バツ悪そうに頭を掻く。
ま、冷静になりゃ誰でもわかるだろうぜ。なんかさっきは頭に血が上っていたみたいだったし。
「私は凰鈴音。あんたが二人目の男の操縦者?」
「おう、そうだぜ。テレビとか見てないけど、結構有名人なのか俺?」
「まあ、そうね。一夏の方が話題性はあるけどね」
ああ、確かに。俺にない背景があるしな。……俺の背景は公にできないけど。
「てか、あんた入学して一月でしょ。全寮制なんだし、学園の構造くらい把握してなさいよ」
「……面目ない」
なんか今日は謝ってばかりじゃね? そういう日なのかな……。
「というわけでっ! 織斑くんのクラス代表決定おめでとう!」
『おめでと~!』
ぱん、ぱんぱーん。とクラッカーが乱射される。放たれた紙テープたちは一夏の頭の上にふわりと被さる。俺のクラッカーはしけっていたようで不発だった。が、せっかくだから一夏に投げつけておいた。
「………………」
俺のそんな行動にも反応を示さず、一夏はなんか微妙な顔をしていた。
「どうした、嬉しくねえのか?」
「ああ、全然めでたくない」
プレッシャーでも感じてんのか。こんなに面白そうなものもないというのに。ま、雑用とかやらされるなら別だがな。クラス代表戦だけなら楽しそうじゃん
「ま、代表つっても、クラス委員長と何ら変わりないだろ。そう思えばほら、なんてことないだろ? 楽に行こうぜ、楽に」
「稀零のその考え方、うらやましく思うぜ」
そう思うなら真似してくれていいぜ。快楽主義っていうのか、これ?
それにしてもこの人数。どっから来たんだ? ぜってークラス一個分より多いぜ。
「祭りごとは好きだし、いいんだけどな」
そこら辺にあるお菓子とかを適当につまむ。
「人気者だな、一夏」
なんか怒っているような声が聞こえてきた。どう考えてもあいつだ。
「……本当にそう思うか?」
「ふん」
やっぱり箒か。
「……あいつはなんでああなんだ」
もっと素直にられって俺アドバイスしたよな? そう言う性分なんだろうか。
「稀零が言っていたのは本当みたいね」
横を見ると、摩理が一夏と箒の方を見ていた。
ああ、あのやり取りで察したのか。
「素直になればいいと思うんだけどな」
「そうね」
摩理はこういう集まりも初めてなんだろうな。楽しんでくれればいいけど……。
「稀零、あのお菓子とってもおいしいわ‼」
楽しんでそうだな。
「? 何を微笑んでいるの?」
「いや、摩理が楽しんでそうで何よりだなって」
「っ! わ、私、クラスの人とも話してくる!」
「お、おう」
パタパタとどこかに行ってしまった。なんだ、もう少し話していたかったのにな。でもまあ、同年代の女子と話す機会も病院じゃあんまりなかっただろうし、そっちも楽しんでるならいいか。
「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生、織斑一夏君と渡宮稀零君に特別インタビューをしに来ました~‼」
オーと一同盛り上がる。
「オー‼」
「稀零までノリノリなのかよ」
「悪いか?」
盛り上がるなら何でもいいんだぜ、俺は。
「あ、私は二年の黛薫子です。よろしくね。新聞部の部長をやってまーす。はい、これ名刺ね」
「どうも、ご丁寧に」
学生なのに名刺なんて持っているのか。なんとなくかっこいいな。
「ではではずばり織斑君! クラス代表になった感想を、そうぞ!」
「えーと、まあなんとうか、頑張ります」
「えーもっといいコメント頂戴よ~」
「自分不器用ですから」
「うわ、前時代的!」
「なかなか渋い趣味だな、一夏」
俺はあんまりそういうの見ないから知らないんだけどな。
「俺には何かねーの?」
「研究所出身って聞いたけど、どんなことされてたの?」
「あばばば」
「き、稀零⁉」
一夏に肩を揺さぶられ我に返る。
「はっ!」
「……なんか、聞いちゃいけないみたいね」
「理解していただけてなによりだぜ」
黛先輩が苦笑いしてる。あ、引かれたか?
「じゃあ、トーナメントでセシリアちゃんに負けた感想とか」
「なんで俺のはそんなやつなんだよ!」
このぶち込み加減、さすがマスコミもどきだぜ。
「だって、渡宮君から研究所取ったらそれくらいしかないもん。あっ! じゃあ、あの同棲疑惑についてひ――」
「いや、あの負け方は少し納得できなかったね。俺が無茶な動きをしたの原因とはいえ、師匠からの攻撃で負けたわけじゃないから何とも不完全燃焼だったぜ。また、戦いたいし、一夏とも手合せしたいものだぜ‼」
「……ありがとうございました~」
危ねー、藪蛇だったぜ。
「ああ、セシリアちゃんこと師匠もコメントちょうだい」
「別にあなたの師匠ではありませんわ。コホン。ではまず、どうしてわたくしがクラス代表を辞退したかと言いますと……」
「ああ、長そうだからいいや。写真だけちょうだい」
「さ、最後まで聞きなさい!」
聞いといてそれかよ。ま、確かに師匠の話は長いけどな。
「いいよ、適当にねつ造しておくから。よし、織斑くんに惚れたからってことにしよう」
ねつ造? 暴露の間違いだろそれ。
「何を馬鹿なことを」
「え、そうかなー?」
「そ、そうですわ! 何を持って馬鹿としているのかしら⁉」
「一夏、お前にはもっと自覚を持ってもらいたいものだぜ」
でないともてない俺は殴りたくなるから。てか、師匠のその反応流石の一夏も気づくんじゃ……。
「?」
不思議そうな顔してらっしゃる。期待を裏切らない一夏だぜ。
「はいはい、とりあえず三人並んでね。写真撮るから」
「えっ?」
嬉しそうだな、師匠。
「注目の専用機持ちだからねー。渡宮くんはまだ使ってないみたいだけど」
使ってないってのは戦闘で、ってことか? まあ、あの倉庫のやつは戦闘に含まないだろうし、言われてみればそうだな。
「き、着替えてきますわ!」
気合入れてるな師匠。たぶん一夏と映るからだろうけど、そこに俺も入ることを忘れてないか?
「時間かかるからダメ。はい、さっさと並んで」
「…………」
黛先輩に掴まれ強引に引き戻される。
「? なんだよ?」
「べ、別に何でもありませんわ」
セシリアが一夏を意識しまくっているようだ。
「……………」
「……なんだよ、箒」
「何でもない」
箒が以下同文。
「それじゃあ撮るよー。35×51÷24は~?」
「74・375」
「え?」
なんで出題した方が驚いてんだよ。
パシャッとデジカメのシャッターが切られる。
「なんで全員入ってるんだ?」
「おお、ほんとだ。集合写真になっちまってるぜ」
お、摩理もいる。結構クラスに馴染めてるってことだな。うん、いいことだ。
「あ、あなたたちねぇっ!」
「セシリアだけ抜け駆けはないでしょー」
「クラスの思い出になっていいじゃん」
「ねー」
「なー」
師匠からしたら俺もほかのクラスメイトもお邪魔虫だったんだろうな。でも、俺はこっちのほうがいいと思うぜ。つーか、みんなが写真に納まるって、どんだけ引いて撮ったんだよ、黛先輩。
「ま、もともとツーショットにはならなかったんだからかわらねーだろ」
「? ツーショットがどうした?」
「一夏には関係ないぜ」
不思議そうにする一夏が乙女を理解することは一生ないのかもしんねえな。
「まさか十時過ぎまで続くとは……」
「私もビックリしたわ」
摩理も最初の間は元気だったのにな。最後の方はなんかフラフラだったな。
「病み上がりにはきつかったか?」
「病み上がり……ってわけじゃないの。私の病は最期まで治らなかったから」
「? どういうことだ?」
治らなかったら今こうしているのもおかしいだろ。
「簡単にいえば、私は死んだの」
…
……
………
「ははは。冗談がうまいお方で」
「冗談じゃないわ。私は一度死んでいて、虫に自分の意識だけを移して少しの間存在していた」
虫に意識を移す? 何を馬鹿な。
「それも私が生きることに執着したから。でも、生きるだけじゃ意味がないって……。大切な人を失ってまで生きても仕方がないって分かったから。私は悪魔の薬を選んだの」
悪魔の薬って何? ま、それはいいとして。
「つまり、今目の前にいる摩理は幽霊?」
「……分からない。私には何も」
そうか。
「身体はどこも悪くねえんだよな?」
「え? え、ええ。悪くないわ」
「なら何にも問題はないな」
俺の返答に、摩理は驚いた顔をしている。何か驚くような事言ったか俺は?
「気味悪がったりしないの?」
「んなこと思わないって。だいたい、この世界では俺もお前も同じような存在だ。むしろ虫まで憑いてる俺の方が気味が悪いだろ」
ああ、眠い。今日はいろいろあったしな。
「つまり、摩理はその不思議な身体に甘えて青春すりゃいいってことだ。良く分からん過去を深く考えるより、さっさと寝て未知の明日を夢見ようぜ」
摩理の口がパクパク動くのを見た。『ありがとう』か? 何に対してだよ。
ベッドに体が沈み込むような感覚。瞼は重く、俺の意識は眠気に負けてそのまま微睡みに意識は飲み込まれていった。
閲覧ありがとうございました
鈴ちゃん来ましたよ!
でもあまり印象よくない出会い方だね
稀零君は気にしてないみたいだけど
次回
転校生が来ます!
……隣のクラスに!