稀零君の特技披露
一話から世界世界とうるさい主人公だね
放課後、席で授業からの解放を噛み締めていると、俺のところに二人の女子がやって来た。
「稀零、行くわよ」
摩理が俺を呼ぶ。しかし、どこへ行くんだ? 授業で疲弊した俺の今の頭ではその辺の答えが浮かんでこなかった。
俺が理解できていないことを察したのか、摩理は追加で説明してくれる。
「昨日言っていた部活に行くのよ。茶道部、覚えている?」
ああ、そういえばそんな話だったな。ん、茶道部。お茶菓子。
「糖分か!」
「あ、渡宮くんは茶道部をそう認識してるんだね」
あきれたような笑顔を浮かべるのは昨日俺たちを勧誘したクラスの女子、
「でも、ごめんね。着物の予備がなくって、注文したら来週の部活には届くらしいの。折角入ってくれるんだから、初めては着物でやってみてほしくて。だから、今日はなしってことで」
まじか。まあ、言わんとしていることは分かる。俺だってやるなら本格的にやりたいしな。最初の一回は記念になるわけだし、中途半端なことはしたくないぜ。
いや~、気が効いてるな。……って、うん?
「採寸とかはどうしたよ?」
「えー、企業機密かな」
なんの企業だよ。ま、何故か俺の個人情報が売り出されてる現場を目撃してるから、そこからだろうってのは分かるけどな。出身とか適当なこと書いてあったけどな。俺は桜架市出身だからな。調べてみたら、こっちにはそんな場所はないらしい。地理的には似たような世界かと思ったていたが、少しだけ違いがあるみたいだな。
「まあ、ともかく今日は無しってことだな」
「ごめんね‼」
手を合わせて、頭を下げる茶道部の子。
「いやいや、そこまでする必要ないぜ」
「そうね。私たちのタイミングが悪かっただけだから」
「それに、糖分摂取なら食堂でもできるしな」
「「…………」」
あれ、なんだその目は?
「ま、まあ、それでも入部してくれて嬉しいんだけどね」
「なんというか、ごめんなさい」
何故、摩理は謝っているんだ。というか、脛を蹴るのやめてくれ。ぺちぺちって地味に痛いんだから。
そんな感じで茶道部の活動は流れちまったが、食堂であんみつを食べた。月並みだが、めっちゃうまかった。
俺は見ていないんだが、一夏は鈴の機嫌を損ねることをしたらしい。ちょうど、俺が部屋を出た後だったらしい。
そんなことがあって、鈴は毎日むすっとした顔をしている。それ自体は別にどうでもいいんだ。別に鈴がどんな顔してようが、俺に直接的な被害がなければ無害だからな。て、当たり前だな。
だが、実際はそうじゃねえんだよな……。
「でね、あいつが私とした約束を覚えてなかったのよ! それだけならまだしも、思い出したとか言ったのに、勘違いしてんのよ‼ ちょっと、聞いてる⁉」
「あ~はいはい。聞いてる、聞いてる」
「鈴は苦労人ね」
「ほんとよ! だいたい、あいつは昔から――」
喧嘩中だから一夏のとこには行けない。だからって、こっちに来んじゃねーよ。
いや別に一緒に飯食うぐらいならいいぜ? でも、なんでこいつの愚痴を毎日聞かなきゃならねえんだよ。
「それを直接一夏に言えば解決なんじゃねえのか?」
「ばっ! そ、そんなことできるわけないでしょ!」
「織斑くんが謝れば済む」
頼むから謝ってくれ、一夏。
「あいつ、意外と頑固なのよね」
とりあえず、この昼食が終わったら一夏を殴ることで妥協した。うん、許されるだろ、これは。
掲示板にて
『クラス対抗戦日程表』
一回戦 一組VS二組
あっさり終わりましたね
え、茶道部の活動書けば良かったじゃないかって?
……………
次回
ただ観戦するだけ、のはずもなく