-IS- 夢動かす機械   作:かきな

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前回のあらすじ

茶道部が流れて、鈴の愚痴聞いてました


第四話 欠戦!! クラス対抗戦 その一

 試合当日。

 

 ここまであれほど愚痴を聞かされた仲だ。一夏の応援もしてやりたいが、まずは鈴の方のピットに行ってみた。

 

 ピットの中に入ると、ISスーツに着替え終えている鈴の姿があった。

 

「…………」

 

 声をかけようと近づいてみたら、なんかすげぇ怒ってるんだが。

 

「お、おい鈴。どうしたんだ? クールになれ、クールに」

 

 ん、何か呟いてるぞ? なになに? 『貧乳って……なりたくてこうなったわけじゃないのに』だって? 一夏が言ったのか? そりゃ怒るわな。

 

「鈴安心しろ」

 

「?」

 

 こっちを向いた鈴を慰めるように言う。

 

「摩理もそんなもんだ!」

 

 ドゴオッ!

 

 そんな轟音が2ウェイからくる。とっさに同化したと言っても完璧な同化がそんな短時間で出来るわけもなく、受け止めた腕はダメージを軽減しきれなかった。痛い。

 

「そんなのが慰めになると思ってんの⁉」

 

「? 私がどうしたの?」

 

 鈴の呟きを聞き取れなかった摩理は状況を把握していないようだ。

 

 うーん。場の空気を良くしようとしたのにどうしてこうなった。

 

「てか、鈴。それは摩理に失礼じゃねぇか?」

 

「あんたが言えることじゃないわよ!」

 

 おっしゃるとおりです。

 

「稀零、大丈夫なの?」

 

「ん? 腕か。まあ、大丈夫なんじゃねえのかな。動くし」

 

 手のひらをグーパーする。思い出してみると鈴はどんな攻撃をしたんだ? 直感的に両手を出したら物凄い衝撃が来たんだが……。

 

「勢いでIS兵装ぶっぱなしちゃったけど…。あんた丈夫過ぎ。気持ち悪いわよ」

 

 俺もそう思うよ。けど、直球すぎだぜ。俺じゃなけりゃ、夜な夜な枕を濡らしてたぜ?

 

 てか、さっきの衝撃はISの兵器だったのか。見えない何かを飛ばしてきたってことか? こりゃ一夏は苦戦しそうだな。

 

 なんて冷静な分析してるけどよ、俺じゃなかったらさっきの相当やばかったよな。

 

「んじゃ、俺らは席に戻るけど頑張れよ」

 

「えっ? あんたたちは一組でしょ? あたしの応援していいの?」

 

 まあ、確かにそうなんだけどな。

 

「流石に今回は……ていうか、今回も一夏が悪いし。俺が出るわけじゃねぇし、うちのクラスに拘る理由なんてねえよ」

 

「クラスの人に怒られるわね」

 

「ばれなきゃいいんだよ。適当に一夏にお灸をすえてやれ」

 

「言われなくても、分かってるわよ」

 

 手を振ってピットから出る。

 

「また同化したわね」

 

「いや、あれは不可抗力だろ。でないと大怪我してたし」

 

「別に今回のことは責めてないわ。それに、鈴なら大丈夫だと思うの」

 

 愚痴を聞かされた仲、摩理と鈴は結構仲良くなってるんだよな。嬉しい限りだぜ。

 

 そのまま観覧席の方へ向かう。たしか、一組のやつらはこのへんで見ようって話しになっていたが……。

 

「遅いよ、渡宮くん」

 

 と、来てみたら一組のやつらはもうすでに座っていた。

 

「ここ席空いてるよ? あ、摩理ちゃんもおいで」

 

「うう、指定席買ったのに……」

 

「ああ、指定席のやつは謹慎処分だってな。馬鹿な奴もいるもんだぜ」

 

 指定席って言うのは、この試合の観覧席を勝手に売っていた奴がいたんだとさ。そりゃ、男で専用機持ちの一夏の話題性はすげえから、注目されている一戦だが、金出してまでみたいのか?

 

 とか思っていたが、実際ここに来て辺りを見回すと、すげえ人混みだぜ。もう立ち見とかまで出てきてるし。アイドルのライブかよって感じだ。

 

だからこそ、指定席なんて馬鹿なものが売れたんだろうけどな。

 

「稀零、始まるわ」

 

「おう。待ってたぜ」

 

 ピクッ、と背筋に何かが走る。後ろを振り向くが、俺の視線に小首をかしげるクラスの女子しかいない。辺りを見回してもそれらしきものは見つからない。

 

 だが、俺は確信していた。何かが来る。……そんな感覚がした……ような……気が……する、かも?

 

 確信してねえじゃねえか。

 

 

 

 

 

 試合が始まる。アリーナの中で戦っている鈴の機体は、流石中国と言ったところだな。これ見よがしに青竜刀なんて持ってるし。

 

 で、さっきから気になるのが一夏が何かに当たっているんだが、それが何かが全く見えないってことだ。

 

 吹き飛んだりしているのを見ると弾丸か何かが当たっているんだろうか?

 

 ん、見えない弾丸? ああ、俺がピットで受けたやつか。実際に受けてみた感想として、あれは威力もそこそこあるから早々に攻略しないとめんどくさそうだな。

 

「ああ、じれったいぜ。あそこまで近付けないと接近しか持たない一夏はまずいよな」

 

「そうね。でも、あの機体はそこまで苦戦する相手じゃないわ」

 

「は?」

 

「見えない弾丸に関しては空間にかけた圧力で砲身を作って、その余剰で砲弾を作る。そこにエネルギーの変化がある以上、大気の流れが変わるわ。それが分かれば当たることはないわ」

 

 摩理さん、人間が大気の変化なんて感じ取れるわけないじゃないですか…。

 

「純粋な接近戦になれば織斑くんにも勝機はあるわ」

 

「そうは言っても鈴は代表候補生だろ? 接近戦でも経験の差がある一夏の方が振りじゃね?」

 

 と言っても、一夏はチート武器持ってるからな…。一発逆転が接近戦なら臨める。

 

「ま、鈴が勝つなら勝つでいいけど……な……」

 

 ……何かが変だ。

 

 ひめほたるが俺の肩にとまる。こいつもその何かを感じ取ったらしい。

 

「稀零?」

 

 何かが……来る。

 

「すまん摩理。俺ちょっと用事思い出したわ」

 

「えっ?」

 

 立ち上がり出口へ向かう。人と人の間を抜け、アリーナの外で俺はそいつを見つけた。

 

「……」

 

 そいつは何も言わずにこちらに身体を向けている。まるで俺が来るのを待っていたかのように。

 

「ISの無断展開は……」

 

 ブレスレットにヒメボタルが止まる。それは溶け込むように同化していき白銀のブレスレットを緑色に変えていく。

 

 瞬間、光が弾けたと思うと俺は『天姫蛍』に包まれていた。

 

「禁止されてるんだぜ?」

 

 アリーナの方で爆音が響く。こいつだけじゃなかったのか。

 

 フルフェイスで覆われたそいつを見つめ、手に蛍灯……大型拳銃を二丁握る。

 

 トリガーに指を掛け、銃口を『そいつ』に据える。

 

 その行為を敵対行動だと捉えた敵は、フルフェイスの表面に鈍く光る一筋の赤をこちらに向け、手に持つ槍を構えた。

 

「交流試合開始ってな」

 





フルフェイスに槍を持ったIS……一体誰なんだ!?

まあ、隠す気も有りませんがね

次回
楽しく書けた戦闘シーン
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