-IS- 夢動かす機械   作:かきな

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前回のあらすじ

IS学園に入学した稀零はいろいろあってクラス代表に推薦される

それに異議を唱えるセシリアを加え、3人でトーナメントを行うらしいよ


第二話 激闘!クラス代表決定トーナメント その一

「……何をしたんだよ、一夏」

 

「いや、ちょっとな」

 

 一年生寮の食堂で朝食を取っているのだが、一夏とその幼馴染の間の空気が変だ。

 

「なあ、箒――」

 

「な、名前で呼ぶなっ」

 

「……篠ノ之さん」

 

「……」

 

 篠ノ之は少しむすっとしていた。なんて言うか、その……なんだこの甘酸っぱい雰囲気は。

 

「中学生かっ!」

 

「まあ、少し前まではそうだったな」

 

 そう言う事じゃねえんだよ! 思春期か! いや、思春期でもあってるのか……。

 

 ちょっとしたことでこんな空気になるわけないだろ。日頃の積み重ねのせいに決まってるぜ。

 

「お、織斑くん、隣いいかなっ?」

 

 ……何故ここで一夏の名前しか出ないんだ? 俺が奥に座っているからか? そうであってほしい……。俺が嫌われているなんて思いたくはないぜ。

 

「ああ、別にいいけど」

 

 いいのかっ⁉ 目の前に篠ノ之がいるのに⁉ お前はどうしてそんなに鈍いんだよ!

 

 三人がテーブルに座っていく。

 

 ほらみろ、箒の顔がみるみる不機嫌に。

 

「うわ、織斑くんも渡宮くんもたくさん食べるんだね」

 

「俺は夜少なめに取るタイプだから、朝たくさん取らないときついんだ」

 

「俺は昨日、昏睡状態で夕食を食べ損ねたから腹が減ってるだけだ」

 

 目の前の人のおかげで腹の虫がオールナイトフィーバーだったぜ。

 

「……織斑、私は先に行くぞ」

 

 なんだ。篠ノ之はもう食べ終わっていたのか。

 

「一夏、俺も先に言ってるぜ。ちょっと真耶ちゃんに呼び出しくらってるからな」

 

「おお、そうなのか? じゃあ、また後でな」

 

 さて。ちょっと早めに教室に来てくれればいいって言ってたから、これくらいの時間でいいだろう。というか、これから授業まで

 

 と、それまでの道中は一緒なんだから、篠ノ之に話かけてみるか。

 

「おっす、篠ノ之。俺は渡宮稀零だ。よろしく」

 

「……」

 

 無視と来るか。虫憑きだけにってか。ははは。…この自虐ネタわらえねーな。

 

「一夏と幼馴染なんだろ? なんでそんな余所余所しいんだ?」

 

「……は」

 

「は?」

 

「恥ずかしいではないか……」

 

 あ、やっぱりか。

 

「周りに仲良しだと思われたくないと?」

 

「……」

 

 無言の肯定取っていいのか?

 

「そんなツンツンしてると、一夏に嫌われるぜ」

 

「なっ!」

 

 これは当たりだな。

 

「わ、私は別に一夏の事などっ!」

 

「おう、一夏って呼んでんじゃん。それでいいんだよ。変に気張ると疲れるぜ?」

 

 教室に着く。中に真耶ちゃん先生を発見した。

 

「それに何となく、あいつにはダイレクトじゃねーと気持ちが伝わらない気がするぜ」

 

「…………」

 

 無言なのだが、分かっているようだ。

 

「んじゃ、またな箒」

 

「な、名前で呼ぶな」

 

 一夏はこんなあからさまで、何故気付かないんだ?

 

「謎だぜ」

 

 

 

 

 ん? 先生からの話? それはISについてだってよ。研究所の方でなんか専用機ってのを用意してくれるらしい。それの手続きをしろってさ。

 

 メモも貰ったぜ。

 

『君の特殊なリンクの解析は分かんないけど、私が腕によりをかけた合金でつくったよ♡ たぶん、君に合うんじゃないかな? 期待しててね―♡』

 

 えっ、そのメモはどうしたって? ゴミ箱に捨てたぜ。

 

 

 

今日もISの座学の時間がやって来た。俺にとって最悪の時間だが、これを乗り越えないと、俺の望む面白い世界を迎えられない。

 

ま、だからと言って真面目に受ける気はないんだけどな。

「というわけで、ISは宇宙での作業を想定して作られたいるので、操縦者の全身を特殊なエネルギーバリアで包んでいます。また、生体機能も補助する役割があり、ISは常に操縦者の肉体を安定した状態へと保ちます。これには心拍数、脈拍、呼吸量、発汗量、脳内エンドルフィンなどがあげられ――」

 

「先生、それって大丈夫なんですか? なんか、身体の中をいじられているみたいでちょっと怖いんですけども……」

 

 そうか? 俺は本当に身体をいじられたから全然不安なんて感じないけどな。むしろ、切開されてないだけで我が家の様な安心感だぜ。

 

「渡宮くん大丈夫? 凄い冷や汗だよ?」

 

「だ、大丈夫だぜ。ちょっとフラッシュバックしただけで」

 

 あ、危ない。意識を持って行かれる寸前だったぜ。

 

「そんなに難しく考える必要はありませんよ。そうですね、例えばみなさんはブラジャーをしていますよね。あれはサポートこそすれ、それで人体に悪影響が出ると言うことはないわけです。もちろん、自分にあったサイズのものを選ばないと、型崩れしてしまいますが――」

 

 そこまで言って真耶ちゃんは一夏と俺の方を見て、一瞬きょとんとした顔になり、たちまち頬を紅く染めていった。

 

 てか、さっきの例えは全然うまくないよな。身体の外部に付けられているだけだろ? いじられている感覚の不安を解消するような例えじゃない気がするぜ。

 

「え、えっと、いや、その、お、織斑くんと渡宮くんはしてませんよね。わ、わからないですね、この例え。あは、あはは……」

 

 教室に微妙な空気が漂っている。女子が俺たちを意識してしまったみたいで、腕を組んだりして胸を隠そうとする。

 

 別に見ないけどな。いや、見てたわめっちゃ。どの口が言うかってくらい見てたわ。だって、前にも言ったけどこっちの世界の女子は発育が良いからな。本当に別世界だと痛感させられるぜ。

 

 だが、この空気は耐えがたいものがあるな。誰かが打開しなければ話は進まない。ならば。

 

「先生っ!」

 

「は、はいっ!」

 

 予想もしていなかったのか、真耶ちゃんは飛び上がらんばかりの勢いで身体を震わせた。

 

「男にも大胸筋矯正サポーターって言うのがあるので分からんこともないぜ!」

 

「そ、そんなものがあるんですか? 知りませんでした」

 

 クラスの女子も少しざわつく。さっきまであったあの空気はどこかへ行った。

 

「おう。だからその例えでも全然大丈夫だぜ!」

 

「大丈夫なものか!」

 

 バシン

 

 え、なんで? 俺フォローしたじゃん。頭を抱えつつ抗議の目を向けると睨み返された。怖い。

 

「山田先生、ここには異例ですが男子がいると言うことをお忘れなく」

 

「は、はい。以後、気をつけます」

 

 そうして、俺は座らされ、授業はそのまま続いて行った。

 

「それともう一つ大事なことは、ISにも意識に似たようなものがあり、お互いの対話――つまり一緒に過ごした時間で分かり合うというか、ええと、操縦時間に比例して、IS側も操縦者の特性を理解しようとします」

 

 なんだって⁉ 学習機能付きって、俺が思っていた以上にISは高性能なんだな。これなら、男女の力関係が崩れるきっかけになるのも頷けるわ。

 

「それによって相互的に理解し、より性能を引き出せるようになるわけです。ISは道具ではなく、あくまでパートナーとして認識してください」

 

 パートナーね。でもそれって専用機持ち以外はあまり関係のない話だよな。貸し出されるISのコアがいつも同じとは限らないしな。

 

「先生―、それって彼氏彼女のような感じですかー?」

 

 この世界の彼氏彼女って言うのは、ご主人と召使みたいな感じか? え、違うのか。

 

「そっ、それは、その……どうなんでしょう。私には経験がないのでわかりませんが……」

 

 赤面して、俯く真耶ちゃんを尻目に、女子たちは嬉々として男女についての談笑を始める。

 

「一夏……お前には分かるのか、彼氏彼女って」

 

「いや、全く分からないな」

 

 だよな、唐変木。おっと、自然と罵倒が出てしまった。

 

「しかし、この女子校っぽい空気はキツイな」

 

「そうか? わいわいしてて良い雰囲気じゃねえか」

 

 静かよりは絶対にましだぜ。

 

「そんな風に考えられるなんて羨ましいよ」

 

「なんだよ、その俺が馬鹿みたいな言い方。確かに馬鹿だけどな」

 

 二人で笑う。だが、確かに女子しかいなこのIS学園は女子校っぽいというか女子校そのものだと思うけどな。

 

 そうして授業が終わると一夏の元に女子が集まる。

 

「さすが一夏だ。モテるなぁ」

 

「渡宮くん、今日のお昼ひま? 一緒にご飯食べない?」

 

「はいはい~! 私も、私も!」

 

「あ、ずるい。私も行きたい」

 

 いや、まだ俺承諾してないけどな。

 

「お前ら、散れ。少し織斑と渡宮に話があるからな」

 

 織斑姉が現れ、女子たちは否応なしに移動させられた。返事してないけど、これは無効でいいのか?

 

「織斑先生、話って何ですか?」

 

 一夏が織斑姉に質問をする。

 

「ああ、お前のISだが、準備まで時間がかかるそうだ」

 

「へ?」

 

 間の抜けた声を出す一夏。

 

「予備機がない。だから、少し待て。学園で専用機を用意するそうだ」

 

「???」

 

 一夏はどうやら話しの少しも理解できていないようだ。

 

「せ、専用機⁉ 一年の、しかもこの時期に⁉」

 

「つまりそれって政府からの支援が出てるってことで……」

 

「ああ~。いいなぁ。私も早く専用機ほしいなぁ」

 

 ん? 早く欲しいって、いつかはみんな持てるのか? そんな安売りされるものだっけ?

 

「分かっていないようだな。渡宮、教えてやれ」

 

「ほいよ」

 

 バシン

 

 え~と、朝の呼び出しの時説明されたことによると……。

 

「コアが467機しかなくて貴重! しかも作れるのは天才科学者篠ノ之束のみだけど、篠ノ之博士は絶賛ニート中で、専用機持ちは特別な存在なんだってことだ」

 

「ざ、ざっくりとした説明だな」

 

「でもこれで十分な説明だぜ? だよな、先生」

 

 バシン

 

「口のきき方に気をつけろ、渡宮。しかし、説明は的を射たものだ。あいつがニートであることも含めてな」

 

 あ、そこもいいのかよ。てか、言い方からすると織斑姉と篠ノ之博士は知り合いなのか。

 

「あの、先生。篠ノ之さんって、もしかして篠ノ之博士の関係者なんでしょうか……?」

 

 追い払われた女子の中の一人がおずおずと織斑姉に質問をする。篠ノ之なんて名前珍しいからな。そう思うのは自然だ。俺は全く気付かなかったけど。

 

「そうだ。篠ノ之はあいつの妹だ」

 

 本当にそうなのか。なんていうか、世界ってのは俺が思っている以上に狭いのか? 世界的な有名人の関係者がこんな近くに居るなんて。すこし寂しくも思うが、逆に俺の世界が広がったととることもできるよな。

 

「てことは、一夏は博士に会ったことあるのか?」

 

 箒と幼馴染ってことは、その姉である篠ノ之博士とも会っているってことだろ。

 

「そうだな。何度かあったことあるけど、良くも悪くも『天才』だったな」

 

 悪くもって言うのはあれか。よくある天才は変人ってやつか。

 

「ええええーっ! す、すごい! このクラス有名人の身内が二人もいる!」

 

「ねえねえっ、篠ノ之博士ってどんな人⁉ やっぱり天才なの⁉」

 

「篠ノ之さんも天才だったりする⁉ 今度ISの操縦教えてよっ」

 

 一夏に集まった時の様にクラスの女子たちは箒を囲むように集まる。

 

 最後の人の気持ちも分からなくはないが、姉が天才だから妹も天才かも? っていう問いは結構失礼だと思うな。

 

「あの人は関係ない!」

 

 ほら、怒ったよ。当然の怒りだと思うね。

 

「大声を出してすまない。だが、私はあの人じゃない。教えられるようなことは何もない」

 

 その拒絶はどうかと思うけど、この言い方からして箒は姉のことを嫌っているのか? でないとここまでの言葉は出ないだろう。

 

 箒の言葉への反応は様々だった。困惑を浮かべる女子もいれば、不快を顔に出す子もいた。

 

 その微妙な空気を破ったのは、誰でもない……というか人じゃない、チャイムの音だった。

 

「休み時間は終わりだ。授業を始めるぞ。山田先生、号令」

 

「は、はいっ!」

 

 真耶ちゃんは箒のことを気にしているようだったが、授業を始めるとそんなことはおくびにも出さなかった。そこはさすが教師というところだった。さっきの授業は動揺がダダ漏れだったけどな。

 




閲覧ありがとうございます
よろしければ、ご意見、ご感想、評価、および罵倒をよろしくお願いします


文字数調整しました
このくらいの分量の方が読みやすいですよね?
私としても、作り溜めが効くので楽です


メインヒロインは決まっているのですが、他の稀零君サイドのヒロインを募集します
ムシウタから持って来るので、できればムシウタのキャラを感想欄に書いていただければ幸いです
よろしくお願いしますm(_ _)m
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