-IS- 夢動かす機械   作:かきな

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前回のあらすじ

体をいじられた報酬として、専用機が手に入るよ

やったね、稀零ちゃん!



第二話 激闘!クラス代表決定トーナメント その二

 授業も終わり、昼休みになる。

 

「飯に行くぜ!」

 

 一夏の方に向かうと、セシリアも一緒に来た。

 

「なんだ? セシリアも一緒に飯に来るのか?」

 

「ち、違いますわ!」

 

 いや、そんなに拒絶しなくてもいいだろ。結構心にくるものがあるんだぜ?

 

 そんな俺の心境もお構いなしに、咳払いをして仕切り直すセシリア。

 

「お二人とも専用機が用意されると聞いて、安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど」

 

 腰に手を当ててそう言った。なんだ、今朝の話はもうセシリアの耳に入っているのか。意外と情報が早いんだな。

 

「訓練機じゃ無理なのか?」

 

「あら、ご存じないのね。わたくしはイギリスの代表候補生……つまり、現時点で専用機を持っていますの」

 

「へー」

 

「……馬鹿にしてますの?」

 

「ん? 稀零も専用機もってるのか?」

 

「いや、まだ来ないみたいだが、作ってはくれるらしいぜ」

 

 その言葉で教室がざわめく。

 

「この時期に専用機持ちが三人⁉」

 

「このクラスほんとにすごいね!」

 

 あ、専用機持ちってほんとにすごいものなんだな。つまり、俺はあの研究所の奴らにかなり感謝しなりゃいけないのか……。

 

「専用機を持つものはエリート中のエリートだと言うのに……この方たちときたら」

 

「なんか俺たち馬鹿にされてるぜ?」

 

「なんでだろうな」

 

 まあ、バカであることは否定できないけどな。俺に至ってはこの世界の常識すら危ういくらいだしな。

 

「まあ、どちらにしてもこのクラスの代表にふさわしいのはわたくし、セシリア・オルコットであるということをお忘れなく」

 

 捨て台詞をはくとセシリアは去っていった。昨日も同じような事言ってたよな? 一夏にも同じことを言いたかったのかな。

 

「んじゃ、一夏。さっさと飯に行こうぜ」

 

「ああ、ちょっとまってくれ」

 

 そういうと、一夏は箒の方に向かう。……なるほど、さっきのこともあるし箒にフォローを入れるのか。一夏はそういうところ、気が効くんだな。そうやって餌を与えて……放置するのか。

 

 最低な奴に聞こえるが天然だし悪気がないから性質が悪いぜ。

 

「箒」

 

「…………」

 

 返事をしない。それどころか、一夏の方を向こうとすらしない。

 

「篠ノ之さん、飯を食いに行こうぜ」

 

 あ、そうか。名前で呼ばれたくないのか。ほんとに俺のアドバイス意味なかったな。少しくらい改善するかと思ったのにな。

 

「他に誰か一緒に行かな――」

 

「ふんっ」

 

 俺は一夏に掌底をおみまいし、言葉を切る。

 

「な、なにすんだよ!」

 

「一夏、お前のそのフォローも仕方は不適切だと思うぜ」

 

 他の女子との関係改善の前に箒の機嫌を改善しないと、また同じようなことが繰り返されるだけだ。

 

「ここは箒の機嫌を直してもらうのが先決だぜ」

 

「そうか? 一緒に飯食えば仲良くなるんじゃないのか?」

 

 顔を寄せてひそひそと話をする。周りのクラスメイトがきゃーきゃー言っているのが耳に入るのはなんでだ?

 

「箒にその意思がなかったら仲良くもならないぜ?」

 

「確かに、今の箒は人と話そうともしないもんな」

 

 羞恥心だけであそこまで孤立するとは思えないし、そういう性格なんだろうぜ。

 

「わかった。じゃあ、三人で行くか」

 

「ああ」

 

「私はいい」

 

 ……え、まじで? あ、そうか一夏と行くのも恥ずかしくて嫌なのか。って、朝は一緒だったじゃねーか!

 

「いいから行くぞ」

 

 一夏は箒の腕を組んで、無理やり立ち上がらせる。なるほど鳴かぬなら鳴かせるんだな。ただ、それは逆効果の様な気がするんだが。

 

「お、おいっ。腕を組むなっ!」

 

 おい、一夏。得意げな顔して『こうして強引に動かすのが正解なんだ』と目配せをしてくる。長い付き合いの幼馴染だからわかることもあるだろうが、一夏、お前に関してはそれは当てはまりそうにないぜ……。

 

「なんだよ、歩きたくないのか? だったらおんぶしてやろうか?」

 

「なっ……! は、離せっ!」

 

 あ、これはダメな展開が読めるわ。

 

……腹減ったな。付き合ってらんねーし、先に行くか。

 

「一夏、俺先に行ってるわ」

 

「ん、ちょっと待てよ。ほら、箒行くぞ」

 

「だから、離せといっているだろ」

 

「学食についたらな」

 

「い、今離せ! ええいっ!」

 

 瞬間、一夏の体は宙を舞い、背中から地面に落ちた。今のは投げ技か? 人間ってのはああも簡単に回るものなんだな。

 

 周囲から人がいなくなるのを感じる。周りにいた女子はあれを見て距離を取ったのだろう。ま、当然だぜ。さわらぬ神に祟りはないんだぜ?

 

「箒」

 

「な、名前で呼ぶなと――」

 

「飯行くぞ」

 

 一夏は懲りずに箒の腕をつかむ。しかし、どことなく怒っている感じがするな。

 

「お、おいっ。いい加減に――」

 

「黙ってついてこい」

 

「む……」

 

 これはどっちも触りたくない神だぜ。よし、逃げるぜ。

 

「稀零も早く来いよ」

 

 その眼は笑っていない。有無を言わせぬ圧力のこもった視線に俺は……

 

「やだよ。今のお前と食っても飯がまずくなりそうだしな」

 

 直球を投げ返す。すると、一夏の表情が変わり申し訳なさそうに頭を掻く。その後、表情が緩み、落ち着いたのが分かる。

 

「悪かったよ。これでいいか?」

 

「そうだぜ。飯時くらい、気を張らずに行こうぜ。授業中は織斑姉のおかげでずっと姿勢正さなきゃなんねーしな」

 

「稀零は構わず寝てるだろ」

 

 二人で笑う。さっきまでのいやな空気もなくなり、教室はいつも通りの騒がしさが戻った。

 

「お、おい」

 

 腕を握られたままの箒が一夏に声をかける。

 

「ん? ああ、それじゃあ行くか」

 

「おう」

 

 俺たちは食堂へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 食堂についたころにはもう生徒であふれかえっていた。

 

「これ、席あるのかよ」

 

「三人くらいなら何とかなるだろ」

 

 券売機に並ぶ。一夏はまだ箒の腕をつかんでいる。

 

「一夏、俺が買っといてやろうか? 先に席確保してくれよ」

 

「サンキュー。じゃ、日替わり二つでよろしく」

 

「私は何も言ってないぞ」

 

「日替わりは鯖の塩焼き定食だってよ」

 

「ならいい」

 

 即答か。和食が好きなのか。

 

「んじゃ、任せたぞ、稀零」

 

「ああ」

 

 二人は席を探しに離れていく。食券を買い、カウンターに置いておばちゃんに注文したのちに気づく。さすがにお盆を三つ持つことは不可能じゃないか?

 

「……いや、まて。腕の上に一つ置いて、ファミレスの店員風に持てば行けるか」

 

 目の前に並ぶ三匹の鯖が俺を試すように見てくる。くそ、死んだ魚みたいな目しやがって。

 

「行くぜっ!」

 

 

 

「ふう、危なかった。もう少しでひっくり返すところだったぜ」

 

 バランスを崩し、前のめりになったがクラスメイトののほほんとした女子の頭がお盆を支えてくれたおかげで何とか持ち直すことができた。

 

「おっす、持ってきたぜ~」

 

「おう、ありがとう……って、なんだかすごいことしてるな」

 

「まあな。ほいよ」

 

 テーブルにつくと、なんだか箒が少し緩んでいるのがわかる。俺がいない間に甘酸っぱいラブコメが繰り広げられたのだろうか?

 

「いただきます!」

 

ま、俺には関係ないけどな。それに相手は一夏だぜ? 期待は裏切るためにあるような男だぜ?

 

結局また不機嫌になるんだろうな。

租借しながら二人の顔をみる。残念ながら一夏は平常通りの表情だ。となると、箒の空回りで終わる可能性が高い。

うーん、そうなると箒はさらに一夏にあたるだろうな。仲が進展するどころか、また悪化。もうこれはダメだな。

 

「そうそう、さっき先輩がISについて教えてくれるって言ってきたんだけどさ、箒が教えてくれるって言うから断ったんだよ」

 

「マジか。あー、俺も誰かに教わった方がいいかもな」

 

一夏がなにか思い付いたように表情を変える。

 

「だったら、稀零も一緒に教えてもらおうぜ

 

「おお、それはいいな――」

 

 ふと、箒を見ると鋭い視線を俺に向けてきた。どうやら、一夏と二人きりがいいらしい。

 

「いや、二人同時に見るんじゃ効率が悪いだろうし、俺は遠慮しておくぜ」

 

「そうか? なんか悪いな」

 

 確かにお前が悪いぜ、一夏。箒はいつもの表情に戻っている。ま、いつもの表情も不機嫌に見えるんだけどな。

 

 

 

 

「どういうことだ」

 

「いや、どういうことって言われても……」

 

 午後の授業を睡眠学習ですごしたのち、何か一夏と箒が二人連れだって歩いて行ったので、これは何かあるなと思って着いてきたのだ。

 

「剣道か。しかし、十分ぶっ通しで手合わせって……尋常じゃねぇぞ」

 

 中学の必修として取り入れられたからやったことはあるが、試合を十分間連続でやるってのは、想像以上にきつい。精神的にも肉体的にも。ま、それは初心者が感じたことだから有段者とかになれば変わってくるんだろうな。

 

「どうしてここまで弱くなっている!」

 

「受験勉強してたから、かな?」

 

「……中学では何部に所属していた」

 

「帰宅部。三年連続皆勤賞だ」

 

 威張れる事じゃねえぜ。

 

「情けない。剣道で男が女に負けるなど……悔しくはないのか、一夏!」

 

 お、名前で呼んでる。結構意識が変わったのか? ま、意識が変わってもこの状況じゃあな……。

 

「そりゃ……恰好悪いとは思うけど」

 

「格好? 格好などを気にすることができる立場か! それとも、やはりこうして女子に囲まれるのが楽しいのか?」

 

 無茶苦茶な事言ってるな。頭に血が上って正常な思考ができていないのか? 

 

 てかこれ、なんか今朝より悪化してるっぽいな。

 

「楽しいわけあるか! 珍獣扱いじゃねーか! その上、女子と同居までさせられてるんだぞ! 何が悲しくてこんな――」

 

「わ、私と暮すのが不服だというのかっ!」

 

 箒が振り下ろした竹刀を一夏が受け止める。面を外している一夏がくらったら死んでたかもしれないよな。

 

「おい、箒。それくらいにしとけよ? 一夏が死んじまうぜ?」

 

「……ふん」

 

 振り下ろしていた竹刀を戻し、更衣室へ去っていった。

 

「織斑くんってさあ」

 

「結構弱い?」

 

 ギャラリーの女子からの声はまる聞こえだ。

 

 でも、それが一夏にいい影響を与えたらしい。

 

「……トレーニング、再開するか」

 

 ふふん。なんだか楽しくなってきたぜ。これで、決闘の時、もっと盛り上がるぜ。

 

「……しかし、問題は俺だな」

 

これから、何か始めるべきだよな~。




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いまだに激闘しない稀零君
というか、前、中、後編でも分けきれないんですが……
後で、タイトル変えますorz

オリジナル展開少ないな~
もう少ししたらヒロインも出てくるので少しは面白みのある話になるかもしれません


ちなみに、ISで好きなキャラクターはラウラです
ラウラ編まで行けばいろいろやりたいですね
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