-IS- 夢動かす機械   作:かきな

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前回のあらすじ

セシリアが師匠になったり、

虫についてちょっと考えてアンニュイになったり、

なんやかんやあって一夏vsセシリアの戦いが始まりそうな感じ


第二話 激闘!クラス代表決定トーナメント その四

 観客席でアリーナの中を見ている。周りにはクラスの女子……だけではないようだが、大勢の観客が席を埋めている。やっぱり、男のIS搭乗者ってことで注目されてるんだろうな。

 

 アリーナの中では先にゲートから出てきた師匠がその鮮やかな青色の機体、ブルーティアーズを纏い、一夏の登場を待ている。そのたたずまいはまさに決闘を控えた騎士の風貌であり、俺はそれに興奮を隠せない。

 

「やべー、やっぱISかっこいいな。あれと戦える一夏がうらやましいぜ」

 

 師匠の講義中にも見せてもらったが、あの大型のライフルがめちゃかっこいい。自分よりも大きい銃なんて、男のロマンだよな。

 

「わたわたも、次戦えるんじゃないの~」

 

 ……ん?

 

「そのわたわたってなんだ?」

 

「渡宮だからわたわただよー」

 

 ああ、あだ名か。なんかふわふわとして、俺には似合わない気がするぜ。

 

「それで、うらやましいって、なんで?」

 

 ほかの女子も話しかけてくる。別にそこまで食いつくようなことじゃないと思うけどな。

 

「俺は一夏が勝つと思っているからな。だから、俺が決勝で戦うのは一夏で、師匠とは戦えないんだよ」

 

『師匠⁉』

 

 女子が声をそろえてそう言うと同時にピットゲートから一夏が出てくる。まだ何か言いたそうだった女子もいるが、大体の女子の意識はアリーナに向かった。

 

 一夏は白いISを纏っている。試合開始の鐘が鳴るも、二人は動かない。何かを話しているようだが、ISの回線を使っているのでこちらには何を話しているかはわからない。けどまあ、師匠が一夏を煽ってるんだろうなー。師匠は知識も実力もすごいんだが、性格に難ありって感じだぜ。感情的によくなるしな。

 

 それがこの試合でも出るんなら、一夏は勝てるはずだぜ。……ま、それを差し引いても強いから苦戦は必至だろうけどな。

 

 会話が終わったのか、突然師匠は大型のレーザーライフル《スターライトmk-Ⅲ》をかまえて閃光を放つ。虚を突かれた一夏の回避は間に合わず、被弾する。絶え間なく放たれるレーザーの雨。そんな中、一夏が手にしたのは一本のブレードだった。

 

「まじか……。一夏、漢だぜ」

 

「えー、あれじゃあ、遠距離のセシリアに勝てないじゃん」

 

 クラスの女子が声を上げる。

 

「だが、これしか一夏に勝機はないと俺は思うぜ」

 

「え、なんで?」

 

「同じ遠距離での射撃戦になったら素人の一夏より、代表候補生の師匠のほうが圧倒的に有利だぜ。避けながら相手に照準を合わせて撃つなんて、よほど訓練しないと無理」

 

 そう、だから相手のフィールドで戦う必要なんてない。相手のフィールドで勝てないなら、違うフィールドに引きずり込むしかないんだ。

 

 しかし、必死で距離を詰めようとする一夏に師匠は無慈悲にも自立機動兵器『ブルーティアーズ』を展開する。それが何かを一夏は察したようで、詰めようとした距離を一旦離す。

 

 しかし、そこからは一方的な展開となった。

 

 一夏の周りに展開された『ブルーティアーズ』、通称“ビット”から放たれるレーザーは師匠本体が撃つよりも一夏までの距離短い分早くたどり着く。スターライトmk-Ⅲよりも威力は低いがその距離から放たれるレーザーを避けるのは至難の業だ。

 

「どうなるやらな」

 

 自分が次こんな風に試合をするのかと思うと、見ているだけで大興奮だぜ。

 

 

 

 

 その後も一夏は懸命に回避するが、着実にシールドエネルギーを減らしていった。あと一撃でも喰らえば一夏の負けというところで、師匠は仕切りなおすかのようにビットを自身の周りに戻した。

 

ちなみに、師匠の機体についての話はISの講義の中で聞いたものだ。操縦を教わっていたら、相手の武装まで分かるという一石二鳥だったぜ。織斑姉、様様だぜ。

 

 ま、結局無駄になるけどな。俺、師匠と戦えないし。

 

 ビットで隙を作った師匠がとどめといわんばかりに一夏の装甲を失った左足を大型ライフルで狙う。しかし、一夏の特攻により、ライフルの銃身に体をぶつけ銃口を逸らすことで危機を脱した。

 

 俺だったら、足をまげて避けると思うが、失敗のリスクを考えるとどっちがいいんだろうな。

 

 結果的には一夏の特攻は正解だった。距離をとってビットで攻撃する師匠だが、その特攻に動揺したのか、レーザーは一夏になんなくかわされ、1機ビットを破壊される。そのまま突っ込む一夏は2つ3つとビットを破壊し、残る1つもけりで吹き飛ばすと師匠の懐に入り込んだ。

 

「行けるか⁉」

 

 周りの女子たちもざわめく。しかし、その期待は師匠の隠していた武装により裏切られることになる。

 

腰部のスカート状のアーマーの一部が外れ、ビットが現れる。そこから放たれたものはレーザーではなく、誘導性の高いミサイルだった。

 

 アリーナを包む爆煙、誰もが一夏の敗北を感じた。しかし、そんな予想もまた外れ、試合は最後の局面を迎えた。爆煙の中から現れたのは純白のISだった。一夏のISは装甲の色が変わっただけでなく、その機体の実体ダメージは消え、シルエットも整ったものになっている。手に持った刀は形を変え、その機械的なフォルムはまさにISの武装だ。

 

「あ、あれって!」

 

「千冬様がモンド・グロッソで使ってた武器よね‼」

 

 モンド・グロッソ? ああ、IS世界大会のことだっけか。そこで織斑姉が使っていた武器を一夏が使う……。できすぎた展開だが悪くないな‼

 

 師匠に接近する一夏。飛来してくるビットを切り払い、再度師匠に突撃する。

 

 その中で、一夏の持つ刀は光を帯び、その軌跡に残光を残した。下段から上段への切り上げは師匠を捉えようとしたのだが……直前で試合終了のブザーが鳴り響いた。

 

 

『試合終了。勝者――セシリア・オルコット』

 

 

『……?』

 

 アリーナ全体が沈黙する。ぽかんと口を開けて、理解できていない様子の女子が多数を占める。かくいう俺も何がどうなっているのかわからない。

 

 しかし、そんな中でも織斑姉だけは違い、アナウンスが続いた。

 

『次戦はセシリア・オルコット対渡宮稀零だ。オルコットの機体の整備が終わり次第、試合を始める。両者はさっさとピットインしておけ』

 

 何が起きたのかはまだ理解できていないが、一夏のピットに行けば何かわかるかもしれないな。

 

 

 

 

「よくもまあ、持ち上げてくれたものだ。それでこの結果か、大馬鹿者」

 

 ピットにつくと織斑姉が一夏を罵倒している最中だった。

 

「武器の特性を考えずに使うからああなるのだ。身を持ってわかっただろう。明日からは訓練に励め。暇があればISを起動しろ。いいな」

 

「はい」

 

 一夏は素直に返事をする。しかしだな……。

 

「一夏の専用機っていつ来たんだ?」

 

「ん、さっきだけど」

 

 ってことはさ。

 

「ぶっつけ本番なのに、武器の特性を理解しろって無理な話じゃね?」

 

『…………』

 

 沈黙。織斑姉もさすがに反論はできないだろ。

 

「え、えっと、織斑くん。専用機を持つにあたっての規約がこれに書いてあるのでちゃんと読んでおいてくださいね。はい」

 

 ごまかすように動き出す真耶ちゃん。一夏に渡したのは厚さ10センチほどの分厚い本だった。え、専用機持ちの規約ってことは、俺もあれ読まなきゃならないのか。

 

「……何にしてもこれでしまいだ。観客席に移動しておけ」

 

 あ、負けた手前一夏が行き辛そうな顔をしてるな。

 

「一夏、俺のサポーターとしてここにいてもいいぜ?」

 

「稀零……ありがとよ」

 

 しかし、一夏惜しかったけど負けたんだよな……。

 

「残念だぜ。一夏と戦うのはまたの機会だな」

 

「悪いな、負けちまって」

 

「何言ってんだ。最高に熱い試合だったぜ! 見てるだけでぞくぞくしたしな!」

 

 結果にこだわるのもありだが、楽しめたならそれでいいんじゃねーの?

 

「ふむ。セシリアのほうは準備ができたようだ。渡宮、準備を始めろ」

 

 早いな。師匠のことだし、勝つこと前提で準備をしていたのかもな。

 

「渡宮くん。これを読んでくださいね」

 

 山田先生からメモを渡される。この女の子が使いそうな可愛らしい絵柄の紙だ。これには見覚えがある。

 

『稀零くん、元気かなぁ? 私だよん♡ それでね、君の専用機だけどちょっと頑張ってたら君の試合に間に合わなかったよ、テヘッ♡』

 

「ふざけんなぁぁあぁあ!」

 

「ひゃうっ! ど、ど、どうしたんですか?」

 

 あ、山田先生いたのか。

 

「いや、何でもないぜ、先生」

 

 ……訓練機でいくしかないか。打鉄という名前らしい。性能は安定していて、使い勝手はいいらしい。ただ、特徴がなさ過ぎて専用機に通用するような性能ではない。

 

 なら、それなりの戦いしかできねーか、と言われたらNOと答えるぜ。

 

「さあ、行くぜ、『ひめぼたる』。俺たちのデビュー戦だぜ!」

 

 緑色に光るホタルが目の前の機械に張り付く。同化し、包み込む。

 

 黒色だった打鉄の色が緑に変わる。その色に妙な安心感を覚える。

 

 打鉄に乗る。いや、装備すると言った方が正しいのか? 

 

 打鉄が、俺の体を包み情報が頭に流れこむ。それは『繋がる』という表現が最もしっくりきた。俺は今、この機械と一体になっている。

 

「ヤバい。興奮しすぎて鼻血出そうだぜ」

 

 ピットの出口からアリーナへ向かう。

 

 




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や、やっと戦闘なのに……三人称視点だから臨場感がないぃぃ
次回は稀零君の戦闘なのでもう少し激しくかけるかもしれませんね

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