ここから先、キリトの出番は圧倒的に少なくなります。
安心してください、たまに出ますヨ。
第十話です。
見事、岩を割ることのできた俺は一人近くの森の中にいた。
「ここ、どこ…?」
大丈夫。決して、迷子じゃない。ただ、道がわからなくなっただけだ。
さて、どうしたものかね…
まあ、まずこの状況をどうこうする前にやらなくてはいけないことがある。
俺は他よりも若干大きい木を見ながら警告する。
「そこに隠れているやつでてこいよ」
俺はつけられていた。
そのストーカーもどきをまくためにあちこち行っていたら、迷子…じゃなくて自分がどこにいるかわからなくなっていたわけだ。
案の定、見つめていた木から人の姿が。
顔はフードをかぶっているため、見えない。
「何、お前。ゲームの中でもストーカーって発情期か?そんなこと、幼稚園生も考えねぇぞ」
少しばかり煽りをいれる。
「んーと、君に話があってね」
声が…男?
「生憎、こっちにはないんだわ。ていうか、お前のせいで迷子なんだけど?」
迷子って認めたような気がするがそんなことは気にしない。
「あはっ、それはごめんねー。だって、君が逃げるからさー」
「いやいや、ストーカーに追われて逃げない奴はいないっしょ。で、話って何?」
フードの男はふう、と息を吐き、続けて答える。
「いやー、僕見ちゃったんだよねー。君とビーターが闘っていたところ」
ビーター。これはボスの部屋にいた奴しかしらないはず。
俺がキリトと闘ったのも、ボス戦が終わってすぐだったから、情報漏えいはないはずだが。
こんな奴、攻略にいたか?
「残念ながら、僕、攻略には参加してないんだよね」
「じゃあ、どうやってお前は俺らのデュエルを見たんだ?あの時はまだ転移門は解放してないはずだ」
「それは簡単なことだよ。君たちが苦労して通ることができるようにした階段を昇ってきただけさ。」
「へー、で?お前は何がしたいの?」
「そうだなぁ、まず僕とデュエルしてくれないかなぁ。君の力を知りたいんだ」
相手からのデュエルの相談。
トキアにとって良い経験になる数少ない機会。
受けてもいいのだがトキアは心の中でひたすら思っていた。
うへー、めんどくせーと。
なんせ、トキアはボス戦の後、キリトとのデュエル。二日にかけて行った、岩割り。そして、持ち掛けられたデュエル。
まさにハードスケジュールと呼ぶにふさわしい。
どうしようかと迷っているトキアに対し、フードの男は新たな提案をする。
「ただ、デュエルするのもつまらないからなんか賭けない?」
「例えば?」
その時フードの男がほんの少し笑った気がした。
「負けた方が勝った方に絶対服従とかは?」
挑発。誰でもわかる挑発。
この賭けを提案してきたということは自分が勝つ自信があるということ。
しかし、罠ということも考えられる。
勝つための罠が仕掛けられている可能性もありうる。
だが、トキアはそんなことは気にしない。
トキアは思う。ここまでわかりやすい挑発に乗らない奴は男ではないと―
「あぁ、いいぜ。その賭け乗ってやるよ」
ふー、またデュエルか……