英雄になりたいけどなれない少年の物語   作:木戸 真人

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 第十三話です。


儀式

「ここかい?」

「うん、そうだよ」

 俺とソラはソラの<体術>スキル獲得のために以前来た岩山に来ていた。

「それにしても、ここを自力で探した人はすごいねーこんなところ来ようとは思わないもん」

「まー、確かにな」

 さきのデュエルで<体術>スキルの存在を知ったソラは自分も<体術>スキルが欲しいと言い出し、連れていくことになったのだ。

 ちなみに、ソラが使った超高速武器取り出し術は<クイック・チェンジ>というらしい。

「ここに入門したいんですけどー」

 そうこうしているうちにソラがあのじいちゃんNPCに話かけていた。

 じいちゃんNPCはソラに岩を素手で破壊するように促す。

 そして、いつも(?)のように筆を用意し、構える。

 ソラがどんな風にペイントされるかわくわくしていると、NPCは一向に動かない。

(バグか?)

 そんなことを考えているとNPCは筆を落とし、ひざまずく。

「ワシにはこの男に落書きなどできん…!」

 えぇ~!何!?美少年だと落書きのイベント発生しないの!?

「しかし、これも儀式の一環…!落書きせねば―」

 落書きのイベントって儀式だったのかよ!ていうか、NPCなら決められた仕事ちゃんとしろよ!と内心叫んでいると、じいちゃんNPCと目が合う。

 その時、じいちゃんNPCが笑った…気がした。

 いやな予感を感じ取った俺はすぐさまここから離れることを試みる。

「ソラ!後は自分で何とかしろよ!近くの街で待っているから!」

「あっ、ちょっ…と、トキア!」

 呼び止めようとするソラを振り切り、俺は敏捷力MAXで走り出す。

「逃がすかぁぁっぁぁぁぁ!」

 まずい!あのNPC本気だ!本気で俺を捕らえる気だ!

 走る俺の目の前に現れるのはこの前のガチムチ筋肉NPCだ。

「貴様の動きなんて読み切っとんじゃぁぁぁぁ!」

 俺は叫びながら細かいステップを使い、スピードを落とさず、一心不乱にそのNPCをかわす―

 ―が、何かに足をつかまれる感覚。思わず、俺は倒れてしまう。

 おかしい!さっき、筋肉NPCは抜いたし、じいちゃんNPCも俺に追いついていないはず!

 恐る恐る、つかまれた足を見るとそこから出てきたのはさっきの筋肉NPCとは違う、ガンガンに日焼けした黒光りのガチムチ筋肉NPC。歯はもちろん白だ。

「△★○▽×♦◇□!?!!?!??!」

 あまりの驚きに声にならない声を上げる。

「よくやった、弟子一号二号」

「こいつも弟子なの!?」

 何なの!?俺の時ばっかりこんなイレギュラーばっかり!

「では、儀式を…」

「いや、もう意味ないから!クエストをやる奴がやらないとこの儀式(?)意味ないから!」

「問!答!無!よぉぉぉぉぉぉぉぉう!」

「いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁ!」

 後の話だがアルゴの情報の中に<体術>スキル獲得の際、<ペイントはランダム制>と追加されることとなった。

 

 

 

 

 

「ご、ごめんね。トキア。大丈夫?」

「うん…大丈夫」

 俺はまたもや汚される思いをし、体操座りをして落ち込んでいた。

 ソラは俺のことを心配してくれてるらしい。

 それに対して老人NPCはなぜかすっきりした顔をしており妙に腹立たしい。

 俺の顔はどうなっているのかって?そんなの言うまでもないだろう。

 しいて言うならば顔パックだ。

「いいさ…どうせ…どうせ俺なんか…」

 失意の底に落ちている俺にかかる声。

「トキア。僕、頑張ってすぐ割って見せるから。元気出して!」

 拳を固め、張り切るソラ。

 あぁ~なんて、いい奴なんだ。お前は。

「うん。よろしく頼む…」

 この状態が続くのは最低二日ぐらいか…とあまり期待をせず予想しながら横になる。

 

 ソラが岩を割ったのはそれから三時間という驚異的な時間だった。

 それには驚いたが一番びっくりというより腹が立ったことは老人NPCが俺の顔をふく際、自分のつばをかけた雑巾でふいた時はブチ切れそうだった。

 

 俺は二度とここには来ないと誓った。

 

 

 

 

 

 




トキア「なんで俺ばっかり…」
ソラ「ど、ドンマイ」
トキア「それより、ここどこだ?」
ソラ「なんか自由に話していいんだって」
トキア「別にそんなのないが、一つだけ言おうぜ」
ソラ「そうだね」
トキア・ソラ「「お気に入り登録、よろしく!」」

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