英雄になりたいけどなれない少年の物語   作:木戸 真人

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 第十四話です。




KUWASIKU

「久しぶりダナ。トッキー」

「元気そうでなりよりだ。鼠」

 俺とソラは二層にある<マロメ>という村で依頼があるというお願いの元、アルゴと再会していた。

「あなたが<鼠のアルゴ>ですか。トキアから話は聞いてます。一人で<体術>スキルを探し出したなんてすごいですね」

「えーと…君ハ?」

「申し遅れました。僕の名前はソラと言います。トキアとは一言では表現できない仲です」

「ほう、その辺をKUWASIKU」 

ソラの言葉に興味を持ったのかアルゴはらんらんと目を輝かせる。

「おい、ややこしいことを言うな、ソラ。鼠、俺とこいつはただのパーティーメンバーだ」

「ひどい!あんなに出会った頃は息ピッタリだったのに!あの時交わした誓いは嘘だったの!?」

「何も誓ってねぇよ!ていうか、出会ったの一昨日のことじゃねぇか!」

「トッキーとソーちゃんは怪しい関係っと。しっかりメモしたゾ」

「勝手にメモすんじゃねー!」

「ソーちゃんて僕のあだ名…」

 必死に<鼠のアルゴ>による情報拡散を防ぎ、俺たちは近くの村のお茶屋で話すこととなった。

 

「で、依頼ってなんなんだ?」

 俺は<ガウリーンティー>という緑色の飲み物を飲みながらアルゴに尋ねる。

「受けて欲しいクエストがあってナ」

 ちなみにソラは<ティー・オンザ・ティー>、アルゴは<グレーティーン>を飲んでいる。一応付け加えておくが、どちらも分類は<お茶>である。

「どうして俺なんだ?キリトがそういうの適任だろうに」

 キリトの方が俺よりも情報は持ってるわけだし、昔なじみのキリトの方が頼みやすいだろう。

「トキアにデュエルで勝ったくらいだしね」

「それは言わんでいい」

 俺たちの会話に疑問を持ったのかアルゴが首をかしげる。

「ソーちゃんはキー坊のこと知っているのカ?」

「トキアとのデュエル見てましたし、後々トキアから聞きました」

「なるほどナ。それからソーちゃん、敬語じゃなくていいゾ。少しむず痒いからナ」

「わかりまし…わかったよ。アルゴ」

 アルゴはソラの返答に満足したのかお茶を飲んで一息。

「キー坊に頼まない理由としてはキー坊が今少し立て込んでいて…」

 立て込んでいる?キリトが立て込むとはよほどのクエストか事件―

「アーちゃんとデートしているんダ」

 ―あの野郎、ぶち殺してやる。

「とまではいかないガ、一緒に行動しているのサ」

 今度出会ったら殴り飛ばす。

 すると、ソラが俺の肩をたたいてきた。なんだよ、コイツ。かわいいな。

「アーちゃんって誰だい?」

「うーん、一言で言うなら…超高速リニアー使い、ツンデレのオプション付きかな」

 デレるか知らないがツンの方は確かだろう。一言ではないというツッコミには対応しません。

「それで邪魔するわけにはいけないということデ―」

「俺たちに回ってきたわけだな」

 アルゴはキー坊が面倒な事件を抱え込んでるのは本当だゾと付け加え、俺たちに尋ねる。

「それで受けてくれるカ?」

 受けてやってもいいが、まず内容を知らないとどうすることもできない。

 内容次第だなと言おうとしたときソラの言葉で遮られる。

「トキア、これはチャンスだと思うよ」

「チャンス?どういうことダ?」

 ソラの言っている意味が分からないのか首をかしげるアルゴ。

 チャンス。この言葉の本当の意味が分かるのは俺とソラだけだ。

 昨日、俺とソラは話し合った。

 俺がこれからどうすればいいのかということ。

 キリトが英雄になるなら俺は何になればいいのかということ。

 ソラの答えは簡単だった。

『トキアも英雄になればいいんだよ。キリトっていう人と同じ道じゃなくていいじゃない。トキアが言う<英雄>になれるかはわからないけど、前を見て進んでいくだけだよ』

 そして、決めたのが裏方に徹すること。

 攻略には極力参加せず、人助けをする。そうすれば、情報も集まるし、運が良ければラスボスを倒せる。

 アルゴのこの依頼はそれを始めるための引き金であり、<チャンス>だ。

「わかった、その依頼受けようか」

 少年漫画の主人公は大抵、何も考えず突っ込んでいく。それはずっと前を向いているという証拠かもしれない。

 俺の目指していた<英雄>にはもうなれないかもしれない。

 でも、前に進むことだけはやめない。

「じゃあ、内容を言うゾ……」

 ここはいっちょ、少年漫画の主人公になってみるとしますか!

 

 




 いい話風に書いたつもりです。
 ソラの自己紹介はまた今度…
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