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第二十話です。
「ふふ、任されてしまったな…」
まだ中学生くらいの少年から澄んだ瞳で『頼んだぞ』と言われてしまった。
いつぶりだろう、人に頼まれるのは。アルゴから受ける依頼も自分からやりたくてやっているわけだし、それにいくらでも代わりはいる。でも、今回は違う。あのモンスターは私にしか倒せない。そう、願いたい。
現実じゃあ、頼ってばっかりだったからなぁ…。
現実では何も出来なかった私にこのゲームを勧めてくれた友人に感謝しないとな。これでまた私は生きる意味を見つけることができた。
「さて、一つここは少年たちにお手本を見せてあげようか」
言ってしまった。
人に頼るのは勿論、初めてじゃない。今までいろんな人に頼ってきたし、おそらく頼っていなかったらこの世界に、このゲームに来てはいなかった。
でも、なんかこう…。
真っ向から『頼んだ』というのは初めてだし、会って一日もたっていない人、しかも最初に言い争った奴に頼むなんて…。
言い訳をするとしたら気づいたときには口が動いていた。いや、これは言い訳ではないな。余計に墓穴を掘っている気がする。
くっそ、こうなったらアーサーの無様にやられる様を目に焼き付けてやる。
……………死ぬなよ。
「黒い鬼か…」
アーサーは鬼のモンスターの姿を見ながらふと思う。
青→黄→赤→黒ときたか。ずいぶんカラフルなモンスターだな…。
「GOU!」
青と言えば、昔、『青鬼』ていうホラーゲームやったことがあったな…。なかなかに面白かった。
「BAU!」
ホラーゲームか…。最初は苦手だったが、慣れればそうでもなくなるものだな。
「DOU!」
しかし、よく人を怖がらせるネタなんか思いつくな…。私の才能ではよくて余興程度だ。
「AOU!」
というより、<ホラー>なんて概念を作り出した奴はすごいな。しかも、ゲームにも取り込むなんて…。
「BRUUU!」
もしかしてフルダイブ型ホラーゲームなんてものも…。
「DORUUUUUU!!!」
「ええい、やかましい!」
考え事をしているにも関わらず、いくらかわしても声を上げながら攻撃してくることに対して嫌気がさしたのか鬼の肩に飛び、斬り飛ばす。
「貴様、人が考え事をしているのに何も言わず攻撃してくるとは何事だ。貴様のその行いは何も言わずじゃんけんをしてくるのと同義!」
「おい、あいつ。とんでもないこと言ってやがるぞ」
「理不尽すぎる…」
自分が悪いのになぜか怒っているアーサーに唖然とするトキアとソラ。
「まずだな、二人でどのタイミングで始めるか話合っ「GAU!」てだな…」
話続けるアーサーに黄色の時よりも速いスピードで繰り出される雷。
不意(?)を突かれたアーサーはくらってしまう。
「あちゃー、のんきに話してるから…」
「てか、大丈夫なの?あれ」
雷の攻撃を受けたアーサーは<麻痺>のアイコンがHPバーに現れる。
これでは一定時間動けない。
―普通は
「き、貴様ぁぁ!あれほど言ったのに!あれほど言ったのにぃぃぃ!」
ふるふると怒りで震えるアーサー。腰に携えた剣に手をかけ、闘う姿勢を作る。
「お、おい、あいつ動いてない?」
「麻痺で動けないはずなのにね…」
これには鬼のモンスターも驚いているように見える。
「オネーサンがいいことを教えてやろう…」
「あ、やはり女なのか」
「トキア。ムード壊さないで」
「この状況、ムードもくそもないだろ」
「お前たちもやかましい!」
「「は、はい!」」
隅っこで話続けるトキアたちに一喝し、アーサーは<ターン・ジ・オーガ>に向き直る。
「私にゲームのルールが通用すると思うな…!」
堂々ととんでもないことを言ってのけるアーサー。その姿を見て、トキアとソラは―
「「えぇ…」」
―ただただ、唖然していた。
「斬!」
トンデモ発言をしたアーサーは五分で<ターン・ジ・オーガ>のHPを残り五パーセントというところまで追いつめていた。
「GRUUUUU…」
「なんだかんだ言ってあいつ、強いな」
「うん、もう相手が
「GRUAAAAAAAAA!!!!」
HPが残り五パーセントというのがトリガーとなったのか、それともソラの『可哀想』という言葉に反応したのかわからないが<ターン・ジ・オーガ>は雄たけびをあげ、自分を鼓舞する。
すると、<ターン・ジ・オーガ>の体に変化が訪れる。変色などではない、腕が二本生えたのだ。
「腕が二本に…」
「いや、もう驚かなくなってきた」
「GRARARARARAAAAAAA!!!」
四本の腕を十分に使い、アーサーに向けて連打を繰り返す。
「無駄だ」
それをアーサーは最小限の動きでかわしていく。
「BAU!!!」
右手と左手を絡ませ、二つの塊をぶつけ、アーサーの方向に。しかし、その時にはもうすでにアーサーの姿は無かった。
「そろそろ終わりにしてやろう…」
剣を持ったアーサーの手にライトエフェクトが現れる。
「
アーサーの放ったソードスキルが<ターン・ジ・オーガ>の体を突き抜ける。
しかし、少しばかり相手のHPが残ってしまう。
「GAU!」
ソードスキルによって隙ができたアーサーに拳を繰り出す、<ターン・ジ・オーガ>。
しかし、その拳がアーサーに当たることはなかった。
「一つ、教えといてやろう」
アーサーに当たる寸前で止まる拳。<ターン・ジ・オーガ>の体に亀裂が入っていく。
「私の
アーサーがそう言った時には<ターン・ジ・オーガ>は粉々になって消えていた。
無事、ボスを倒すことができた俺たちは目的のものをNPCに届けることができた。<クエストクリア>の文字がそれぞれに現れ、それにより経験値が与えられ、俺とソラはレベルアップのサウンドが流れる。
「よかったな。レベルアップして」
アルゴは俺たちのクエストクリアの表示を見るや否や用事があるとかなんとかでどこかに行ってしまった。
「ま、まぁな」
今は俺とソラ、アーサーの三人だ。
「そういえば、最後のなんなんだ?」
「最後?」
先ほどのボス戦。アーサーの最後の攻撃でボスのHPを削り取ることはできなかった、はずだった。気づいたら時には<ターン・ジ・オーガ>はダメージを受けており、アーサーの攻撃で残ったHPは削り取られていた。
俺もソラも何もしていない。
「あぁ、アレのことか」
「何か知っているんだな!」
技なのか、スキルなのか、それとも全く違うものなのか知りたい…!
「少年」
「な、何?」
「お前、スキルの詮索はマナー違反って習わなかったのか?」
「あ」
忘れてた。そんなことが本に書いてあった気がする…!くそっ、こんなところにマナーという名の障害が…!
「まぁ、いいだろう」
「え?」
「誰にも言わないと約束するか?」
「う、うん。する。」
「ほんとか?」
「あぁ!」
アーサーは俺の隣にいるソラに目を向け、お前は?と言わんばかりの目で見つめる。
それをソラは無言でうなずく。
「そうだなぁ、スキル名は…」
俺とソラはアーサーから放たれる次の言葉に集中する。
「<貴神>」
<貴神>スキル。この作品初めてのユニークスキルですね。
このスキルの細かい設定はまたいつか。
今回使った技だけ紹介します。
<死の宣告(チェック)>
・対象モンスターのHPが五パーセント以下の時のみ使用可能。
・使用時には<チェック・メイト>と言わなければならない。
・ほかのソードスキルと複合可能。
・攻撃がヒットした相手は必ずHPがゼロになる。
・プレイヤーには使用できない。
こうしてみると、なんだ?このスキルって感じですね。
ちなみにほかのソードスキルと複合というのはこの技自体がソードスキルではないということで…加えてライトエフェクトは起こりません。
今回のアーサーは<リーバー>と複合させていました。
型をつくらずに発動できるのが強みですね。
ていうか残り五パーセントとかこれ使わなくても死ぬような気が…という意見は受け付けません(笑)