英雄になりたいけどなれない少年の物語   作:木戸 真人

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 もう…一か月に一度のペースになりそう…
 時間が欲しい…
 第二十六話です。


仲直り

 先ほどの攻撃をトキアがかわせなかったのはわかりやすい二つの巨大な殺気の影に一つの小さな殺気が隠れていたからだ。

 それを見抜くためにはもっと闇の中に入り、光を見ることだけ。

 そう思ったトキアは体の力を抜き、闇の中へ入っていった。

 何もない闇の中へ…

「…ふふふ」

「「「?」」」

 突然、下を向いたトキアの口から出る笑い声。三人のプレイヤーは少なからずトキアの底知れない闇に恐怖を覚えていた。

『「今からぁ…お前らをぉ…!きぃぃぃぃるぅぅぅ!」』

「なっ!」

 トキアは一瞬で大剣を持ったジャックという名の男の目の前に移動し、見えない抜刀スピードでジャックを切り付け吹き飛ばす。

「野郎っ!」

「はぁ!」

 片手直剣を持った二人組、ゼンとルイは瞬時に状況を理解しトキアの背後に移動し、斬る。

 …が

『「無駄無駄ァ!」』

「「くっ!」」

 トキアは後ろを見ずにゼンとルイにダメージを与える。

(ここは距離を…!)

『「ん?」』

 ジャックはトキアと距離を取るために後ろへ下がるがトキアはそれを良しとはしなかった。

『「いくら逃げてもぉ!逃がさねぇってぇよぉ!」』

 ジャックは敏捷力最大にしてトキアから距離を取るがジャックは直感した。

 どこに逃げても攻撃は当たると。

 そう思ったジャックは大剣を地面へ突き刺した。

『「斬ぃぃぃぃる!」』

 トキアとジャックの距離は二百メートルほど、しかしトキアは臆することのなく見えないスピードで剣を振り切った。

 その斬撃は一瞬のうちにジャックの元まで到達し、ジャックを吹き飛ばし、イエローゾーンまでもっていった。

『「…まず、一人!」』

「こっち向け!こらぁ!」

 発せられた声とは別のところからナイフが飛んでくるがトキアの見えない斬撃ではじかれてしまう。

「これならどうだぁ!」

 ルイは右手に片手直剣を左手に黒い球を持ち、トキアに近づき地面に叩きつける。

 すると、黒い煙が立ち込めトキアの周りを覆う。

(これならあいつの攻撃も…!)

 少しのかく乱に使うために使ったがこれもトキアにとっては大したことではなかった。

『「だーかーらぁー、俺の攻撃範囲はぁー!」』

 トキアは腰に付けた剣の鞘に手を当て、構える。

『「全範囲なんだよぉぉ!」』

 その一言の後、黒い煙に乗じたルイもろとも黒い煙を吹き飛ばした。

 そのダメージに耐えきれずルイの体力もイエローゾーンに到達する。

『「ラストぉ!」』

 ゼンの気配のする方向へ視線を向けるとそこは青い光に包まれていた。

『「…なんだぁ?」』

 ゼンは片手直剣を構え、彼の眼光はトキアのみを見ていた。

 ゼンを包み込む光の正体をトキアは直感で感じ取った。

 何度も見てきた光…ソードスキルのライトエフェクトだ。

 トキアはこれまでに光るソードスキルを見たことはなかった。

 どんなものかわからない…知りたいという好奇心がトキアの感情を…興奮を…引き立てた。

『「KILL!」』

 トキアは走りながら全ての殺気を剣一本に濃縮させ、剣を握り引き抜く。

 ゼンはタイミングを見計らうかのように動かずトキアの動きに合わせる。

 トキアの剣とゼンの剣。二つの剣が接触しようとする…その瞬間。

 

 

 

 

「そこまでだ!」

 

 

 

 

一つの凛とした声が二人の間を突き抜けた。

「……はっ!」

 トキアはふと我に返り、声のした方を向くと見たことある顔が二つあった。

「ソラ…アーサー…」

 ソラはトキアと目を合わせると少し申し訳なさそうな顔をして目をそらした。

「そこまでって…こいつは合格で良いってことかよ?ギルマス」

 <合格>?<ギルマス>?わけのわからない言葉がゼンの口から放たれトキアは混乱してしまう。

「あぁ、その通りだ。反省もしっかりしたらしいからな」

 <反省>?何の事だかわからないがとりあえず自分のことを話しているということを理解する。

「ど、どういうことだよ?意味がわかんねぇよ」

 トキアの言葉を聞いたアーサーは何故か呆れた顔をし、トキアに告げる。

「お前…何のためにここに来たのか忘れたのか?」

 何故、こんなことになったのか。一つ一つ思い出していくと大切なことに気づいた。三人組のプレイヤーと闘うことになった理由。

「NYCのアジトを探すため?」

「そうだ。このままいくとどちらかが死んでいたからな、止めさせてもらった」

「と、言うことは?」

「合格だ。お前に私の剣を教えてやろう」

 最大の目的はそこにあったことをアーサーの言葉で思い出し、力が抜け、トキアは座り込んでしまう。

「さて、こんなところで話すのも癪だからな。帰るぞ」

 アーサーの呼び声がかかるが、反応することができないトキア。そのトキアの目の前に一人のプレイヤーが立っていた。

「ソラ…」

「トキア、ひさしぶり。って言っても二日ぶりくらいかな」

「ソラ…俺…」

「知ってるよ」

「!」

 ソラに向かって懺悔の言葉を吐こうとするトキアだが、ソラの言葉によって防がれてしまう。

「トキアがアーサーを呼んでくれたこと、精一杯頑張ってくれたこと、僕を置いて逃げたこと…」

「ゴメンっ…ゴメンっ!」

「いいんだよ、気にしなくて。トキアがアーサーを呼んでくれたおかげで僕は今、生きているのだから」

「ソラ…」

「でも、君は僕を裏切った」

「!」

「それは許されないことかもしれない」

 トキアは何も言えずに下を向く。

「でもそれは、僕にも言えることなんだ」

「それって…」

「僕は君を疑ったから。何もしないで逃げるんじゃないかって…」

「…」

「君はアーサーを呼ぶことで僕を助けてくれた。だからさ…」

 ソラはうなだれたトキアの手を取り、満面の笑顔で伝える。

「仲直り…しよ?」

「あぁ…お前が…それでいいのなら…」

 そのトキアの言葉を聞くが否やソラはトキアの手を引っ張り立ち上がらせ、アーサーのの元へ向かう。

「さぁ、行こう!僕らの新しい家に!」

 

 

 

 




 なんか最終回みたいな終わり方ですね(笑)
 お気に入り登録して下さった方ありがとうございます。
 頑張って書くスピードを上げようと思います。
 更新は遅いですが、最後まで書ききるつもりです。
 最後に感想とお気に入り登録よろしくお願いします!
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