東城優の転生記録~主役になりたくない少年の運命 作:ソラたん
次の日はお互い何事もなく、楽しく学校で遊んだりしていた。
あれから、数日が経った。
「優さん優さん!」
「なんだ?」
「あと、数日くらいですよ!」
「なにが?」
「あれですよ! あれ!!」
だから、何なんだよ! あれってのは!!
「もーうっ! 分からないんですか?」
なんだ? 学校のイベントは特に何もなかったと思うし。何より学校のイベント程度でこいつがこんな風に騒ぐとは……騒ぐな、うん。
とにかく、何かあるとすれば……あぁ、高町関係か。
「高町関係か?」
「当たりです!」
どうやら、当たったらしい。それと、人に指を指すな。
「それで、どんな事が起こるんだ?」
「秘密です!」
「おい」
「まぁまぁ、落ち着いてください。あ。これだなって思うことが起こると思いますから!」
あっそ。全く東のこの元気はどこから出てくるのか……。
「東。そろそろ帰るか?」
「えー。一緒に帰って噂とかされたら困ります」
「そうか――短い間だったが、バイバイ」
「ちょっと!? 最近、私の対応雑じゃないですか!?」
あんなの毎日相手してたら、疲れるは! つか、疲れたは!!
☆
「あれ? 優君?」
「え?」
下駄箱で靴に履き替えていると、声をかけられたので振り向いてみると、月村とバニングスが立っていた。
「すずかちゃん達も、今帰り?」
「うん」
珍しいな。いつもは高町と一緒にいるはずなんだが……。
「今日はなのはちゃんと一緒には帰らないの?」
「あぁ、今日は私たち習い事があるから、方角が違うから」
なるほど……。二人は言ってしまえば、お嬢様だもんな。習い事の一つや二つあってもおかしくない。
「そうなんだ。頑張ってね!」
「ありがとう」
「それじゃ、優もバイバイ」
「バイバイ。また、明日」
別れの挨拶を交わして、俺も帰ろうとした時――あいつが余計な考えを口に出した。
「優さん。二人をつけてみませんか?」
「は?」
俺は、情けない声を出してしまった。
何をいきなり言っているんだ? こいつは? 俺に月村達をつけてみないか? 俺にストーカーしろと言っているだろう?
「なんで、そんな事しないといけないんだ?」
「だってっ気になりません? 二人がどんな事しているのか!!」
別に気にならないよ……。何より二人とも習い事って言っていたじゃないか。ということは、ピアノとかヴァイオリンとかだろう……。
「別に気にならないし……。何をしてようと二人の勝手だろう」
「甘い! 甘すぎます!! そんなんで、ハーレム作れると思っているんですか!?」
「思わねーよ!」
「思わないですか!? はぁ全くこれだから、
ヘタレの童貞は……」
「あっそ」
「なんと!? 全世界の童貞が反応するこの煽りが効かない!?」
お前……それは、童貞を馬鹿にし過ぎじゃないか?
「優さん! まさか……っ! 童貞では無い!?」
「さぁ? どうだろうな、その辺は想像に任せるよ」
「何ですかその反応!? 捨てるなら私にちゃんと報告してから捨ててください!!」
なんなんだよこいつは……。なんで、東にいちいち報告しないといけないんだ。
「わかったわかった。ほら、月村達つけるんだろ? 早く追いかけないと」
「なめないでください! とっくの前に彼女たちを追跡しています!!」
それはそれでどうなんだ?
「そんな事よりです!! 相手は誰ですか! まさか、まだ意味も分かっていない小さい子に……」
「まて! それ以上いけない。そして、俺はそんな事していない!!」
「じゃあ! まさか、小さい子が大好きなお姉さま達に……」
「それもいけない! そして、お前は俺が転生者だって事忘れているだろう?」
「え? 前世にそんなお相手がいたんですか!?」
何故、そっちにびっくりするんだ……まぁいいが。
とにかく、今はこいつの暴走を止めないと。
「まぁ、落ち着けよ。追跡していても、実際に
この目で見ないと面白くないだろう?」
「……それも、そうですね」
どうやら、なんとか納得してくれたみたいだ。
ごめん。月村、バニングス。
「じゃあ、最後に一つだけ。前世で優さんが付き合っていた女性はどんな人でしたか?」
いつになく真面目な顔で聞いてきた。
「……」
「優さん?」
「……ははは、いるわけないじゃん? この俺だぜ?」
「そう……ですか」
「あぁ、んじゃ行こうか?」
「はい」
それから、言葉を交わすこともなく、ただ月村とバニングスのいる場所に向かった。
だが、そこで予想がな事が起こっていた。
「……」
「……」
「なぁ」
「なんですか?」
俺は目の前の建物を見ながら、東に疑問を問いかけた。
「これ習い事する建物なのか?」
「いえ、明らかに廃墟ですね」
「だよね? 本当にここに月村達はいるのか?」
「はい。そのはずですが」
あの二人がこんなところに来るとは思えないけど、もしこの中にあの二人がいるなら、可能性としては……。
「誘拐ですね?」
「だろうな」
「……」
「お前の言っていた分かるイベントっていうのは、これの事か?」
「違います」
お互い、また無言になってしまう。
「本当に誘拐なら、助けに行くか」
「ですね」
「魔法使って大丈夫なのか?」
「はい。最悪記憶消しますから。そんなに心配なら、優さん姿変えられるんですから、それをやればいいじゃないですか?」
「いや、あれ姿変えてるというより、前世の姿に戻っただけじゃん」
まぁ、十年後の姿にする魔法だから仕方ないが……。
「……中には大人の男性が五人に月村すずか、アリサ・バニングスがいて計七人がいます」
流石に今回は真面目モードか……。
いつも、これだけ真面目だったらいいのにな。まぁ、あれも、こいつの魅力の一つだけど。
「さて、それじゃ救出するとしますか」
☆
しまった。まさかこんなことになってしまうとは……。
何とかして、すずかと一緒にここから脱出しないと。
だけど、どうやって? 手は縛られているし、何より見張りがしかっりついている。
「おい! まだ連絡取れないのか!」
「はい。一向に電話に出る様子がありません」
男たちが何やら、険しい顔をしながら、話し合いをしている。
何か問題でも起きたのだろうか? だとしたら、チャンスかも。
「アリサちゃん……」
「大丈夫よ。すずか……きっと何とかなる」
そう、きっと何とかなる――いや、わたしが何とかしてみせる。何ができるかは、まだ、分からないけど……。
「とにかく、なんとかして依頼人と連絡をとるんだ!!」
「はい!」
依頼人? つまり、わたしとすずかの誘拐を頼んだ人が居るってこと? なぜ、わたしだけでなく。すずかまで?
自慢ではないがわたしの家はそれなりにお金持ちだ、だから、こういう事が起こるのもわかる。
だけど、何故すずかまで攫う必要があるの? 確かにすずかの家もお金持ちではある。だけど、わざわざ二人を誘拐して何になるの? その分リスクだって高かったはずなのに……。
「ダメです! やっぱり連絡が取れません!!」
「あの女……俺たちを騙したな!」
女?
「なんだ!? このガキ! ぐはっ」
突然、男が吹っ飛んできた。
「え?」
「何事だ!!」
「何事だ! と聞かれれば答えて――いたっ!」
「やめい!! 珍しく真面目モードかと思ったら、結局いつも通りじゃねーか!」
「痛いじゃないですか!? それに、二人の姿見たら。まだ、乙女の花は散って――いたっ!」
「だから、やめろと言っている。叩くよ?」
「もう、叩いてるじゃないですか!?」
そこに立っていたのは、同じクラスの東城優と東凛だった。しかし、一瞬だけ二人だと気づかなかった。
その理由は二人の雰囲気が学校でいる時とは全く違っていたからだ。
「ゆ、優!?」
「優君!?」
「おっと、お前の相手してる場合じゃなかった」
「それ酷くないですか? あと、あそこの二人も優さんの名前は呼んだのに、私の名前は呼ばなかったんですけど?」
などと、凛は言っている。というか、凛ってあんな感じの子だったけ? もう少し普通な感じだっと思うんだけど。
「ガキがこんなところに何の用だ!」
「なんの用ってクラスメイトを助けに来たんだが?」
「私もそのつもりだったんですけど、名前呼ばれなかったんで、ちょっと止めようかなって考え始めています」
「根に持ち過ぎだろ……」
この二人が現れたことで、さっきまであった緊張感が一気に無くなった。
その所為か、まるで、もう開放されたような安心感が沸いてきた。
それはすずかも同じなのだろう。先ほどまでの恐怖の顔ではなくなった。
「クラスメイト? はんっ! 小学生が何ができるっていうんだ?」
「おじさんは知らないと思うけど、私たちすごく強いよ?」
凛はそういって指を鳴らす。
「うわーッ!」
突然、男たちが悲鳴を上げた。
一人はまるで恐ろしいものを見たような顔で、一人はまるで今にも凍えそうに震えて蹲っている。
「なんだ……これは!?」
「おじさんはそこから動かないでね? もし動いたら周りの人たちと同じになってもらうから」
「……なるほど、あの依頼人のガキが言っていたのはこれの事か……」
すると、リーダの男がポケットからサングラスを取り出し。それを付けた。
「はははっ! なるほど、これはなんの役に立つのかと思っていたが、すげーじゃねーか!」
笑い出したかと思ったら。急にこちらに向かって走ってきた。
「おら! そこにいるんだろう? ガキィ!」
「えっ? うそ!?」
「ちっ避けられたか……」
何もない空間に殴りかかったり、悔しがったりと、わたしには何がなんだか分からない状態になっている。
「おいおい。どういう事だ?」
そう言いながらさっきまでそこに居なかったはずの優が現れた。
「ちゃんと、真面目に幻術かけているんだろうな?」
「ちゃんとしてます! だけど、的確に優さんを殴りにかかったんです」
「……」
優はリーダの男を睨んでいる。
「はぁ。凛、俺がこいつ片づける」
「お。初の実戦ですか?」
「実戦というほどでもないだろう? 相手はただの人間なんだし。何より、すぐに終わる」
「まぁ、そうですね」
「なめてんじゃねーぞガキが!」
優は無言で手を前に出す。
「はいっ! そこまで!!」
☆
俺は目の前のリーダーに重力の魔法を使用しようと思った直後――首元にナイフを突きつけられ、さっきまでいなかったはずの仮面の少女が目の間にいた。
「な!?」
「お前は!?」
「ダメだよ。おじさん? それは、あくまで逃げる用のやつだって言ったよね?」
アイツはこいつの事を知っているのか?
「だが、これさえあればこんな奴ら――」
「はぁ。私言ったよね? 私と同じ力が使える人たちがいるから、注意してねって」
「まさか……!」
「そう。この人たちも同じ力を持つ人の一人。ガキだと思ってちゃんと話聞いていなかったでしょ?」
静か……とても静かな殺気が放たれる。しかし、その殺気はいつも仙波から向けられるものより強力。本気になった東並みの殺気を放っている。
俺に向けられているわけでもないのに、恐怖してしまうな……。
こいつは明らかに俺より実力が上だ……。
「おっと。危ない危ない。もう少しで手が切られところだった」
「良く言いますね? ワザと隙を作ったくせに」
「あはは。流石だね。東凛」
東の名前を知っているのか……。
それに、さっきの東の攻撃。俺には何も見えなかった。だけど、分かるのは、マジで傷つけるつもりで攻撃したってことだ。
東のあの目……特訓の時でも見せたことがない。あんな鋭い眼――
「おーおー怖いな~そんな睨まないでよ。今日は、このおじさんを回収しに来ただけだから。ちゃんと記憶も消すから安心して?」
そういって、謎の空間が開かれる。
「待って! あんたがわたしたちの誘拐を頼んだの?」
「そうだけど?」
「なんで! すずかも!!」
「……」
仮面の少女はジッとバニングスを見る。
「知りたい?」
「ええ」
「知ったら。友達でいられないかもよ?」
「え?」
「ダメ!!」
今まで黙っていた月村が急に大声を上げる。
どうしたんだ? 今まであんなに焦って事なんてなかったのに。
「優さん失礼します」
「え?」
突然、俺の頭を触ってくる。すると、月村すずかに関する情報が……いや、リリカルなのはに関する情報が全て頭に入ってくる。
これって!?
「何を……!?」
「私の持っている情報を優さんに与えました」
「何でそんなことを?」
「イレギュラーが発生しました。なので、これからは本来の道筋を知っていた方が修正しやすいでしょう」
なるほど、そういう事か……。
「お友達はいやだって言ってるけど?」
「すずか?」
「……」
「すずか。こっちを見て」
「え?」
ゆっくりと月村はバニングスを見る。
「すずか……あんたにどんな秘密があろうとわたしは、すずかの友達だから」
「アリサちゃん……」
「いいね~その友情! いいよ。教えてあげる、月村すずかの秘密全てを……」
そして、仮面の少女は、先ほど東が俺にしたようにバニングスの頭に手をのせる。
って。やばい!
「おっと。本当、東凛あなたがいると気を許す暇がないわね」
「避けるんとかひどくないですか?」
「避けないと痛いでしょ? じゃあ、もう私は行くね? バイバイ。東城優」
え? なんで俺の名前を――そう、言おうとしたがその暇もなく仮面の少女は消えた。
そして、周りにいた男達も……
「アリサちゃん大丈夫!?」
「アリサさん大丈夫ですか? どこか、違和感とかありませんか?」
「バニングス大丈夫か!?」
「こんな近くで大声で叫ばないでよ……耳が痛い」
どうやら、大丈夫のようだ。
「すずか」
「何?」
「あんたの秘密くだらなすぎ。吸血鬼だからってわたしがあんたを嫌いになるわけないでしょ?」
「え?」
どうやら、月村の秘密はアリサに知られてしまったが。問題はなさそうだな。
「アリサちゃんっ! ありがとう……」
月村は涙を流している。
「大丈夫みたいですね」
「あぁ、じゃあ俺たちの記憶は消すか」
「ええ」
「え!? なんで!」
「そうだよ! 助けてくれたのに! お礼もしたい!!」
東はそっと二人の頭に触れる。
「二人とも怖い思いをさせてすみません。仮面の少女の事、そして私たちの力のことは消させてもらいますね。大丈夫。お迎えはすぐ近くまで来ていますから。また、明日学校で会いましょう!」
東は二人ににっこりと笑いかけた。
「だから、しばらくおやすみなさい」
☆
「すずか!?」
「アリサちゃん!?」
「う……うーん?」
月村すずかとアリサバニングスは揺さぶられ目を覚ます。
「あれ? お姉ちゃんなんでここに?」
「良かった……っ!」
「本当に良かった。しかし、一体誰なんだ? メールを送って来た人物は……」
体調が良くなって。ちょっと調子に乗って書くペースを上げてみた私ですw
でも、意外といけるものですね。ですけど、毎回このペースだと疲れるのでゆっくりのんびり自分のペースで書いていきたいと思います。
読んでくださってありがとうございます。 それでは、またゆっくり更新を待っていてください。
では、失礼します。