アスモディ・ストーリー (Asmody Story) 作:メレク
アイオスさんと俺、そしてバルトさんをはじめとした村の人は、村の中央に位置するであろう広いところに来ていた。
「君が戦争を止めたくて、そのためにユーノを連れて行きたい、ユーノは乗り気、それは分かった。だが、親としてそんな危険な旅をさせたくはない。まあ、ついていってもいいがそれは嫌だろうしな。なら、娘の安全を守れるくらいの力を証明してくれ。ここで」
「!!」
そうくるか。
「ユーノを守って王都に行けるかどうか試すということですか?」
「そうだな」
「どうやったら認めてくれますか?倒せばいいんですか?」
「強気じゃないか...怪我はフィルフィが治してくれるが、血は出すべきじゃないな。なら」
そこからアイオスさんは、左腕につけた時計を見ながら、
「これから10分のうちに私を一歩でも動かせばいい。ちなみに、こっちはガードするだけだから遠慮なく攻撃してくれていい」
衝撃の一言を言ってきた。
「それは、なめられているのですか?それとも、ユーノを守るのはその程度でよろしいのですか?」
「もっと難しいのがいいのか?本気の潰しあいとか?」
「......」
アイオスさんが挑発してくる。仮にも自分が軍の部隊所属であることを言ったあとでこの反応をされるのはムカつくけど、これが挑発だと言うのは目に見えている。
「それでいいんじゃないかな?」
「カムイちゃん!頷いちゃえば勝ちよ!」
バルトさんとフィルフィさんはあぁ言うし...
いや、冷静に考えろ。簡単な条件の方がいいじゃないか。ユーノを......信用できるやつがついてきてくれるなら。
「じゃあ、それで」
「そうか。フィルフィはあぁ言うが、勝たせる気はないからな。」
片手をこちらに向けて、さらに挑発してくるアイオスさん。落ち着けよ、俺。
「テイカー君。先に彼の固有魔法について教えとくよ」
「バルトさん。さすがにそれは」
「言わなきゃ10分なんてすぐ過ぎてしまうだろ?ハンデだよハンデ」
「......わかりました」
「テイカー君よく聞くんだ。アイオス君の固有魔法は空気を圧縮する能力。半径10メートル以内ならどこでもできる物だ」
「圧縮?」
「それで壁を作って、君の攻撃を防ぐつもりなんだろう。話せることは話した。頑張ってくれ」
「どうして話してくださったのですか?ユーノを...この村の人を危険にさらそうとしているんですよ?」
「......君の説明する姿に感銘を受けた。と言っておくよ」
「...ありがとうございます」
「ついでにもう一つだけ。彼は......昔、王女アリス様の護衛にもついていたような人物だ。本気で戦うといい」
「はっ!?」
驚いてアイオスさんの方を向くと、戦士の目をしていた。溢れる魔力はユーノを越えている。
魔力の制御がうまい人ほど普段溢れる魔力を抑えられ、必要な時に出すことができる。そして、今まで気づけなかったのは......制御する力が高い。
この人は強い。それも、王女の護衛に選ばれるくらい。おそらく...いや、絶対に俺より遥か上。
「さぁカムイ君。来るといい」
なんでそんな人がここに居るかが不思議だが、今は関係ない。やるべきことをやる。全力で!
「......では、遠慮なく!!」
槍を生成。強化魔法を足と手に。
「いっけえぇぇ!」
「-------」
まずは遠距離からの投擲。足を踏み込んで出した槍は、アイオスさんに真っ直ぐ飛んでいく。しかし
『akasha・fefnir』
ガキンッ!
アイオスさんに届く手前で何かに弾かれる音がして、槍がどこかに飛んでいく。これがアイオスさんの固有魔法。魔法が使われた瞬間、辺りが一変したように感じるくらい力があることにゾッとする。
だが、俺だって負けられない!
今度は板を作る。薄くていい。広くて硬い鉄の板を!
作られたのは10メートル近くの縦長の鉄板。俺はそれをアイオスさんに向けて蹴り倒す。
「あれだけ教えられてて、こちらもなめられているのかな?」
そう言うも、一歩も動いてはいけないので魔法を使って鉄板を潰すアイオスさん。冷静に自分の当たりそうな所だけを壊す辺りさすがである。
だけど、今回は間違いだよ!!
「いくぜ!」
アイオスさんが自分に降ってくる鉄板を壊す直前に自分の足元の方にある鉄板に乗り、走り出す。先を壊された衝撃で板が俺の体重をものともせず吹き飛ぼうとする。
そして、走りながらイメージするのは、自分の理想の剣。それを使ってアイオスさんの魔法の壁を切っていく俺自身。
『image・replica』は、創造力が大切。それが実物するものならそれについてよく知っていればいるほど本物に近い、もしくは越える物ができる。空想の物ならそれを緻密な所まで思い積めれば積めるほど強い物ができる。
創造するのはアイオスに勝てる自分。その道筋を作る剣。使いこなす最強の自分!
だからさ、力を貸せよ。相棒!!
「エクスシア!!」
板を消す直前に飛び上がり、黄金の剣の名を叫び振りかぶる。
「なっ!」
前を覆われていたアイオスさんにとっては、慢心しながら鉄板を壊したらいきなり至近距離の上空に敵が居る状態。驚く顔のアイオスさんと目が合う。
「もらった!」
そういって降り下ろしたエクスシアは、アイオスさんの魔法で作られた空気の壁に防がれる。キンッ!と響く音は、剣同士がぶつかったような音だった。
だが、動けないアイオスさん相手に剣の間合いに入ることは、自分から下がらなければどう振るおうと剣が届くということ。
このまま切らせてもらう!!
俺は気合いを乗せ、横に剣を振るった。
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一言で言えば、すごい戦いだった。
剣を上下左右から色んな手をつかって振るカムイ君と、それを全て自分に当たる前に『Akasha・fefnir』 で圧縮した空気の盾を作って防ぐお父さんの攻防は、すでに七分以上経っていた。
お父さんが戦う姿をあまり見ない私は感動すると同時に、カムイ君がそれに剣で立ち向かう姿に目を離せなかった。
ただ、このままでは時間が過ぎるだけで、決定的なものは決まっていない。残り時間が一分を切る。
しかし、戦局は動いた。
「あっ!」
本人の疲れからか、カムイ君の黄金の剣が、砕けた。しかし、それと同時にお父さんの魔力で作られた壁も砕ける音がしたけど、にやけるお父さん。剣を壊したことで余裕だと思ったんだろう。それに、空気の壁ならいくらでも作り直せるから...
あぁでも、これで終わりか......私は何もできなかったな......
そう思い諦め、下を向いた瞬間。
「まだ、終わりじゃない!!」
叫ぶカムイ君と同時に、
「そうだろ!エクスシア!!」
剣が再び現れた。
その姿を見て私は思い出す。今朝、カムイ君は 『なんでも、何回でも作ることができる。』と言っていた。あの剣ももう一度作り出したものだろう。
お父さんは、槍や鉄板を作った時その仕組みを分かっていなかった。いや、分かっていたのかもしれないけれど対応しきれなかった。
「......俺の勝ちですね」
「そうだな...」
結果。後ろにバックステップをとり、勝敗が決まった。ハイレベルの戦いの、あっけないとも言える最後だった。
いまさらですが、サブタイに深い意味はありません(笑)
それにしても、バトルシーンって書くの難しいですよね...上手く書くコツとかサイトあさってみても、実際できるわけじゃないし......これから精進したいです。