アスモディ・ストーリー (Asmody Story)   作:メレク

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もしもアハトが女であることをバレないようにしなければならなかったら。


エイプリルフール短編-もしも...

...俺、アハトは今、二つの大きな国、旧魔国と新魔国の間で戦争を起こさせないよう動いている。

 

なりゆきで着いた『シオン』という旧魔の村で居候させてもらっていて、これからなぜ新魔である俺がこんな旧魔の田舎村にいるのか村長のところまで説明しにいかなければならないのだが...

 

「お前に、お前のような奴に娘はやらんぞ!突然きたお前のような男に!!絶対やらん!!」

 

現在。居候先のアインツ家の家主でるアイオス・アインツに胸ぐらを捕まれていた。

 

原因は。アイオスさんの妻であるフィルフィさんが、二人の娘であるユーノと俺が一緒に風呂に入ったらどうだと言ってきたからだ。前日眠くて入らなかったため、確かに入った方が良いのだが...そのユーノとアイオスさん(多分フィルフィさんも)は、俺が男だと思っているらしい。

 

俺という一人称を使ってはいるものの、れっきとした女であるため一緒に風呂に入っても問題はないのだが...ここで問題が一つ。

 

諸事情があり、俺は男として振る舞わなければならないのだ。だからここでバレるわけにはいかない...諸事情というのは、決して短編だからとかもしもの話だからいらないとかそういう理由ではない。断じてない。

 

「なんとか言ったらどうだ!!」

「ひゃっ!//えー...えっと......」

 

俺の葛藤など知るよしもなく、さらに胸ぐらを高く持ち上げてくるアイオスさんのせいで変な声が出てしまう。腕は肘辺りまで胸に密着しているのにも関わらず、本人が気づく様子は全くない。

 

(なんか無性に腹立つ!!)

 

気づいて欲しいのか欲しくないのかよくわからないまま時間だけが過ぎ、俺は意を決して口を開いた。

 

「ふ、風呂は一緒に入りませんから安心してください...ここもすぐ出ていきますから」

「言ったな?」

「はい。誓います」

「...本当か?」

「はい」

「本当の本当か?」

「はい」

「本当の本当の本「しつこい」ぐべぇっ!?」

 

言い寄ってきていたアイオスさんの頭に、フィルフィさんが持っていたフライパンが直撃する。鐘の音のような音がしてからアイオスさんが地面に倒れる。

 

「ひいっ!?」

「大丈夫よ。殺してないから~」

「......そうですか」

 

あなたの娘がとんでもない顔してますよ。なんて、この時俺は口が裂けても言えなかった。

 

同時に、フィルフィさんに謎の忠誠心が育まれた...気がした。

 

 

 

 

 

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「はぁ...疲れた」

 

既に説明、アイオスさんとの戦い、村長であるバルトさんの娘リーゼを熊型の魔物から助け出し、パーティーも終わって明日に備えて寝るだけになっている。

 

今日一日だけで多くのことをこなしたからか疲労がかなりたまっていた。このままいけば寝るのに数分かからないだろう。

 

「荷造りは...するほどないし。洗って貰った服も受け取ったし、やることは...ないか」

 

確認をしてからベットに頭から突っ込む。睡魔はすぐにやって来た。

 

「せめて...最後に...」

 

アイオスさんから貰い着続けていた黒のコートを脱ごうとしたが、脱いだのを自覚する前に意識が消えた。

 

 

 

 

 

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「カムイ君...寝てる?」

 

お母さんに「カムイちゃんから何か必要なものないか聞いてきてくれる?」と言われたのが二分前。本人に聞こうと思って貸し出している部屋の扉を開けると、小さな寝息を立てながら寝ているカムイ君がいた。

 

「こんなにはみ出して...」

 

寝相が悪いからなのか、布団から足や手が出ていてコートもなんだか脱ぎかけ...男の子って皆こんな感じなのかなぁ......

 

「全く...しょうがないなぁ」

 

身長も私より高く、年上のはずなのに、寝ている顔はなんだか可愛らしくまるで女の子みたいに見えて思わず笑ってしまう。

 

「でも、これから一緒に旅するし...ん?」

 

疑問に思ったのは、コートを脱がせようと手をかけたとき。注意して見なければ見逃しそうなくらいだが...胸に二つの膨らみがあることに気づいた。

 

「この位置は...あれ?」

 

男だと言っていたのにも関わらず、胸が少しだけとはいえある。服の厚みなら全体的に盛り上がっているはずだから...おかしい。

 

「...か、確認だけだから......」

 

私は誰に言い訳しているわけじゃないのにそんな言葉を口にしてから...カムイ君の体の下の方に手を伸ばした。

 

やってはいけないと頭では分かっているのにも関わらず、自分の手を止めることはできなかった。

 

あと少しでその手が触れそうになる。そのまま手を伸ばし...

 

 

 

 

 

「...んっ」

「!?」

 

触れる直前にカムイ君が呻き声をあげ、ヒュバッ!と音がなりそうな勢いで手を戻した。テンパってそれ以外は固まってしまう。

 

「あわわわわわ......」

「んんっ...」

 

そして、カムイ君はその両目を開けてしまった。

 

 

 

 

 

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「......」

「えーと...こんばんは?」

 

誰かの気配を近くから感じて目を開ければ、すぐそこにユーノがいた。

 

顔を真っ赤にして息づかいも荒く感じる。お互い服が乱れていて、何より...はたから見たら上から四つん這いで押し倒されている状態だった。

 

(どうなってるんだこれ...)

 

なぜこの状況が出来上がったのか全く理解せずに呆然としていると、

 

「カムイ君って...男の子なの?」

「へ?」

 

ユーノが声をかけてくる。恥ずかしいのか目を伏せてはいるものの、距離が近すぎてどうしても目があってしまう。とろけるような水色の瞳に吸い込まれそうになる。

 

だが、彼女に質問されて俺が本当に男なのか聞かれているんだとようやく分かった。そりゃ、これだけ近くになったら分かるだろう...

 

「はぁ...本当は、俺は女だよ」

 

正体がバレてしまったため仕方なく白状するも、彼女はボーッとしたままだった。

 

「ユーノ?」

「女の子なの?じゃあ...ここにはなにもないよね?」

「え?あ、ちょっ、ユーノ!?」

 

彼女は目をとろけさせながら、右手を俺の胸にのせてくる。そして、左手を...下の方に。

 

「あっ、ユーノそれはっ!」

「ふふっ...」

 

ユーノは俺の声が聞こえないのか、正気を失ったように手を進めて_____

 

 

 

 

「夜の部屋...男女二人っきり...押し倒し...ユノちゃんも大胆になったわねぇ~」

「「!!?!?」」

 

いつの間にか開いていた扉の向こうからフィルフィさんが覗いていた。

 

「明日は赤飯ね~残ってたかしら?」

「ちょ、フィルフィさん違うんですこれは」

「うゎ...きゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うるせぇユーノ!叫びたいのはこっちだ!!」

「仲も良くなって...お母さん嬉しいわ~」

「私はなにをやってわぁーカムイ君になにをわぁーあああああ!!」

「勘弁してくれぇ!」

 

ニコニコと微笑むフィルフィさんと正気に戻って俺のすぐ上で絶叫し出すユーノを見て、俺も叫びをあげた。早く休むということはどこか遠くに消えてしまった。

 

 

 

 

 

___結果、誤魔化そうとしてもその日の内にバレる。___




ご覧の方はお気づきだと思いますが、いつもより少し甘めです。楽しんでいただけたら嬉しいです。

...エイプリルフール短編なのに、嘘ついてないだと......気にしたら負けさ。
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