アスモディ・ストーリー (Asmody Story) 作:メレク
旅の日課
「じゃあ、今日はここまで」
「はぁ。疲れた~」
「準備頼むな」
「はーい」
アハト君が横たわっていた木の幹に座り、私がアハト君の作ってくれた鍋に具材を入れ、魔法で火をつけてもらう。
村を出てから一週間。私とアハト君は『シオン』から二つ離れた町『アースラ』を目指して森を抜ける毎日です。
新魔の王都『クロスベル』まではまだまだだけど、「急いだら俺もお前も特訓できないしな」ということで、朝と夜に特訓。昼は歩いて移動しています。
森を突き抜けて移動してるから馬車とかより時間かからないし。
あ、修行、というか特訓についてだけど、アハト君曰く、
「アイオスさんからも聞いたけど、お前は普通の魔法制御ができない。でもそんなの見たことないし......ひとまず、体くらいの大きさでいいから氷を作る練習をしよう」
「小さくなくていいの?」
「無理に小さくしようとして暴走したことあるんじゃないか?」
「うっ...」
実際、この前氷魔法をやろうとして、イメージした大きさは小指くらいだった。
確かにダメかも......ということで、今は魔力制御のためにイメージ練習している。一応暴走しても火事なんかにならないよう氷を作ろうとしているけど、まだ作ってはいない。最低でももう少しやらないと......昨日、アハト君から「見てて漏れる魔力が少なくなってきてる...気がする」って言われたから、効果は出てるわけだし。...出てるよね?
この魔力制御を朝と夜に行い、昼はずっと移動。途中に出てきた魔物や果物を捌いて食糧とするサバイバル生活をしています。
アハト君は私が朝に魔力制御をしている間、ずっと見てくれて場合によっては注意をしてくれます。その分、夕飯のしたくは私が行い、その時アハト君が朝の分特訓するのが日常になりました。
他にも、この一週間でアハト君のことも分かってきました。例えば、
「毎日肉ばっかだな......ハチミツとか落ちてないかな......」
「ごろっと?」
「ごろっと。あ、蜂の巣あれば自分で解体するから平気だけど。前もやったし」
「!?」
かなりの甘党だったり、
「アハト君17歳なの!?」
「悪かったな......」
「そうなんだ~」
「お前は14歳くらいだろ?」
「なんでわかったの!?」
「雰囲気だよ」
年齢差が三歳もあったり。あとはベルトのポーチにお菓子と針とメモ帳と......なんて、間違いなく入りきらない量の物が入っていたり......あれ中どうなってるんだろ。
ジュワ~っと鍋から音が聞こえてくる。今日の夕飯も肉。ただ、今日は『ブラッディ・ベア』と、鳥形の魔物(名前忘れちゃった...)から柔らかい部位をもらったので期待はできる。自分を襲ってきた魔物を食べるのは少し抵抗あるけど。
アハト君、喜んでくれるかな?
そんなことを思いながら、彼女を呼んだ。
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「アハト君。ご飯できたよ~」
「了解。これ終わらせたら食べるから先食べててくれ」
「はーい」
ユーノと旅に出てから一週間が経った。
俺はメモ帳とペンをポーチにしまって、ユーノの方へ向かう。
毎日夕飯の準備をしてくれるのはとてもありがたいな。問題は材料か...
「しょうがないとはいえ、肉ばっかだな...デザートはもう全部食っちまったし」
「でもほら!今日のは柔らかいはずだから」
「待っててもらって悪いな」
「気にしないで」
「じゃあ、食べるか」
「「いただきます」」
「また絵を描いてたの?もぐっ...」
「そうだよ」
「私ずっと同じものばかり描いてたら飽きそうだなぁ...」
「自分で作った自分の剣だからな。飽きないし、飽きてたら何もできないさ」
食べ出してからも会話が続く。
俺は朝にユーノの特訓を見てる分、夕飯を作っている間特訓させてもらっている。夜はお互い別々だが。
さっきやってたのは、体内で魔力を練り込む動作。アイオスさんに言われた物だ。これをやることで全体的な魔力量を増やすことができ、高純度の魔力を生成することもできるようになる。
火の玉で表すと、同じ大きさでも込めれる温度が違うってこと。
効果が出てるのかはあまり実感がない。初めて一週間だしこれからだとは思うが。
ただ、これだけだとどうしても何もしていないように感じてしまうので、俺は特訓中に自分の剣...エクスシアのスケッチをしている。
「...ん」
これを色んな角度で描くことによって、とっさにでもより強い物がイメージできるようになる。実際、さっき描いていたメモ帳は三代目だ。
「......トくん。」
魔力量を増やすのと平行してもっとやらないとな...こっちは熊を倒すときに成果がすぐでるし。それでも微々たるものだけど......
「アハト君!」
気がつくと、ユーノが目の前にいた。若干頬を膨らませている。
「え?どうした?」
「どうしたじゃないよ。何回呼んでも返事しないから」
「あぁ、マジか。気づかなかった」
「まったく......食べ終わったし、先に特訓してるよ?」
「わかった」
立ち上がって少し離れたところで特訓を始めるユーノ。何も知らないやつが見たらただ杖を構えて目を閉じているだけに見えるが。
俺も早くやるか。
肉を食べながらなんとなく見上げた夜空は、雲っていて星が見えなかった。
ちょっとした次回予告。
ユーノとアハトが着いた町で出会ったのは、
「あ、助けてくれないかな?」
大胆な服を着て、赤い髪をした女で...
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