アスモディ・ストーリー (Asmody Story) 作:メレク
お待たせしてしまって申し訳ないです。これからもっと遅れるかも...
「今日はあっついね~」
「最近のことを考えるとあり得ないくらいだからな...」
『シオン』を出てからもうすぐ二週間、疲れました。田舎だから一つ一つの町の間隔が広くて...
いや、ホントに毎日景色の変わらない森の中歩くのは苦痛なんだよ!?おまけに今日はかなり気温が高いし。冬に向かっているとは思えないくらいに。
「でも、もうすぐ次の村につけるんじゃないか?地図的に」
「やったー...あれ?でも、うちの隣の村って確か......」
「噂をすれば、だな。見えたぜ」
「......うわ~」
急に木々がなくなって村が見えた。『シオン』と比べたら少し大きいくらい。確か、
「あそこ、エルフの住んでる所だよ」
「そうなのか?」
「バルトさんから聞いたことがあるから」
「こんなところにもいるんだな~」
「こんなところとは失礼な」
「すいません」
エルフ。魔法を使う種族では代表的なもので、耳が尖っている見た目が特徴。
私たち旧魔や新魔と違う所は、こっちは大きい小さいの差はあるものの角が魔力の源なのに対して、あっちは生まれながらに心臓の近くにある魔力石がその役目を果たしていること。エルフ自身はコアと呼んでいるみたいだけど。
昔は一つの大きな町に住んでいたらしいけど、今はバラバラになって、それぞれで生活してるみたい。だからこそこんな辺境な場所にもあるんだけど...
まぁ、今はそれはあまり問題じゃなくて、一番不味いのは......
「あそこ他種族好きじゃなかったよな?」
「うん。せっかく来たけど遠回りした方がいいかな......」
そう。アハト君が言ったようにあまり他の種族と関わりを持ちたがらないのだ。下手な所は門前払いどころかその場で魔法を打ってくるレベルで。聞いた話だけど。
理由は知らないけど、それなら一つの町で固まってた方がいいだろうに......
「行ってみるだけ行こうぜ。もしかしたら肉意外を食べれるかもしれないし」
「!!」
確かに野菜とか食べれるかも......ここ最近の食生活はホントに襲いかかってきた魔物のお肉と、少しの木の実。アハト君の一言によだれが出そうになるのも仕方がない。
「決定だな」
「うん。行こう!」
どうか歓迎してくれるような所でありますように!
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俺たちはエルフの村(名前は『エルビス』というらしい)の門の手前まで来ていた。門前払いはされないみたいだけど...
「なんというか、暗そうな所だな」
「うん......」
外から町の中を見ても人が一人も見当たらなかった。荒んでいる、とも言えるだろう。
「買い物くらい勝手にしてもいいかな?」
「さすがに不味いんじゃないかなぁ...」
「だよな。はぁ、入れはするけど...誰もいないし。遠回りしてさっさと『アースラ』目指すか」
「そうだね...」
そう言って二人で立ち去ろうとする。しかし、
「お願いします!」
「いやーそう言われてもね」
男と女で、言い争っているような声が聞こえた。町の方か?
「なんだろな」
「うーん...行ってみない?」
「人がいるなら話してみるか。あとユーノ。他の人がいるときはカムイって呼んでくれ」
「え?」
「いいから」
「う、うん」
勝手に中に入って声のした方に向かうと、俺と同い年くらいの赤髪の女と、少し年老いて見える耳の尖った男がいた。
「あ、助けてくれないかな?」
「え?他の町の方々ですか!?」
......肩や腹の部分が露出した服を着ている女と、そいつに土下座しているおっさんが。
「...ぁー」
隣のユーノにも聞こえない声...というよりため息をつく。
やばいのに捕まったかも。
俺は今さらながらに後悔していた。意味無いのにな......
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「と、言うわけ。わかった?」
「わかるか!」
えー、今の状況を言うと、すごい面積の少ない服を着た女の人の突然のボケにアハト君がツッコミを入れてる。という状態です。
「じゃあ最初からだね」
「なんも話してないだろ!」
「カリカリしてるとハゲるぞ?」
「ハゲないわ!」
「説明は初めからしますから助けてください!」
アハト君の血管が若干浮き出始めたところで男の人から止めが入った。ナイスです!
「...んで、なんなんだよお願いってのは?」
落ち着いた...でも隣にいる女の人を気にしながら質問をするアハト君。
「はい。あなた方に娘を助けて欲しいのです!お願いします!!」
「......どういうことだよ?」
「ここの近くに竜が住んでて、昔から十年に一度女の子を食べちゃうんだって。パクって」
「!ひどい...」
「なんで!?」
「自分たちの村を襲わない代わりに生け贄を捧げているんだってさ。で、今年竜に選ばれたのがこの男の娘ってわけ」
「今年...明後日には竜が来てしまうんです!お願いします!どうか竜を倒してください!」
「あんたら自身が倒せないのか?」
「エルフが攻撃すると村を滅ぼされてしまうんです...どうか!」
再び土下座をしてくる男性。
竜は、私はめちゃくちゃ強い魔物、くらいしか分からない。絵本だと騎士と一緒に世界を救ったとかみたことあるし!噂では一匹で町三つ滅ぼしたとか...?
協力したいけど、そんなの倒せる気がしない。でも、その娘さんは助けたい...
とっさに一緒に行動している彼女の顔を覗くと、すごく思い詰めたような表情をしていた。
「アハト君?」
「俺は......俺たちはできる限り協力します。条件はつけますけど」
「本当かい!?」
「はい。...悪いなユーノ。勝手に決めて」
「私も同じだったから大丈夫!それにアハト君なら『戦争を止めに行くのにここで見過ごしてたら意味がない』とか言いそうだしね」
「ずいぶんと過大評価してくれるんだな。ありがと」
「ううん、いいの!」
「ただ、名前間違ってる。カムイだ」
「あ、いたたっ!ごめんなさい!」
「君たち仲良いね」
アハト君に頭をぐりぐりされる中、女の人は苦笑していた。そして
「私は受けないから。この話」
「え?」
その言葉を聞いた瞬間、男性が恐怖に満ちた顔をした。
「なんで受けないんですか?明日明後日までにこの村に来る人なんて私たち以外ほとんどいないんですよ?」
「君らがやるでしょ?」
「人数は多い方がいいです!」
「竜を倒せる算段でもあるの?」
「それは...今から考えます!」
「あのねぇ......お人好しなのは分かったけどさ」
彼女は肩をすくめ、諭すように語ってきた。
「この人の話聞いたでしょ?ここは何回も女の子を生け贄にして生き延びてるの。それが、いざ自分の娘が食べられるとなったら助けを求めるとか、都合良すぎない?」
「それは......」
「そんなことを言ってくる奴のお願いなんて聞きたくないよ。命をかけるならなおさら」
「でも、娘さんが死んじゃうんですよ!?」
「運がなかっただけだ。選ばれた運命を恨むんだね」
「そんなの許される訳がない!」
「「「!?」」」
急に怒鳴るような声をあげるアハト君。
「......そんな運命は潰してやる」
「そう。なら頑張ってね」
「お前も手伝うんだよ」
「倒せる見込みもないのに?」
「ユーノが言ったように、人数は多い方が良いからな」
「なんでわざわざ死にに行かなきゃならないのさ」
「死なせるもんか。ユーノもお前も」
「随分高まってるね」
「...確かにな」
「...なんか拍子抜けしちゃうなぁ...」
ふざけているとも、真剣ともとれる二人の態度にハラハラする。やがて女性は肩をすくめて、
「...はぁ。じゃあとっておきを言うよ。私は、魔法が使えない」
「!」
「だから、君たちの足手まといになる。わかった?」
「お前もしかして......人間だったのか?」
「え、今さら?」
驚く顔をしたのは、きっとアハト君だけじゃないだろう。
人間は魔法が使えない。
この世界は魔法などがないと全てを奪われる...わけではないけど、基本的に魔法が使えないの立場は低い。人間は色んな種族と共に暮らしたりして守ってもらうのがほとんどだとお父さんが言っていた。
でも、目の前の女の人をもう一度確認しても、バックを一つ持っているだけでとてもじゃないけど一人でこんな田舎にこれるとは思えなかった。私も角が見えない新魔なのかな~と勝手に思い込んでいた。
「でも、どうやってここまで......」
「あ、お前じゃこの辺までこれないだろ格下がぁ!みたいな?」
「そ、そんなことは!」
「まぁ実際私にはマジックアイテムがあるからね~修行の旅ができてるのもそのお陰よ」
「マジックアイテム?」
「あ、これ私が勝手に呼んでるだけだったね。じゃあ証拠を見せてあげよう!えーとっ...お、あったあった」
そういいながらおもむろに自分のバックをあさり、取り出したのは小さなガラス瓶。それの栓を外して私に向けてきた。
『ーーーーーーーーーーーーー』
「これは......」
魔法を唱えるように詠唱を始める女性。でもついさっき魔法は使えないって......
『coming』
「え?」
その言葉が発された瞬間。私は見える景色が歪んだ。
新学期始まりましたね。えーと...高校生なので始業式とか出てました。
おまけにすぐテスト...学期の初めくらいゆっくりさせてくれないんですかね?(笑)