アスモディ・ストーリー (Asmody Story)   作:メレク

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『遺産』とは

「マジかよ...」

「すごいでしょ?」

「ど、どうなってるの......アハト君が大きい?あれ?皆も!?」

 

ありのままを話そう。女が詠唱したあとユーノは彼女が持っていた小さなガラス瓶の中に入ってしまった。もちろんサイズは小さくなっている。

 

何を言っているかわからないだろうけど俺にも......あ、

 

「それ、『遺産』か?」

「ピンポーン!よくわかったね」

「本で見たことがあったからな」

 

『遺産』。『前時代の秘宝』とか『化石』とも言われているそれらは、昔生きていた者が作り、そいつらの死と同時に土に埋まって、今では文字通り化石扱いされている。

掘り出されたものはその希少性から高値で取引され、それで生計をたてているいる人もしばしば。大体は無理だと分かって諦めるらしいが...

 

その見た目、効果は様々なものがあり、そうだと紹介されるまでわからない物もある。

 

特徴は、魔力がない人でも詠唱さえすれば使いこなせるということ(ちなみに詠唱方法はその実物とセットで取り扱い説明書がついているらしい)魔法ではできないこともやれることがあるくらいか。

 

「それは...」

「ふふん。名前は収縮瓶。構えた方向にいる人をこのビンの中に入れられるんだ。それに」

 

彼女は解説をいれながらさらに詠唱をする。

 

『ーーーーーーーーーーーーーout』

「わわっ!」

「ユーノ!?」

 

そして、小さくなってビンに入っていたユーノが元の大きさに戻って出てきた。突然のことでバランスを崩す彼女を慌てて支える。

 

「こんなふうに戻せるしね?人間くらいの大きさしか入らないけどさ。私はこういうのを売買したりして修行、観光かな?の旅をしてるわけ。でも魔法使えないし。というわけでじゃあね」

「いや行かせるかよ」

 

俺は勢いよく肩を掴む。なんか去ろうとしてるが、意味がわからなかった。

 

「ちょっ!なんで掴むのよ!」

「いや、普通にそうゆうの使えば即戦力だろ。余裕で俺らより使えるぞ?」

「あ......」

 

俺の手を振りほどくものの、墓穴を掘ったことに今さら気づいたらしい。バカだな。

 

「おとなしくしろ。竜を倒すのも修行もなるだろ?」

「勝てるわけないでしょ!」

「勝てるから。多分」

「多分じゃ死ぬわよ!それに私はこいつのお願いを聞きたくないの!わかる!?」

「それじゃあ詳しい話をしたいので座れる場所でも行きませんか?」

「そ、それなら村長の家に行けば大丈夫だと思います。あっちです」

「ありがとうございます」

「話聞けーー!!」

「あはは...」

 

女の叫び声を無視してズルズルと引きずっていく。そのときのユーノのひきつった顔が印象的だった。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「で、そういうわけで協力したいのですが」

「じゃがのう...」

 

 

今俺たちはさっきの男性(名前はダンだと言っていた)に連れてこられた村長の家でさっきの話の続きをしている。ただ、あちら側は乗り気ではないらしい。

 

「これだから嫌だったんだ。自分達のことしか考えないから」

 

確かにその通りだろう。村長達からしたら他人の娘を差し出すだけでまた十年安全になるのに、それをやめて無謀な賭けをしようとしているのだから。自分の関係ないことなら所詮は対岸の火事なんだろう。同じ村の仲間としてどうなのかは言わないでおくが。

 

だけど、見過ごす理由にもならない。

 

「竜の情報をくれればこちらでなんとかします。お礼は、俺たちは食料をくれれば結構ですので」

「「え!?」」

 

この条件はかなり破格だろう。命をかけてるのに、金銭などは取らないと言っているのだから。

 

「アハト君。それだけでいいの?」

「大丈夫だ。お金なんて全く使ってないしな」

「確かに...たくさん持ってたもんね」

「そんなに多くないさ」

「えー......」

「あとカムイな。今回は聞こえてないみたいだけど」

「あ、すいません...」

 

 

ユーノが小さな声で話しかけてくる。俺たちの全財産はユーノの貯金と俺の持ってたお金だけだが、旅で全く使ってないので大丈夫だろう。俺も困らない程度には持ってきてるし。

 

「それなら...お願いしようかのぅ」

「じゃあその竜についてなにか意「私はぶんどるからね!」はぁ...」

 

せっかく交渉がまとまったと言うのに、何を言い出すんだろう。いや確かにユーノやこの女をしゃべらせてはいなかったけど。

 

「私が要求するのはこの村の『遺産』だよ!」

『!!!』

「もともとこの村に『遺産』があるって聞いて来たしね」

 

周りの空気が一気に冷える。この反応を見るに、誰かしら『遺産』を持っているのだろう。

 

「...お願いします」

「ダン!貴様!あれはこの村の大切な物だぞ!」

「それでも娘の方が大切なんです!」

「貴様なぞ出ていけ!無論お前らもだ!」

「そのつもりです。皆さんこちらに来てください」

「わかりました」

 

なんか熱くなってる村長(ご老人)を放っておいて家を出る。ここ何時間かでスルースキルが高くなった気がした。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

「さっきはすいません。寝床はうちの家でもよろしいですか?」

「どこでも構いません」

「ありがとうございます」

「これでこいつらに適当にやらせて『遺産』をもらえれば...」

 

私たちは村長さんの家を出てから、ダンさんの家に向かっています。

 

「ここの『遺産』ってそんな貴重なんですか?」

「いや、村長が大切にしているだけでそう大したものじゃないよ」

「思い入れって大事なんだな...」

 

アハト君がダンさんの話に微妙な顔をする。それにしても...

 

「少し不気味だね...」

「なにがだ?」

「だって、全部おんなじ家じゃん...」

 

そう。並んでいる建物はすべて同じ見た目だった。

 

「あぁ、それはこの村の地面にあわせているからなんです」

「地面に?」

「はい。エルフは自然と共存するというのを生業としているので、その場所に合う家を作っています」

「作る家でそんなにかわるんですか?」

「ここの土地は魔力がこもっているので、その魔力を少し分けてもらえるよう地面に刺さるような設計になってるし、逆に作物が不作になったりしたら僕たちの魔力をわけれるようになってます。」

 

魔力が込もっていると、その土地は活性化するというのは知っていたけど、全部同じ見た目にすることないのに...

 

「暮らしていれば気にならないですけどね...さて、ここが僕の家です。少ないもてなししかできないけど入ってください」

「じゃあ入りまーす」

「「お邪魔します」」

 

軽い感じで入っていく女性を先頭に、私とアハト君も家に入る。

 

「娘さんは?」

「竜に狙われてると言われた時から部屋にこもってしまってね...」

「あぁ...」

「今呼んできますね。どうぞくつろいでいて下さい」

 

そういって二階に上がっていくダンさん。

 

それを見送ってから、女の人はソファーに寝転がる。ここ来たばかりの家ですよね?

 

「あぁー気持ちいい~」

「連れてきました」

「はやっ!」

 

ダンさんが連れてきたのは、10歳くらいの女の子。私たちを怖がっているのか少しダンさんに隠れていた。

 

「ほら、あいさつを」

「...ティナ・ハンスです。」

「よろしくね」

 

おずおずと自己紹介してくる彼女。

 

「そういえば、まだ名前を聞いてませんでした。あなた方のお名前は?」

「ユーノ・アインツです」

「カムイ・テイカーだ」

「私はアカーディアだよ。よろしくね」

 

それぞれの挨拶も終わって、皆がソファーに......

 

「お前どけよ。てか自己紹介とか寝ながらするもんじゃないだろ」

「嫌だよ。ここが私のテリトリー!」

「うるせぇ。座れないだろうが」

「ッ!きゃっ!首根っこ掴むなんてサイテー。女の子に暴力は振るうもんじゃないでしょー!」

「悪かった悪かった」

「なんなのよ!」

「落ち着いてください...」

 

無事?すわる。アハト君ももう少し抑えてよ......

 

「あはは...えーと、竜に関する資料と、僕らが言えることは何でも言うので、娘を助けてください!」

「任せてください」

「『遺産』のためだしね...しょうがない」

 

こうして、竜討伐の作戦会議が始まりました。




さて、彼女達はこれからどうなるのか...?
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