アスモディ・ストーリー (Asmody Story)   作:メレク

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一話目が無事投稿できて安心していたメレクです。
この調子で少しずつ書いていきたいと思います。

5月21日/改稿しました。ただ、ホントに気づくか気づかないかそのくらいなのであしからずです。


一章『シオン』
我が家の事情と世界の事情


かわいい。

 

すべてがかわいい。

 

寝てる姿がかわいい。

 

窓から光が照らされ、自慢げに伸ばしていた薄紫の髪に反射しているのなんかキューティクル。

 

ボ~っとした目をしながらうとうとしてるのを見れば、神が丁寧に創造したであろうことは確定的。

 

「うわー...もう8時か......」

 

時計を見て寝過ごしたことを確認。そのまま落ち込むのもかわいい。

 

そして、急いだ様子で着替えを始めようとするのもかわいい。

 

(もうあれだねかわいすぎるよね天使だねコノシュンカンヲマッテタンダー!って感じだよね!あぁっ!)

 

そして、 女神が服の端をもって上に上げていく。思わずそれを目を見開いて凝視する。

 

やがて完全に服を捲る______手が、ピタリと止まった。

 

 

 

 

 

「何してるの?お父さん」

 

 

 

 

 

こっちと目を合わせた彼女から放たれる、母親譲りの冷たい目線は、男にとって恐怖でしかなかった。

 

 

 

 

 

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「おはよ~」

「はい。おはようユノちゃん」

 

着替えを済ませ、リビングに来た私はお母さん、フィルフィ・アインツに挨拶する。よくある我が家の決まりで、この日課を欠かすことは片手で数える程度しかない。

 

お母さんはフライパンのハンバーグをお皿に盛っていた。

 

「さ、じゃあご飯にしましょうか!ユノちゃんも座って座って!」

 

いつも明るいお母さんが作ったご飯は、こっちまで明るい気持ちになる気がして、私はとっても大好きだった。

 

朝御飯は昨日確認したときには部屋に置いてあって、今朝になって消えていたパンと冷えたスープではなく、サラダに熱々のスープに私の好きなハンバーグとイチゴという、普段なら絶対朝から並んでいないようなメニューばかり。思わず顔を勢いよくお母さんに向ける。

 

「これどうしたの!?いつもより凄いじゃん!」

「ユーノへのお祝いだよ。昨日新しい魔法を打てるようになったんだから」

「うっ......」

 

そう言ってくるのはお母さんの隣に座るお父さん。さっき私の着替えを覗き見していた人で、名前はアイオス・アインツ。

 

「あんなのじゃ覚えてないのと一緒でしょ」

「でも出来たんだから頑張ったじゃない。そんな落ち込まないで。ね?」

「そうだぞ!頑張ったことにかわりはないんだからな!」

 

確かに私は昨日、新しい魔法を打てるようになった。でもそれも不完全でどうしようもない______と考えて、私は一つ見逃していた所があった。

 

「それよりお父さん!さっきの覗きはなんなの!誤魔化そうとしないでちゃんと言いなさい!!」

 

お父さんはついさっき、私の部屋を覗いてた。ドアの隙間から変態みたいな目で。

 

「あれは覗きなんかじゃないぞ。元々ユーノを起こしに行こうと...」

「あら~?ユノちゃんの寝顔を長く見たいからハンバーグ焼くのもう少し後にしてくれって言ったの誰だったかしらね~おまけに寝顔じゃなくて着替えだったなんて...」

「フィ、フィルフィ。それは...」

「お母さんナイス!」

「いいのよ~」

「さて...この人をどう処理しよう「ご飯食べよう!な!な!?」...むぅ」

 

まぁ、実際お腹も空いてたし、目の前にハンバーグを置かれてあまり我慢ができないのも事実だった。

 

「ほら!いただきます!」

「「......」」

「いただきます!!」

「「......いただきます」」

 

さらに言えばお父さんも鬼気迫る感じだったので、私はしぶしぶ朝御飯を食べ始める。お母さんはそれを見て、いつものようにニコニコしていた。

 

 

 

 

 

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今は朝御飯を食べ終わり、紅茶を飲んで一息つく。

 

とってもおいしかったけど、そのあと聞いたお父さんの言い訳はひどいものだった。本人曰く、「休日くらい娘のかわいい寝顔見たっていいじゃない......」 とのことで。

 

お父さんであるアイオス・アインツの仕事は、この村『シオン』の村長の補佐をすること。最近忙しいらしく、私が寝たあと帰って来ることが多い。

理由は、この村が旧魔の村の1つとしてどうするか決めなければならないから。

 

そもそもこの世界には、いくつかの種族がいる。代表的なのだと、エルフやオークなどがある。

 

そのなかでも近年(といっても300年くらい前だけど)目立っているのは、私たち旧魔と、新魔の関係。

 

新魔っていうのは、文字通り新しい魔族、私たち旧魔より後に出来たらしい人々のこと。

 

いつその存在が発覚したかは不明。歴史として出てくるのは300年近く前。 元々は、私たち旧魔しかいなかったらしい。旧魔の派生、と言えばいいだろうか。

 

その差は、旧魔は一人一人能力が違う特殊な固有魔法を使えるかわりに、炎、氷などの基本的な魔法はあまり使えないという特化型なのに対し、新魔は基本、固有魔法を持たないものの、大抵なんでも上手くこなすバランス型であること。

 

そして、旧魔にとって魔法を使うための魔力の塊である大きな角が小さく、その代わり体全体に魔力を巡らせているなど、様々だった。

 

この二つの種族は、今あまり良い関係ではないらしい。らしいというのは、ここ『シオン』が旧魔の田舎町で、私も全然見たことないから。

 

原因は、御先祖様の時代まで遡る。

 

なんでも、魔法が使えることでちやほやされていた旧魔が、急に現れた新魔が大体の魔法をそつなくこなせることから他の種族から引っ張りだこになり、今まで必要とされてた御先祖様たちも「我々は必要なくなったのか!」と怒っちゃった______らしい。それが元となり、一時期新魔側につく人が多く、この300年という歴史で、昔からある旧魔とほぼ同じ力を得ている。

 

でも、どちらの種族でもこの話の肯定派の人もいれば否定派の人もいて、今では同じ種族でも住んでる地域によって、相手の土地から離れようとする人達や、戦争一歩手前の人たち、逆に仲良くしようと同じ町で暮らすなど様々となった。

 

私達の村では、基本的には不干渉、場合によっては友好を取ろうと決まったが、それが決まったこと自体が少し前のことなので、最近になって近くの村との相談をしたりするなど忙しくなってきたらしい。

 

だから、私はお父さんが大変なのもわかるけど______

 

「これはない」

「そうね~」

 

私とお母さんは許さなかった。お父さんは、

 

「分かりましたよーだ!お父さん泣いちゃうから!」

 

なんて言いながら、丁寧に『ドア開けないで!』なんてプレートを下げて部屋にこもってしまった。自分のお父さんだけど恥ずかしさは止まらなかった。

 

それを見送ったお母さんが、私の方を見てくる。

 

「あ、ユノちゃん。今日山に行ってキノコ取ってきてくれないかしら?丁度食べ頃だと思うから」

「そろそろ秋も本格的だもんね。分かったよ」

「演習教室終わった後だけど、大丈夫?」

「平気だよ」

 

そう言いながら出かける準備をする私。短剣持った。キノコ取り用のかごも持った。よし。準備万端。

 

「じゃあ、任せたわね」

「うん!いってきます!」

「いってらっしゃい!」

敬礼っぽい動作をするお母さんに手を振ってから、私は家を出た。

 

眩しいくらいの太陽が、雲ひとつない空と私たちの村を照らしていた。

 

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