アスモディ・ストーリー (Asmody Story) 作:メレク
村の皆の家がなくなったので、即興で作った簡易テントで寝た次の日の早朝。
「もういっちゃうのかい?」
「なるべく急ぎたいので」
「そっか...昨日は本当にありがとう」
「お礼はユーノに言ってください」
俺とユーノ、ノクスの三人はもう旅立つ支度を済ませていた。ぼろぼろになったコートや体は次の町で治すことにした。ここは村を再生させるのに苦労するだろうから。
「あ、これ受け取って下さい」
俺は思い出した様にポーチからある程度のお金を出して、ダンさんに渡す。じゃらりと音を立てるそれを受け取ったダンさんは、目を丸くした。
「復興資金のたしにしてくれれば。こっちはこのくらい渡しても問題ないはずなので」
「こ、こんな大金受け取れない!これ以上なにかしてもらうわけにもいかないからね」
「そんなこと言わずに」
「ダメなものはダメ!!返します!もう少し大事に使ってください!」
「...わかりました」
復興費用として考えればそんな多くないんだが、押し返された勢いに負けて渋々お金をしまう。
一方ユーノたちは、
「本当にありがとうございました!」
「また会いにくるからよろしくね?」
「綺麗になった村、絶対見に来るから!」
「はい!」
ティナちゃんに別れの挨拶を済ませていた。彼女が見せる笑顔は、今までで一番輝いている様に見えた。
「お前ら準備はいいな?」
「うん」
「もちろん」
「じゃ、行くか」
そう言って、三人で歩き出す。
「待て」
「...?」
それを呼び止めた人は、村長だった。今さらなにを______
「今回は、すまなかった」
「あ、えと...」
勢いよく頭を下げられたので、こっちが戸惑ってしまう。とっさに二人の方を向いたが、どちらも我関せずといった形でそっぽを向いた。
「我々が間違っていた。竜が十年に一人しか喰わないから、喰われることに慣れてしまっていた。だが...今さらになって、大切さが分かった。どうか、許してほしい」
「...許すとか許さないとかじゃないですよ」
この人は村の村長として、良くも悪くも真面目じゃないといけなかったのかもしれない。それでも消えた命は戻らないし、その家族の憎しみは消えない。
考えるのは後の祭りでしかないが、俺にはこう思うことしかできなかった。
「じゃあ、一日でも早くこの村が元に治るように願っています」
「待て、礼を済ませていない。おーい!」
呼び声で持ってこられたのは、食料と短剣と、石。
「これ『遺産』じゃん!!」
「これは村を守るお守りのようなものじゃったのだがな...今の我々にはもう必要ない。受けとるといい」
「これから大変なのにそんなの「いいからうけとれ。この村の全員の意志じゃ」...ありがとうございます」
ノクスが『遺産』を、俺が食料を受け取った。
「気を付けてな」
「...はい!」
村長の労いの言葉に、俺は元気良く答えた。
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「じゃーねー!」
「またくるから~!」
ティナちゃんが見えなくなるまで手を振ってから、私はユーノちゃんに声をかける。
「ユーノちゃん短剣持ってるよね?これいる?」
「え、いいんですか?」
「私は護身用の軽いナイフでいいんだ。だから」
「あ、ありがとうございます!」
見た目のわりに重い短剣をユーノちゃんにあげる。ニコニコしているのがかわいさ満点だった。
「かわいいなぁ~」
「ちょ、ノクスさん?」
「歩くときくらい迷惑かけるなよ」
「わかってまーす」
少しほっぺたツンツンしてただけなのに、少し前を歩くテイカーに怒られてしまった。テイカーのジト目は避けれるけれど、ユーノちゃんに迷惑をかけたいわけではないので潔く引き下がる。
「それ、なんの効果があるんだ?」
「短剣の方はめちゃくちゃ固そう。もうひとつは...」
「ただの石ころに見えるけどな」
「私達が使った水晶タイプの魔力石。あれが魔力を補給することでいくらでも使えるやつ」
「は!!?」
驚いて振り向いてくるテイカー______アハトに、私はすごいだろ!と言わんばかりに笑顔を向けた。
男だと思っていても、きっとこの笑顔を出していただろうね____
「改めて、これからよろしく!ユーノちゃん!アハト!」
「こちらこそよろしくお願いします!」
「うんぅん!?」
「...浮かれて転ぶなよ」
「ぷっ...あはははぁ!!?!?」
「ふっ...そこぬかるんでるからなー」
「「言うの遅いよ!!」」
いきなり泥を被った私達を、アハトは鼻で笑いながら見ていた。
こうして、旧魔と新魔と人間の三人旅が始まった。
気づいたら最新の更新からはや一ヶ月...だと?
読んでくださってる皆様はぜひ許してください。これも全部テストってやつの仕業なんだ...
これからは、少し上げてきます。