アスモディ・ストーリー (Asmody Story) 作:メレク
「私、いらなくない?」
「は?」
私の言葉に、彼女______黒髪に黒目、服まで黒い黒だらけの同い年、アハトは固まった。
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『エルビス』から『アースラ』まで向かうある一日のお話。
朝、私が起きた時にはユーノちゃんとアハトの特訓が終わり、朝ごはんが並んでいた。私が作った物と比べ物にならないくらい上手く作られた料理。
昼、襲ってきた魔物をユーノちゃんとアハトが倒しながら道を進む。魔法が使えない私は一番後ろで守って貰う形に。短剣で参加しようとするも、その前に決着がついてしまう。『遺産』は貴重なため使えない。
夕方、ユーノちゃんがご飯、アハトが特訓。ご飯作るのを手伝おうとすると、「ノクスさんは座っていてください」と言われる。並べられるのはやはり美味しそうな料理。
夜、せめて魔物の見張りくらいしようとするも、「どうせ寝れないから」といってアハトが変わる。私の見張り時間40分。
こうして一日が終わり、次の日へと繋がっていくのである。
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「なにを言い出すかと思えば...」
そして、話は冒頭へ。
「だって、守って貰ってばかりだし、手伝いも要らないみたいだし、私...」
せめて魔法が使えれば話は変わってくるだろうけど、私はなにもできない人間。『エルビス』でもらった魔力石も結局は使った分二人から魔力を吸収しなきゃいけないから、その分負担がかかる。
「はぁ...ほら」
「わわっ!」
頭におかれる手は、暖かくて少し小さかった。私はなすすべもなく撫でられる。
「な、なにをっ//」
「お前はいらないやつなんかじゃない。そりゃ、何もできないかもしれないけどさ...俺からみたら、大切な仲間なんだから」
(どうしてこう、恥ずかしい言葉をすらすらと言えるのか)
現実逃避のように、私は今の状況を客観的に見ていた。
「まぁそこまで思ってるならこれから料理とか一任させるけどな!」
(そして、雰囲気ぶち壊すこと言うかなぁ!!)
「ふんっ!やってやるわよ!一人旅で身に付けたスキルを見せてあげる!」
「そいつは楽しみだな。聞いたかユーノ!そういうわけで明日からはこいつがやってくれるってさ!」
「聞こえてるよ~でも、いいんですか?」
「いいの!それに敬語じゃなくていいんだよ?」
「アハト君はともかく、ノクスさんは...」
「どういう意味だそれ」
「...あははっ」
思わず笑いが込み上げてくる。
「あ、親睦を深めるという意味を込めてこの前あった話をしますね。アハト君が棒状のチョコを食べてて...」
「ちょっ!ユーノ!」
「なにそれ聞きたい!」
「ノクスまで乗り気になるな!」
まだ出会って数日しか経ってないけど、私にとっては激動した数日間だった。
本当に、この二人と出会えてよかった。