アスモディ・ストーリー (Asmody Story)   作:メレク

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出会いⅠ

「あー......やっちゃった......」

 

私は森に来ていた。森の中でまだ溶けてない雪の上で寝転がる。ボフッと音をたてても心は晴れず、絶賛反省中。キノコは雪のせいでとれないし、取る気も起きないし......

 

だって、リーゼとはまた喧嘩みたいになるし、せっかく演習の機会をもうけてもらってるのに断るし......

 

リーゼが伝えることが少し苦手だからどうしても強めの言葉になるのは分かる。あと咄嗟に口が滑るのも。でも、魔法のことを言われると私もどうしたらいいかわからなくなりやすいから......

 

(嫌われたかなぁ......)

 

はぁ...とため息を吐く。つかずにはいられない。

 

確かに私は基本魔法の内の初級...小さな火を作ったり、石みたいな氷を作ることすらできない。

 

理由は、魔力を変換させることが苦手だから。

 

一般的に、魔法で火の玉を作るとするとイメージは

 

①球体を想像する。

 

②球体に赤い色を塗るイメージをする。

 

みたいになる。①で、手のひらに球体を作り、②で炎という属性を付ける形。

 

でも私は

 

①球体を想像する。

 

②色を塗るのが苦手なのでとことん赤くする。そして、球体から溢れでて、暴走する。

 

となる。結果、バカにみたいに大きい火の玉が出来上がり、おまけに暴走することに......炎魔法はそんなことしたら危険だから作ったことないけど。

 

私は持ってる魔力量自体は多いらしい。だから強い魔法も使えるはず...ただ、使いこなせることはない。できるのは強化魔法と固有魔法だけ。

 

これは、いくら特化型の旧魔の中でも異常。そして私は、使える力はあるのに使いこなせない自分にコンプレックスを抱くようになっていた......

 

(こんなことなら、なんでもこなせる新魔に生まれたかったよ......)

 

...産まれてから新魔見たことないけど。

 

またため息をこぼす......その時。

 

「キャー!!」

 

近くから聞こえる悲鳴。

 

「この声!!リーゼ!?」

 

私は何事かと立ち上がり、リーゼと気まずい関係になっているのも忘れて悲鳴の聞こえた方へ急いで走り出した。

 

 

 

 

 

----------------

 

 

 

 

 

雪のせいで何回か転びそうになるも、なんとかリーゼを見つけた。

 

かなりまずい状況で。

 

まずリーゼの後ろにいる二人。雪遊びをしてたのか体のあちこちに雪を付けているものの、ケガはなさそう。ただ、腰が抜けているのか動けなさそうな状態。

 

次にリーゼ。無事なものの、彼女が大事にしている金髪は雪を被り、息が荒く、いつも感じる魔力をほとんど感じない。使い過ぎによる一時的なものだけど、辛そうに見える。

 

最後に、リーゼの真正面。そこには血ぬられたような赤い毛を持つ熊がいた。名前はたしか...『ブラッディ・ベア』

 

この森を縄張りとしている魔物の一種のはず...

 

魔物っていうのは、古くからいる種族の一つではあるが、違う種族を本能のままに食いつこうとするやつらのことで、人の種と呼ばれるそれ以外の共通の敵と見なされている。

 

熊だけでなく、人型や、パンサーみたいなの、果ては竜なんかもいるけど......

 

そして、その中でも知能が低い魔物は、共通して赤色を見ると興奮する。リーゼが着ている服は......赤色だった。

「リーゼ!」

「ユーノ!?あなたなんで!」

「困った時はお互い様でしょ!」

 

そういいながら、私はリーゼと熊の間に割り込み、迷うことなく魔法を詠唱する。

 

「ーーーーーーーーーーーー!」

 

詠唱が必ず必要なのは、超上級魔法か、あるいは......

 

『fog・beast!!』

 

私が使いこなせる魔法の一つ。固有魔法。

 

名前は、『fog・beast』。

 

魔力の塊を動物の形に変えて、操ることができるというもの。

 

生成限界の3匹を全て獅子の姿へ変化させ、熊に突撃させる。あっちはまとわりつくように攻撃するおかしな動物に困惑しているように見えた。今のうちに!

 

「リーゼ!そっちの子支えて、早く逃げよう!」

「分かってます!」

「リーゼお姉ちゃん...」

「ぐすっ...ひっく...」

「もう大丈夫ですから!さぁ早く!」

 

腰を抜かした子を一人ずつおんぶして走り出す私たち。しかし

 

「なんであんなに早く走ってますの!?普段なら赤色でもそんなにならないはずなのに!」

 

いつも出会うときは、こっちから逃げれば追ってくることはほとんどなく、追ってきたとしても遅いから逃げ切れるはずだった...だからこそこの森に子供だけでも入っていいと言われていたのに。

 

『ブラッディ・ベア』は私が作った獅子を振り払いながら、リーゼに向かって走ってくる。このままではいずれ追い付かれてしまう。

 

さらに。

 

「前からもう一匹!?」

 

逃げている先からも『ブラッディ・ベア』が迫ってきた。完全に挟まれる形。脇道に逃げようにもおぶった状態で雪道を走るのは...

 

「戦うしか...ない」

 

私は背負っていた子を降ろし、腰にかけていた短剣を抜いて飛びかかった。つばぜり合いになる私の短剣と熊の爪。だが

 

「こんなに強かったっけ!?」

 

一瞬拮抗したように見えたものの、すぐに押され始める。かといって、強化魔法をさらに強めたら後ろの熊と戦わせている『fog・beast』の制御がしずらくなってしまう...

 

(このままじゃあ皆を守れない......こうなったら、本気で魔法を......あっ!)

 

考え事をしているうちに短剣が弾かれてしまった。そのまま降りおろされる熊の爪。あれが当たったら私は一撃だろう。

 

「ユーノ!!!」

 

(あぁ...こんな突然死ぬんだなぁ......)

 

リーゼの声を聞きながら、ぼんやりそんなことを考える私。

 

そして、降りおろされた爪が私の体に......

 

 

 

 

 

当たらなかった。

代わりに、熊の腹から出ているのは剣先。

 

「え......?」

 

状況を理解できずにいると、熊はそのまま私の横を倒れた。

 

そして、その影に隠れていたのは......

 

「魔物とはいえ俺だけなら逃げるけど、人に手を出すんなら容赦はしないぜ......お前ら、皆無事か?」

 

黄金の剣を持ち、吸い込まれそうな黒い瞳で、アルト声を響かせる黒髪男の子でした。

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