アスモディ・ストーリー (Asmody Story) 作:メレク
「ううん......もう朝?」
まぶたを擦りながら起きると、もう明かりが出ていた。何時かはわからないけど、まだ皆は起きてないらしい。
「せっかく早起きしたんだし、外に出てみようかな」
なんとなく思って2階の部屋から階段を使って降りると、玄関が開いていて......
「まさか......泥棒!?」
あわてて玄関を開けると、外には少し遠くにテイカー君がいるだけだった。
(あ、テイカー君も同じだったんだ)
早起きした仲間を見つけた嬉しさからか、突然現れた存在に興味があったからなのかはわからない。ただ、そのまま近づこうとする私に気づかずにテイカー君は目を閉じていた。そして、
「テイカーく......!?」
右手から太陽の光を反射して輝く剣ができるのを見て、驚くと同時に。
その姿に見惚れてしまった。
「きれい......」
「ッ!」
思わず呟いてしまった一言に驚くテイカー君。
「あ、ごめん...迷惑だったよね?」
「いや、別に大丈夫だ。それよりこっちが起こしちゃったか?」
「ううん。早起きしただけだから」
「そうか。ならよかった」
「...」
なんとなく気まずいので、話題を変更してみることにする。
「そ、その剣はテイカー君の?」
「あ、あー...」
今思えば不思議だった。旅をしている風だったのに手元に武器を持ってないこと。そして、突然剣や槍を出せること...だから、この質問が出ちゃうのは当たり前ではあった。
それを聞いて少し困ったような顔をするテイカー君。もしかして話しちゃいけなかった!?
「あ、ご、ごめん」
「あぁいや、どうせ二回も見られてるし...教えてもいいか。これは俺の一番得意な魔法なんだよ。色々条件はあるけど、武器とか生活用品とかなんでも、魔力の持つ限り何回でも作ることができる。こうやって消すこともな」
そう言って、剣を消してみせる彼。でもそれより、
「なんでも!?それって固有魔法じゃ......新魔にもいたんだね」
私が気になったのはそっちだった。基本魔法である炎や氷をはじめ、何かを生成できる魔法があるのは知っていたけど、なんでも作れるのは初耳だった。しかし、
「ちょっとちがうな。新魔は、きっと知ってるだろうけど、基本は固有魔法を持たずに、中級魔法やそこからの応用が得意でこういったのが使える奴は限られる。それに、旧魔のはほとんど魔力の消費だけで固有魔法が使えるが、こっちは色々と制約が付いたものが多いからな。俺のだと、一度に一つしか作れなかったり、自分のイメージで強さががた落ちしたりな...でも、詠唱はなくてもいい。それぞれ長所と短所があるんだよ。俺達の中では限定魔法って呼ばれてる」
「へー....よく知ってるね」
「そりゃ自分の魔法だし、色んな話を聞いたからな。そういうそっちは、変わった動物みたいなのだったよな?」
「あ、うん。『fog・beast』って言って、魔力の固まりを動物の形にして出せるんだ。自分の魔力をそのまま持っていかれるから少し辛いけどね」
私が言うと、テイカー君はうーんとうなってしまった。
「でも、そんだけ魔力があれば平気なんじゃないか?」
「へ?」
「だって、ユーノ魔力はちょっと見ただけでもその多さがわかるくらいすごい量だけど?」
「う......」
バルトさんやお父さんには言われたことあるけど、テイカー君まで言ってくるとは...
「なんか理由ありか?」
テイカー君は察しがよすぎるよ......
「......私ね。魔力の制御がすごく苦手なの」
でも、なんで私はこれを話しているんだろう。昨日あったばかりの人なのに。
「魔力は固有魔法で持っていってもらうか、強化魔法で垂れ流すことくらいしかできないし、初級魔法も使いこなせないくらいダメダメなの」
自分の弱気な気持ちが限界だったのか、家族以外の誰かに聞いてほしかったのか、昨日リーゼに言われて落ち込んでいるのか。
「ふーん...そうなのか」
それとも。
「もうちょっと詳しく聞かせてくれる?」
この人ならどうにかしてくれると思ったのだろうか?
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それから私はテイカー君に少しずつ、自分のことについて話していった。
魔力はあっても魔法を使うのが苦手で、強化魔法と固有魔法しか使いこなせないこと。そして...最大火力なら基本的な魔法も打てることも。
すると彼は
「つまり、魔力をそのまま流すのが得意で、なにか他の炎や氷に変えるのが苦手と。でも、できないわけじゃない」
「うん......」
「そんで、旧魔でも、この村でもここまで出来ない人はいないと。こんなもんか?」
「はい......」
「敬語になるなよ。別に気にしないし...な?」
笑って話しかけてくるテイカー君。自分から話しておいてあれだけど、不安になってきた......
「ちなみに杖は使ったのか?あれは魔法の力をあげるだけじゃなく制御のしやすさも上がるはずだけど」
「この前やったら......氷魔法を打とうとして、暴走して、空に向かっていったら雪になって......」
「.........は?」
テイカー君が固まる。無理もない。
「え、待って、氷魔法が雪になんの?え?」
「うぅ...」
普通の暴走(暴走の時点で普通ではないんだけど)は、自分の思った方向に飛ばなかったり爆発したりする。
そんな風に暴走するのならともかく、普通だったら氷が雪になるなんてあり得ない。いや、本当にたまたま季節外れの雪だっただけなのかもしれないけど...私にはそうは思えなかった。
実際に起こったことだけど、自分でも信じられない位だし...それに、もしこの村にそのまま落ちたら......
私は、人殺しになっていたかもしれない。そんな罪悪感もあった。
「やっぱり、どうしようもないのかな」
ふとテイカー君を見ると驚いた顔のまま
「うそだろ!?一昨日のあれを!?一人で!?偶然とはいえ天候操作したんだぞ!!だれもできたことないだろ!」
「私だって狙ってやったわけじゃないもん」
「それでもすごいだろ!」
素直に感嘆してるように見える。でも。
「...怖くないの?」
「え、なにが?」
「私が怖くないのって聞いてるの!この村を氷漬けにできる魔法を、天候を変えられる魔法を管理できないんだよ!?暴走したら皆殺しちゃうかもしれない!!今体が勝手に作って、ここに...テイカー君に打っちゃうかもしれないんだよ!?」
「ユーノ......」
「私は、私なんてもう......ッ!」
私がうなだれてるところを、ガシッ!と急に両肩をつかんでくるテイカー君。そして
「ひとまず落ち着け。変なところでネガティブになるやつだなぁ...いいか?誰が何を言おうと俺はお前が怖いと思わないし、普通の魔法が使えなくたって良いじゃないか。無理にやる必要なんてない。お前は、お前のしたいことをすればいいんだよ」
「私の......したいこと?」
「そう。大体、なんでそんなに普通の魔法を使いたいんだよ?強化魔法が使えればある程度はなんとかなるだろ?」
「なんでって......」
そう言われて思い出されるのは、周りの皆...リーゼ達が、初級や中級とはいえ火や水なんかを出せるようになる中でなにも出来ず、バカにされる自分。
「私は...皆の使う魔法を一緒に使えるようになって、認めてもらいたい。ううん...自分を......変えたい!」
「...そっか、カッコいいな。お前」
そう言ってニコッと微笑む彼に、胸が高鳴る私......って、ないない!まだ会って二日の人だし!
「顔赤いぞ?」
「ふぇっ!」
言われて両手を頬に当てる。あ、いや、嘘!?
「ひとまずどうするかは後にして家に入るか」
「え?」
「飯の準備も出来たみたいだしな」
そう言ってテイカー君が指さした玄関を向くと、お母さんが。
「あと最後に1つ聞かせてくれ」
「え?」
「もし、自分を変えれるチャンスがあれば、お前は挑むか?」
「......うん」
「そうか、分かった。じゃあ行くか」
「あ...待って!」
歩きだすテイカー君に声をかける。今はせめて、これだけは言わないと!
「テイカー君!話し聞いてくれてありがとう!」
「お前がどうするかは決まってないし、お礼を言われることじゃないけどな。あと、カムイでいい」
ぶっきらぼうに言いながらお母さんと家に入るテイカー...カムイ君。私はそれを、
「うん!」
笑顔で付いて行った。
昨日ガルパン劇場版を見てきました。二回目です。
映画館で同じ映画を見るのは初めてなのですが、五回見るのは普通と友達に言われ震えました。
感想、質問等くれると嬉しいです!