連邦兵のザンスカール戦争記   作:かまらん

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今回も前編と後編に分けてあります


第7話 メッメドーザの襲来 前編

「ウッソ!Vガンダムのパーツは組み立てていいのかー!?」

 

「はい!その方が僕としても合体すると手間が省けるので、お願いします!」

 

MSの整備の為、俺達は格納庫にいた。皆集中して作業しており、中には怒号などが聞こえる時もしばしばある。

俺はレーンを動かし、パーツを運んで行く。そしてそのままコアファイターへと合体させていく。中々これが難しい。

 

「…とよし、これでいいか?」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

周りも、整備が終わりかけている。こちらも一区切りしておくか。

 

「俺のジェムズガンも整備はしてくれたし、少し休憩するか。」

 

側にある木箱に座り、首にかけていたタオルで額の畔を拭う。

 

「はい!…ってうわ!」

 

「ウヒィ!?」

 

頬にヒンヤリとしたものを当てられ、ウッソと俺は悲鳴をあげる。何事かと、後ろを振り向くと、

 

「ホント、この2人は反応が面白いね」

 

「ウ、ウヒィだってさ、ぷ、ふふふ」

 

シュラク隊のヘレンと、ケイトがドリンクを携え、笑っている。…というかほぼ、俺の悲鳴に関して笑われている。

 

「不意に冷たいものなんて心臓に悪いぞ!」

 

俺はケイトから渡されたドリンクを手に取り、ありがとうと感謝の意を述べる。熱気溢れる格納庫の中で飲むドリンクは格別と美味い。

 

「しかし、ウッソとメオ、まるで兄弟みたいだったね」

 

「確かにあのやり取りはそれっぽかった!」

 

ヘレンとケイトが笑いあう。そんなに兄弟みたいなやり取りだったか?さっきのウッソとの会話を脳内でリピートする。しかし、何も思い当たる節が無い。

 

「どちらかと言うと、オデロとウッソだろ。兄弟っぽいのは」

 

俺と違って、年もウッソと近いからな…それに、何か共通点とかあったか?

 

「確かにそれは言えるけど…でも、やっぱりメオかな。性格は違うけど、何となく似てるんだよね」

 

ヘレンとケイトは2人同時に、ね〜と声を合わせる。何か小馬鹿にされている感じで、少し苛立ってしまう。

 

「に、似てる…?メオさんと?」

 

ウッソも何て反応していいかわからなくなってるぞ。このように、ヘレンは何かと俺をからかってくる。本当迷惑だよ全く。多少世間話をしていると、時計の針が12時を向いていた。

 

「あ、この時間は…」

 

ヘレン達は、顔を俯かせる。

 

「…そろそろだな。ビルの方へ行くとするか」

 

「…そうね」

 

さっきの明るい談話と打って変わり、重く、暗い沈黙が漂っていた。

 

 

 

------

 

 

 

 

公社ビルでの、戦死者の葬いが行われていた。リガ・ミリティアにも、パイロットはいないものの、整備士や通信士などが戦闘中に巻き込まれて亡くなっている。もちろん、それはベスパの方も同じだ。

 

「マンデラさん、わざわざ葬式をここで開いてくれて感謝します」

 

オリファーは、ジブラルタルの宇宙引越し会社の社長である、マンデラ・ズーン氏にお礼を述べる。

 

「こうやって、我々は両陣営の人間を葬いする事により、中立である事がお分かりになられたでしょう。私達はあなた方に対して、立場相応の対応をします。私達は協力などしない!」

 

「マンデラさん!」

 

頑なに、協力の態勢を取ろうとしないマンデラ氏に対して、オリファーは声を荒げる。どうやらとんでもない頑固者らしい。だからこそ、この会社を経営できる立場にいるのだから…その姿勢は間違っていない。

…一体俺は誰の味方なんだ?マンデラ氏の生き様に感心する、自分自身に対して、疑問をを投げかける。

 

「バウッ!バウッ!」

 

「あ!フランダース!!」

 

ウッソと共にカサレリアに住んでいた、シャクティが吠えながら走るフランダースを呼び止めようする。

 

「何とも元気が良いようで…」

 

すると、ビルの自動ドアから赤髪の男が現れた。顔にはマスクをしており、軍服を着ている。…どうやらベスパの者らしい。フランダースは尻尾を振りながら駆け寄り、男の頬を舐めている。

 

「…あいつは!クロノクル!」

 

「お、おい待てよ!!」

 

ウッソはその男の姿を見た途端、男に向かって走り出した。何か因縁でも有るのだろうか?クロノクルという男も、ウッソに対する目は敵対心の様な、疑問の様な、そんな気持ちが入り組んだ、そんな目だ。

 

「奴は一体誰ですか…?」

 

「我らのカミオン隊のリーダーであった、オイ伯爵を捕らえたベスパの軍人だよ」

 

あいつがオイ伯爵を…ギロチンにかける事となった原因か…。ウッソとクロノクルの口論を見ながら、あの時の光景が思い出される。

 

「カテジナさんは何処にやったんだ!!」

 

「私が知るはずが無いだろう!…マンデラさん、戦死者の遺体を運びに来ました。…それとここが戦闘になった弁解をさせてください…!」

 

「そんな事聞きたくなど無い!中立の場で、戦場にした事には変わりはしない!」

 

クロノクルはビルから出ようとする、マンデラ氏を追いかけようしたが、リガ・ミリティアの者達が自分を見ている事に気付き、

 

「マンデラさん!!…くっ、私は交渉をする姿勢だった!」

彼はリガ・ミリティアの老人達に、言い訳を述べる。どうやら、フライパンなどの部隊が勝手に仕掛けてきたようだ。かといって、同じベスパである事には変わりない。

 

「クロノクル中尉、言っている事は本当だと信じられるが、ベスパは君1人だけでは無い。そこは忘れない方がいい」

 

ロメロ爺さんが、クロノクルの甘さを指摘する。この言葉は、全ての戦争に共通するかもな。

指摘されて、眉をひそめたクロノクルは、そのままビルの外へと出て行った。

 

「パイロット達は、MSでクロノクル中尉のトムリアットの動きを監視するんだ。もしかしたらまた武力制圧の為に、ベスパの部隊がくるかもしれない。いいか、もし戦闘になったらビームライフルは極力使うな。マストドライバーを傷つけてしまうかもしれないからな!」

 

俺は含めて、パイロット達は了解と口にし、格納庫へと向かった。

 

 

---------

 

 

「メオには、シュラク隊と行動を共にしてもらうよ」

 

「俺がか?」

 

格納庫と向かった後、シュラク隊と共に、MSのコックピットへと、ワイヤーロープで上昇する。その間に、ジュンコは俺に呼びかける。

 

「マヘリアは治療を受けないといけないからね、2機ずつでジブラルタルを警備してもらう」

 

マヘリアは、あの後骨にもヒビが入っている事がわかった。マヘリアは大丈夫と言っていたが、ガンイージはメインカメラが破損、コックピットの内部機構も故障しており、現在修理中だ。どちらにしても出撃できる状態では無い。

 

「ケイト、メオ!あんた達はマスク野郎をお願い!」

 

「「了解!」」

 

ジュンコは命令を伝えると、ガンイージへと乗り込んだ。流石はリーダー。抜け目が無い。パイロットとしての腕も、指揮官としての判断能力も一流だな。

 

「メオ、よろしく!」

 

ケイトがウインクしてくる。俺も手を振って応答すると、コックピットへと乗り込み、MSの稼働が正常かをモニターで確かめる。

 

「もし、マスドライバーが壊れたとしたら…」

 

どうなるんだろうか。今の所、シャトルはまだ発射はされていないが、レールを走っている途中に破壊されたら、当然民間人の命が危ない。しかし、相手側がそこら辺を配慮して戦ってくれるかどうかわからないんだ。もし壊れたら…

 

「MSごと柱になるしかないか?ハハッ…」

 

独り言で冗談を呟く…が、閉鎖されたコックピット内だ。誰も返事を返す事がない。虚しさを覚えた俺は、ケイト機に続いて、出撃した。

 

 

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「あれか…」

 

市街地の中央にある、ビルの上空にトムリアットが飛行している。

ブロブロとビームローターの回転音のせいで、民間人達に不安を煽らせ、ガヤガヤと人集りができている。

 

「そこのトムリアット!いや、クロノクル中尉だったな!そんな場所でMSなんか動かすな!民間人が危険だ!!」

 

何とか接近させ、敵機との回線を繋げる。

 

『今から、離れようとしているところだ!言われなくてもわかっている!』

 

やはりこの声はクロノクルだ。指摘されたクロノクルは、口調が荒い。

 

『ハッよく言うよ!そんなにプロペラの音を鳴らして、わざとにしか見えないね!』

 

ケイト機の通信も、繋がった。しかし、ケイトは昨日、奇襲された怒りのせいか、彼女も口調が荒い。おいおい余り刺激しない方が…

 

『…!リカール!ファラ司令官!…出るのが早過ぎる…!!』

 

クロノクルのトムリアットが、格納庫がある、滑走路へと向かう。その方向には、またもやフライパンの部隊だ。クロノクルはあの部隊と合流しに行ったのか。やつら、とうとう武力制圧に乗り切ったか。

 

「どうする!」

 

『姐さんの援護に向かうしかないだろ!』

 

颯爽と飛行する、ガンイージに続いて俺も続く。本当に今回の戦闘でマストドライバーが壊れてしまうかもしれないんだぞ?ぺダルを踏みながら、心の中で呟く。

 

「!?ケイトッ!横からミサイルだ!」

 

『何!?』

 

ミサイルの雨が降り注ぐ。咄嗟にケイトと、俺はビームシールドを展開させ、爆発の余波に耐える。くそっ…まだ市街地から近いんだぞ!

ミサイルが発射された方向には、トムリアットと…何だ?紫には変わりないが、トサカの様なブレードアンテナが付いている。そして…

 

「両肩にビームローター…?」

 

『新型よ!気を付けて!!』

 

ケイトの新型という言葉に身震いした。か、勘弁してくれよ、ただでさえ、旧型機で苦戦してるんだ!俺が相手できるレベルじゃないぞ!

 

『あんたは、トムリアットをやって!新型は私がやる!!』

 

「お、おい!待てよ!」

 

確かに、あんな奴の相手をするのはごめんだが、だからと言ってガンイージ1機に任せるのも無茶だ。だが、俺の呼び止めは、虚しくもケイトには届かなかった。

 

ケイトは新型と接近戦を繰り広げる。トムリアットや、ゾロとは違い、ビームローター発生装置は、肩に搭載されている。なので両腕を使える様になっており、接近戦を難なく繰り広げられる事ができている…が…!?

 

「…!?」

 

一瞬の余所見が命取りだった。トムリアットが近づいてきてるのに気付かず、俺は接近を許してしまった。トムリアットのビームトマホークが振りかざされる。

 

「っ!!…何回俺はお前と戦ってきたと思ってるんだッ!!」

 

ビームシールドで防ぎ、胴体へと蹴りを放った。吹き飛ばされるトムリアット。一連の動きの流れをスラスラとできたことにより、このMS(トムリアット)の動きにもだいぶ慣れてきたのがわかる。

 

「反撃なんてさせるかよッ!」

 

さらにショルダータックルでの追撃で、反撃の余地を許さない。そして機体を密着させたまま、ビームサーベルの刀身をコックピットへと向ける。少しの戸惑いが生死を分けさせるんだ。こっちだって死にたくない。そう自分に言い聞かせる。

 

「…っ!!」

 

叫び声が、思っていた通りに出ず、掠れた声になっている。そんな事を俺は気付かず、エンジンに直撃しない様、ビームサーベルをコックピットへと突き刺した。墜落していくトムリアットの手を取り、崖にへと静かに据え置く。

 

「ケイトは、何処へ行ったんだ!?」

 

新型との戦闘を強いられている、ケイト機の姿は無い。さっきまではいた筈だったんだ。まさか、トムリアットとの戦闘中に場所を移動したのか…

周りの状況も、確認するべきだったと後悔し、全周囲モニターの壁を叩く。だが、遠くには行ってない筈だ。そう思い、マスドライバーが1番複雑に構成されている部分へと、バーニアを吹かせる。

 

「何処にいるんだ…?」

 

俺はマスドライバーの中を周辺を見渡す。ジブラルタルのマスドライバーはジェットコースターの様に鉄骨が入り組んでおり、目の錯覚により、MSを目視確認するのが難しい。

すると、すぐ近くに爆発音が聞こえた。まさかと思い、爆音がなった西の方角へと向かった。

 

「なっ!?」

 

すると、ケイト機が、破壊されているマスドライバーの柱を機体の全身を使って支えていた。状況が飲み込めない。何故あんな事になっているんだ。疑問が渦巻く。

 

そんな中、新型は無防備になっているガンイージへと近づいていく。そして高機動での飛行の中で、ビームサーベルを取り出し…

 

 

 

 

 

 




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