「ウッソ両親捜し…頑張れよ」
「はい!」
シャトルへと乗り込む、ウッソを見送る。ウッソは宇宙へと向かい、両親を捜し続けるそうだ。そして、そのシャトルにマーベットも乗り込む。何やらリガ・ミリティアのリーダーである、ジン・ジャハナムに接触するらしい。
シャトルはブースターを吹かせ、レールを走り、上空へと飛んで行った。
「ウッソとマーベットを見送ったんだ。物資も補給したし、いよいよだ…アイルランドのロンドンデリー駐屯地から派遣されたリーンホースの合流に向かうぞ!」
ゴメス大尉の指示で、リガ・ミリティアのメンバーは出発の準備を進める。このジブラルタルを出て、リガ・ミリティアに協力してくれる連邦軍の港へと向かう。
なんだかんだ言って、連邦軍も捨てたもんじゃ無いな。…って、俺も連邦軍所属じゃないか。リガ・ミリティアに馴染んできたせいか、自分の立場がわからなくなってしまう。
「何ボケってとしてんだ!お前も行くんだよ!!」
「わかってます、わかってますって!」
大尉の怒号は、俺にとって耳にタコができるぐらい聞いてきた。煩わしく耳を塞ぎながら、輸送機へと走って行く。
「…」
リガ・ミリティアが向かうルートは、リーンホースと合流してそのまま宇宙進出、そして地球を狙撃しようとする、カイラスギリーの砲撃を防ごうという事だ。だが、リーンホースは既に旧式艦だ。それでカイラスギリー艦隊との戦いは無理じゃないか…?圧倒的にMSが少ないんだ。物量が違いすぎる。
「だからと言って、無視するもんじゃないだろうな」
宇宙からの砲撃なんだ、威力が未知数であり、どれ程までに被害が及ぶのかもわからない。だから、そんなつべこべ言ってないで止めろって事なのか?ゴメス大尉。
「ジャベリンの補給も頼んでみたけど、ちゃんと届くかわからないとか言ってたな…」
恐らくはベスパの偵察により、補給艦が動けないのだろう。
このままジェムズガンで、ベスパの艦隊に立ち向かう…どう足掻いても無理でしょ、これじゃあ俺、死ぬんじゃないか?冗談ではなく本気で。
ロメロ爺さん達メカニックは、お前を殺させないよう、ちゃんと機体をチューンしてやるとか言っていたが、正直不安だ…
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今、輸送機はジブラルタルに別れを告げ、飛行している。そんなに距離も遠くないので、すぐに着くだろうが。
大尉からの、物質や装備の確認の命令を終える。こんなに仕事をしたんだ物凄く眠い。
「…あぁ〜…」
目を擦りながら欠伸をしていると、何だかガヤガヤと賑わっている。
「…ん?何をしてるんだ?」
輸送機の乗客室に向かうと、シュラク隊のメンバーとオリファーが座席に座り、グラスを持って談笑していた。
「お、やっと来たなメオ。既にパーティーは始まっているよ」
グラスを翳しながら、ニカッと笑うとオリファー。パーティー?何の事だ…?っていうか、それ酒だろ?港までに1日中で着くんだから、そんな事したらいけないだろ。シュラク隊も全員がグラスを持っている。何やってるこいつら…
「な、何のパーティーだ?」
「ここまでの戦いで、生き残った記念さ。まあまあ、とにかく座れ座れ!」
無理やり座席に座らせ、俺の手にグラスを持たせる。一体なんだっていうんだ。
「ほら、飲めって飲め!」
「いやいや、飲んだらダメだろ!仮にもまだ、MSを動かす可能性だってあるんだ」
「アハハッ!ノンアルコールだよ!メオ!」
マヘリアが瓶をコンコンと、叩きながら俺に見せつける。
ノンアルコールなのかよ!オリファーの上機嫌な様子を見ていると、まるで酔っ払ってる様にしか見えない。何でこんなに機嫌がいいんだ…
「というかマヘリア、足の怪我は大丈夫なのか?」
ジブラルタルでの戦闘の時、足の骨にヒビが入っていた筈だ。マヘリアの足を見る。やはりギプスをつけていた。
「大丈夫よ!シュラク隊を舐めないでもらいたいね!!」
「マヘリア、アンタピンチだった癖に誇るんじゃないよ」
ペギーがうふふと、マヘリアに痛い所を突く。マヘリアは、うっ、と何も反論できず、ゴニョゴニョと言葉を濁す。
その光景に、俺含めて周りが笑った。…マヘリアは赤面しながら、グラスに入っている、シャンパンを一気飲みする。マヘリアがからかわれているのは初めて見た。
中々新鮮だなぁと見つめていたら、マヘリアは笑っている俺の顔を見て、ムスッと頬を膨らます。何で俺の方を見るんだ…? いい事を思い出したのか、拗ねていた顏が一瞬にして、ニヤニヤ顏に変わる。
「メオ、私のキスにとても驚いていたよね?あれはホント初々しいかったねぇ…」
「がっ!?マヘリア、お前何て事を…!!」
「えー!?案外メオって初心!?」
「ハハハッ!!」
グラスの中のシャンパンを動揺して零してしまう。あの野郎、話題を俺に変えやがったな…!マヘリアのニヤリ顏を睨む。ヘレン達がクスクスと笑っている。オリファーは高らかに笑う。隣のケイトは…あれ?
「…キスされたんだ…へぇ…」
わからないが、この突き放した口調からして、何かに怒っている…というか不機嫌だ。俺は首を傾げる。
「アハハッ!メオ、ケイトはシュラク隊の中で唯一の乙女だから、大事にしてやんなよ!!」
ヘレンがバシバシと、俺の肩を叩く。力の加減ができていないぞ、こいつは1番シュラク隊の中でがさつな女だな。この事を言うと、このままヘッドロックをされてしまう可能性があるので、心の中で悪態を吐く。
というか、乙女とかそんなの関係あるのか?ケイトを見つめると、視線に気付いたのか、そっぽ向いてしまう。俺が一体何をしたっていうんだ。
「そういや、あの時の台詞、どういうのだっけ?え〜と」
「ちょ、やめてくれ」
ケイトは俺の思い出したくない、過去を掘り返そうとする気だ。勘弁してくれ、思い出すだけで、何であんな事を言ったんだろうと後悔してるんだ。
「おうおう、どんなのだ?ケイト」
オリファーがシャンパンを、グビグビと飲む。やっぱ酔ってるだろ。ノンアルコールなのに、何だこの男は。
…やばいな、オリファーが突っ掛かってきたら、話題が俺中心になってしまう。
「そうだ…!オリファー、マーベットとは上手くいってるのか?」
「ゴフッ!!な、メオ…!」
「「それ聞きたい!!」」
女性は色沙汰の話が大好物だ。シュラク隊も例外ではない。目を輝かせ、オリファーに全員が視線を移す。フェイントを喰らったオリファーは目を泳がせながら、しどろもどろになる。
「まぁ、その…アレだな。何というか…」
全員が無言の状態。オリファーにとっては苦痛気周りないものだろう。すると、タイミング良く輸送機が着陸した。
「あ、着いてしまったな!この話はまた今度で!!」
オリファーは逃げる様に輸送機へと降りて行った。シュラク隊は、聞きそびれたと、不満を撒き散らす。…が、ジュンコだけ様子がおかしい。
「…」
「どうしたんだジュンコ?」
「あぁ、いや何でもないよ。…息抜きは終わっただろ。さっさと輸送機からMSを取り出すよ!」
ジュンコの命令で各自、輸送機へと降りて行く。…そういや、俺のジェムズガンはどうなっているんだろう?
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輸送機からリーンホースへの物資やMS、はたまた人員が乗り移ると、早速リーンホースの格納庫でMSの整備をやっていた。
ガンイージ、Vヘキサ…各種のMSを眺めながら、1番奥にあるジェムズガンを見る。胴体、腕の修復はどうやらできている…様だが、破損した右腕の方は、小型のビーム兵器が付いている。ビームガンといったところか?
「これだけか…?」
貧相にも程があるぞ。こんなんでチューンと言えるのか。俺は文句を付けようと、整備士達に指示しているロメロ爺さんの方へと向かう。
「…ん?あぁ、中尉か。どうしたんじゃ?」
「どうしたもないですよ、チューンしてくるんじゃなかったんですか?」
ロメロ爺さんは、毛根のない頭部を摩り、首を傾げる。
「今しておるぞ?…ほら、あれを見ろ」
何を言っているんだ、とばかりに目を細め、俺の後方へと指をさす。振り返ると、4連装マシンキャノンの砲塔が見える。というか、ありゃあ…
「Gキャノンのヤツじゃないですか!」
「ほう、Gキャノンを知っているのかい、若いのにすごいのう」
カッカッカと笑うロメロ爺さん。いや、確かに30年前の機体だが、未だに配備されているんだ。俺が昔、配属していた基地ではそうだった。連邦のやる気のなさを嘗められては困る。
「まさか、あれを搭載するんですか?」
「いけないのか?」
「いやぁ…いけないって訳じゃ…」
何とも言えない…マシンキャノンなんて、ベスパのMSに対抗できるものか?不安が生じる。宇宙なんて、軍事訓練以来だぞ?宇宙でどんなMSがいるのかもわからない。
「この武装とかって、もしかして元々このリーンホースにあったんですか?」
「そうじゃ。まぁ…あっただけ良かったと思うぞ?少なくとも死ぬ可能性が減る」
死ぬ可能性が減っても、戦闘では勝てるのかよ!そう叫びたかったが、我儘がいえる様な潤沢な組織じゃないんだ…リガ・ミリティアは。
「あとは、宇宙への改装と出力強化するから…大丈夫、中尉の腕ならやれるさ」
…まぁ、そんな事まで言われたら仕方がないよな、うん。別に照れたわけじゃない、俺は自分に言い聞かせる。
「メオ中尉ー!ゴメスたい…いや、艦長がお呼びです!」
メカニック…いや、これからはオペレーターか。金髪の少女、ネスが俺を呼んでいる。ゴメス大尉も、このリーンホースの艦長となるそうだ。正直、無理難題な作戦を立てたりしそうで不安だが。
ネスの呼び声に、手を翳して応答しブリッジへと向かった。
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「地球連邦軍、バグレ隊の生き残りであるユカ・マイラス中尉です」
「えー…こちらも同じく、地球連邦軍所属のメオ・マルス中尉です…って、同じく階級だから肩苦しいのはやめにしないか?」
カイラスギリー艦隊との戦いで生き残った、連邦軍人がこのリーンホースに配属される事となったらしい。またもや、ユカも女性だ…しかも美人。リガ・ミリティアは女運に恵まれているらしい。
「確かにそうね…ゴメス艦長、Vに搭乗している、天才パイロットとはこの方でしょうか?」
「い〜や違うね。こいつはまだまだ未熟…と言ってやりてぇが、ジェムズガンでベスパのMSと張り合ってる。中々見込みある奴だ。」
「彼が…ジェムズガンで!?」
連邦軍による、ジェムズガンの評価は厳しい。MSではなく、
「同じ連邦軍人として、貴方の様な方を尊敬します。今の連邦に、そのような腕を持っている方がいるとは…」
物凄く褒められる…けど、俺も辺境の地で腐れていた、その連邦の1人だったとは言えないな…。何とも微妙な気持ちになり、気難しい顔をする。
「しかし、このオンボロ艦でベスパに対抗するんだ。戦いは厳しいものになるぞ?」
まぁ、無茶だよな、カイラスギリー艦隊は連邦の艦隊を壊滅に追いやったんだ。レジスタンスで対抗できるか…。
しかし、ユカはそんな事に躊躇せず、答える。
「結構です!私はベスパに復讐できれば満足であります!」
「その意気だ!MSデッキで待機しといてくれ!」
「「はっ!!」」
ユカ含めて、バグレ隊は敬礼する。流石、カイラスギリー艦隊に噛み付いていたバグレ隊…。大敵と戦った経験者は覇気が違うな。そんな事を考えると、ゴメス艦長の容赦ない拳骨が俺を襲った。
「ッテェ!?」
「お前も待機だよアホンダラ!!」
涙目になりながら、俺は逃げる様にデッキへと向かった。あの艦長、人の頭を叩き過ぎだ。俺の頭の中が、いつか頭おかしくなってしまうぞ。そんな冗談を心の中で呟いた。
ジェムキャノン…ジェムズガンキャノン…ダサい(確信)
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