連邦兵のザンスカール戦争記   作:かまらん

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終わりのないディフェンスでもいいよのギョロ目ゾロアット大好きです


第9話 僅かな休息

「ウッソ両親捜し…頑張れよ」

 

「はい!」

 

シャトルへと乗り込む、ウッソを見送る。ウッソは宇宙へと向かい、両親を捜し続けるそうだ。そして、そのシャトルにマーベットも乗り込む。何やらリガ・ミリティアのリーダーである、ジン・ジャハナムに接触するらしい。

シャトルはブースターを吹かせ、レールを走り、上空へと飛んで行った。

 

「ウッソとマーベットを見送ったんだ。物資も補給したし、いよいよだ…アイルランドのロンドンデリー駐屯地から派遣されたリーンホースの合流に向かうぞ!」

 

ゴメス大尉の指示で、リガ・ミリティアのメンバーは出発の準備を進める。このジブラルタルを出て、リガ・ミリティアに協力してくれる連邦軍の港へと向かう。

なんだかんだ言って、連邦軍も捨てたもんじゃ無いな。…って、俺も連邦軍所属じゃないか。リガ・ミリティアに馴染んできたせいか、自分の立場がわからなくなってしまう。

 

「何ボケってとしてんだ!お前も行くんだよ!!」

 

「わかってます、わかってますって!」

 

大尉の怒号は、俺にとって耳にタコができるぐらい聞いてきた。煩わしく耳を塞ぎながら、輸送機へと走って行く。

 

「…」

 

リガ・ミリティアが向かうルートは、リーンホースと合流してそのまま宇宙進出、そして地球を狙撃しようとする、カイラスギリーの砲撃を防ごうという事だ。だが、リーンホースは既に旧式艦だ。それでカイラスギリー艦隊との戦いは無理じゃないか…?圧倒的にMSが少ないんだ。物量が違いすぎる。

 

「だからと言って、無視するもんじゃないだろうな」

 

宇宙からの砲撃なんだ、威力が未知数であり、どれ程までに被害が及ぶのかもわからない。だから、そんなつべこべ言ってないで止めろって事なのか?ゴメス大尉。

 

「ジャベリンの補給も頼んでみたけど、ちゃんと届くかわからないとか言ってたな…」

 

恐らくはベスパの偵察により、補給艦が動けないのだろう。

このままジェムズガンで、ベスパの艦隊に立ち向かう…どう足掻いても無理でしょ、これじゃあ俺、死ぬんじゃないか?冗談ではなく本気で。

ロメロ爺さん達メカニックは、お前を殺させないよう、ちゃんと機体をチューンしてやるとか言っていたが、正直不安だ…

 

----

 

 

 

今、輸送機はジブラルタルに別れを告げ、飛行している。そんなに距離も遠くないので、すぐに着くだろうが。

大尉からの、物質や装備の確認の命令を終える。こんなに仕事をしたんだ物凄く眠い。

 

「…あぁ〜…」

目を擦りながら欠伸をしていると、何だかガヤガヤと賑わっている。

 

「…ん?何をしてるんだ?」

 

輸送機の乗客室に向かうと、シュラク隊のメンバーとオリファーが座席に座り、グラスを持って談笑していた。

 

「お、やっと来たなメオ。既にパーティーは始まっているよ」

 

グラスを翳しながら、ニカッと笑うとオリファー。パーティー?何の事だ…?っていうか、それ酒だろ?港までに1日中で着くんだから、そんな事したらいけないだろ。シュラク隊も全員がグラスを持っている。何やってるこいつら…

 

「な、何のパーティーだ?」

 

「ここまでの戦いで、生き残った記念さ。まあまあ、とにかく座れ座れ!」

 

無理やり座席に座らせ、俺の手にグラスを持たせる。一体なんだっていうんだ。

 

「ほら、飲めって飲め!」

 

「いやいや、飲んだらダメだろ!仮にもまだ、MSを動かす可能性だってあるんだ」

 

「アハハッ!ノンアルコールだよ!メオ!」

 

マヘリアが瓶をコンコンと、叩きながら俺に見せつける。

ノンアルコールなのかよ!オリファーの上機嫌な様子を見ていると、まるで酔っ払ってる様にしか見えない。何でこんなに機嫌がいいんだ…

 

「というかマヘリア、足の怪我は大丈夫なのか?」

 

ジブラルタルでの戦闘の時、足の骨にヒビが入っていた筈だ。マヘリアの足を見る。やはりギプスをつけていた。

 

「大丈夫よ!シュラク隊を舐めないでもらいたいね!!」

 

「マヘリア、アンタピンチだった癖に誇るんじゃないよ」

 

ペギーがうふふと、マヘリアに痛い所を突く。マヘリアは、うっ、と何も反論できず、ゴニョゴニョと言葉を濁す。

その光景に、俺含めて周りが笑った。…マヘリアは赤面しながら、グラスに入っている、シャンパンを一気飲みする。マヘリアがからかわれているのは初めて見た。

中々新鮮だなぁと見つめていたら、マヘリアは笑っている俺の顔を見て、ムスッと頬を膨らます。何で俺の方を見るんだ…? いい事を思い出したのか、拗ねていた顏が一瞬にして、ニヤニヤ顏に変わる。

 

「メオ、私のキスにとても驚いていたよね?あれはホント初々しいかったねぇ…」

 

「がっ!?マヘリア、お前何て事を…!!」

 

「えー!?案外メオって初心!?」

 

「ハハハッ!!」

 

グラスの中のシャンパンを動揺して零してしまう。あの野郎、話題を俺に変えやがったな…!マヘリアのニヤリ顏を睨む。ヘレン達がクスクスと笑っている。オリファーは高らかに笑う。隣のケイトは…あれ?

 

「…キスされたんだ…へぇ…」

 

わからないが、この突き放した口調からして、何かに怒っている…というか不機嫌だ。俺は首を傾げる。

「アハハッ!メオ、ケイトはシュラク隊の中で唯一の乙女だから、大事にしてやんなよ!!」

 

ヘレンがバシバシと、俺の肩を叩く。力の加減ができていないぞ、こいつは1番シュラク隊の中でがさつな女だな。この事を言うと、このままヘッドロックをされてしまう可能性があるので、心の中で悪態を吐く。

というか、乙女とかそんなの関係あるのか?ケイトを見つめると、視線に気付いたのか、そっぽ向いてしまう。俺が一体何をしたっていうんだ。

 

「そういや、あの時の台詞、どういうのだっけ?え〜と」

 

「ちょ、やめてくれ」

 

ケイトは俺の思い出したくない、過去を掘り返そうとする気だ。勘弁してくれ、思い出すだけで、何であんな事を言ったんだろうと後悔してるんだ。

 

「おうおう、どんなのだ?ケイト」

 

オリファーがシャンパンを、グビグビと飲む。やっぱ酔ってるだろ。ノンアルコールなのに、何だこの男は。

…やばいな、オリファーが突っ掛かってきたら、話題が俺中心になってしまう。

 

「そうだ…!オリファー、マーベットとは上手くいってるのか?」

 

「ゴフッ!!な、メオ…!」

 

「「それ聞きたい!!」」

 

女性は色沙汰の話が大好物だ。シュラク隊も例外ではない。目を輝かせ、オリファーに全員が視線を移す。フェイントを喰らったオリファーは目を泳がせながら、しどろもどろになる。

 

「まぁ、その…アレだな。何というか…」

 

全員が無言の状態。オリファーにとっては苦痛気周りないものだろう。すると、タイミング良く輸送機が着陸した。

 

「あ、着いてしまったな!この話はまた今度で!!」

 

オリファーは逃げる様に輸送機へと降りて行った。シュラク隊は、聞きそびれたと、不満を撒き散らす。…が、ジュンコだけ様子がおかしい。

 

「…」

 

「どうしたんだジュンコ?」

 

「あぁ、いや何でもないよ。…息抜きは終わっただろ。さっさと輸送機からMSを取り出すよ!」

 

ジュンコの命令で各自、輸送機へと降りて行く。…そういや、俺のジェムズガンはどうなっているんだろう?

 

 

----

 

 

 

 

 

輸送機からリーンホースへの物資やMS、はたまた人員が乗り移ると、早速リーンホースの格納庫でMSの整備をやっていた。

 

ガンイージ、Vヘキサ…各種のMSを眺めながら、1番奥にあるジェムズガンを見る。胴体、腕の修復はどうやらできている…様だが、破損した右腕の方は、小型のビーム兵器が付いている。ビームガンといったところか?

 

「これだけか…?」

 

貧相にも程があるぞ。こんなんでチューンと言えるのか。俺は文句を付けようと、整備士達に指示しているロメロ爺さんの方へと向かう。

 

「…ん?あぁ、中尉か。どうしたんじゃ?」

 

「どうしたもないですよ、チューンしてくるんじゃなかったんですか?」

 

ロメロ爺さんは、毛根のない頭部を摩り、首を傾げる。

 

「今しておるぞ?…ほら、あれを見ろ」

 

何を言っているんだ、とばかりに目を細め、俺の後方へと指をさす。振り返ると、4連装マシンキャノンの砲塔が見える。というか、ありゃあ…

 

「Gキャノンのヤツじゃないですか!」

 

「ほう、Gキャノンを知っているのかい、若いのにすごいのう」

 

カッカッカと笑うロメロ爺さん。いや、確かに30年前の機体だが、未だに配備されているんだ。俺が昔、配属していた基地ではそうだった。連邦のやる気のなさを嘗められては困る。

 

「まさか、あれを搭載するんですか?」

 

「いけないのか?」

 

「いやぁ…いけないって訳じゃ…」

 

何とも言えない…マシンキャノンなんて、ベスパのMSに対抗できるものか?不安が生じる。宇宙なんて、軍事訓練以来だぞ?宇宙でどんなMSがいるのかもわからない。

 

「この武装とかって、もしかして元々このリーンホースにあったんですか?」

 

「そうじゃ。まぁ…あっただけ良かったと思うぞ?少なくとも死ぬ可能性が減る」

 

死ぬ可能性が減っても、戦闘では勝てるのかよ!そう叫びたかったが、我儘がいえる様な潤沢な組織じゃないんだ…リガ・ミリティアは。

 

「あとは、宇宙への改装と出力強化するから…大丈夫、中尉の腕ならやれるさ」

 

…まぁ、そんな事まで言われたら仕方がないよな、うん。別に照れたわけじゃない、俺は自分に言い聞かせる。

 

「メオ中尉ー!ゴメスたい…いや、艦長がお呼びです!」

 

メカニック…いや、これからはオペレーターか。金髪の少女、ネスが俺を呼んでいる。ゴメス大尉も、このリーンホースの艦長となるそうだ。正直、無理難題な作戦を立てたりしそうで不安だが。

ネスの呼び声に、手を翳して応答しブリッジへと向かった。

 

 

 

---

 

 

 

「地球連邦軍、バグレ隊の生き残りであるユカ・マイラス中尉です」

 

「えー…こちらも同じく、地球連邦軍所属のメオ・マルス中尉です…って、同じく階級だから肩苦しいのはやめにしないか?」

 

カイラスギリー艦隊との戦いで生き残った、連邦軍人がこのリーンホースに配属される事となったらしい。またもや、ユカも女性だ…しかも美人。リガ・ミリティアは女運に恵まれているらしい。

 

「確かにそうね…ゴメス艦長、Vに搭乗している、天才パイロットとはこの方でしょうか?」

 

「い〜や違うね。こいつはまだまだ未熟…と言ってやりてぇが、ジェムズガンでベスパのMSと張り合ってる。中々見込みある奴だ。」

 

「彼が…ジェムズガンで!?」

 

連邦軍による、ジェムズガンの評価は厳しい。MSではなく、作業機(ワーカー)と言われるまで酷評だった。だからこの反応も無理ないだろう。

 

「同じ連邦軍人として、貴方の様な方を尊敬します。今の連邦に、そのような腕を持っている方がいるとは…」

 

物凄く褒められる…けど、俺も辺境の地で腐れていた、その連邦の1人だったとは言えないな…。何とも微妙な気持ちになり、気難しい顔をする。

 

「しかし、このオンボロ艦でベスパに対抗するんだ。戦いは厳しいものになるぞ?」

 

まぁ、無茶だよな、カイラスギリー艦隊は連邦の艦隊を壊滅に追いやったんだ。レジスタンスで対抗できるか…。

しかし、ユカはそんな事に躊躇せず、答える。

 

「結構です!私はベスパに復讐できれば満足であります!」

 

「その意気だ!MSデッキで待機しといてくれ!」

 

「「はっ!!」」

 

ユカ含めて、バグレ隊は敬礼する。流石、カイラスギリー艦隊に噛み付いていたバグレ隊…。大敵と戦った経験者は覇気が違うな。そんな事を考えると、ゴメス艦長の容赦ない拳骨が俺を襲った。

 

「ッテェ!?」

 

「お前も待機だよアホンダラ!!」

 

涙目になりながら、俺は逃げる様にデッキへと向かった。あの艦長、人の頭を叩き過ぎだ。俺の頭の中が、いつか頭おかしくなってしまうぞ。そんな冗談を心の中で呟いた。

 

 

 

 

 




ジェムキャノン…ジェムズガンキャノン…ダサい(確信)
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