ウルトラマンメビウス -The Day After-   作:高月

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その5

 メテオール――地球外の知的生命体の技術をGUYS総本部が研究し手に入れた、いわばオーバーテクノロジーの総称。Much Extreme Technology of Extraterrestrial Originの略称であり、その運用にあたっては主に安全面から様々な規則が付与されている。

 なかでもGUYS主力戦闘機のガンサマウンターは一分間限定でメテオールが使用可能となるマニューバモードに変形することが可能で、この形態であればクルーズモードでは到底対処しきれない巨大怪獣を一撃で葬り去ることも可能なのである。

 

 ガンブラスターの鋭角的なノーズが左右に分かれ、両翼上部のイナーシャル・ウィングが展開するとともに機体が黄金色の光に包まれた。微妙な気流の変化や慣性などの影響を最大限に受ける形態であるため、同時に機体が前後左右にぶれ始める。

『60……59……58……』

 ナビゲーションシステムの無機質な音声が、制限時間を刻み始める。

「イチノセ、マニューバモードでの火器使用に自信は?」

「あります!」

「スペシウム弾頭弾を使う。キノムラ、磁力光線の発信源はどこだ」

『……両顎の間です!』

「よし、予想通りだ……イチノセ、顎の間を狙え」

「スペシウム弾頭弾の誘導システムが磁力光線で妨害されるのでは?」

「その可能性はあるが、よしんばシステムが異常をきたしてもスペシウム弾頭弾は金属製だ。何もしなくてもぴったりの位置まで運ばれていくだろう」

「なるほど」

 正面に向き直り、射撃システムを起動させるイチノセ。

『41……40……39……』

「スペシウム弾頭弾、ファイア!」

 

 今からちょうど五十年前、初めて地球を訪れた銀色の光の巨人――ウルトラマン。

 彼は八つ裂き光輪やウルトラアタック光線などと呼ばれるさまざまな技を駆使して幾多の怪獣や宇宙人を葬ってきたが、その中でもとくに使用頻度の高かったのが両手を十字に組んで放つ光線技――スペシウム光線である。

 スペシウムとは原子番号133番の元素で、火星ではこれを大量に含む岩石が採掘される。GUYSはこのスペシウムから莫大なエネルギーを取り出し、ついに理論上はスペシウム光線と同等の威力を持つ兵器を完成させるに至った。これがスペシウム弾頭弾である。

 スペシウム弾頭弾が兵器として採用されたのは、十年前の第四次怪獣頻出期に際して当時のCREW GUYS JAPANに配備されたガンウィンガーが最初である。同時期に活躍したウルトラマンメビウスのメビュームシュートもスペシウムエネルギーを使用していたため、そのデータを活用しこの十年でスペシウム弾頭弾は大幅に威力を上げた。採用当初は実際の効果が理論値より劣ることがしばしばだったが、近年ではこれで撃破できない怪獣は現れていない。

 

 独特の金属音とともに目標へ向かうスペシウム弾頭弾。磁力光線の範囲内に入ったあたりで多少軌道がぶれたものの、その後は磁力光線そのもののアシストによって大顎の間に吸い込まれて行き――

 爆発。

 耳障りな鳴き声をあげて、空中でホバリングしていたアントラーが大きくのけぞる。同時に磁力光線が消滅したのか、ガンサマウンターが大きく旋回、離脱する。

『ありがとうございます、隊長! 初陣で殉職とかいくら何でも嫌っスからね』

「命中させたのは俺じゃないぞ、イチノセだ」

『サンキュー、イチノセ!』

「困った時はお互いさま、じゃないか?」

『だな』

 レシーバー越しの会話に耳を傾けながらも、カナタは落下していくアントラーを注意深く観察していた。

(スペシウム弾頭弾が全弾あやまたず命中したってのに、顎の一本も折ることができていない……あの分じゃ大したダメージも受けていないだろうから、体勢を立て直すのも時間の問題だろう)

 その予想通り、アントラーは数千メートルほど落下したあたりで背中の翅を大きく広げた。同時に落下速度が鈍り、反転して上昇し始める。これでは埒が明かない――。

 ここでメテオールも制限時間切れに達した。『Return to cruise』という音声とともに、身体にかかるGがぐっと少なくなる。

(……待てよ)

 カナタの脳裏に、ある一つの考えが浮かんだ。

「キノムラ、やつをビームスキャンしてみてくれ」

『さっきやりましたけど……』

「今のデータが必要なんだ」

『GIG……』

 怪訝そうな声のキノムラ。しかし、ほどなくして『あっ!』という驚いた声がレシーバーから聞こえてきた。

「どうやら予想通りらしいな。キノムラ、データをこっちに送ってくれ」

『はい!』

 即座に転送されてきたビームスキャンの結果を見て、カナタは自分の考えが正しかったことを知った。

「ハナサカ、射撃の成績は同期の中で一番だと聞いたが」

『はい』

「よし……補佐官、フェニックスネスト周辺のシルバーシャークGを起動させてください」

『どういうことだねハルザキくん。大気圏内ではシルバーシャークGといえど威力が落ちるということを、君も知らんわけではあるまい』

「わかってます。でもその前に、ビームスキャンの結果を見てください」

『……これは』

「そうです。アントラーは身体全体が固い表皮に覆われていますが、翅を展開したときだけ内部の脆弱な部分が露出するんです」

 いくら硬い表皮であろうと、羽ばたくときには体内から翅を展開するために開かなければならない。そして鉄壁の鎧を持たなければならない生物というのは、往々にして内部が脆いものだ。

「しかしスペシウム弾頭弾は、先程の攻撃で使い切ってしまいました」

『そこでシルバーシャークGの出番というわけかね』

「そういうことです」

 いくら内部が脆弱とはいえ、現時点で使える最大威力の兵器をぶつけておきたい――つまりはそういうことだ。

「作戦を説明する。ガンサマウンターがフェニックスネスト付近まで低空飛行でアントラーを誘導、直前で上昇。奴が地上に背中を向けたところで、ハナサカがシルバーシャークGで撃破する!」

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