このプロローグは前のと繋がっているというより別視点からのものなのではやめに出したかったんです。
はやめに出せてよかったー!
それではどうぞ!
ーーごめんなさい。
ただ、その一言が頭を回る。
暗い部屋で泣いている私は…既に生きる気力さえない。このまま、死んでしまおうかと思うほどに…。
それでも、彼は生きている。その一つの希望だけが私の心を支えていた。
ーー絶対に…許さない!あいつら、全滅にしてやる!!
そして、それと同時に憎悪まで生まれる。
自分に対しての恨みと彼を攫った政府に対しての恨み。その二つを胸にしまって彼のいる場所を探す日々。
「束のせいではないさ。何故、他人の子をそんなにまでして探すんだ?」
「………でて…いけ。お前なんかに分かるはずがない…」
父親に向けるべきではないひどく冷たい言葉。
(おまえなんかに…れーくんの何がわかる!)
後ろの方で父親という名の他人がため息をつくのが分かった。
ーーあぁ、まだ彼は見つからない。
◆◇◆◇◇◆
目が覚めた束は自分の額に浮かぶ汗を手で拭う。
そしてまた、あの夢を見てしまった。とため息をつき、同時に本当に夢なのか?と不安になる。
彼を見つけて一緒に暮らしている時間の方が本当は夢で、現実はまだ見つかってないのではないだろうか?という不安。
そう感じた束の行動は迅速だった。すぐさま彼が使っている部屋へとむかい扉を開ける。そこにはーー、規則的な呼吸をして寝る彼ーーれいの姿がある。
「良かった…」
思わず零れる言葉。
束はれいに近づき頭を撫でる。その目は愛しい子供を見るような母親の目。
「…れーくんは絶対に何処にもいかせない」
そしてれいが寝ているベッドに横になる。
れーくんがここにいる。そう感じながら束の意識は落ちていった。
モゾモゾと動く振動によって目が覚める。目の前には、冷や汗をかいているれいの姿。その姿をを見て束は、あっ…れーくんの部屋で寝たんだった。と思い出し一応挨拶をしておく。
そして、れいとの会話が始まる。
いつもと同じで学校に行くという話。学校に行きたいとしつこいれいを軽く受け流しながらも頭を働かせる束。
(確か…月が爆発したんだっけ?)
昨日の夜に発表されたニュースを思い出しながらもれいの言葉に耳を傾ける。
『束様、どうやら謎の超生物が椚ヶ丘中学校の3年E組の担任をするそうです。』
突然、頭に響いた声。
それは、耳にしている束が作ったAIが入ってあるイヤホンによるもの。昨日の夜、月について調べていて情報収集用につけていたイヤホンがつけっぱなしだったらしい。
AIは軍事機密を調べられるほど知性を高くしているので情報収集には向いていたのだ。
『ふぅん、じゃあ尚更れーくんを学校に行かせるわけにはいかないねぇ』
『…ですが、E組の生徒には手を出さないというのを条件で担任をするそうです。また、超生物が入るということにより政府の監視がつきます。たとえ、政府がれーくん様の存在に気付いてなにかしようとしてもマッハ20のバケモノがそれを許さないでしょう。』
『そう言い切れる根拠は?』
『超生物は自ら担任になると政府に対して発表しました。なので、担任という責務として生徒を守るかと。それが常識というものでは?』
『政府と超生物が繋がっている可能性は?』
『それは束様も分かっているのでは?その可能性はありません。繋がっていたとしてE組を担当することに何のメリットが?』
『…分かってるよ!』
『それに超生物にはE組生徒に色々教えてあげて?という雪村 あぐりという女性との約束もあるようです。以上のことから1年はれーくん様の危険はないかと』
『他の殺し屋がくることによるれーくんの危険は?』
『多少はあると思いますが…束様がご同行されるというならば危険性はないかと』
そのAIの言葉を聞きながられいと会話をしていた束はれいの顔を見る。今も尚学校に行きたいと喚いている彼はどうやら今日は諦めないらしい。そんなれいに束は折れることにした。今も続いている会話その内容にちょっと危機感を覚えている束だが最後には…学校に行くことを許可しようと決める。
「いや、気にしてる!もうあのことは良いって言ったよね?束のせいだけではなかったと思うし…」
「ううん、あれは私のせいだよ。私があの時…」
「いいんだよ。所詮結果論だし、こうして生活することが出来てるんだから…ってことで学校いかせて?」
「……分かった。でも、束さんも行く!」
その後、束がれいに抱きつかれるということがあったがれいはすぐに朝ごはんを作りに台所へ行った。
『束様よろしいのですか?』
『いいよ、別に。束さんも行くし…それに暗殺の技術やらなんやら叩き込まれると思うかられーくんのためにもなると思うし』
『そうですか。それで私はこれから何を?』
『ひたすら情報収集。殺し屋について調べといて』
『分かりました。それと椚ヶ丘中学校の理事長からの接触を確認しました。』
『へぇー、まぁこっちも用があるし…行きたくないけど行くしかないか。うへぇ、たいぎ〜』
『では、そのように報告しておきます』
AIの通信も終わり束は外に出る準備をしていく。
朝ごはんは…うん、帰ってからゆっくり食べようと決めて台所へ向かう。
「れーくん、用事が入ったから束さん行かなきゃならないんだ。すぐ戻ってくるから朝ごはんは置いといてね!」
「え?束?ちょ…まっ」
れいの言葉を聞く前に束は自分の家を出た。
◆◇◆◇◇◆
全くもって不快だ。
今頃なられーくんときゃっきゃうふふしていた頃なのに…という感じで文句をぶつぶつと言っていく束。
その束の目の前には高級そうな椅子に座る理事長こと浅野 學峯がいる。浅野はにっこりと笑って束を迎えた。
「いや、来てくれて嬉しいよ。束博士?天才と呼ばれている君が学校に来ないのはいただけないが…それでも、こうして会えたことを嬉しく思うよ」
「………用は?」
「ふふふ、あなたは素っ気ないですね。まぁ、いいでしょう。此方は唯単に御礼を言おうと思っただけです。通知を送るために住所を教えて下さってありがとうございました」
そう言って御礼を言う浅野は笑っている。
数日も前のことだ浅野は束の使う端末に連絡を入れた。もちろん束はそんなことはありえないと最初は否定した。
たとえセキュリティーを低くしていたとはいえ束の端末に連絡を入れるなど何重のパスワードが必要になったはずだ。それを彼はやってのけたのだから普通ではない。
そして、届いた連絡の内容は学校の重要な連絡があるので今いる住所を教えてほしいというもの。
束としては教えなくてよいと思っていたのだが、一回とはいえ自分のセキュリティーをかいくぐったのだ。称賛の意味を込めて住所を教えた。今はすでに移動用ラボなので移動しており住所は変わっているが…。
「…………」
「いや、あの時あなたに連絡を入れるだけで丸十日失いましたよ。実に素晴らしいとしかいえません。ですが、あなたはエンドのE組に落ちた。いやぁ、これほど気持ちの良いものはありませんよ」
「………それが?」
「E組は常に蹴落とされる。それがこの学校のルールです。あなたが周りからどれだけ蹴落とされるのか見ものです」
「……へぇ、趣味わるーい。一回しんどけクズが。」
そう言ってにっこりと笑う束。その笑顔は他の人がみたら誰もが逃げ出すだろうそんな悪魔的な笑顔。
(なにこいつ。絶対にれーくんとは会わせられないな。というより会わせたくない)
既に束は目の前にいる浅野を殺そうかと何回も思った。それでも、彼が死んでしまって学校がお休みになってしまえばれーくんに悪い。
(ふん、れーくんに感謝することだね。れーくんのことがなかったら殺してた)
「それでは、束博士。あなたの用はなんです?」
「ここに、超生物がくるのは本当か?」
「ん…情報が速いことで…本当ですよ」
「確認は済んだ。もういい」
「もういいんですか?桐生 れい。彼のことについてなにか言うことはないんですか?」
「……れーくんに手を出してみろ。お前を殺す」
もうすぐ中三である少女とは思えないほどの殺気。それにも顔色一つ変えず浅野は笑っている。
「あなたのせいで彼が人体実験されたのに?私が手を出したら私を殺す?それなら私はあなたと同罪になってあなたも殺されなければなりませんが?」
「…なぜ、それを知っている?」
「それはあなたの知る必要がないことだ。まぁ、楽しみにしてますよ。あなたが学校にくるのをね」
理事長室は二人の殺気により圧がかかっているようにも見える。
束はこんな場所来る価値もなかったと後悔しながらその場を後にした。
束視点でしたね。
次回はやっと原作に入ります!
最近は時間があるのではやめに出せたらと思ってますのでよろしくお願いします。
なお、次回からはよっぽどのことがないかぎり0時に更新させていただきます!