歪んだ愛をアナタに(完結)   作:ちゃるもん

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投稿です。

パチュリーと小悪魔編

では、どうぞ。


第48話 ありがとう

 レミリアさんの部屋を後にして、大図書館、つまりはパチュリーさんたちの所へとやって来ていた。

 

 彼女達には特に何かを借りたわけでもないが、色々と良くしてもらっているのは事実だ。だから、お礼の一つでも言わなければ俺の気が収まらない。

 

 大図書館の廊下を真っ直ぐと進み、パチュリーさんの居るであろう場所まで進んで行く。

 

 本棚達に囲まれるように開けた場所。その中央にぽつんと一台の机。その前に立って本を取っかえ引っ変えしながらものすごいスピードで読んでいる一人の女性。パチュリーさんだ。

 パチュリーさんは俺の視線に気付いたのか、俺に手招きをした。

 

「いらしっしゃい松。今日はどうしたの?」

 

 パチュリーさんは目に掛けていた眼鏡を外しニコリと微笑んだ。

 

「あ……ちょ、ちょっと顔を見せに」

「別に隠さなくてもいいわよ。レミィから聞いてるから」

「そうですか……」

「ああ、でも、美鈴とフランには話してないわ。フランは耐えられないでしょうし、美鈴は実力行使に出そうだしね」

「気を使わせてしまってすいません。ありがとうございます」

 

 いいのよ。と言ってパチュリーさんは椅子に座った。

 

「私から言えることなんてほとんど無いわ。どうせレミィが殆ど言ってるだろうから」

 

 椅子に座ったパチュリーさんは手元の水晶玉を弄ぶ。

 

「ただ、私はあなたの事を結構気に入っていたのよ?昔の咲夜を見ているような……なんて言うのかしらね?保護欲?そんなものを感じていた。だから、最後のお節介」

 

 俺の目の前に水晶玉が浮かんだまま移動してきた。そして、パチュリーさんが手を握り締めると同時に水晶玉は砕け、そこには月の形をしたネックレスが浮かんでいた。

 

「これは?」

「簡単な結界術を持ち運び可能にしたの。本来なら私の管轄外なんだけど……知らない分野もたまには勉強しなくちゃね。これを持っていればその右手は自由に動かせるはずよ。さてと、これで、私の目的は終わったわ。さ、フランのところに行ってあげなさい」

 

 目の前に浮かぶネックレスを受け取り、首に掛ける。

 

「ありがとうございます。パチュリーさん。さようなら」

「ええ、またね」

 

 パチュリーさんに最期の別れを済ませ、フランのいる地下室へと向かう。

 

「お別れはすみましたか?」

「小悪魔さん?」

「ネックレス……受け取ってもらえたのですね。良かったです。それ、パチュリー様がずっと徹夜して、全く知らない白魔法で作られたものなんですよ。それも、かなりの高位魔法で。本来なら、その魔法式は城や国を守るために使われるものなのです。おっと、自分なんかが受け取っていいのか?なんて考えたら駄目ですよ?貴方だから、受け取っていいんです。そこの所を履き違えないように」

 

 俺なんかのために……こんな、俺だから受け取っていい。

 

「そう……ですね。有難く受け取っておきます」

「はい。そうしてください。そして、もう一つ。悪魔の契約というものは、悪魔にとって絶対なものです。貴方が妹様とどのような契約をなされたかは知りませんが……キチンと考えて、どうなさるかを決めてくださいね。私からの話はその程度です。それでは、また、お待ちしておりますね」

「ええ、色々とありがとうございました。ああ、一つ頼みたいのですが……咲夜さんにも謝罪と、別れの言葉を伝えてもらっていいですか?ごめんなさい。と、さようならって」

「その程度でしたら、おやすい御用です」

「ありがとうございます」

 

 小悪魔さんにお礼を言い、階段を下って行く。

 首元に感じる暖かいものを感じながら、頬を伝うものを鬱陶しく感じながら。

 

 

 

 

 さようなら

 

 

 

 ありがとう

 

 

 

 

 なんども、なんども……胸の内で、そう、繰り返しながら。

 一つ一つ、階段を下りていく。

 




お読みいただき有難うございます。

小悪魔はさっくりと
パチュリーは形を残して

誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。

最終回までもう少し。

ただいま活動報告にて次回作のアンケートを行っております。
もしよろしければアンケートへの投票をよろしくお願いします。

では、また次回。
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