竜に選ばれし赤龍帝   作:榛猫(筆休め中)

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前回までの龍に選ばれし赤龍帝……。


仕事の報酬を貰った帰りに事件に首を突っ込んだ悟誠。

後から現れた悟菜帝と協力し、ビーデルと町長の危機を助ける。

その帰り際、18号に浮気と勘違いされボッコボコにされるのであった……。


密漁者に拐われた!?チビを救え悟菜帝!

side悟誠

 

 

「え?チビがいなくなった...?」

 

 

「うん、誠兄ちゃん何か知らない?」

 

そう話すのは弟の悟天だ。

 

現在俺達は、実家である孫家に夕飯をごちそうになりに帰ってきている。

 

どうして急に帰ってきているのかというと、母さんに呼ばれたからだったりする。

 

母さん曰く、『家を出たっきり一度も顔を見せねえ息子はいねえだぞ!』とのことらしい

 

まあ、母さんの事だから、淋しいからたまには顔を見せろってとこなんだろうけど......。

 

と、それよりも今は悟天の問いに答えてやらなくちゃな。

 

「うーん...いや、そんな話は初めて聞いたぞ?トトたちはどうしてるんだ?」

 

そう、今度は悟飯に聞いてみる。

 

 

「えぇ、僕達も今朝、巣の様子を見に行ってきたんですが。チビどころか、トトたちの姿も見当たらなかったんです。それどころか、巣の様子を見る限り、数日帰って来てないみたいで...」

 

巣にも数日帰ってきていない?

 

となると、チビを探して回ってる可能性が高そうだな......。

 

そんな風に考えていると、不意に18号が声をかけてくる。

 

 

「なあ、盛り上がっているとこ悪いけど、その話に出てくるそのチビっての、あの子の事じゃないのかい?」

 

 

「え?なっ...!?」

 

その言葉に俺は思考を止め、18号の見ている先を目で追い、それを見て絶句する。

 

そこには、ステージのような場所に立たされ、目の前の男に鞭で脅され脅えているちっこい怪獣の姿がテレビに映し出されていたのだから......。

 

 

「ッ...あーっ!チビだ!」

 

テレビを見てそう叫んだ悟天の声が、俺にはやたらと大きく聞こえていた。

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

『…クエェ…クエェ…』

 

 

『愛嬌たっぷりの姿に、観客も大喜びです』

 

映像の中でチビが怯えた声を上げながら芸をさせられているをナレーターが場違いなナレーションを読み上げている。

 

 

「何が愛嬌たっぷりだ…怯えているでねえか」

 

晩御飯の準備をしていた母さんが呆れたように呟く。

 

 

「きっと、トト達夫婦が居ない間に拐われたんだ。でなきゃトト達が黙っているわけないよ、兄さんもそう思いませんか?」

 

そう、不意に悟飯が問いかけてくる。

 

 

「え…?あぁ、まず間違いないだろうな…」

 

 

「酷い事するやついるもんだね、親の居ない間に子を拐うなんて…」

 

18号が心底気分が悪そうに話す。

 

 

「チビが可哀想だよ!誠兄ちゃん、助けてやってよ!」

 

悟天が泣きそうな顔でそう話しかけてくる。

 

 

「あ、いや、しかしな…」

 

こうもテレビで騒がれてたんじゃ下手に動けねえし……。

 

そこに悟飯が声をかけてくる。

 

 

「兄さん。僕からもお願いします。僕も手伝いますから、チビを助けてやりましょうよ」

 

 

「悟誠、何渋ってるだ。可愛い弟達の頼みだべ、聞いてやらないで何が兄ちゃんだ」

 

悟飯の言葉に畳み掛けるように母さんが話しかけてくる。

 

助けてやりたいのは俺も同じだ……。

 

けど、状況が状況だけに下手に動くのは不味い……。

 

 

「悟誠、家族がここまで言ってるんだ。やってやったらどうなんだい?」

 

18号までも…逃げ道を塞がれた感が半端ないな……。

 

 

「……分かったやる!やればいいんだろ?チビ一匹助けるくらい朝飯前だ!」

 

最早半ばヤケに近い感じでそう返す。

 

 

「…ッ!ありがとう!誠兄ちゃん!」

 

ったく…けど、受けちまった以上はやり遂げねえとな……。

 

俺はチビをどう助けるかの計画を考え始めるのだった。

 

 

sideout

 

 

―――――――――――――――――

 

 

side悟飯

 

 

翌日、僕は兄さんと共に、チビの現状を知るため、件のサーカス小屋に来ました。

 

 

「ここかチビがいるのは…」

 

 

「凄い人ですね。兄さん、とにかく中に入りましょう」

 

 

「あ、あぁ、そうだな」

 

チビ、待ってろよ?すぐ助けてやるからな!

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

小屋に入って暫く、サーカスを見ていた時でした。

 

 

「さぁ!本日のメインイベント!皆さんお待ちかね!あの怪獣の子供の登場です!!」

 

 

[ワアアアァァァァァァッッ!!]

 

たちまち上がる大歓声。

 

そんな中、チビがステージに連れてこられてきた。

 

 

「クエェ…」

 

チビ…やっぱり怯えてる…すぐに助けてやるからな!

 

とりあえず、あのテレビに出てたあの人にお願いしてみるか。

 

そうして、僕が席を立とうとしたその時だった。

 

 

「待て悟飯、何処に行くつもりだ?まだ途中だぞ?」

 

兄さんが腕を掴んでそれを止めてきました。

 

 

「決まってますよ、あの人に頼んでチビを返してもらうんです」

 

しかし兄さんは首を降り……。

 

 

「止めとけよ…アイツの顔見てみろ…説得したところでアイツが素直に頷くとは思えないぜ?」

 

 

「けど!」

 

早く助けてやらなきゃチビが可哀想じゃないですか!

 

 

「そんなに焦るなって…俺に考えがある」

 

そう言った兄さんは不適に笑んでいた。

 

 

sideout

 

 

――――――――――――――――

 

 

side悟誠

 

 

ショーを見終わり、俺達小屋を出ていた。

 

けど、どうすっかな……。

 

悟飯にはあぁ言ったものの、実はなにも浮かんでいなかったりする。

 

 

『浮かんでいなかッたのか、相棒……』

 

 

『んなもんサラっちまえば良いじゃねえか』

 

いやじ…バーダックさん!?何言ってんすか!!んなことするわけ無いでしょう!?

 

なるべく穏便に……。

 

 

『ええい!まだるっこしい!!変われ!』

 

へ…?あっ!ちょまっ…!!

 

そこで身体の支配権を奪われた俺は、深い眠りの中へと落ちていくのだった。

 

 

sideout

 

 

――――――――――――――

 

 

sideバーダック(悟誠)

 

 

「ったくよぉ…面倒臭えんだよ…生まれ変わりのやるこたぁ…」

 

 

「兄さん?どうかしたんですか?」

 

おっと…息子がいたのを忘れてたぜ。

 

 

「なんでもねえよ、オラ!チビ助けんだろ?着いてこいよ」

 

 

「え…?あ、はい!」

 

よし…さぁ、久々にサイヤ人らしく働いてみるか!

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!』

 

ん?

 

 

『それくらい付けておけ、それは元々相棒の身体なんだからな…』

 

チッ…しゃあねえな…

 

 

「おい、悟飯、おめえも変装しとけ」

 

 

「変装じゃないですよ!変身です!!」

 

どっちでもいいだろ、ンなもん……。

 

 

「何でもいい…さっさとあのチビ拐うぞ…」

 

コイツの相手は疲れそうだ……。

 

 

sideout

 

 

――――――――――――――――

 

 

side三人称

 

 

「どうやら、ここらしいな……」

 

変身した悟飯はサーカス小屋の裏手に来ていた。

 

 

「…ッ!チビ…」

 

サーカス小屋の従業員がその場を離れるのを待ち、悟菜帝がチビの入れられている檻に近づく。

 

 

「クエェ…」

 

突然の訪問者に怯えるチビ。

 

 

「チビ、安心おし。僕だよ、悟飯だよ」

 

 

「クエェ?」

 

悟飯の言葉がわかるのか、怯えなくなるチビ。

 

それを見て檻を抉じ開け中へと侵入する悟菜帝。

 

 

「もう大丈夫だ、さあ、お父さん達のところへ帰ろう」

 

そう言ってチビを背負うと檻を出…ようとしたところ……。

 

 

「誰だてめえは!」

 

そこで従業員の一人に見つかってしまった!

 

 

「私は正義の皇帝だ!」

 

 

「なに?正義の皇t…がっ…!!」

 

最後まで言い切る前に事切れたように倒れる従業員の男。

 

 

「…てめえらとは、出来が違うんだよデキが…」

 

そう言って、男の背後から現れたのは、赤龍帝となったバーダックこと、悟誠だ。

 

悟菜帝が物言いたげに赤龍帝を見ていると……。

 

 

「気絶させただけだ…。オラ、さっさと行くぞ…」

 

 

「あっ…待ってください!」

 

先に飛び立った赤龍帝を追って慌てて悟菜帝も飛び立つのだった。

 

 




オッス!オラ悟空!

あっちゃぁ…チビを拐ったことがバレちまった!!

空も飛べねえし…こうなりゃ走って逃げ切るしかねえ!

ん?アイツは……

次回!龍に選ばれし赤龍帝!

因縁の再開!ビーデルVS龍兄弟!

ぜってえ見てくれよな!

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