修行開始当日、突然舞空術を教えろと押し掛けてきたビーデルをついでとばかりに修行を見てやることにした悟誠。
早速教えようとしたところビーデルは気という概念そのものを知り得ていなかった......
気のコントロールを悟飯に任せ、悟天と組手に入る悟誠なのであった。
side悟誠
「よーし、悟天!思いっきり来い!!」
昼食後、再び移動した俺は再び悟天の相手をしていた。
「悟天!そっちに行ったぞ!捕まえろ!!」
現在俺達は野生動物捕獲に勤しんでいた。
理由は言わずもがな、悟飯があの野次馬娘...ビーデルに付きっきりだからなんだが......。
「うん、任せて!誠兄ちゃん!...ッうわわぁっ...!?」
ドシーンッと勢いよくすっ転ぶ悟天。それをバカにするように転んだ悟天の頭上に飛び乗ったカエルが一声鳴いてどこかへ逃げていく。
「んよっと、このぉ、待てぇー!!」
「逃がすなー悟天ー!...さてと...」
悟天に声をかけた後、チラリと悟飯の方を見る。
視線の先には未だ気のなんたるかを教え込んでいる悟飯の姿があった。
......ありゃあまだもうちっと掛かりそうだな
『全くだ...これでは孫悟天が孫悟飯を超えるのも時間の問題だな...』
そう言ってやるなよドライグ。アイツだって弟に抜かされるなんて嫌だろうし、そうならないように俺がこうして合わせてんだからさ
『別に気にすることはないだろう。アイツは自分が好きでサボったんだろうからな』
ん...まあ、そもそもアイツは戦いが余り好きって訳でもないもんな...というか、ドライグ。今日はいつになく悟飯に対して辛辣じゃないか?
『フンッ...オレが力を分け与えてやったというのに、それを碌に使いもせず腐らせておるからな...』
ふーん、要するに悟飯が最近相手してくれねえから拗ねてんだな?
『なっ...誰がそんなことを言った!?』
いや別に?そんな風に聞こえただけだけどさ
『ちがぞ相棒!!断じて違うぞ!!!!確かに孫悟飯の方が良識があるから、相棒にいいとか、寧ろそろそろ鞍替えしたいと思わなくもないとか考えてなどいないからな!?』
おい!?それ全部オマエの本音かドライグゥゥゥ
『ハッ...』
イヤなんだよそのハッ...はぁ!!そんなにか!?そんなに酷いか俺!?!?
『ま、まあ落ち着け相棒...どうやら、あの野次馬娘がようやく気を理解したようだぞ?』
露骨に話を変えやがった...ん?
ドライグの言葉にそちらを見るとそこには嬉しそうにしている悟飯と両掌から光り輝く小さな球を創り出しているヤジ...ビーデルの姿があった。
「出来た!これが気だよ!やっぱり武道やってるからコツの掴み方が早いよビーデルさん!」
それを不思議そうに見ていたビーデルだったが、ふと気の球を消すと疲れたように両手を地面に付いていた。
「よぉ、やっと気が理解できるようになったみてえだな」
そんな俺に気がついた悟飯がこちらを見る。
「兄さん。えぇ、なんとか気の理解までいけました」
「......悪かったわね!覚えが悪くて!!」
「えぇっ...あ、いやだからさ...」
何を思ったのか悟飯に食って掛かるビーデル。
しかしすぐに気を取り直したように俺の方を見て言う。
「これでいいんでしょう?早く空を飛ぶ方法と修行をつけてくれない?」
ふぅむ...気の理解が出来始めたところで舞空術はちょっと難しいと思うしなぁ......修行を見てやるってのもそもそもそれが出来なきゃ話にならねえだろうし......。
「悪いが、それはまだだ、そこからさらにその気をコントロール出来るようにならねえと、空を飛ぶ方法は教えてやれないな。修行を見てやるなんて尚更だ」
「ッ!なによ、まだ足りないっての!!」
おっとと、こっちにまで食って掛かってきやがった......
「あぁ、そんなんじゃまだまだヒヨッコだよ、俺に教えてほしかったらしっかりと悟飯の言うことを聞いてしっかり学ぶんだな」
それだけ言って俺は悟天のもとへと向かった。
いつまでもほっとくとアイツ危なっかしいからな......
その一時間後、ちゃっかりと気のコントロールを覚えたビーデルがドヤ顔で俺を見ており、俺は奴が帰るまで舞空術の基本を悟天とビーデルに教えていくのだった。
「そういえば悟飯」
「...なんですか?」
「飯のときに母さんが言ってたのを聞いてたんだが、お前ってあぁいう、女がタイプなのか?というか、いつ結婚すんだ?」
「ブッ――!!」
オッス!オラ悟空!
やっとあのビーデルっちゅう奴、舞空術使えるようになったんかぁ!!
じゃあ次は悟誠の修行だな!!
オラは受けたことねえけど、どんななんかな?
次回!龍に選ばれし赤龍帝!
ようやく開始だ!満を持しての悟誠の修行!
ぜってえ見てくれよな!