妖精世界の竜神   作:妖精さん

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第2話

 

 

 フェアリーテイルの一員になったので、闘技場の方を見るとマフラーの男の人と、黒髪の男の人、巨大な男の人、幸薄そうな金髪の女の人、剣士っぽい赤髪の女の人が居る。あれが、我がギルドのメンバー?

 

「赤いばかっぽい人がナツ・ドラグニルで~黒い人が露出狂のグレイ・フルバスターで~」

「しょっ、初代っ⁉ その説明の仕方はいかがなものかと」

「そうですか? でも、実際にそんな感じですし」

「わ、わしが説明します。大男がエルフマンで、金髪美女がルーシィ、そして赤髪がSランク魔導士のエルザじゃ」

「……ん……」

 

 紹介が進んでいき、四つ首の番犬(クワトロケルベロス)人魚の踵(マーメイドヒール)青い天馬(ブルーペガサス)蛇姫の鱗(ラミアスケイル)大鴉の尻尾(レイヴンテイル)。レイヴンテイルが紹介されると、おじいちゃんが怒りだした。

 

「闇ギルドがが参加してよいのか!」

「確かに邪気を感じますね」

 

 足をぷらぷらさせてメイビスが言うけれど、俺は特に感じない。そもそもこの大会はフィオーレ一のギルドを決める大会みたいだ。その名も大魔闘演武という。聞いた話では天狼組が抜けた我がギルドは開催されてから数年。常に最下位だったようだ。しかし、今年は天狼組が戻って戦力が大幅に増強されたらしい。そして、レイヴンテイルはマスター・マカロフの息子が作り出した闇ギルドみたい。闇ギルドは正規ギルドと違って、犯罪行為に手を染めるギルドだ。つまり、おじいちゃんの息子は闇落ちしたって事みたい。

 

「マスター、落ち着いて」

 

 ギルドの人が止めに入る中、じっと闘技場の方を見ていると、大きな人の背中に人形が現れ、それが女の子の姿になった。

 

『小娘は挨拶代わりだ』

『てめぇ、ウェンディを……』

 

 この身体の能力はすさまじく、色々な声を拾ってきてくれる。それに敵意、恨み、そういった感情が向けられているのもわかる。

 

「……あれ……お母さんの、メイビスの……敵……?」

 

 指さしてメイビスに聞いてみる。

 

「敵ですね」

「……なら……我、消す……」

 

掌に魔力を集めていく。

 

「いえ、それはまだいいですよ」

「あの、初代?」

「大丈夫ですよ。彼女の、我が娘の力があれば、何時でも消し炭にしてくれますから!」

「黒いですぞ~~っ!?」

「え~? だって、我が子に手を出したんですし、容赦する必要はないですよね~?」

 

足をぶらぶらさせながら指をあててつつ小首をかしげるメイビス。

 

「それはそうですが……」

「まあ、大会で叩き潰してあげてください。オーフィスも、いいですね?」

「……手段は……?」

「お任せします。まずはお手並み拝見的な?」

「……ん……」

 

 それから、次にフェアリーテイルBチームが紹介された。紹介されたのはおじいちゃんの孫息子である金髪のラクサス。青い髪の毛をしたジュビア、銀髪美女のミラジェーン、黒い長髪のガジル。そして、覆面の男。

 

「あの覆面の人は我がギルドの人間ではありませんね?」

「ごめんなさい、ごめんなさい!」

「だからやめろっていったのに」

「どういう事ですか?」

 

 それから説明されたのはジェラールという人の事。どうやら、彼は別世界の自分がミストガンとして入っていたので、彼としてこの大会に何かの調査に来たそうだ。彼は過去に大犯罪を犯して指名手配を受けた脱獄犯であるそうだ。今は更生して闇ギルドを潰して回っているようだ。そんな彼が選ぶにはベストな選択かもしれない。

 

「強いのですか?」

「それはもう。かつて聖天大魔道士の頂きに居たものですから」

「認めます。フェアリーテイルが優勝する為に」

「さすが初代」

「うちらのギルドっぽいね」

「ですが、バレたら困るのでオーフィスをリサーブメンバーとして送り込みましょう。彼には切り札となって貰います」

「まあ、それがいいでしょう。しかし、彼女は、その……強いのですか?」

「防御力は最強です。おそらく、傷つける事が出来るのは限られているでしょう」

「まあ、あの攻撃を耐えたのなら、そうでしょうな」

 

 二人の会話を無視して闘技場を見ていると、いつの間にかうとうとして眠ってしまっていた。

 

 

 

 

 

 気付いた時には既に始まっていた。それもメイビスの膝枕で。しかし、幽霊なのに俺は触れるみたいだ。

「寝ていてはいけませよ」

「……ん……」

 

 既に試合が始まっていた。第一試合は隠密(ヒドゥン)。参加者はセイバートゥースからルーファス・ロア、ラミアスケイル

からはリオン・バスティア。ブルーペガサスからイヴ・ティルム。マーメイドヒールからベス・バンダーウッド。クワトロケルベロスからイェーガー、レイヴンテイルからはナルプディング。フェアリーテイルAからはグレイ。Bからはジュビアが出ている。この隠密(ヒドゥン)というゲームは闘技場内に具現化の魔法を使って街を作り出し、内部に参加者のコピーを無数に配置して本物に攻撃をあて合うゲームみたい。つまり、互いが鬼であり追われる側。どんな魔法でもいいので一撃与える。ダメージの有無を問わず、攻撃を与えた側が1P獲得して、負傷したら1P減るとの事。コピーに攻撃しても1P減るみたいだ。つまり、コピーを利用して相手の攻撃をさそったり、見つけ次第奇襲を行う事も出来る。

 

「さっそく、お願いしますよ?」

「……わかった……」

 

 複写眼を発動して彼らを見ていく。まず、グレイの氷の造形魔法とルーファスの記憶の造形魔法を解析して覚える。氷の造形魔法は氷を作り刺し、形を好きに決めて相手に放つ魔法で使い勝手がよさそう。そのまま試合が進んでいく。レイヴンテイルは真面目に勝利を目指すのではなく、フェアリーテイルの邪魔に力を注いでいる。そんな中、突然街に雪が降り始める。

 

 

『おーーっと!! これは一体!!? 街の中に雪が降ってきたー!!!』

『イヴ君ね』

 

その雪の原因は雪魔法の使い手であるブルーペガサスの魔導士イヴの仕業。人は寒ければ震え、口から白い息をもらす。しかし魔法で作られたコピーは生きていないのでそのような事はしない。つまり、見つけやすい。

 

「寒さに強い魔導士が何人かいるのは誤算だったけどね。見つけたよ。そこっ!!」

「わぁ!!」

「ぬごぉ!!」

「チィ!!」

 

雪によって本物とコピーを見分けたイヴが一気にベス、イェーガー、ナルプディングへと攻撃を当てていった。でも、寒さに強いグレイとリオンには効いていない。そして、試合開始から一切動いていないルーファスが動いた。彼は町の一番高い所に立っていた。それは隠密(ヒドゥン)のルールに反して、明らかに見つけてくれと言っている。

 

「私は憶えているのだ、一人一人の鼓動・足音・魔力の質。憶えている、憶えているのだ。記憶の造形魔法(メモリーメイク)、星降ル夜ニ」

 

沢山の光線が地上に降り注ぎ、隠れていたプレイヤー達に命中していく。そんな中、レイヴンテイルのナルプディングがルーファスへと攻撃を仕掛けるが、その攻撃は当たる事無く彼の体をすり抜けた。しかし、それはコピーではなく、そこに居たという記憶を再現した魔法だった。ルーファスの記憶の造形魔法は記憶した情報を再現して放つみたいだ。

 

『ぜ…全滅です! 一瞬でセイバートゥースが首位に立った! これがルーファス! これが最強ギルド、セイバートゥース!!』

「どうですか?」

「……覚えた……」

 

メイビスの言葉にそう答える。そのまま見ていると、試合が終わった。結局、フェアリーテイルはレイヴンテイルに執拗に妨害されて、Aは0P、Bは1Pとなった。

 しかし、レイヴンテイル……何か仕掛けて来るのは確実。そうなると、これからも邪魔をしてくるはずで、対策は必要。なら、手出しするにちょうどいい方法がないか、考える。すると頭に浮かんでくるのは何故か黒い蛇。試しに作ってみる。

 

 

 

 次はバトルパート。大魔闘演武は競技パートとバトルパートに別れているみたい。バトルパートは主催者側が勝手に対戦カードを組んでいく。なので、今回はフェアリーテイルAのルーシィとレイヴンテイルの赤髪のフレアの戦いとなった。ルーシィが精霊魔法で最初は押していく。精霊魔法は鍵が必要なので複写眼で模倣しても使えない。というか、普通に自分で戦った方が強い。でも、レイヴンテイルの髪の毛の魔法は使える。これで変形まで出来たら黒猫のイヴちゃんやトラブルの金色の闇みたいで面白いのに。

 

「オーフィス、お願いできますか?」

「ん、任せる」

 

 複写眼で魔法を解析していると、地面を通って髪の毛がこちらに伸びて来てギルドメンバーの子供であるアスカの近くに出て来た。その髪の毛は何時でも子供を殺せるという事を示している。

 

「アスカちゃーー」

「声を出すな。逆らったらどうなるか、わかるわよねぇ?」

 

 俺の異常な身体能力は確かに捕らえているし、複写眼も使っているので操作ミスではなく、フレアの髪の毛はアスカを狙っている。

 

「金髪ぅっ!」

 

 ルーシィは自由に髪の毛で攻撃されている。だから、俺は髪の毛を掴んで思いっきり引っ張ってやる。

 

「んぎぃっ⁉」

「え?」

 

 地中が盛り上がり、髪の毛が出て来る。

 

「人質を取るとはなめた真似をしてくれますね」

 

メイビスの冷たい声が響く。

 

『おおっと、これはどういう事だ~~』

 

 仕掛けをして離してやる。髪の毛は直に向こうへと戻った。

 

『これはどういう事でしょうか?』

『ふむ、なにやら卑劣な事が行われたのかも知れないねえ』

 

 証拠は直に離したから無い。でも、そっちがその気なら容赦しない。

 

「おい、今のなら不正を証明して勝てたんじゃねえか?」

「だよな」

「駄目ですよ。それだったら徹底的に叩き潰せないじゃないですか」

「……ルーシィ、任せる……」

 

 改めて、闘技場の方を見るとルーシィはジェミニを召喚して二人となった。片方はバスタオル姿というエッチな姿だ。会話の内容をきくに、思い付いたのが風呂に入っている最中で直にジェミニにコピーさせたからみたいだ。それから、二人で片手を合わせて魔力を高めていく。

 

「わくわくします」

「……期待……」

 

 複写眼で使われる魔法をしっかりと見る。

 

「天を測り天を開きあまねく全ての星々、その輝きをもって我に姿を示せ……ナトラビブロスよ。我は星々の支配者。アスペクトは完全なり。荒ぶる門を開放せよ。全天88星、光れ! ウラノ・メトリア!」

 

 闘技場全体に無数の星々の球体が降りて来て光り輝く。それらは自由に動き回ってフレアを目指していく。けれど、直ぐに外部からの支援によってルーシィの魔力が消されて魔法自体が書き消された。そして、全魔力を消費したルーシィが倒れる。

 

『おおっと、ルーシィがだう……』

「……いけ……」

 

 ダウン宣言が取られる前に倒れたルーシィの口に、フレアの髪の毛に取り付けて送った、ばれないくらいの一センチ程度の小さな黒い蛇達がルーシィの身体へと入っていく。

 

「あがぁぁぁあああああああぁぁぁぁぁっ⁉」

『……これは、どういう事でしょうか! ルーシィ選手が苦しみだして……』

「オーフィス?」

「……我、怒る……」

 

 一度ならず二度までも不正をした。だから、許さない。こちらもやってやる。

 

 

 

 

 ルーシィ

 

 

 

 

 ウラノ・メトリアを放ち、かき消されて魔力不足で身体が倒れた瞬間、私の中に何か気持ち悪いものが入って来た。

 

『……力、やる……蹴散らせ……』

 

 身体の中が作り替えられていくような激痛に襲われ、絶叫をあげる。それはまるで、少し前にウルにしてもらった魔力を一気にあげる為のオリジンの解放よりも凄い激痛だ。でも、力をくれるって、どういう事?

 

『……我……仲間……助ける……』

 

 フェアリーテイルの紋章が光っている。応援席の方を見ると初代とその隣に居る小さな少女が親指を出してきた。不正には不正、目には目をって事?

 

「……いい、じゃない……やってやるわよ……っ!!」

 

激痛を我慢して立ち上がる。こんな奴らに負けるなんて絶対に嫌。死んだお父さんやミシェル達に顔向けできない!

 

『たっ、立ち上がったぁぁぁぁっ!! 勝者宣言はまだしていませんので試合は再開ですっ!』

「金髪ぅぅっ!?」

 

 身体中が痛い。でも、魔力は今までで感じた事のないほど強大になって、どんどん湧き上がって来ている。というか、身体が勝手に動きだしているんですけれどっ!

 

「黄昏よりも暗き存在(もの)、血の流れよりも赤き存在(もの)

 

 掌を相手に向けて、圧倒的な程の膨大な魔力が集まって収束される。私の中とそれ以外の何処かから膨大な魔力が注ぎ込まれているのがわかる。それも、私の中から湧き上がってくる魔力と同じ物だという事がわかる。

 

『おおっと、また大技かっ!』

『これはとんでもない魔力だね。下手したら聖天大魔道士に匹敵するほどだよ』

 

 有り得ないっ、有り得ない魔力量なんですけどっ!? 爆発したら木っ端みじんになっちゃうっ!

 

(……問題……無い……)

 

 いや、ありまくりだってっ!

 

時間(とき)の流れに埋もれし偉大なる汝の名において、我ここに竜神に誓わん、我らが前に立ち塞がりし全ての愚かなるものに、我と汝が力もて、等しく滅びを与えんことを」

 

 魔法を唱え、収束されると同時にウラノ・メトリアが消された時みたいにどんどん魔力が消えていく。でも、それ以上に供給されて魔法が完成されていく。それはつまり、一度は私の身体に入った魔力が大量に出ていく訳で、強制的に器が広げられていく激痛に襲われる。私は頑張って耐える。耐えるしかない。

 

「ドラグ・スレイブ」

 

 放たれた漆黒の破壊の嵐はフレアの横を通り、フェアリーテイルの観覧席へと直進していく。

 

「……ん……」

 

 それを黒髪の幼い少女が殴って方向を空へと変えた。空中で大爆発が起こり、風圧で回りが悲惨な事になった。そんな中で私は立っていて、身体が勝手に動き対戦相手の頭を持って、持ち上げる。更に口が勝手に動いて再度、詠唱を唱えだした。それも知っている魔法、妖精三大魔法の一つを。

 

「集え! 妖精に導かれし光の川よ。照らせ!! 邪なる牙を滅し、消滅させる為に。塵は塵に、ちゃんと綺麗に掃除しないとね?」

「ひっ、ひぃいいいいぃぃぃっ⁉」

 

 恐怖のあまり、失禁してしまった彼女はせめられないと思う。自分の口から勝手に漏れているけれど、どう考えても魔王だ。

 

『そこまで! 勝者、フェアリーテイルっ!!』

「ちっ、命拾いしたな……次は無い……」

 

 身体が勝手に動いてフレアを投げ飛ばして、空に手を突き上げる。そのまま片手を握るようにすると、私の体内に暴力的な膨大な魔力が満ち溢れて暴れ出す。どんどん身体の中に吸収されていく。

 

(?……歓声、起きない……不思議……)

「いや、当然でしょ!? あっ、戻った」

 

 辛い激痛の中で不思議そうな声が脳裏に響き、観覧席を見ると黒髪の幼い少女が不思議そうに首をかしげている。それに対して激痛に慣れたくないのに慣れてしまった私は思わず突っ込んでしまった。

 

「とりあえず、身体の自由を返してくれないかな?」

(……物凄く、痛い……医務室のベッド……運ぶ……)

「……お願いします……」

 

 強制的に器を広げられたのだから、明らかに修行で受けた激痛よりも激しい物がまた襲ってくる。いや、今度は死ぬかも知れない。なので、ありがたく好意を受ける事にした。

 

 

 

 

 

「やり過ぎではないですか?」

「……やり、すぎ……?」

「あの、初代? それにオーフィスよ、一体全体、なにをしたんじゃ?」

「それは秘密ですよ。秘密は女を綺麗にしますから」

「……秘密……」

 

 

 

 

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