妖精世界の竜神 作:妖精さん
次の日。ユキノを撫でていたので一睡もしていない。だが、この身体は全く問題ない。なんせ、六日ほど海と大地の上を寝ずに走り続けても問題なかったのだから。
「……んん……ここは……」
ユキノが目覚めて俺のの胸元から上を見て、こちらの顔を見て来る。
「……おはよう……」
「あっ、オーフィスさま……そうでした、昨日は……」
「……大丈夫……?」
「申し訳ございません。私は大丈夫です」
「ん」
涙で濡れていた目元を拭いてあげる。
「ありがとうございます。」
「……大丈夫なら……いい……」
「はい」
ベッドから出て着替える。寝間着は男物のワイシャツだけ。寝るときくらいは男物がいい。それに幼女にワイシャツというのもいい。ユキノにも着せてみたので同じ恰好だ。凄く、いい、です。
「あ、お着換えを手伝いますね」
「……ん、任せる……」
着せ替え人形タイム。自分にはわからないゆえに任せる。
「ではでは、今日はこれですね~」
「ひっ!?」
急に現れたメイビスにユキノが悲鳴をあげる。
「あっ、ごめんなさい。ちゃんと自己紹介をしていませんでしたね。私はメイヴィス・ヴァーミリオン。幽霊です」
「よ、よろしくお願いします。ですが、幽霊ですか?」
「はい、そうです。フェアリーテイルの人にしか見えません。それよりも、今日の衣装です。じゃ~ん、ウィッチスタイルです」
「……母親……我、拒否する……」
「仕方ないですね~。なら、こっちです」
魔女っ娘コスチュームの次は白いドレス。まだ、こちらの方がましだ。白い手袋に金色で縁が彩られたもの、ドレス本体も白色でフリルがあしらわれ、金色で紋章が刻まれている。白の長い靴下もあり、前は短く絶対領域が確保されている。肩と背中は丸出しで、胸は覆われている部分がヒモで首の後ろにまわって吊るされている。頭にはホワイトリズム。
「……母親……正気……?」
「妖精の衣装にぴったりです」
「……タスケテ……」
「えっと、その……」
「初代マスターの決定です!」
「ごめんなさい」
「くっ……」
結局着せられた。それから、ごはんを食べて闘技場に向かう。ユキノとメイビスと手を繋ぎつつだ。ユキノはルーシィの精霊、バルゴからメイド服を貰って着せている。ちなみにユキノは一人でいると不安になったり、暗くなりそうだからだ。メイビスは何処かにいってしまいそうだから。もっとも、選手の控室に移動するので今日はお別れだ。
ユキノや皆と別れて闘技場にある選手控室に移動する。そこではミラがお菓子をたくさん用意してくれていた。もちろん、膝の上に乗せられて食べさせてくれる。
『本日、三日目の競技を発表します。競技の名は
魔物が沢山潜んでいるという意味。つまり、魔物がいっぱい。私が出ても楽しそう。
「ミストガンはどうした?」
「……無理……」
「そうよね。評議員が居るんだから」
「それもそうか。んで、誰が出るんだ?」
「ぎひひ、俺が出る」
「……却下。我、出る……」
「おい!」
「……約束……戦車、負けた……」
「ぐっ!?」
俺は闘技場に出ていく。Aからは赤髪のエルザが出てきた。
『フェアリーテイルAからはエルザ選手が出て、フェアリーテイルBからは小さな少女が出てきました。彼女は資料によれば名前がオーフィス・ヴァーミリオンとの事ですが、全くの無名のようですね。しかし、美しい。かなりの美少女ですね』
『しかし、あのような少女がこの競技に参加するというのは大丈夫か心配になります。それとフェアリーテイルに彼女が入っているという情報は評議員にはありませんでした』
『では、ラハールさんも知らないという事ですね』
『ええ。最近はいったのでしょう』
『ヤシマさんはどうですか?』
『わしも知らんが、彼女の名前がヴァーミリオンという事が気になるね』
『どういう事でしょうか?』
『ヴァーミリオンというのは、フェアリーテイル初代マスターの苗字なんだよね』
『それはつまり、その関係者という事でしょうか』
『どうなるかはわからないが、秘蔵っ子の可能性はあるね』
『どちらにしろ、楽しみですね。おっと、マーメイドヒールからはミリアーナ選手のようです』
やっぱり、不思議がられている。でも、気にせずに歩いていく。
『各選手が出そろいました。ここで改めて出場選手を紹介いたします。レイヴンテイルからはオーブラ。ブルーペガサスからはヒビキ。セイバートゥースからはオルガ。マーメイドヒールからはミリアーナ、ラミアスケイルからは聖天大魔道士ジュラ、クワトロパピィからはノバーリ、フェアリーテイルAからはエルザ。フェアリーテイルBからはオーフィスの各選手が出場です』
選手が闘技場に移動すると、上空に魔法陣が浮かんでそこから巨大な建造物が出て来る。アルファスティグマを起動して解析と模倣を開始する。
「解析開始」
こちらと同じようにブルーペガサスのヒビキも魔法を使って解析していく。
「邪悪なるモンスターが巣食うパンデモニウム~!」
頭に三角帽子を乗せたカボチャ頭のマスコットが説明してくれる。
「モンスターが巣食うだと?」
「そういう設定ですカポ。この中には我々が作り出したモンスターが100体おります。といっても、魔法具現体ですので、みなさんを襲う事はございませんのでご安心を。モンスターはSからDまでの五段階の戦闘能力が設定されております。内枠はこのようになっております」
S1、A4、B15、C30、D50。少ない。
「ちなみにDクラスのモンスターは柱を簡単に壊せるくらいです」
ライブ映像を見せてくれる。全然恐怖を感じない。魔法で具現化して攻撃してくるのだろうけど、脅威を一切感じない。
「モンスターの戦闘能力はクラスが上がると倍々にあがると思ってください。Sクラスのモンスターは聖天大魔道士といえど、倒せる保証はないクラスでカボ」
「ふむ」
「皆さんには順番に戦う数のモンスターを選択してもらいます」
それから続く説明を纏めるとこんな感じだ。出場者には順番に闘うモンスターの数を選択する挑戦権が与えられる。出場者が3体のモンスターを選択すれば神殿内には3体のモンスターが現れる。3体のモンスターの撃破に成功した場合その選手には3ポイントが入り、次に挑戦権を得た選手は残り97体から選択してモンスターを倒す。これを繰り返し神殿内のモンスターが0になるか、選手の魔力が0になった場合競技は終了される。
挑戦権で1体選んでもモンスターはランダムで出現する為、ランクはばらばらとなる。ポイントはモンスターのランクではなく、数でポイントが入る。一度神殿に入ると挑戦を成功するまで退出する事は不可能であり、神殿内でダウンした場合はその順番で撃破したモンスターの数は0となる。普通は次の順番までの回復率を計算しなくてはいけない。
「さて、順番はくじできめますので選んでください。どうぞ、お嬢さん」
「ん」
くじを引き抜くと、そこには8番と書かれていた。出番があればいいな。そう思っていたのだけれど。
「このゲーム、くじ運が全てだと思っていた」
そう言ったエルザが全部もっていきやがった。100体全部倒してくれましたとさ。俺は地面にのの字を書いていた。
「えっと、順位を決めないといけませんので、マジックパワーバインダー、名付けてMPF」
「魔力測定装置か」
「では先程の順番でどうぞ」
八番目で聖天大魔道士であるジュラが、8544を出してトップになった。
「……我……殴る」
「いや、魔法でお願いしますガボ」
「おい、てめえがなんで俺の魔法を使えるかわからねえが、俺の方が凄いって、わかーー」
「……えい……」
砂煙が闘技場を覆う。
『おおと、可愛らしい掛け声で殴りました。その手は大丈夫か、オーフィスちゃん!』
「えっと、測定値は……え?」
『すっ、数値は……9999! ただ殴っただけなのに有り得ない魔力です! それにMPFも破壊されております! フェアリーテイルが競技パートをワンツーフィニッシュ!』
歩いて闘技場から出ていく。ミラがお菓子を用意して待ってくれている。
『三日目後半のバトルパートはクワトロパピィのセブスVSマーメイドヒールのミリアーナ!』
勝利はミリアーナ。
『次はブルーペガサスのイヴVSセイバートゥースのルーファス!』
勝者はルーファス。
『次はフェアリーテイルBのラクサスVSレイヴンテイルのアレクセイ!』
これはしっかりと見ていないといけない。でも、ミラが膝の上から逃がしてくれない。仕方ないのでこのまま見ている。戦闘はラクサスがアレクセイに押されている。次にラクサスが押し、アレクセイが押される。そして、またアレクセイが押していく。しかし、アルファ・スティグマには全然別の事が写っている。ラクサスが立ち、レイヴンテイルの
『続いて第四試合。本日最後の試合がぼ』
『フェアリーテイルA、ウェンディ。マーベルVSラミアスケイル、シェリア・ブレンディ!』
二人は出て来ると一緒にこけてしまった。可愛い。
ウェンディ
皆さんが頑張ってくれました。私も頑張って修行したのです。それにオーフィスさんから力を貰いました。皆の為にも頑張らないと。
「行きます!」
「うん♪」
「イルバーニア、イルアームズ、エンチャント」
「おぉ?」
左右に広げた両手から魔法陣を出して攻撃力と速度を倍加させます。前の私だったら普通のアームズなどしかできません。でも、今は違います。
「更に、
全属性への耐性と全身体能力を上昇させます。
「ちょっ!?」
「天竜の翼撃!」
両手から風の刃を無数に発生させて攻撃します。
「北風よ、神の息吹となりて大地を裂けよ! 天神の|北風≪ボレアス≫!」
白い風と黒い風が正面で衝突し、黒い風がかき消されて相手を攻撃します。
「うそっ!? 天神の舞!」
至近距離から私の風を黒い風を巻き上げて防いでしまいました。
「おっどろいた~。凄い威力だね」
「私も驚きました」
「そうなんだ! じゃあ、これから本気だよ!」
「はい!」
互いに一気に空気を吸い込みます。
「天竜のーー」
「天神のーー」
「咆哮っ!」
「怒号」
吐き出した黒と白の風が中心部で混じり合い、周りに暴風を巻きあらします。彼女は倒れて傷ついているけれど、私は神の王冠のお蔭でなんともありません。
「もっと戦いを楽しも」
「私は戦いを楽しむのはわかりませんが、ギルドの為に頑張ります」
「私もギルドと愛の為に頑張るよ」
互いに空気を吸い込んで力を溜める。
「滅神奥義、
黒い羽が何層にも重なっている様な形をした風となって私に襲いかかる。
「滅竜奥義、
結界を展開して弾き飛ばし、閃光の如き風の波動を放つ。
「くっ!!」
防がれました。ですが、防がれるのはわかっていたので即座に接近します。
「なんて力っ!」
「いきます!」
風を纏い、どんどん加速していきます。しかし、避けられました。ですが、空を舞い、空気の壁を作り出してそこを足場にして挑みます。戦う方法はわかってきます。使える魔法もどんどん増えてきます。
「速いっ! でも、私だってっ!」
互いに風を纏って殴り合います。互いの攻撃毎に暴風が吹き荒れ、もの凄い風圧ですです。
「くらえっ、
今度は防がずに受けます。
「私だって、ナツさんみたいにできます!」
一気に吸い込んでいきます。身体の中で暴れまわる力は私の中に入っていた暴れまわる力と一緒になって私の中に溶け込んでいきます。
「うっ、嘘っ!」
「いきます! 天竜神の天撃!」
私が吐き出した力は白と黒が混じり合った光線でした。シェリアさんが私と同じように力を吸い込んでいきますが、吹き飛ばれて闘技場の壁に激突。そのまま埋め込まれてしまいました。
「シェリア選手、ダウンがぼー! 勝者、フェアリーテイルA!」
「だっ、大丈夫ですか!」
走っていくと、目を回しているシェリアさんがいました。私は急いで回復魔法をかけていきます。
「いやー負けちゃったよ。凄いね、ウェンディ」
「いえ、シェリアさんの方こそ凄いです」
私はギルドの力を借りただけですから。最後の一撃は特に私だけの力じゃありません。