妖精世界の竜神 作:妖精さん
ウェンディ
大魔闘演武四日目の夜、私はルーシィさんとナツさん、ユキノさん、シャルルとハッピーと一緒にガジルさんに連れられて地下へと赴きました。そこには竜の墓場があり、ガジルさんはナツさんにトロッコに乗せられて知ったようです。そこで私が覚えたミルキーウェイで死んだドラゴンである翡翠の竜、ジルコニスさんに話を聞きました。大魔闘演武が本来、竜王祭と呼ばれていた事やドラゴンさんを滅竜魔法で倒しまくってアクロノギアが誕生した話などです。そこに私達以外の人、クロッカス駐屯部隊……桜花聖騎士団団長、アルカディオスさんが現れエクリプス計画なるものを教えて頂きました。それはフィオーレ王国が7年の月日を掛けて建造していた、時を渡る力を持つ巨大な扉。建造のために大量の魔力を必要としており、それで大魔闘演武を利用して毎年魔導士達から微量ずつ魔力を奪っていたそうです。間近では魔力吸収力がさらに強まるため、魔法が使えなくなるどころか直に根こそぎ吸収されてしまいました。それでナツさんが倒れてしまいました。この扉はあるだけでいくつもの法を犯しているようで、私達は大臣の人とその兵士達に捕らえられ、エクリプス計画の鍵である星霊魔導士である二人が掴まってしまいました。私達は直に解放されて、ギルドの宿へと戻って皆に報告したのです。
「ルーシィとユキノが捕らえられたか」
「どうすんだよ?」
「大魔闘演武に出て優勝すれば帰してくれるのかはわからん。しかし、国と事を構えるのも不味い」
確かにその通りです。国と戦うのは怖いです。
「しかし、やられたままというのもいけません。ところで、オーフィスを見ませんでしたか? 姿が見えないのですが……てっきり、ユキノ達と一緒だと思ったのですが……」
「え、知りませんよ」
「一緒じゃなかったな」
「何処かほっつき歩いてんじゃねえのか?」
オーフィスさんなら一人でも大丈夫でしょう。
「……」
「初代? 汗が酷いようですが、どうしましたか?」
マスターの言葉にメイビスさんを見ると思いっきり汗をかいています。
「だっ、大丈夫ですか?」
「はっ、はい……きっ、きっと大丈夫です……ええ、多分……」
「どうなさったのです?」
「いえ、オーフィスに何かあったら、物理的に王都が滅びるな~と思ったくらいで……」
「なんですと!?」
「あっ、あの娘はちょっと……特殊でして……」
「あのチビッ子が特殊だってのはそうだろう」
「ああ、とんでもない魔力の持ち主だからな」
「そんな次元じゃありません! あの娘の正体はど……」
「ど? なんですか?」
「いえ、なんでもありません。とにかく、オーフィスも急いで探してください!」
「ですが……」
「うぅ……おねがいですからぁ……」
「わ、わかりました! 皆で手分けして探すんじゃ!」
「はっ、はい!」
「おう」
皆で町中を探しましたが見つかりません。そうなると残るはお城と地下迷宮です。ひょっとして、捕らえられたのでしょうか?
「不味いですよ。もし、捕らえられていたら……脱出の為に頭上を消し飛ばすくらいしそうです……」
「しっ、城など跡形も残らないかも知れませんな……」
「ええ、不味いです!」
そんな会話をメイビスさんとマスターがしていると、エルザさんが宿に戻ってきました。
「マスター!」
「見つかったか!?」
「いえ、ですが手がかりがありました。どうやら地下に向かったようで、その姿が目撃されております」
「なら、迎えと救出部隊を用意しましょう」
それから、チームを別けて大魔闘演武に挑むチームと救助・探索に向かうチームに別けました。私は救助の方です。
オーフィス
てくてくと歩く。行き止まり。てくてくと歩く。てくてくと歩く。行き止まり。てくてくと歩く。行き止まり。てくてくと歩く。行き止まり。てくてくと歩く。行き止まり。てくてくと歩く。行き止まり。てくてくと歩く。行き止まり。てくてくと歩く。行き止まり。てくてくと歩く。行き止まり。
「……我、迷った……」
泣きたくなるくらい進めない。好奇心に駆られて道から外れたのが原因だろう。身体は疲れないけれど、精神的に疲れたのでドラゴンの骨の口から中に入って三角座りしてふて寝する。
ふて寝すると何処か暗い空間についた。目の前にはローブ姿のおじいちゃんが居た。
「……神様転生……?」
「……何を言っている……?」
「??」
神様じゃないのか。だけど、誰だろ?
「……我を誰と聞くか……我は汝……」
「……? 我は我」
「……如何にも……我もまた汝で汝も我……」
「??」
小首を傾げると、目の前の老人の姿が変わっていき、この姿と同じ少女となった。
「少女、なった」
「……我に性別などない……」
男になる事も可能?
「……力の使い方を……思い出せば……」
「……我に、教える……」
「……我、断る……」
「……けち……」
「我、けち。汝もけち」
「むぅ……」
というか、名前がややこしい。
「……名前……」
「オーフィス」
「……それ、我……」
「……我も……オーフィス……」
一緒なのか。いや、同一人物みたいだし、そうなのか。でも、名前が無いとややこしい。
「……名前、考える……」
「……リリス……我、リリスでいい……」
「リリス?」
「……そう、我の分体だった……名前……」
「……我、理解……」
しかし、不思議と納得できる。目の前の娘が俺自身であり、我であるという事がしっくりとくる。でも、これからどうなるのだろうか。憎悪みたいなのも飲み込んだのだけど。
「……問題ない……我とオーフィス、適合率99%。融合率……51%……終了……雑魚、関係……ない……食料……」
「……理解……」
しかし、融合が進んでいるからか力も強くなっている。それに殺せ殺せ五月蠅い奴らを加工する方法もわかった。
「こねる」
「我、手伝う」
幼女二人で仲良くこねこねしていく。
『やめろぉぉぉっ!?』
『きっ、消えてくっ!?』
『作り替えられてくっ!?』
『はひぃっ!?』
こねこねしてして一匹の龍に作り変える。我等の力を与えて尾を食べさせる。
「ウロボロス、出来た」
「我、出来た」
作った龍、ウロボロスを腕に巻き付け、小さく変化させて腕輪に変える。これで便利な武器が出来た。イメージは金髪幼女の身体を持ったおじいちゃん錬金術師のウロボロス。
「我、眠い。寝る」
「我も寝る」
「一緒に寝る」
「ん」
二人で抱き合って寝ると気が付けば元の空間に戻っていた。腕には巻き付けたウロボロスが居るから夢だけど夢じゃない。
「ん、探検」
てくてくと歩く。けれど、今度はウロボロスに先導させる。進んでいくとユキノやウェンディの匂いを感じた。そちらに歩いていくと壁があった。床から匂いがしてくる。
「ここ、壊す」
床を殴りつけると崩壊して我は、下に落ちていく。その途中でウロボロスを大きくして背中に座りながらがれきを食べるように指示して下を見る。すると、ウェンディが大きな植物の蕾の中に捕らえられ、服を溶かされて触手に掴まっていた。
「ふふふ、たっぷりと虐めて殺してあげるわ」
「ひぃぃぃっ!?」
「……同人誌的、てんかい……」
「「え?」」
我の声に驚く二人を無視して飛び降りてウェンディに抱き着く。ぬるぬるして少し気持ちいい。
「ちょっ!? 一撃っ!?」
飛び降りて抱き着くついでに蕾は踏みつぶした。クレーターとなった地面と一緒にお亡くなりになった。
「……ウェンディ、虐める、ダメ……」
「あっ、ありがとうございます……」
「ん、いいこいいこ」
「あうっ」
頭を撫でてあげつつ身体をぺろぺろしてぬるぬるを舐め取ってあげる。ウロボロスが。
「あっ、あのっ」
「? 大丈夫、アレは処理する」
「いえ、この子はドラゴンですか?」
「そう。ウロボロス、食べろ」
「ひっ!?」
我の指示に従ってウロボロスが花女に襲い掛かる。花女は植物を生やしてくるけれど、引きちぎられたり、ブレスで焼かれたりして相手にならない。
「あらあら、あんなの食べちゃ駄目よ? お腹を壊すから」
「そんな問題じゃないですよ!」
ウェンディをミラに預けるとタオルで綺麗に拭いてくれた。だから、我のゴスロリ服を渡して着て貰う。その間にウロボロスに花女は飲み込まれた。
「いっ、生きてますよね?」
「ん、生きてる。飲み込んだだけ。吐いたらいい」
「それは便利ね。この子も食べてくれる?」
「ん、問題ない」
二人を食べて保存。
「しかし、これってどうなってるのかしら?」
「我、作った」
「魔法って事ですか?」
「そう、多分」
「まあ、今はルーシィ達を助けに行きましょう」
「ん、乗る」
「少し、わくわくします」
「そうね」
ウェンディを我が抱えて乗って、更に我にミラが抱き着く。この状態でウロボロスを走らせる。ユキノの所まで一直線。邪魔な壁はブレスで粉砕。
「ねぇ、今までどこにいたの?」
「昨日から探してたんですよ」
「ん、迷ってた」
「迷子ですか?」
「迷子、違う。迷ってただけ」
「迷子ですよね」
「違う。我、迷子違う……」
「はいはい、そういう事にしておきましょうね」
「むぅ」
進んでいくとルーシィとユキノ。それにおじさんが溶岩に落ちようとしていた。
「たいたいた~い」
「先いく」
この溶岩、魔法みたいで温度はそこまで高くない。だから、高速で接近してルーシィとユキノをウロボロスへと投げる。正確にはその上に居るミラに。ついでにおじさんは適当な場所に投げ飛ばしておく。
「たい?」
「ん、ぬるい」
この溶岩風呂、やはり温い。
「なにものタイ!?」
「我、オーフィス。フェアリーテイル」
「つまり、罪人たいね!」
「違う、罪人、お前」
「たい?」
「ルーシィとユキノ、傷つけた。ぎるてぃ」
「何言ってるたい? というか、なんで溶けないたい!」
無視してお腹がすいていたのでこの溶岩を飲み込む。
「なーっ!?」
「けぷっ」
いっきに全部を飲み込んだせいで少し疲れた。
「お、おまえっ、ドラゴンスレイヤーたい!?」
「違う、ただのドラゴン」
近付いて頭を掴み、地面に押し付ける。クレーターが出来てからもぐりぐりして頭皮が二度と生えなくする。
「ちっ、地形効果っ、重力帯!」
「? なにか、した?」
「!? 100倍っ!」
「少し、重い?」
「ばばばばば、ばかなたい!?」
「これぐらい、する。地形効果、重力帯×重力帯」
「たんまーーっ!?」
質量という数の暴力により、重力はやがて限界を迎えて重力崩壊を起こす。これによって、ブラックホールが作成される。
「……これでフィナーレ……重力崩壊臨界点、突破……」
「た~いっ!?」
「ブラックホール・クラスター」
「待ってください! 大丈夫ですから、私達は平気ですから」
「そうよ。殺したら問題になるの!」
「? 王国ごと、消せば問題ない」
「いや、可愛く小首を傾げても問題ありすぎだから!」
「そ、そうです。流石にそれは問題ですから、ね? お願いします」
「……シラカワごっこ……したかった……残念……」
とりあえず、食べさせてナツを探しに行く。ナツは団長をぼこぼこにしていたので、食べさせて終わり。そのまま外に出るとお姫様と怪しいローブの奴が居た。