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《おにぎりの具、何が好き?》
〈しゃけ〉
そっけないやりとり。だけど、詮索してこないのが助かる。
『しゃけかぁ。有っかなぁ。』
冷蔵庫を漁ってみるが、やっぱりない。学校へ行く途中、スーパーでほぐし鮭買ってくか。
*****
「私、これ山本君に渡すの!」
「私は、自分のお昼に。」
「えぇぇぇぇ?誰かに渡さないの?」
クラスの女子が、楽しそうに話す。
今は家庭科の実習。女子総員でおにぎりを作ってる。そうだ、あのイベントだ。ツナが京子ちゃんのおにぎりを食べるイベントだ!
ってな訳で、俺は隼人と自分の分しか作ってません。自分のは、他に具を揃えるのが面倒くさかったから同じシャケ。シャケは美味しくて好きだから、別に問題はない。
「白銀さんは、誰かに渡すの?」
呼ばれた方を向いてみれば、原作ヒロインの京子ちゃん。可愛いな。
『俺?』
「他に白銀っていないだろ。」
こちらは花ちゃん。綺麗ですね。
『祐斗でいいよ。白銀って堅苦しい。』
「本当?じゃ、私も京子でいいよ!」
「私は花。話すのは初めてだな。」
「そうだね!祐斗ちゃんって、ツナ君と仲良いよね。」
『ん?あ、普通に友達だよ。』
「怪しい。」
『本当だって。』
別に避けてた訳じゃないんだけど、今更ヒロインとの初接触。内容は、恋話ですか。
『京子ちゃん、ツナに渡すの?』
「んー、どうしよう。」
『渡しなよ、ツナ喜ぶから。』
喜びすぎて、失神しそうだな。
「でも、祐斗が渡すんじゃないのか。」
『(呼び捨てでいいのかな・・・?)やだなぁ、花。恋する乙女を差し置いて、友達が渡すわけないでしょ。』
「恋って・・・私別に!」
『冗談冗談。でも、これは冗談抜きね。ツナは、京子ちゃんから渡される方が喜ぶよ♪』
「そっか。」
よし、呼び捨てを否定されなかった。花、良い奴だなぁ。
後、何とか俺から話題を反らせた。良くやった自分。別に、隼人って言って良いんだけど、ファンクラブの人たちが煩いし面倒くさい。
おにぎりを六つ作り、三つ鞄に入れる。ん?三つ多い?大丈夫だ、問題ない。
皆作り終わり、教室へと戻る。
「今日は家庭科実習で作ったおにぎりを男子にくれてやるーっ!」
「オーーー!!!」
くれてやるって、結構投げやりな言い方だな。あんなにはしゃいでたのに。
『ほら京子ちゃん、ツナ発見。』
「本当だ。」
「渡すんだろ?」
「うん!」
おう、可愛いな京子ちゃん。信じられるか?これでもまだツナの事好きじゃないんだぜ?恋したらどんだけ可愛くなるんだよ。
「祐斗、顔がオヤジくさいぞ。」
『酷いな花。』
後ろの気配が急に増える。顔は動かさず、千里眼で確認。はい、ビアンキさんですね。隼人姉、初接触。いや、話してはないけどね。てか隼人、姉ちゃんこんな近くにいるけど見えないの?大丈夫なの?馬鹿なの?
ビアンキは、目にも留まらぬ速さで京子ちゃんのおにぎりをすり替える。おお、さすが暗殺者。いや、暗殺者ならもうちょっと気配消そうよ。
そしてツナが接近してくる。やばい、あまり時間ない。
『京子ちゃん、花、見てあそこ。お菓子に群がる蟻みたいw』
隼人に囮になってもらう。二人の目線が隼人に止まってる間に、急いで京子ちゃんのおにぎりを自分のと替える。うわ、これ臭い強烈。気持ち悪くなってきた。誰もまだ俺に気づいてないことを良しと、窓の外に投げる。あー、罪のないカラスが。すまん。
「あれ?どこいったんだ?」
「ツナ君、食べる?」
「えっ!!?」
「積極的だなオイ!」
ツナは、京子ちゃんのおにぎりがまだ毒物だと思ってるのか、顔が青くなる。大丈夫だ。俺が戻しといた。京子ちゃん作じゃなくて、俺作で悪いが。
「シャケ嫌いだった?」
京子ちゃんが悲しそうだぞ!ちゃんとしろダメツナ!てか、京子ちゃんも具シャケだったんだ。良かった。そこまで考えてなかった(汗)。
「いや・・・そ・・・そんなことはなくて・・・っ!?お、美味しそう!」
お、サンキュ。本当に に美味しそうに食べ始めるツナ。嬉しそうに微笑む京子ちゃん。和むわぁ。
千里眼を動かすと、扉に隠れて見ているビアンキさんの顔がすごく驚いてる。そりゃ、だってまだおにぎりすり替えられたって知らないもんな。自分の毒物を美味しそうに食べるツナは、さぞ恐ろしい事だろう。
よし、これでクラスの女子全員のおにぎりがツナに食べられるという女子も男子も悲しいイベントは回避だ。
『一件落着だな、花。』
「おう。まったく、京子ももっと積極的になればいいのに。相手が沢田なのはちょっと納得出来ないが。」
『ツナは良い奴だよ。んじゃ、俺そろそろアレ救出しに行くわ。』
「いってら。」
未だ、群がる女子から脱出できない隼人へと向かう。うわ、怒りそうな顔してる。もう少し我慢しろよ。てか、山本は大丈夫なんだな。うーん、女子の扱い方は山本の方がかなり上か。
『おい、隼人。何やってんだ。』
「あ?知らねーよ、こいつらが勝手に集まってきたんだよ。」
勝手にって。モテる男は大変だねぇ。後、群がってる女子の目線が一斉に自分に突き刺さって痛い。怖い。もうやだ、止めようかな。
「祐斗もおにぎり作ったのか?おま、ちゃんと女子の授業行くんだな。」
『失礼な。体育はいつもいないでしょ。』
「あぁ、そういえば。」
『気づかなかったのか・・・』
コッチへ向かってくる隼人。女子は、相手にされなかったからか離れていく。マダ俺のこと睨んでるけどね!怖いよ!
『ほら、シャケ。』
鞄から、おにぎりを取り出し一つ渡す。
「お、サンキュ。今朝のメールはこの事か。」
『ご名答。』
「あ、獄寺!ずるい、俺のは?」
『は?何で山本の分も作んの?』
「え、だって友達の友達は友達だろ!俺もお前も、ツナの親友だ!」
親友・・・だと・・・?俺が?
どうしよう、すっごく嬉しい。けど、それ以上に問題がある。
『ごめん、隼人。言われて、初めてこの理屈の理不尽さが分かったよ。』
「・・・もう気にすんな。」
『んじゃ・・・武?はい、シャケ。』
「おう!サンキュー、祐斗!」
友達の証として、名前で呼ぶ。まぁ、武は良い奴だ。原作読んでりゃわかる。友達には、何時かなりたかった。初接触があれだったから気まずかっただけで。
「え、隼人君も山本も祐斗のおにぎり食べてるの?」
『よう、ツナ。おめぇの分は無いぞ。』
「えっ!何で?」
『1.今武に食われた。2.お前さっき京子ちゃんから貰っただろ!』
「でどうだったんだ?美味かったか?」
「うん、美味しかったよ。」
『そりゃ良かったな。』
幸せそうなツナ。好きな子の手料理(実は俺の)、食べれて良かったなぁ。
「祐斗のも、悪くねぇぞ。」
「おう、美味しい。」
『そりゃサンキュ。逆に、どうやっておにぎり失敗するのか知りたいわ。』
「あはははは。」
ツナが、遠い目をしながら笑う。お前、失敗したことあるのか。
こんな、くだらないやり取り。これが、俺の新しい日常。楽しい。守りたい。俺も、強くならなきゃな。
後書き:
やっと投稿できた!
作者はこの話を気に入ってて、投稿するのを楽しみにしてました。
原作ヒロイン初登場&祝山本と友達。
よかったねぇ、主人公。友達ができて。
なんか、子供の成長を見守る近所のオバチャン気分です。
今のところ落ちなし、友情物語でいくつもりですが、
主人公と獄寺何か良い感じじゃないか!?
えっ、どうしよう。作者は恋愛モノ書いたことありません・・・
今回も読んでくれてありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。