死亡トリップした守護者はめんどくさがりでした   作:黒猫冬夜

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黒曜編
虫食いされた原作記憶


夏休み明けからしばらく経った、まだ暑さの残る秋の日曜日。普段なら昼寝かゲームをしてる俺は、並中の応接間にいる。一緒にいるのは、何やら真剣そうな草壁さんと機嫌悪そうな雲雀さん。

 

「白銀さん、急に呼んですいません。」

『いえ、大丈夫ですが・・・どうかしたんですか?』

「えぇ。実は昨夜、風紀委員が複数人襲われまして。」

『え?』

 

風紀委員が襲われる?しかも、複数人?おいおいおい。

 

『風紀委員を狙ってんのか?要求とかは?』

「それが、要求らしいメッセージは一つも無くて。」

『唯の辻斬り?それとも風紀委員への攻撃?わかんねぇ・・・全員怪我は?』

「かなり酷く、しばらく入院するみたいです。」

 

つまり、ボコボコにされたのか。

 

風紀委員は、喧嘩の強い奴らが集まってる。入院するほどボコボコにされたなら、相手はかなり強いんだろう。うーん、ますます何がしたいのか謎だ。

 

「あ、思い出しました。メッセージかはわかりませんが、襲われた者は皆歯を抜かれてました。」

『は?』

「えぇ、歯が。」

 

歯?・・・歯・・・はぁ・・・ぁあ!

 

これ、黒曜編か!?確か、原作では風紀委員が黒曜生に襲われて歯を抜かれてた気がする!

 

「並中の生徒が襲われたんだ。黙っていられないのはわかってるよね。」

『なるほど、それで俺が呼ばれたと。』

「相手の尻尾を掴み次第、潰しに行くよ。」

 

黒曜編、何が起きたっけ。

 

確か、雲雀さんサクラクラ病の所為でボッコボコにされてた気がする。チッ、一緒に行動するって知ってたら奇病にかかる前に止めたのに。

 

先輩がボッコボコにされるのを知ってて、何もしないのは無理だな。奇病にかかってんの、半分俺の所為だし。

 

『やっと特攻隊長らしい任務か。背中なら任せて貰って構わないよ。』

 

ニヤリと笑い、返事する。さて、骸をボコボコにしてやりますか。

 

 

 

*****

 

 

 

『ツナ!』

「おはよう祐斗!俺より早く来てるなんて、珍しいね。」

 

月曜日の朝。何時もよりだいぶ早く起き、校門前で見張りをしてるとツナが登校してきた。

 

『風紀委員の見回り手伝ってて。ほら、生徒が襲われてるの知ってるだろ?』

「あっ、うん。祐斗気をつk・・・」

 

緑〜たなびく並盛りの〜〜♪

 

「あれ、うちの校歌?」

『あっ、雲雀さん見っけ。』

「えっ、雲雀さんの着うた校歌なの!?」

 

ツナの後ろから、雲雀さんが歩いてくる。携帯に耳を傾けるその表情は、真剣以外のなんでもない。しかし携帯を直ぐに閉じ、こっちへ一直線に向かってくる。俺は、逃げ出しそうなツナの襟を掴みその場に居させる。

 

「笹川了平がやられたらしいけど、君たちの知り合いだったよね。」

「えっ!?」

 

驚いたツナは、急いで学校から離れていく。きっと向かう先は並盛中央病院。俺も驚いたが、どっちかと言うと自分の原作の記憶の穴の多さに驚いた。笹川兄が襲われるなんて、全然覚えてなかった。

 

「相手が尻尾を見せた。行くよ。」

『・・・イエッサー。』

 

笹川兄、仇を取ってやるから許してくれ。

 

 

 

*****

 

 

 

「ギャ!」

「グェッ!」

「ギャーーー!」

 

目の前の敵を雲雀さんが容赦無く倒していく。 一応後ろを任された俺は、当分意識が戻らないであろう体を踏まないよう気をつけて雲雀さんを追う。

 

敵、と言っても中学生。制服から見て、黒曜中の生徒で間違い無いだろう。今俺たちは、そいつらのアジトのヘルシーランドに特攻中。

 

「オラァァア!」

 

斧を持った体格のいい男子が突っ込んでくる。しかし、素人の大振りが当たるはずもなく、雲雀さんのトンファーが腹部に見事に当たる。後ろに吹き飛ばされた体は目の前のガラスを突き破り、その中に座っている人を現す。

 

六道骸。今回の首謀者であり、今まで戦った誰よりも強い敵。

 

雲雀さんの後を追い、俺も部屋に入る。

 

「やあ。」

「よく来ましたね。」

 

影でよく見えないが、笑ってる事が何となくわかる。そして、俺の前に立ってる先輩も笑ってる事は見なくてもわかる。

 

「随分探したよ。君がイタズラの首謀者?」

「クフフ、そんなところですかね。そして僕は、君の街の新しい秩序。」

「寝ぼけてるの?並盛に二つの秩序はいらない。」

 

雲雀さんから、冷たい殺気が放たれる。もう、笑ってないだろう。

 

「まったくの同感です。僕がなるから君はいらない。」

「それは敵わないよ。君をここで咬み殺す。」

 

雲雀さんはトンファーを構え直し、その側面に棘を出す。不自然でないよう、俺も大鎌を構える。しかし、骸は未だ座ったままだ。

 

「座ったまま死にたいの?」

「クフフフ、面白いことを言いますね。立つ必要がないから座ってるんですよ。」

「君とはもう、口をきかない。」

 

千里眼で部屋の出口を確認する。正規出入り口は俺たちが入ってきた窓の隣の扉、そして骸の後ろの窓。それがダメなら、床に穴を開ければ下に降りれるか。

 

「どーぞ、お好きに。ただ、今喋っとかないと二度と口がきけなくなりますよ。」

 

意味深な言葉と同時に、視界の端に桃色が踊りだず。見上げると、満開の桜の花が透けて揺れる。

 

幻影。これは幻。透けて見えるヘルシーランドの天井がそれを物語っている。

 

千里眼が幻影に有効とは知らなかった。最悪、自分の太ももを切って解除しようと思ってたからかなり助かる。

 

雲雀さんが一瞬ふらつく。支える為に咄嗟に近付くと、大量の冷や汗をかいてることに気付く。

 

「んー?汗噴き出していますが、どうかなさいましたか?」

「黙れ。」

「せっかく心配してあげてるのに。ほらしっかりして下さいよ・・・僕はこっちですよ?」

 

骸では無く俺を向いて喋っている雲雀さんの目は光が無く、曇ってる様に見えた。これは、本格的に危ないかもしれない。

 

「海外から取り寄せてみたんです。本当に苦手なんですね、桜。」

 

桜の幻の輝きが一層増し、雲雀さんも我慢の限界か、傾き始める。急いで彼の腰に腕を巻き、意識のない体が倒れぬよう抱き寄せる。

 

『・・・ったく、何処で先輩の弱点を知ったんですか。』

 

さて、どうするか。取り敢えず、考えるために時間稼ぎをする。

 

「それは、此方の秘密です。」

 

まぁ、マフィアなら知る伝は幾らでもあるだろう。俺には想像できないが。

 

「そう言えば、貴方の名前を聞いてませんね。てっきり、雲雀恭弥は一人で来ると信じてたので君のおもてなしを用意してませんでした。」

『いえ、お気になさらず。』

 

出来るなら、骸と戦いたくない。倒す倒せないは関係なく、これはツナの戦いだからだ。それに、人を庇いながら戦うのは難しい。

 

「それで、名前を教えてくれますか?」

『名乗る時は、自分からが礼儀じゃないか?』

 

雲雀さんの左腕を自分の肩に回す。逃げるのが一番だが、何処から逃げようか。

 

「クフフ、これは失礼しました。名乗ったら君を返せなくなるけど良いですか?」

『いや、それは困る 。』

 

ゆっくりと、入ってきた扉へと後ずさる。骸は少し考えるように頭を下げた後、思いついたように顔を上げる。

 

「もしかして、君が白銀祐斗ですか?」

『イエチガイマスガ。』

「君なら、ボンゴレの10代目を知ってるかもしれませんね。」

 

一瞬、動揺した。そりゃもう、かなり動揺した。漫画みたいに「ツナに何をする気だ!」とか言わなかったのを褒めて欲しい。本当、ポーカーフェース貫くの辛い。

 

『人違いだし、10代目だか20代目だかなんて知らない。』

「そうですか、と言うと思いましたか?」

『ソウデスヨネー。』

 

骸は立ち上がりながら、何処からか槍を取り出す。

 

あかん。あの槍、絶賛近寄ってはいけませんオーラを出してる。オーラの特売日かってくらい出してる。オーラなんて見えないけど出してるのがわかる。あれ、ダメなやつだ。

 

対して俺は片手に雲雀さん、もう片手に大鎌。鎌は片腕では振るえないし、そもそも片手で勝てる相手ではないし、見方を庇いながら勝てる相手でもない。

 

さて、さっき確認した逃げ道は何処だっけ。

 




後書き:

お久しぶりです。夏休みに入り1日12時間くらい寝ている作者です。

書くのが数ヶ月ぶりで、主人公のキャラが掴めない・・・
しかも、最近「ケイの旅」ばっか書いてたので切り替えが辛かった。
スタイルが・・・違過ぎる・・・orz
誰か、前どうやってあんな軽い雰囲気を出してたか教えてくれ。

やっと、黒曜編突入です!いやぁ、長かった。
しかも、ここからどうなるか一切わかりません。
どうしたら原作ブレイクせずに出来るかなぁ。私にはハードル高すぎます。

今回も読んで下さりありがとうございました。
次回もよろしくお願いします!
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