死亡トリップした守護者はめんどくさがりでした   作:黒猫冬夜

31 / 40
グロ注意?


王子何て、来ませんけどね。

目の前には多分鷲とか狙いそうな梟。後ろには希望の出口。片手には戦闘不能の先輩、もう片手には使えない武器。逃げたいのは山々だが、隙を見せた瞬間梟の爪が俺の首を破るのが眼に見える。

 

「さて、10代目の正体を教えて貰いましょうか。」

『教える訳がない。』

 

ゆっくりと後ろへ下がる。しかし槍を悠々と構え、骸は距離を詰めてくる。出口に着く前に刺されるだろう。

 

戦うしかないのか。

 

骸に注意しながら、ゆっくりと雲雀さんを床に下ろす。そして、その前に立ち大鎌を構える。倒す倒さないって言ってる場合じゃない。多分殺されはしないが、拷問位はされるだろう。負けてたまるか。

 

「僕と戦う気ですか。あまりお勧めしませんよ。」

『帰らせてくれなさそうだからね。ここで木っ端微塵になって貰う。』

 

って言っても、花鳥風月は使えない。使ったら確実に雲雀さんまで木っ端微塵になる。流石に、それはまずい。もう先手必勝、突っ込んでやる。

 

骸の眼が不吉に光る。血のような瞳に、「一」の文字が光る。

 

瞬間、骸の真下から無数の蔦が伸びてくる。蔦なんて生易しい表現じゃおかしいか。木の根っこの様に太い植物性の物が、まるで意思のあるかの様に俺へ伸びてくる。

 

『乱れ月!』

 

大鎌を振り回し、近寄る根を刻んで行く。半透明な根は具現化している筈も無く、全く切った感触が無い。

 

「大人しくした方が身の為ですよ。」

『生憎大人しく捕まるような性格じゃ無いんだよね。』

 

足首を掴もうと伸びる根を飛び越え、体に巻きつこうとする根を避け骸へと走る。大鎌を肩の上へと構え、勢いよく振り下ろす。

 

肉を切る感触は、あまり好きじゃない。筋肉の筋が切れ、骨の抵抗を力任せに圧し折る感じを好む事は多分無いだろう。無いことを祈る。

 

しかし、そんな独特の感触が無かった。まるで空を切るように無抵抗に鎌は降り、床に深々と刺さる。無論、浴びるはずの血は無く、そこには人影すら無かった。

 

何処だ。さっきまでそこにいた骸は、どこに行った。

 

「本当、危ないですね。流石並盛中ケンカランキング一位と言うべきでしょうか。」

 

さっきまで目の前にいた人の声が、耳元でした。ありえない現状に、背筋が凍る感覚を覚えた。ゆっくりと見上げると、紅と青灰の瞳が自分を見下ろしている。

 

何か、違和感がある。さっきは「一」と書いてあった筈の目には、今は「四」と書いてある。

 

『・・・目、が。』

「クフフ、気づきましたか。」

 

そっか。何か覚えてる。確か、骸の能力は幻影だけじゃ無かった。

 

「六道輪廻を通った際、色々と能力を授かりましてね。今使ったのは第四の道、修羅道で身につけた格闘能力の闘気。」

 

背中に、冷たく鋭い感触がする。千里眼を使わなくてもわかる。骸の槍だ。動いたら、それで俺を貫く気だろう。

 

骸の手が、俺の目を少し覆っていた前髪を動かす。急に触られたことに、ビクリと体が跳ねる。弱さを見せてしまったのは悔しいが、正直何をされるか分からない状態。神経を張り詰めていた所為か、過敏に反応してしまう。

 

「君の眼は、僕とは違う能力を持っている様ですね。」

『何の事だ。』

「僕の幻覚が通じていない。」

『幻覚・・・?』

「惚けなくても良いですよ。僕が出した蔦を切ってる時、まるで空気を切るように君は鎌を動かしていた。 分厚い蔦を切るのには不釣り合いなほど、力を溜めずにね。」

『・・・チッ。』

 

隠そうとしたけど、バレてたか。千里眼の事は気づいてないみたいだが、状況が悪化してる事には違いない。確か六つある骸の能力の内二つしか知らないのに、此奴は俺の手の内を殆ど明かしている。

 

骸は先程前髪を動かした手を、また顔へと近づける。髪ではなく、目の方へ。

 

俺の目を潰す気か。それとも、繰り出すのか。何方でも、拷問には適している。俺は、それを耐えられる自信がない。

 

ここへ来て、初めて泣きたくなる程の恐怖にかられる。目が潤むのを堪えるため、唇に犬歯を食い込む。鋭い痛みと鉄の味が、恐怖を少しだけ紛らわす。

 

しかし、予想と違い指は軽く目の下を撫でるだけだ。恐怖を植え付けるためには、優しすぎる感覚。何がしたい。

 

「興味深いですね。」

『興味持たなくてよろしい。』

「クフフ、それには少し遅すぎますね。」

 

背中に槍がなければ、まるで恋人の様な状態。言われている内容は愛の囁きより、狂気の囁きでしか無いが。

 

不意に、真上にあった骸の顔が消える。いや、違う。耳元に動いただけだ。吐息が、耳をくすぐる。

 

「欲しくなりますね。」

『はぁ!?・・・あ・・っ・・・!』

 

焼けるような痛みが背中を焦がす。ゴポッ、と不穏な音と共に口に鉄の味が溢れる。

 

『ク・・・ソッ・・・・ぐ・・あ・・・』

 

痛い、では済まない。自分の内臓が破れる感触何て、知りたくなかった。

 

目の前が白く変わり、端から闇より深い漆黒が広がる。ダメだ、意識が・・・

 

「おやすみなさい、囚われ姫。」

 

これは、誰の声だろう。聴きたかったのは、誰の声。もう何も分からないまま、闇に意識を手放した。

 




後書き:

主人公、死亡。皆さんここまでお疲れさまでした〜
次回作も読んでくださいね。

何て冗談はさておき、主人公早くも脱落。
流石に適当な原作知識で骸に挑んで勝てる訳がなかった。
今の所、雲雀さんー意識不明
    主人公ー重症、尚意識不明
とボンゴレチーム最悪の出出しです。

「ケイの旅」のおかげで戦闘シーンの描写が若干上手くなったと思います。
皆さんはどう思いますか?え、なに、変わってない?そうか・・・

今回も読んでくれてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。