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「えっ?何の事?」
場違いに間抜けな声が広場を覆うとしてた静寂を滑稽なまでに砕く。自分のボスの顔やその家庭教師の表情を見たければ見れただろう。けど、俺の目線は目の前の敵にクギ付けだった。
聞きたくない言葉を言い放った敵を全力で睨んだ。仲間が俺を怪しむ様な目線に合わせてたくなかった。もしかしたら、そんな目で見てなかったかもしれない。けど、その時それを冷静に思いつくことは無かった。
《バケモノ》
直接には言われなかった言葉。けれど、不思議なほど残酷に心に突き刺さった。
それは、自分がこの世界にいる筈では無いと突きつけられたかの様な感覚。
正確には、そんなことは無い。唯単に、〈転生〉したのだろうと指摘されただけ。それが他の世界からだなんて一言も無かったし、その様な考えを持ってはいなかっただろう。
けれど、転生してこの世界にやってきた。その転生自体が否定されたら、俺の存在も否定されるのだろうか。
俺は、ここに居ていいのだろうか。
『黙れ。』
「え?」
「何か言いましたか?」
『黙れって言ったんだ!』
「祐斗!?」
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ、聞きたくない!考えたくない!
「どうしました?もしかして、バケモノと呼ばれたのが不快でしたか?」
『それを・・・言うな!』
「どうしたの祐斗!」
黙れ!
大鎌の刃先を地面に引きずりながら、骸へと走っていく。
これが喉に突き刺されば、これ以上フザケタ事が言えないだろう。
『うおおおおおおお!花鳥風月!』
「ククク。」
「えぇぇええ!うわあああ!」
真空の刃の甲高い鳴き声と、床や天井が抉られる鈍く低い音が鳴る。天井が高いからか其処は傷が浅く、崩れ落ちてくることは無かった。
夜神との特訓で強化され、前よりも殺傷性が高い技だ。流石にこれで死んだだろう。自身の回転を止め、鎌を下ろすと目の前にはまだあの男の姿があった。
「何を驚いているんですか?」
だって、木っ端微塵に・・・
「避けれないとでも、思いましたか?」
『嘘だろ。』
今も「四」の文字が俺を呪うように、嘲笑うように見下ろしている。
『うわああああああ!』
「そんなに乱れて良いんですか?」
「祐斗落ち着いて!」
必殺技が叶わない。その事実がパニックを起こした。後先考えずに、先程までにツナ同様骸に突っ込む。
「隙だらけですよ。」
『グッ・・・』
「祐斗!」
また、脳に直接響く声がした。それは以前より強力で、無慈悲。さっきまで感じていた背中の痛みさえも無くし、床に倒れる僅かな衝撃を最後に体の感覚が見事に消えた。
見えない。聞こえない。
「やっと、手に入れました。」
聞こえるのは、ただ一人の狂った言葉。
ごめん、ツナ。俺、完全に乗っ取られたわ。自分の中で何かが弾け、冷静を無くしたのが敗因だ。
骸に操られ、俺はファミリーを殺すのか。それは嫌だ、許せないと嘆く自分がいる反面、
これで問う様な、疑う様な目線に答えなくて済むと囁く悪魔がいる。
あぁ、バケモノだな。
すまん、ツナ。俺の存在で、お前の未来が狂った。お前が進むはずの、栄光に満ちてなくても仲間に恵まれてる道は強制的に閉ざされてしまうのか。
これで終わりだ。ごめんな夜神。折角の転生も、これでお終い。
「クク、せめて貴方のお仲間が貴方の手で殺される姿を見せてあげましょう。」
どれくらい外部と遮断されていたんだろうか。暗闇にも似た無に、小さな窓が現れる。覗くと、俺を見て必死に何かを訴えているツナの姿が。その隣で何か十字架を手で模している隼人が。トンファーを構え、俺を目掛けて走ってくる先輩が。
逃げて。
「あぁすいません。これでは彼らの断末魔が聞こえませんね。」
「祐斗!目ぇ覚まして!」
「10代目、一緒にお経を唱えてください!」
あぁ、馬鹿。お経なんてこんなバケモノに効かないのに。
視界の端から、俺の大鎌の柄が見え隠れする。その存在と用途を主張するように、ゆらゆらと不気味に揺れる。
「さぁ、始めましょうか。」
やだ・・・
タスケテ
後書き:
今週から夏の授業が始まりました。
一週間に二度、冷房のない、水筒持ち込み禁止の粗外にあるラボで八時間過ごします。
辛い。生き地獄だよこれ。
読者たちは毎週この迷走の最新話を読んでいるのか、それともまとめて読んでるのでしょうか?
どちらにしても、長々とお付合い頂きありがとうございます。
今回も読んでくれてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします!