問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回はシナナの生前の名とギフト名が判明します。

もっとも、それに触れるのは次回以降ですが。

それでは本編どうぞ


ギフトカードに刻まれしは・・・・・・

「・・・・・おいシナナ」

 

嫌に神妙な面持ちで、十六夜はシナナに声を掛けた。

 

「なんだ十六夜?」

 

「なんだってお前な・・・・・これどうするんだよ?」

 

「うぅ・・・・・ぐすっ」

 

「よしよし・・・・・・・大丈夫ですよ白夜叉様」

 

そう言いながら十六夜は泣きながら黒ウサギにしがみついている白夜叉を指差した。

 

「ふむ、実年齢はともかく白夜叉はロリだからな。視覚的には問題ないと思うぞ?」

 

「まあそうだな」

 

「「それでいいの!?」」

 

二人のやり取りを聞いていた飛鳥と耀は思わず声を張り上げてしまった。

 

そもそも、何故白夜叉が黒ウサギにしがみついているのかというと・・・・・・まあ言うまでもないであろうがシナナとの決闘が原因だ。

 

シナナに決闘で降参させられるなどかつて魔王であった白夜叉からすればよほどの屈辱なのだろう。すっかり落ち込んでしまい、外見相応に泣きじゃくってしまったのだ。

 

そして近くにいた黒ウサギにしがみついてしまったということである。

 

「私・・・・・元魔王なのに。"サウザンドアイズ"の幹部なのに。"階層支配者"なのに・・・・・・・あんな小僧に負けた」

 

「小僧とは失礼だな。これでも俺は結構いい歳してるんだぞ(前世含めてだけど)」

 

「シナナくん・・・・・今はあなたは何も言わないほうがいいわよ」

 

(でもいい歳って・・・・・・シナナくんいくつなの?)

 

飛鳥はシナナの年齢が気になりつつも、とりあえずシナナを窘めた。

 

「悔しい・・・・・悔しい悔しい悔しい!私の威厳がぁ~!!」

 

黒ウサギの腹に顔をうずめて泣き喚く白夜叉。もはや威厳など微塵も感じられない。

 

(こ、こんな白夜叉様初めて見ます・・・・・・そうとうショックだったのですね)

 

普段は度重なるセクハラ紛いな行為にそれなりに迷惑していた黒ウサギであったが、流石にこの状態の白夜叉を拒むことはできないようで大人しく胸を貸していた。

 

もっとも・・・・・

 

(ぐふっ、ぐふふふふ・・・・・・今なら黒ウサギの胸を堪能できる!)

 

実は落ち込んでいるのは演技であり、普通に黒ウサギの胸を堪能しまくっているのだが。

 

「・・・・・随分とまあ演技派だこと」

 

「え?それどういうこと?」

 

白夜叉が演技していることを見抜いているシナナのこの発言に、飛鳥がどういうことなのかと尋ねる。

 

「ん?ああ、なんでもない。気にするな」

 

しかし、シナナは白夜叉が演技していることを話さなかった。経緯はどうあれああなっているのはシナナが白夜叉を負かしたことが原因だ。

 

あのような負かし方をしてしまったからという理由で、シナナはとりあえず白夜叉を尊重することにしたようだ。

 

「そう・・・・まあいいわ。それよりも・・・・・」

 

「ん?」

 

飛鳥はどこか恥ずかしそうに顔を伏せ、モジモジしていた。

 

「どうした飛鳥?」

 

「その・・・・・・かっこよかったわよシナナくん」

 

顔を真っ赤にさせ、上目遣い気味にシナナを見つめながら飛鳥は言う。

 

「・・・・そうか。それは光栄でございますよ」

 

ニコリと微笑みを浮かべながら、飛鳥に礼儀ただしくお辞儀をするシナナ。

 

それはさながら紳士のような所業だ。

 

「と、そうだ。勝ったわけだし・・・・・・デートに誘いたいんだが構わないかな?」

 

思い出したように言うシナナ。そういえば決闘が始まる前にそんなことを言っていた。

 

「ま、まあシナナくん頑張っていたし・・・・・一回ぐらいならいいわよ」

 

照れくさそうにふいっとそっぽを向きながら、飛鳥はシナナからのデートの誘いを承諾した。

 

「ありがとう。それじゃあデートプラン考えておかないとな」

 

飛鳥とのデートを思い浮かべ、上機嫌になるシナナ。

 

その表情は至極、楽しそうであった。

 

その一方で・・・・・

 

「・・・・ねえ十六夜。これ私達空気になってない?」

 

「・・・・・言うな春日部。なんか虚しくなる」

 

・・・・・耀と十六夜は自らの境遇に不満を漏らすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてようやく白夜叉が落ち着きを取り戻し(演技を切り上げ)、今度はシナナを除く3人への試練が始まった。

 

試練の内容はグリフォンに認めさせるというもの。この試練を耀が振り落とされつことなく、グリフォンの背に跨って地平を一周させることでクリアした。

 

その際、グリフォンの空を踏みしめる飛行術をも会得した。

 

そして耀のギフト・・・・・・木彫りのペンダントについていくつかの議論が交わされた後に、とうとう白夜叉からゲームを勝利した証たる恩恵が一同に送られることとなった。

 

「そうだな・・・・・少々贅沢な代物だがいいだろう。コミュニティ復興の前祝いだ。受け取るがいい」

 

白夜叉がパンパンと拍手を打つ。

 

すると四人の眼前に光り輝くカードが現れた。

 

カードにはそれぞれの名前と身に宿るギフトを表すネームが記されていた。

 

コバルトブルーのカード

逆廻十六夜

ギフトネーム

"正体不明(コード・アンノウン)"

 

ワインレッドのカード

久遠飛鳥

ギフトネーム

"威光"

 

パールエメラルドのカード

春日部耀

ギフトネーム

"生命の目録(ゲノム・ツリー)"

"ノーウォーマー"

 

4人はそれぞれの名とギフトが記されたカードを受け取る。

 

「ギ、ギフトカード!?」

 

カードを見た黒ウサギは驚いたような声を上げる。

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「ち、違います!このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!耀さんの"生命の目録"だって収納可能で、それも好きな時に顕現できるのですよ!」

 

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「なんでそう適当に聞き流すんですか!あーもうそうです!超素敵アイテムなんです!」

 

半ばヤケクソな黒ウサギ。価値があるものなのだろうが・・・・素敵アイテム扱いとは身も蓋もない。

 

「我らの双女神の紋のように、本来はコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは"ノーネーム"だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

ム"だからの。少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

白夜叉は自分のカードを取り出し説明を進める。

 

「ふぅん・・・・もしかして水樹って奴も収納できるのか?」

 

十六夜は何気なく黒ウサギの持つ水樹にカードを向ける。すると水樹は光の粒子となってカードの中に呑み込まれた。

 

十六夜のカードは溢れるほどの水を生み出す樹の絵が差し込まれ、ギフト欄の"正体不明"の下に"水樹"の名前が並んでいる。

 

「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出したりもできるのか?」

 

「出せるとも。試すか?」

 

「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティのために使ってください!」

 

チッ、とつまらなそうに舌打ちする十六夜。黒ウサギはまだ安心できないような顔でハラハラと十六夜を監視している。まあ現コミュニティの惨状からしたら貴重な水をくだらないことに使われたらたまったものではないだろう。白夜叉は両者の様子を高らかに笑いながら見つめていた。

 

「そのギフトカードは正式名称を"ラプラスの紙片"、即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった"恩恵(ギフト)"の名称。鑑定はできずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「へえ?じゃあ俺のはレアケースってわけだな?」

 

ん?と白夜叉が彼のカードを覗き込む。そこには確かに"正体不明(コード・アンノウン)”の文字が刻まれている。

 

「・・・・いや、そんな馬鹿な」

 

ヤハハと笑う十六夜とは対照的に、白夜叉の表情の変化は劇的であった。

 

パシッと表情を変えた白夜叉がカードを取り上げる。

 

「"正体不明(コード・アンノウン)"だと・・・・?ありえん。全知たる"ラプラスの紙片"がエラーを起こすはずなど」

 

真剣な眼差しでカードを見る白夜叉は、不可解とばかりに呟く。

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」

 

パシッと十六夜がカードを取り上げる。

 

だが、白夜叉は納得できないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。それほどギフトネームが"正体不明"とはありえないことだった。

 

(そういえばこの童……蛇神を倒したと言っていたな)

 

神格保持者とは生来の神々や精霊ほどではないが種の最高位だ。時に天変地異を起こせるほどの蛇神が神格を持たぬ人間に負けるなどまずありえない。

 

(強大な力を持っていることは間違いないわけか。・・・・・しかし"ラプラスの紙片”ほどのギフトが正常に機能しないとはどういう・・・・・まさかギフトを無効化した?だとすると・・・・・面白い男だ)

 

ギフトが正常に動作しない。そこで白夜叉の脳裏に浮上する一つの可能性。

 

修羅神仏の集う箱庭においては無効化のギフトはそう珍しくない。だが十六夜のように強大な奇跡を身に宿す者が、奇跡を打ち消す御技を宿しては大きく矛盾してしまう。故に"ラプラスの紙片"に問題があるという結論の方がまだしっくりくるのであるが・・・・・・白夜叉はそうは思わなかった。

 

逆廻十六夜という男には、それほど摩訶不思議な(ギフト)が宿っている・・・・・・白夜叉はそう感じ取っていた。

 

その一方で・・・・

 

「・・・・・・」

 

シナナが嫌に神妙な面持ちで自身に与えられたギフトカードを見つめていた。

 

「シナナくん?どうしたの?」

 

様子のおかしいシナナに、飛鳥が声を掛ける。

 

「・・・・・・はあ、よくもまあここまでしっかりと載ってくれているものだ」

 

「え?」

 

溜息を吐きながらどこか自嘲気味に笑ってみせるシナナ。そんなシナナを見て、飛鳥は意味がわからないと言って様子で首を傾げる。

 

「シナナくん?それって一体どう言う意味?」

 

「それは・・・・・・いいだろう。元より覚悟は出来ていたんだ。お前達に・・・・・全部話してやる」

 

シナナは自身が持つギフトカードを、その場にいる一同に見せ付けるかのように突き立てた。

 

「「「「「・・・・・・え?」」」」」

 

シナナのギフトカードを見た一同の表情は驚愕に染まった。

 

無理もない。そのギフトカードに記載されていたのは・・・・・

 

 

ファンタムグレイのカード

虚野十六夜

ギフトネーム

"具現(リアライズ)"

"理の強制執行(ルール・メイカー)"

"死霊魔術師(ネクロマンサー)"

"死物兵器(ネクロセイバー)"

 

 

あまりにも衝撃的な内容であったのだから。




ギフトカードに刻まれた名前について

ギフトカードに刻まれた名前はシナナの生前の名前です

なんと名乗っていようとも、それでもギフトカードは彼を『虚野十六夜』と認識しているためそうなりました

しかし、それは現段階の話であり、時間が経って彼が『シナナ』として違和感がなくなればギフトカードの名前はシナナとなるでしょう


それでは今回はここまでにします

次回もまたお楽しみに
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