問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回から"フォレス・ガロ"とのギフトゲームですが・・・・・オリジナル展開がございます

どうなるかは見てのお楽しみに・・・・・

それでは本編どうぞ


暗躍者

「くくく・・・・・・ひゃははっ!!まさかこんなにも早くあいつが箱庭に来るとはなぁ!!」

 

"フォレス・ガロ"の居住区の片隅にある廃墟にて、一人の男がたからかに狂気じみた笑い声を上げる。

 

「吸血鬼になんかされたようだが所詮ガルド程度ではあいつの相手にもならんだろうからなぁ・・・・・・少し盛り上げてやるか!!」

 

男は背後に佇む無数の幼い影にチラリと視線を向ける。

 

「さぁて・・・・・せいぜい苦しんでくれよ虚野十六夜!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームの開催地である"フォレス・ガロ"の居住区に向かう"ノーネーム"の主力メンバー一同。

 

そんな中・・・・・

 

「♪~」

 

シナナはご満悦な表情で飛鳥を見つめていた。

 

「シ、シナナくん?いつまで見ているの?」

 

「ん~・・・・・いつまででも見ていたいかな?もう本当にご馳走様です」

 

「・・・・・たまにシナナくんの言ってることの意味がわからなくなるわ」

 

呆れた表情を浮かべながら飛鳥は額に手を当てる。

 

シナナが飛鳥を見つめている理由・・・・・それは飛鳥の着ている服にあった。

 

飛鳥が身につけているのは昨日までとは違い、赤を基調としたドレス。元々は黒ウサギが白夜叉から押し付けられたものを譲り受け、普段着にするようだ。

 

それがシナナにとっては大変目の保養になっているため、ずっと見ているのだ。

 

「まあ俺のことは気にせず気にせず」

 

「ずっと見られてれば気にもするわよ!恥ずかしいからやめて頂戴!」

 

「え~・・・・・いいじゃないか。似合ってて可愛いんだから」

 

「可愛っ!?だ、だからからかわないで!あなたはいつもいつも!!」

 

いつもといっても会ってまだ二日目なのだが・・・・・・まあ敢えて突っ込むまい。

 

「おらお前ら、痴話喧嘩はそのへんにしとけ」

 

「ち、痴話喧嘩!?十六夜くんまでからかわないで!」

 

いやらしい笑みを浮かべながら言う十六夜に怒鳴り散らす飛鳥。

 

一方で・・・・・

 

(ふむ、痴話喧嘩か・・・・・そう見られるのは悪くないな)

 

シナナは満足気であった。

 

なお、このやりとりを見て・・・・

 

(・・・・私も黒ウサギに服貰えば良かったかな?そうすればシナナに似合ってるって言ってもらえたかも)

 

耀は自分も服を貰っておけばよかったと後悔していた。

 

「・・・・・ねえ黒ウサギ、僕達これからギフトゲームしに行くんだよね?」

 

「・・・・・坊ちゃん。あまり気にしてはだめデス」

 

ジンと黒ウサギはあまりの緊張感のなさに呆れ返っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・なあ黒ウサギ、ジン。"フォレス・ガロ"っていうのは自然愛護団体でもあるのか?だとしたら個人的には少々倒すのが躊躇われるんだが・・・・」

 

「い、いえ・・・・決してそんなことはないんですが・・・・」

 

「これは一体・・・・・?」

 

"フォレス・ガロ"の居住区前に着いて早々に問いかけるシナナ。対して黒ウサギとジンは動揺を隠しきれない様子だ。

 

だがシナナが問いかけるのも黒ウサギが動揺するのも無理もない。なぜなら・・・・・

 

「おいおい・・・・なら目の前に広がるこのジャングルはどういうことだよ?」

 

十六夜の言うとおり、"フォレス・ガロ"の居住区画はうっそうと木々が生い茂っているのだから。

 

「"フォレス・ガロ"の居住区画はもっと普通だったはずなのに・・・・・(それに・・・・この木々は)」

 

ジンは近くの木の枝を手で触れ、訝しげに見つめた。

 

「・・・・ジンくんこっち。"契約書類(ギアスロール)"よ」

 

飛鳥は外壁に貼られていた契約書類(ギアスロール)を手にとってジンに渡した。

 

 

ギフトゲーム"ハンティング"

 

プレイヤー

久遠 飛鳥

春日部 耀

ジン・ラッセル

虚野十六夜

 

クリア条件

ホストの本拠内に潜むガルド・ガスパーの討伐

 

クリア方法

ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能

指定武具以外は"契約(ギアス)"によってガルド・ガスパーを傷つける事は不可能

 

敗北条件

降参かプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

指定武具

ゲームテリトリーにて配置

 

 

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下、"ノーネーム"はギフトゲームに参加します

 

 

"フォレス・ガロ"印

 

 

「ギフトカードといい・・・・なんで俺の表記は『虚野十六夜』なんだよ?」

 

「なんていうか・・・・・・・・心中察するわ」

 

契約書類(ギアスロール)に表記された名前が現在の名前である『シナナ』でないことに落ち込むシナナに、飛鳥は肩に手をおいて慰めた。

 

「これは・・・・まずいですね」

 

ジンは契約書類(ギアスロール)に目を通して表情を曇らせる。

 

「このゲームそんなに危険なの?」

 

「いえ、ゲーム自体は単純なんですが・・・・・」

 

「問題は指定武具以外で傷つけるのは"契約(ギアス)"により不可能ってところか?」

 

シナナが契約書類(ギアスロール)の該当部分を指差していう。

 

「はい・・・・・このルールのせいで飛鳥さんと耀さんのギフトは通用しません。シナナさんの具現(リアライズ)で出した武器も一切効かないでしょう」

 

「・・・・なるほどな自分のイノチをクリア条件にしたことで五分に持ち込んだってわけか」

 

「迂闊でした・・・・・あの時にルールもその場で決めておけば」

 

単純な力比べていいのならば"ノーネーム"が勝つ確率は相当高かったはずだ。だがこのルールでは勝率はガクンと落ち込む。

 

これは経験不足によって引き起こされた事態といってもいい。

 

「だがその指定武具に関してヒントぐらいはあるんだろう?でなければゲームとしての正当性は損なわれるし」

 

「はい!シナナさんの言うとおりヒントがなければルール違反で"フォレス・ガロ"は反則負け!この黒ウサギがいる限り反則は許しません!」

 

黒ウサギは力強く言う。

 

"審判権限(ジャッジマスター)"を持つほどの彼女ならば反則行為など決して見逃さないであろう。

 

「黒ウサギもこう言ってるし大丈夫だね」

 

「そうね。むしろこれくらいのハンデは必要かもしれないわ・・・・・行くわよ」

 

シナナ、飛鳥、耀、ジンの4人は門をくぐる。

 

 

 

 

 

新生"ノーネーム"初のギフトゲームが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・・・」

 

木々に侵食された居住区を進んでいく一行、その中でシナナは顎に手を当てて何かを考え込む仕草をとっていた。

 

「どうかしたのですかシナナさん?」

 

「ん?まあ・・・・いくつか考え事をな。例えば指定武器とか・・・・」

 

「シナナ・・・・もしかしてなにかわかったの?」

 

耀が期待のこもった視線をシナナに向ける。飛鳥とジンも同じような目をしている。

 

しかし・・・・・

 

「いいや。流石にヒントがないとなんとも言えない」

 

どうやらその期待には答えられないようだ。

 

「"ハンティング"というゲーム名から猟銃が真っ先に思い浮かんだんだが・・・・・流石にそんなに単純ではないだろう」

 

「そうですね・・・・・わざわざ指定武器を用意していることから特殊な武器なのだと思います」

 

「おかげで俺の具現(リアライズ)も飛鳥と耀の力もガルドに対してほぼ無力・・・・・本当に厄介なことこの上ない」

 

はあ、と大きく肩をなでおろしながら溜息を吐くシナナ。

 

「確かに厄介ではあるわね・・・・あ、そういえばさっきいくつか考えてるといったけれど他にもなにかあるのかしら?」

 

「まあな。このゲームの相手はガルド個人ではなく"フォレス・ガロ"というコミュニティである以上、ガルド以外にも襲ってくる連中は出てくるのかなと」

 

「まあ・・・・その可能性は十分にありますね」

 

「それがどうかしたの?」

 

「・・・・警戒を怠らないようにしないとなと思って。下手に油断するとガルドを相手取る前に負ける可能性だってある」

 

「心配しすぎではないかしら?いくらなんでもそれは・・・・・」

 

「時として油断は戦場において最大の敵となる・・・・・・一瞬の油断が死に繋がることだって十分にあるんだぞ?」

 

余裕ぶる飛鳥に対してシナナは咎めるように言い放つ。その声は低く、冷たいものであったが飛鳥だけでなく、耀とジンの耳にもやけに通るものだった。

 

シナナは戦争を経験している・・・・・それ故の警告なのだろう。

 

「まあとにかく・・・・・警戒は怠るなよ?」

 

シナナに促され、三人はゴクリと生唾を飲み込みながら頷く。

 

その時・・・・『パキン』という枝の折れる音が一同の耳に聞こえてきた。

 

音のする方向に4人が振り向くとそこには・・・・

 

「う・・・・あぁ・・・・」

 

ジンよりも幼いと思われる一人の子供がいた。おそらく獣人の類なのだろう、獣の耳や尻尾が生えており、爪が異様に長かった。

 

「子供?こんなところにどうして・・・・・」

 

不思議に思い子供に歩み寄る飛鳥。

 

だが・・・・

 

「近づくな飛鳥!」

 

シナナはそんな飛鳥の手を掴み、勢いよく自分の方へと引き戻した。

 

そしてその僅か後に・・・・・飛鳥のいたところに獣人の子供の爪が振るわれる。

 

「警戒を怠るなと言ったばかりだぞ?」

 

「ご、ごめんなさい」

 

シナナに咎められ、飛鳥は申し訳なさそうな表情を浮かべて謝罪する。

 

「これからは気をつけろ。それにしても・・・・随分と面倒なことになったな」

 

神妙な面持ちで前を見るシナナ。その視線の先には先程の獣人の子供がおり、そしてさらにその奥の茂みから別の子供達がぞろぞろと出てきた。

 

その多くは獣人であり、獣人でないものもナイフなどを手に持ち武装している。

 

「な、なにこの子達・・・・敵なの?」

 

「こんな子供まで戦わせるなんて・・・・・どこまで外道なの」

 

子供達がガルドが差し向けた刺客だと判断し、耀は戸惑い飛鳥はガルドに対して怒りを募らせた。

 

「ぶ、武器をおろしてください!僕達の狙いはガルドであって君達と戦うつもりは・・・・」

 

「無駄だジン・・・・・・説得しても意味がない」

 

「・・・・え?」

 

子供達に説得を試みるジンであるが、シナナがそれを制する。その表情は怒りと悲しみが入り混じり、酷く歪んでいる。

 

「シナナくん・・・・それは一体どう言う意味?」

 

「それは・・・・・」

 

「う・・・・うぅ・・・・」

 

「あ・・・・がぁ・・・・」

 

生気の全く感じられない青白い顔をし、意味のない言葉を唸るように口にする子供達。

 

彼等は・・・・・彼等の正体は・・・・・

 

「あいつらは・・・・・・死物兵器だ」

 

シナナと同じ・・・・・・否、シナナ以上に憐れで哀しい『死物兵器』であった。




暗躍者について

暗躍者は本小説オリジナルの敵です

彼は虚野十六夜と浅からぬ因縁が有り、それ故にちょっかいをかけてきます

その正体についてはいずれわかりますのでその時までお待ちください


それでは今回はここまで

次回もまたお楽しみに
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