問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回はシナナさんの交渉能力をご覧いただけます

交渉というより半ば脅しですがね・・・・・

それでは本編どうぞ


シナナの交渉術

「そ、それじゃあ本題に入るけど、君達は何しに来たんだよ?拘束されたそいつがいるってことは僕にその吸血鬼を返しに来てくれたのかな?」

 

話の本題に触れたルイオスは横目で拘束されたレティシアを見ながら言う。

 

「なわけないだろ。頭沸いてるのか?」

 

そんなルイオスに対してシナナが辛辣に言う。

 

先ほどの飛鳥の件でもはやシナナの中でルイオスに対する好感度は最低値なようだ。

 

「だ、だったら何しに来たんだよ?」

 

「それに関しては黒ウサギがお話いたします」

 

黒ウサギは事の経緯をルイオスに説明し始めた。その際ルイオスの視線は黒ウサギの体中に注がれていたがそれに関しては一切スルーだ。

 

「・・・・・以上が"ペルセウス"が私達に対して振るった無礼の内容です。ご理解いただけたでしょうか?」

 

「う、うむ・・・・"ペルセウス"の所有物・ヴァンパイアが身勝手に"ノーネーム"の敷地に踏み込んで荒らした事、捕獲する際における数々の暴挙と暴言。確かに受け取った。謝罪を望むのであれば後日・・・」

 

「謝罪は結構です。あれだけの暴挙と無礼の数々・・・我々の怒りは謝罪程度では決して収まりません。"ペルセウス"に受けた屈辱は両コミュニティの決闘を持って決着を付けるべきだと思います」

 

これが"ノーネーム"の狙いであった。

 

レティシアが敷地内で暴れまわったというのはもちろん捏造(まあ十六夜と力試しという名の決闘を行っていたが)。しかしレティシアを取り返すためにはなりふり構っていられないため、使えるものは全て使う必要があった。

 

「つきましては"サウザンドアイズ"にはその仲介をお願いしたくてまいりました」

 

「なるほどの。では"主催者権限(ホストマスター)の名のもとに・・・」

 

「いやだ」

 

ルイオスは白夜叉の言葉を遮って言った。

 

「え?」

 

「いやだ。決闘なんて冗談じゃないね。というかそいつが暴れたっていう証拠あるの?」

 

「まごうこと無き事実だ。黒ウサギの言うとおり私は・・・・」

 

「信用できないね。どうせ口裏を合わせてるんだろ?元・お仲間なんだから」

 

当事者であるレティシアが黒ウサギの言葉を肯定するが、ルイオスはそれをバッサリ切り捨てる。レティシアは元は"ノーネーム"のメンバーなので口裏を合わせていると判断するのは無理もないことだ。

 

「というかさ・・・・そもそのそいつ盗んだの実はおたくらなんじゃない?なんせ元・お仲間なんだから」

 

「なっ!?そんな証拠どこにあるって言うんですか!」

 

「そっちだって証拠もないのにあることないこと勝手なこと言ってくれたじゃないか。おおかた言いがかりをつけて決闘に持ち込もうとしたんだろうけど無駄だよ。まあどうしてもっていうならきちんと調査した上で考えてあげてもいいけど・・・・そうなったら一番困るのは誰だろうね?」

 

ルイオスはいやらしい笑みを浮かべ、横目で白夜叉を見ながら言った。

 

「そ、そんな・・・・」

 

魔王によってコミュニティを壊滅されてから3年間、"ノーネーム"が存続できたのはひとえに白夜叉の支援があったからだ。

 

白夜叉を盾に出されてしまったら黒ウサギとしては手が出せない。

 

そう・・・・・黒ウサギはだ。

 

「よし。それじゃあ調査してもらおうか」

 

「「「・・・・・え?」」」

 

さも当然のように言い放たれたシナナの言葉に、十六夜を除くその場にいた全員が呆けた声をあげて戸惑いを顕にする。

 

「まさかそっちから調査をしてくれるだなんて願ったり叶ったりだ。気の済むよう存分にやってくれ」

 

「な、何言ってるんだ!そんなことすれば・・・・・」

 

「レティシアを手引きした白夜叉に迷惑がかかる・・・・か?それがどうした?」

 

「な・・・・に?」

 

「だからさあ・・・・・・それがどうしたって聞いてるんだよ?」

 

シナナはクククッと笑みを零しながらルイオスに聞き返す。

 

「確かに"ノーネーム"は白夜叉に助けられたらしい。だがな・・・・・はっきり言おう。それは俺には関係ない。そもそも・・・・・白夜叉」

 

「なんだ?」

 

「・・・・・まさかお前ともあろう者がなんのリスクを負う覚悟もないしやったわけじゃないよな?」

 

「・・・・言ってくれるの小僧。当然だ。私を舐めるな」

 

白夜叉が不敵な笑みを浮かべ、扇子で口元を覆いながら言う。

 

「だ、そうだぞ。というわけで調査よろしくな。まあ・・・・・調査の結果"ペルセウス"が損失するのは火を見るより明らかだけどな」

 

「ど、どういうことだ!?」

 

「当然だろ?そもそもレティシアはお前達"ペルセウス"が管理してたんだ。どんな経緯があったにせよ逃がした責任はお前達にある」

 

「・・・・言われてみれば確かにそうね」

 

「管理が甘かったって思われても言い逃れはできないだろ」

 

「ぐっ・・・・」

 

シナナの言い分に賛同する飛鳥と十六夜。間違ったことを言っているわけではないのでルイオスは反論できずにいる。

 

「そしてレティシアはというと"ノーネーム"の敷地内に不法侵入。さらにはそのレティシアを取り返すために"ペルセウス"の兵達まで不法侵入した挙句襲いかかってきてコミュニティの敷地を傷つけてくれた。調査すればそれが明らかになるだろうな。さて、ここに居る一同に聞きたいんだが・・・・今回の件で一番非があるのは誰だろうか?」

 

「「「「"ペルセウス"」」」」

 

シナナの問いかけに、ルイオスを除く一同は一切迷うことなく即答した。

 

「だそうだぞルイオス?それでも調査するって言うならお好きにどうぞ。俺達は一切困らない」

 

「ぐっ・・・・だ、だがお前達だってこっちに被害を出してるじゃないか!うちの兵を拘束してくれた上に石にまでされた奴もいるんだぞ!」

 

「残念だが全部正当防衛だな。こっちから先に仕掛けた覚えはねえ。それともまさか抵抗せずに好き放題にやられろっていうのか?いくらこっちが"名無し(ノーネーム)"だからってそれは横暴だろ」

 

「ッ!!」

 

どうにか反論するルイオスであったが、それさえも意味をなしていない。十六夜に論破されてしまいぐうの音もでなくなってしまっている。

 

「他に反論があるなら聞くぞ?その時はちゃんと正面から受け止めた上でこちら側の見解をお話させてもらうけどな」

 

ニコニコと朗らかな笑顔を浮かべながら言うシナナ。ただ・・・・・その背後にはドス黒いオーラが見える。

 

「ッ!!名無しが調子に乗るなよ!!」

 

そんなシナナの態度に腹を立てたルイオスは突然立ち上がり、ギフトカードから鎌のような剣を取り出し飛し振り下ろす。

 

ただ・・・・・動揺しているせいか、なぜかその標的はシナナではなく飛鳥であった。

 

突然のことに反応できずにいる飛鳥は斬られると思い、目を閉じるが・・・・斬撃はいつまでたっても彼女を襲うことはなかった。

 

飛鳥をかばうように前に躍り出たシナナが、その刃を素手で掴んで止めたからだ。

 

「シナナ・・・・くん?」

 

「ふう・・・・・間に合ってよかった」

 

身の危険に表情を強ばらせる飛鳥を安心させるように、シナナは優しい笑顔を向ける。

 

そしてその後、視線をルイオスへと向けた。

 

「全く・・・・・・カッとなって女に手を上げるとは最低を通り過ぎてゲスだな」

 

先程と一変してルイオスを睨みながら言い放つシナナ。その凄みは、先程飛鳥が口説かれていたときに見せたものとは比べ物にならないほど恐ろしいものであった。

 

「せっかく穏便に話し合いしてやってるんだからさぁ・・・・・・大人しくしてろよクソガキが」

 

「ひっ!?」

 

シナナの気迫に気圧されたルイオスは、剣を取りこぼしながら腰を抜かせてその場にへたり込んでしまう。

 

「それでいい・・・・・・話を戻すぞ。ともかく俺達"ノーネーム"はお前達"ペルセウス"から受けた暴挙の数々に我慢ならないほど怒りを感じてるんだよ。もちろん今の飛鳥に斬りかかったことに対してもだ。本来ならここまでされたんだから無条件で慰謝料代わりにレティシアを譲ってもらうぐらいのことしてもらってもいいんだが・・・・・・仕方がないからお前達にチャンスをやろう」

 

「チャンス・・・・だと?」

 

「ああ。さっき黒ウサギが言ったように決闘で決着をつける。そちらが勝てば無罪放免にしてやろう」

 

「なっ!?ちょ、待ってくださいシナナさん!なぜわざわざそんなことを!?」

 

シナナの提案に待ったをかける黒ウサギ。

 

まあそれも当然のこと。無条件でレティシアを取り戻すことができるところをリスクを冒してまでわざわざ決闘をしようとすることに意味があるとは思えないのだから。

 

「なぜって・・・・・まあ色々理由はあるけど。というか元々決闘云々は黒ウサギが言っていたことだぞ?」

 

「そ、それはそうですが無条件でレティシア様を取り戻すことができるというなら話すは別です!決闘なんて反対です!」

 

「落ち着けよ黒ウサギ」

 

「みぎゃっ!?」

 

十六夜が必死にシナナを説得しようとする黒ウサギの兎耳を引っ張った。

 

「い、十六夜さん!?でも・・・・」

 

「シナナは決闘する理由があるって言ってるだろ。反対するならそれを聞いたあとでも遅くねえ」

 

「そうね・・・・・私もその理由っていうのがなんなのか気になるわ。話してくれるかしら?」

 

「ああ。もちろんだ」

 

十六夜と飛鳥に促されシナナは決闘を提案した理由を話し始めた。

 

「まずこちの得を大きくするためだ。わざわざ必要のない決闘をするんだからこっちが勝った際にもらえるものは増やしてもらうのは当然だろ。今回の場合は・・・・・まあそれなりの額の金報酬に上乗させてもらうかな?」

 

「くっ・・・・」

 

シナナに言われてルイオスは苦々しく表情を歪ませた。

 

「あとはまあ・・・・・名を上げるためだな。"ペルセウス"ってそれなりの古株コミュニティなんだろ?それを"ノーネーム"が下したとなれば泊がつく」

 

「た、確かに・・・・・復興の足がかりにはなるかもしれません」

 

(シナナさん・・・・・そこまでコミュニティのことを考えていてくれたなんて。頭ごなしに反対した自分が恥ずかしいです)

 

理由を聞き、納得した黒ウサギはシナナに対して関心を抱いた。

 

ただ・・・・・決闘を提案した理由はもう一つあった。

 

「それともう一つ理由がある」

 

「もう一つ?それはなんでございますか?」

 

「こいつが一番重要なんだが・・・・・・決闘って大義名分があればこいつ思う存分ボコれるからな」

 

「「・・・・は?」」

 

「なるほど。確かにそいつは最重要事項だな」

 

「決闘なら・・・・・どれだけ痛めつけても正当だものね」

 

シナナがにこやかな表情で言うもっとも重要であるという理由を聞き、黒ウサギとルイオスは思わず顔を引きつらせる。だがそんな二人をよそに十六夜と飛鳥はうんうんと頷きながら強く同意を示した。

 

おそらくシナナ、十六夜、飛鳥の3人の頭の中にはいかにしてルイオスをボコボコにするのか考えがめぐらされているであろう・・・・・流石は問題児である。

 

「まあこれがわざわざ決闘を挑む理由になるんだが・・・・・どうするルイオス?どうしてもというなら受けなくてもいいが?」

 

「ちっ・・・・・いいだろう!お望み通り決闘を受けてやるよ!僕たちが名無し風情に負けるはずもないからな。二度と舐めた口聞けないように徹底的に潰してやるから覚悟しろ!」

 

シナナの挑発に乗ったルイオスは、忌々しげな表情を浮かべながら決闘を承諾した。

 

「そうこなくちゃな。決闘は1週間後、ルールに関しては特別にそっちに決めさせてやるよ」

 

「いいの?そんな余裕なこと言って?」

 

「ああ。その方が屈辱も大きいだろ?」

 

「どこまでもふざけた奴だ・・・・・後悔させてやる」

 

「それはこちらのセリフだ。俺達の怒りを買ったこと・・・・・存分に後悔させてやる」

 

ルイオスに対してシナナは見せつけるように余裕な笑顔を浮かべながら言い放つ。

 

かくして、"ノーネーム"と"ペルセウス"の決闘が執り行われることが決定した。

 




交渉の内容について

交渉の内容ですが原作を見て独自の解釈で矛盾の少ないものにしてあるつもりです

もっとも、それでもかなり強引ではありますしよくよく考えれば矛盾も出てきますが


それでは今回はここまで

次回もお楽しみに
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