問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~ 作:shin-Ex-
内容については本編にてお確かめください
それでは本編どうぞ
「まったく・・・・・シナナくんには驚かされるわ」
"ペルセウス"との決闘を取り付け、本拠地に戻る道中で飛鳥は感心したようにシナナに視線を送りながら言う。
「驚かされるって・・・・何にだ?」
「さっきの交渉術よ。あのゲス相手に一方的に優位に立っていたじゃない。私も元いた世界ではそう言った交渉の経験はあるけれど・・・・・ほとんどギフトに頼っていたから感心したわ」
飛鳥のギフト、威光は相手に命令を強制させる力がある。確かに交渉事では強みとなりえるがそれはあくまでもギフトの力であって飛鳥自身の交渉術というわけではない。故にシナナに感心するのであろう。
「全くです・・・・・・敵でなくて良かったと心から思います」
黒ウサギもまたシナナに感服していた。もっとも、シナナが敵でなくてよかったと安堵の意味合いも強いが。
「う~ん・・・・そう言ってくれるのは嬉しいっちゃ嬉しいんだけどなぁ」
「あら?どうしたの?」
「いや、個人的には手持ちのカードを活かしきれてないことに不満があってな。かなりゴリ押した感が強いし」
ただ、本人からしてみれば先程の交渉は成功はしたが満足していたわけでは無いようであった。
「そうかしら?私はそうは感じなかったけれど・・・・」
「いや、確かに結構強引ではあったな。もしも本当に調査なんかされてもしたらその質にもよるが決闘までこぎつけるのは難しかっただろ?」
「そうなんだよなぁ・・・・・先に仕掛けたのは向こうだとか施設を破壊されたとか正当防衛強調してはいたがこっちの人的被害はゼロ。拘束するために結構思い切りボコったから過剰防衛とか言われかねないし」
まあ・・・・・事実"ペルセウス"の兵の中には重傷を負ってトラウマも植えつけられた者もいるのだ。過剰防衛と言われても言い逃れはできなかっただろう。
「・・・・え?じゃあなんで調査するのを反対されなかったのですか?」
「ハッタリ効かせるためだ。直前にいい感じでビビらせて恐怖心煽ってたからうまくいく確率はそれなりに高いと判断したからな。実際どうにかなったし」
「・・・・・・もしも調査されてたら危なかったのね」
「いや、まあその時はその時で拘束した"ペルセウス"の兵とレティシアの件を引き合いに出してたから多分大丈夫だが」
「あ?拘束した連中のことはともかくレティシアの件は使えないんじゃねえか?元・仲間って理由であいつまともに取り合わねえし実際大したことはされてねえんだからよ?」
レティシアの件を引き合いに出すと聞き、十六夜は疑問に思ったことをシナナに投げかけた。
「いやいや、結構大したことしてくれてたぞ?ガルドとのゲームでな」
「・・・・ああ、なるほど。そっちか」
「え?どういうことですか?」
「なんでここでガルドとのゲームが出てくるの?」
シナナの説明で十六夜は納得したが、黒ウサギと飛鳥には理解できなかったようだ。
「ガルドとのあのゲーム、レティシアが介入してたのは間違いないだろ?それは本人が認めてるし調査すれば明らかだ。そしてレティシアは"ペルセウス"の管理下にあるんだから"ノーネーム"と"フォレス・ガロ"の決闘に"ペルセウス"が私的理由で介入したってことになりかねない。ルールに触れていないとしても"ペルセウス"からしたら十分痛いところだろ」
「な、なるほど・・・・・言われてみればそうですね」
「つまりもしもの時はそれを使うつもりだったっていうこと?」
「ああ。そのためにレティシアを連れて行ったんだ」
とはいえ、結果としてそれを使うまでもなく決闘をこぎつけることができたのであるが。
「レティシア様を連れて行った理由はなくなってしまったんですね・・・・・」
「いや、そうでもない。決闘の約束取り付けたら"レティシア"の身柄を白夜叉に預かってもらうつもりだったから」
そう、シナナの言うとおり、現在レティシアの身柄は白夜叉が預かっていた。
「それも気になっていたのよね・・・・どうして白夜叉に預けたのかしら?」
「どうしてだと思う?」
「いや、質問を質問で返さないで欲しいのだけれど・・・・」
「まあちょっとは自分で考えてみろってことだよ。今後のために色々考えを巡らせられるようになるのは悪いことじゃないし」
「うっ・・・・・それはそうだけれど・・・・」
シナナのもっともすぎる意見に飛鳥は反論できなかった。
「なら、お嬢様の代わりに俺が答えてやるよ」
「どうぞどうぞ」
「レティシアを白夜叉に預けた理由は、レティシアの安全を確保するためだろ?決闘が終わるまでは買い手が見つかったって理由でゲームを中止にするような連中だ。なにしでかすかわかったもんじゃねえし最悪なにかしらしでかして俺達を脅す可能性もあるしな」
「正解。流石」
どうやら十六夜の回答で正解のようであった。
確かに、決闘の目的はレティシアなので、そのレティシアに何かあってはゲームに支障が出る可能性は十二分にありえる。それを避けるためにレティシアは白夜叉に預けられたのだ。
「・・・・本当に色々と考えてるのねシナナくん」
「ぶっちゃけ考えすぎて頭痛いけどな。俺元々そういうの向いてないんだよ」
シナナは額を手で押さえながら疲れた表情で言う。
死物のため肉体疲労は感じずとも、精神疲労は感じるようだ。
(((あれで向いてないって・・・・・・謙遜にしたって笑えない)))
そんなシナナを見て、飛鳥達3人の心は一つになっていた。
「あ、皆さんおかえりなさい」
本拠地に帰ってきたシナナ達はまず拘束された"ペルセウス"の見張りをしていたジンの下に訪れた。
「ただいまジンぼっち・・・・・」
「貴様ら!早くこの縄を解け!」
「こんなことをしてただで済むと思うなよ!」
「貴様ら全員八つ裂きにしてやる!」
黒ウサギがジンに挨拶しようとするが、それは拘束された連中の怒号によって遮られる。
「・・・・御チビ、もしかしてこいつら意識戻ったからずっとこんな感じか?」
「ええ・・・・まあ」
どうやら長いことこの兵士達の罵倒を聞いていたらしい。ジンはかなりうんざりした様子だ。
「品性の欠片もない連中ね。リーダーがリーダーならその部下も部下だわ」
「なんだと!?名無し風情が我らを侮辱する気か!」
「先に侮辱してきたのはあなたたちの方よ。侮辱されたくないのなら自分も侮辱することをやめることね」
「ふざけるな!!」
「いや、ふざけるなって・・・・・・どう考えても正論だろ。どっちがふざけてるのやら」
あまりの愚かさ加減にシナナはもはや呆れ返ってきた。
「いいからさっさとこの縄をほどけ!」
「言われなくても解くさ。お前らを拘束する理由はもうないからな。ただ一つ言っておくけどさ・・・・・・ここで俺達に手を出すだなんて馬鹿なことはするなよ?そんなことすればそっちの立場が余計に悪くなるだけだからな」
シナナはドスの聞いた声で"ペルセウス"の連中に忠告した。ルイオスを脅した時と同じように、悍ましい雰囲気を纏いながらだ。
もちろんそんなシナナを目の当たりにした"ペルセウス"の連中は恐怖により縮こまってしまう。
「縄解いたら真っ直ぐに自分達のコミュニティに帰れよ。細かい事情とかは説明するの面倒だからルイオスから直接聞け」
「クソッ・・・・・・覚えてろよ!」
拘束を解かれた"ペルセウス"の兵達は、恨み言を漏らしながら帰っていった。
「・・・・・わかりやすい三下のセリフだな。どこまで小物なんだか」
「あれでも以前は由緒あるコミュニティだったのですがね・・・・」
「おおかたあのゲスがリーダーになってから衰退していったのでしょ?」
「はい。その通りです」
飛鳥の問いかけにジンはキッパリと返答を返した。
・・・・・もはやルイオスが哀れにさえ思える。
「まあ、正直そんなことはどうでもいいがな。それよりもお前たちもそろそろ休んだらどうだ?」
「それもそうだな。それじゃあ俺はもう寝させてもらうぜ」
「僕も・・・・・正直疲れましたので」
「私も失礼させてもらいます」
そういうと、十六夜とジン、黒ウサギは自分の部屋へと戻っていった。
「ほら、飛鳥ももう寝ろ。なんなら添い寝してやろうか?」
まだその場に留まっていた飛鳥に、シナナは休むように促す。
なにやら余計な一言が最後についていたがそれはこう言えば飛鳥はすぐに部屋に戻って休むだろうと考えたからだ。
だが・・・・
「そうね。シナナくんがそれを望むならいいわよ」
「・・・・・・え?」
まさかの飛鳥からの了承の返答に、シナナは我が耳を疑った。
「えっと・・・・飛鳥?流石に冗談で言ったんだが・・・・」
「そうなの?だったら別の見返りを考えなければね」
「見返り?何のだ?」
「・・・・・お願いシナナくん。私を鍛えて頂戴」
「・・・・は?」
全く予想だにしない飛鳥のお願いに、またしてもシナナは我が耳を疑うのであった。
「・・・・・・ひゃははははっ!!いいねいいねいいね!!面白いことしてくれるじゃねえか虚野十六夜!!」
月夜の下、男は狂気の笑い声を上げた。
「今度は"ペルセウス"かぁ・・・・・クズであることには変わらんが"フォレス・ガロ"よりは楽しませてくれるだろ!それに今回は俺様も赴いてやることだしなぁ!」
ぺろりと舌なめずりをする男。先のことを考えて今から楽しみで楽しみでしょうがないといった様子だ。
「覚悟しろよ虚野十六夜ぃ・・・・・また俺様がぶっ殺してやるからよぉ!!」
男は近くにあったそれを踏みつけながら言う。
男の周りには・・・・・・・心臓をえぐられた"ペルセウス"の兵達の死体が転がっていた。
今回は説明なしです
次回もまたお楽しみに!