問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~ 作:shin-Ex-
まあ、ぶっちゃけクズなのですが
それでは本編どうぞ
「俺をもう一度ぶっ殺したかったか・・・・・相変わらず名前通り狂ってるな狂治」
「お褒めに預かり光栄ですねぇ、虚野十六夜殿」
鋭い眼光で睨みつけながら冷たい声色で言い放つシナナに対し、狂治は嬉しそうに笑っていた。
「褒めてねえよ。というか今はもう虚野十六夜じゃない・・・・シナナだ。そもそも死物兵器なんだから殺すも何もないだろ」
「どうでもいいなぁ!!俺はお前という存在を抹殺できればそれでいい!それだけでいいんだよ!!」
「・・・・・・そうかよ」
狂治の物言いに、シナナは呆れたように返事を返す。
「シ、シナナくん・・・・・あなた彼を知っているの?」
飛鳥が恐る恐るとシナナに尋ねた。
「よく知っているさ。よく・・・・・・な」
「お前の生前の名前を知ってて且つもう一度ぶっ殺すってあの言葉・・・・・・答えは一つしかねえな。あいつが虚野十六夜を殺したのか」
「・・・・・ああ、そうだよ」
「「「!?」」」
十六夜の発言を肯定するシナナ。すると、飛鳥を始めとする"ノーネーム"の一同は驚きを顕にする。
「あいつの名は克臥狂治。元々は虚野十六夜と同じ軍に所属する仲間だったが・・・・・虚野十六夜が疲労を困憊している隙をついて心臓をえぐって殺したんだ」
「ああ・・・・・あの時のことはよおく覚えている。すっげえ最高の気分だったぁ」
「仲間だったのに・・・・・裏切ったの?」
耀は狂治に対する不快感を顕にしながら尋ねる。
「仲間?笑わせるな!俺が虚野十六夜と同じ軍に所属していたのはただ殺したかったからさ!昔からムカついたんだよなぁそいつは。偉そうで、自信家で・・・・・・そしてそれに見合った実力を備えていて!ほんっとうにムカついてムカついて仕方がなかった!だから殺した!」
「仲間なのに殺すなんて・・・・・・最低!」
「最低で結構だ!お前みたいな可憐なお嬢さんに軽蔑されるのはゾクゾクする!!」
「この・・・・・・!!」
「よせ飛鳥。一々構う必要はない。あいつにはそんな価値もない」
狂治に対して何か言い返そうとする飛鳥であったが、シナナがそれを制する。
シナナとしては飛鳥にはあまり狂治と関わり合いになって欲しくないと思ってるようだ。
「釣れねえなぁ・・・・・・なら、こうしたら面白くなるかなぁ!!」
そう言うと同時に、狂治は右手にギフトカードを構え、左手でパチンと指を鳴らした。
するとギフトカードから数十人もの人が現れる。
皆一様に何らかの武器を手にしたり、鎧を身にまとったりしており、その中には"ペルセウス"の兵もいる。
さらに彼らにはある共通点があった。
全員・・・・・・・心臓がえぐられ、胸に穴があいていたのだ。
「こいつら・・・・・・死物兵器か」
「えっ!?」
「この人たち・・・・・全員ですか!?」
目の前に現れた者が全員死物兵器であることに動揺するジンと黒ウサギ。
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!どうだ?これは俺の兵器であり玩具だ!中々面白いだろう!?」
「どこがよ!!こんなの・・・・・こんなの!」
「随分とまあ趣味が悪いじゃねえか」
「・・・・・ヒドイ」
「狂治・・・・・貴様」
狂治のあまりの外道さに怒りを顕にする問題児4人。
「そんなに怒るなよ。つうか・・・・・俺がヒドいってんならそいつはどうなんだよ」
狂治はシナナを指差しながら、顔を狂気に染めて言う。
「ガルドとのギフトゲーム・・・・・あの時ガキの死物兵器が出たことを覚えてるか?」
「・・・・・覚えてます。あれはあなたが差し向けたんですね」
「そうだぜ坊主ぅ。少しでもゲームを盛り上げようと思ってガルドが殺したガキ共を死物兵器に変えてやったんだよ。だがまあ、そんな些細なことは今はどうでもいい」
「些細ですって!?どこがよ!!」
「うるせえな。話進まねえから一々横槍入れるなよ」
怒りのままに怒鳴る飛鳥であったが、狂治は話を邪魔されたこと以外は全く意に介していない。
彼にとって生前どんな者であったとしても、死物兵器にすることなど些細なことだと考えているようだ。
「話を戻すがそのガキ共をそこの虚野十六夜・・・・・まあシナナって呼んでやるよ。シナナがどうやって死物兵器から解放してやったと思う?それはなぁ・・・・・・・こうしたんだよ!!」
狂治は近くにいた死物兵器の男から剣を奪い・・・・・・・そのままその剣で首を刎ねた。
首を刎ねられた死物兵器の男は、首が地面に落ちるのと同時に塵となってしまう。
「塵になった・・・・・だと?」
「これが死物兵器を解放する方法だ!脳と体を引き離すことで死物兵器は解放され、そしてこれまで体にかけてきた負荷が溢れ出して塵となる!シナナはなぁ・・・・・そうやってあのガキ共を消したんだよ!!」
「ッ!!」
シナナはその時の事を思い返して顔を歪ませる。
シナナにとってその記憶は、苦痛でしかなかった。
「酷い事するだろぉ?しかもそれだけじゃねえんだぜ?そいつはな、俺に殺されて自分を死物兵器に変えた後すぐに・・・・・俺をぶっ殺しやがったんだ!!元々仲間だった俺に躊躇なく刃を振るい!この俺を殺したんだよ!!」
狂治は自身の服をまくりあげて、体についた裂傷のあとを見せびらかしながら言う。
「どうだ?酷いもんだろぉ?シナナのやってる事は・・・・・・この俺と大差ねえんだよ!俺が最低でドクズな外道だって言うならそいつも同じなんだよ!アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
「・・・・・・・」
愉快そうに大声で笑う狂治。そんな狂治に好き放題言われているにもかかわらず、シナナは何も言い返さずに表情を険しくしているだけであった。
おそらく・・・・・というよりほぼ間違いなく、自分が狂治と変わらない最低な外道だと思っているからだろう。だからシナナは否定しないのだ。
シナナだけではない。その場にいた誰しもが否定しようとはしなかった・・・・・できなかった。
・・・・・・だだ一人を除いて。
「・・・・・・違う」
「あ?」
「シナナくんは・・・・・・あなたなんかとは違う!!」
声を張り上げながら、飛鳥は否定の言葉を口にする。
「シナナくんは・・・・・自分の愉悦や快楽ことしか考えていないあなたとは違う!シナナくんは・・・・・ちゃんと業を背負っている。自分の行いを業として受け入れ、背負い、苦しんでいる!あなたなんかとはまるで違うわ!」
「飛鳥・・・・・」
「業を背負うだと?それがどうした!それがなんになる!シナナのした非道がそれで許されるとでもいうってのか?」
「確かにシナナくんのした事は許されない事だわ。でも・・・・そんなことシナナくんだってわかってる!わかってるからこそ・・・・・・シナナくんは許されるために業を背負っているんじゃない!業を背負う事自体に意味があるの!業を背負おうともしないあなたが・・・・・シナナくんを非難する資格なんてない!」
飛鳥はシナナから学んだのだ。業を背負うことの必要性、そしてその大切さを。
それを教えたシナナが、業を背負うことがどういうことなのかを理解していないはずがない。
それが飛鳥にはわかっていた・・・・・だからこそ狂治の言っている事を否定せずにはいられなかったのだ。
「・・・・・威勢のいい女は好みだぁ。だが・・・・・・お前は少しばかり喧しすぎる。俺の玩具にしちまえば・・・・・ちょっとは静かになるかなぁ?」
狂治はニタァと笑みを浮かべながら、ギフトカードから爪型の武器を取り出し装備した。
「・・・・・そんなことさせないさ」
シナナは飛鳥をかばうように前に出る。
「飛鳥を死物兵器になんてさせない。お前はここで・・・・俺が倒す」
シナナは剣を具現させ、狂治に向かって突き立てた。
「・・・・いいぜぇ、そうこなくっちゃよぉ!ルイオスゥ!シナナは俺がぶっ殺す!邪魔すんじゃねえぞ!」
「くっ、本当に腹立たしい奴だ・・・・・ああ。好きにしなよ」
ルイオスは忌々しげな表情を浮かべながらも、狂治の言葉に従う。
「・・・・飛鳥、十六夜、耀。俺は狂治の相手で手一杯になると思う。負ける気はないが・・・・・あいつはそれなりに面倒だからな。他を任せてもいいか?」
「そんなこと一々聞く必要ねえよ」
「ええ。私達に任せて」
「問題ない」
「・・・・・・そうか」
力強く返事を返す3人に、シナナは頼もしさを感じてふっと微笑みを浮かべた。
「とりあえずルイオスは俺がやる。奴が隷属してる元・魔王ってのにも興味があるしな。邪魔すんじゃねえぞ?」
「仕方ないわね。だったら私は・・・・・周りの連中の相手をするわ」
「私も。飛鳥と一緒に戦う。ジンは巻き込まれないように下がってて」
「ま、待ってください!十六夜さんはともかくとして飛鳥さんと耀さんの二人でこの数を相手にするのは・・・・・」
「大丈夫だよ。あの程度の連中に遅れをとったりは・・・・・」
「いや、ジンの言うとおりだな」
耀の言葉を遮るように言うシナナ。
「別に二人の事を信用してないわけじゃないが・・・・・死物兵器っていうのは生きてる人間にあるはずのリミッターが存在しないせいで生前よりも力が増してるんだ。あの数は二人でもキツイだろう」
「・・・・・一応聞くけれど私の威光で動きを封じるのは?」
「無理だな。俺みたいに自我がはっきりしてるならともかく、あいつらは自我がほとんどない。威光で縛ることはできないだろうな」
「面倒ね・・・・・」
「大丈夫さ。二人には・・・・・とっておきの助っ人をつけるから」
「「とっておきの助っ人?」」
シナナの言う助っ人がなんなのか検討もつかない飛鳥と耀は首を傾げる。
「ああ・・・・・・コイツがいればどうとでもなる」
そう言いながらシナナは一つのアクセサリーを取り出し・・・・・・具現させた。
「
アクセサリーは輝きを放ち・・・・・・そしてそれが現れる。
ハデスの兜をかぶり、ヘルメスの靴を履き、右手には金剛の鎌ハルパーを、左手には女神の楯アイギスを携えるギリシャ神話の英雄。
「ふむ・・・・・表に出るのは久しぶりだ」
そこにいたのは・・・・・・紛れもなくペルセウスだった。
克臥狂治について
克臥狂治は虚野十六夜と同じ軍に所属し、もっと言えば幼い時から知っています
狂治は虚野十六夜の才能に嫉妬し、一方的に敵視しており、いつか殺してやろうと同じ軍に所属していました
そしてある日、虚野十六夜が疲弊している隙に心臓を抉って殺すことに成功しましたが、直後に死物兵器となった彼に殺されるという因果応報な最期を遂げました
それでは今回はこれにて
次回もまたお楽しみに