問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回のメインはシナナさんが具現したペルセウスがメインです

それでは本編どうぞ


ペルセウス

「ペル・・・・・セウス?ペルセウスだと!?」

 

シナナの具現した男を目にし、思わず声を荒げてしまうルイオス。

 

無理もない。コミュニティ"ペルセウス"のリーダだからこそ彼にはわかるのだ。

 

その男が・・・・・本物のペルセウスと遜色ない存在だということを。

 

「久しぶりだなペルセウス。状況説明はいるか?」

 

「いらん。我の役割は・・・・・この娘達と共に雑兵を叩けばいいのだろう?造作もない」

 

シナナが問うとペルセウスは薄く笑みを浮かべながら応える。

 

その言葉だけでも、凄まじい威圧感を感じさせた。

 

「わかっているならいい。任せたぞ」

 

「承知した。そういうわけだ。娘二人よ、我がいれば万人力だ。安心するといい」

 

「え?あ・・・・うん」

 

「よ、よろしく頼むわ」

 

「ふっ、そう緊張することない。いざとなれば我が守るからな」

 

ペルセウスとの邂逅に少々戸惑っている様子を見せる耀と飛鳥。そんな二人に、ペルセウスは緊張をほぐそうと優しく語りかけた。

 

(な、なんかイメージとかなり違うわね・・・・)

 

(・・・・もっと野蛮で礼儀がない人だと思った)

 

その紳士的なペルセウスの態度は、飛鳥と耀にとっては意外であったのだろう。緊張はほぐれたものの戸惑いはさらに増してしまっていた。

 

「アヒャヒャヒャヒャ!!おいおいおいおい・・・・・・そんなスゲエものまで持ってたのか!本当に・・・・・・あいつは器用な奴だなぁ!!」

 

「・・・・・・それについては同意してやるよ」

 

狂治の言う『あいつ』・・・・・その者のことを思い、シナナは表情を曇らせる。

 

「随分と悲しそうだなぁ・・・・まあ当然か。あいつ・・・・瑠々はお前にとって・・・・!?」

 

狂治の言葉は、『ガキン!』と周囲に響き渡る金属音によって遮られる。

 

それはシナナが振り抜いた剣を、狂治が爪の武器で防ぐ音であった。

 

「・・・・・おいおい。不意打ちとは随分とまあ卑怯な真似してくれるじゃねえか」

 

「これはスポーツじゃなく戦いだぞ?卑怯も何もあるかよ」

 

「まあそうだけどよぉ・・・・・そんなにあいつの話をするのが嫌だったか?お前はもう虚野十六夜じゃなくてシナナなのに?」

 

「・・・・・関係ない」

 

いやらしい笑みを浮かべながら言う狂治に対して、シナナは冷たい声色で言い放った。

 

「関係ないねぇ・・・・・まあいいや。今はこの戦いを楽しもうぜ!」

 

そう叫ぶやいなや、狂治は爪をおおきく振りかぶってシナナに斬りかかる。

 

「楽しむか・・・・・その余裕いつまで続くか見ものだな」

 

狂治の爪を剣で弾きながら言うシナナ。

 

二人の戦いが・・・・・始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっちは始まったか」

 

ルイオスと対峙する十六夜は、横目でシナナの戦いが始まったことを確認した。

 

「それじゃあこっちも・・・・・っと、その前にルイオス。お前に聞きたいことがある」

 

「・・・・なんだよ?」

 

「お前さ・・・・・あんな奴に部下を死物兵器に変えられちまって何も感じねえのかよ?」

 

十六夜は神妙な面持ち、そして射抜くような視線でルイオスを睨みながら言う。

 

「・・・・・どうでもいいさ。お前たちを八つ裂きにできれば・・・・・勝てればなんだっていい」

 

十六夜の問いかけに吐き捨てるように答えるルイオス。

 

一見すると部下を顧みない非道なリーダーに見えるが・・・・十六夜は気がついていた。

 

ルイオスの心の奥底に潜む憤りを。

 

「名の知れたコミュニティのリーダーってのも大変なんだな」

 

「なに?」

 

「俺たちのような"名無し"に負ければ面子が潰れる・・・・・・それを回避するためにどんなにムカつこうとも仲間を殺したあんな奴に頼っちまう。少しばかり同情するぜ」

 

「!?う、うるさい!貴様の・・・・・貴様のような"名無し(ノーネーム)"のガキに何がわかる!」

 

動揺し、声を荒げるルイオス。

 

それは十六夜の言うことが図星であることの何よりの証拠であった。

 

ルイオスは克臥狂治を憎んでいた。失態を犯し、レティシアを連れ戻せなかったとはいえ、部下を殺されたのだから当然とも言える。

 

だが・・・・それでもルイオスは狂治を頼ってしまった。

 

"ペルセウス"の面子と尊厳がかかったこのゲームはルイオスにとって負けられないものだった。だからこそ、勝つために狂治を受け入れるしかなかった。

 

たとえそれがどんなに腹立たしいことであっても・・・・・

 

ルイオスは"ペルセウス"のリーダーなのだから。

 

「まあ確かにお前の気持ちなんてわかりゃしねえよ。だが安心しろよ。てめえのそのくだらねえ面子とプライド・・・・・・俺が叩き潰してやるからよ」

 

そんなルイオスの心境を分からずとも察した十六夜は、ふっと不敵な笑みを浮かべながら、拳を握って言い放つ。

 

それはある意味では十六夜なりの優しさともいえるものであった。

 

「うるさいうるさいうるさい!"名無し"が・・・・・僕を見下すなぁ!!来いアルゴール!!」

 

ルイオスは自身の首に巻きつけた飾りを乱暴に引き剥がし、地面に叩きつけた。

 

地面に接するのと同時に装飾は黒く光り輝き、それに封印されていた存在・・・・・"アルゴールの魔王"が解き放たれた。

 

「ra・・・・・Ra、GEEEEEEEYAAAAAAAaaaaaaaa!!!」

 

白亜の宮殿に共鳴するかのような甲高い女の声が響き渡る。だがそれは最早人が理解できる言語ではなかった。

 

一言で言うなら不協和音。誰の耳にも不快感を与えるであろう絶叫。

 

だが・・・・・それを前にしても、十六夜は堂々とその場に立っていた。

 

「そいつがアルゴールか・・・・・・少しは楽しめそうだな」

 

「そうやって余裕ぶってるのも今のうちだ!お前は僕とアルゴールが倒す!」

 

ギフトカードから取り出したハルパーを十六夜に向けながら、ルイオスは宣言した。

 

「・・・・・ヤハハハ!!なんだよおい!!お前思ったより度胸あるじゃねえか!!いいぜ・・・・その度胸に応えて正々堂々ぶっ潰してやるよ!!」

 

闘争心をむき出しにし、十六夜はルイオスとアルゴールを殴るべく地面を蹴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・・・手応えのない奴らだ」

 

肩に鎌を乗せながら、ペルセウスはつまらなさそうに言う。

 

その周囲には、死物兵器の成れの果ての塵が大量にばら蒔かれていた。

 

ペルセウスが戦いを始めて30秒・・・・・その30秒で彼は20もの死物の首を撥ねていた。

 

「他の雑兵はともかくとして、我の名を関するコミュニティの兵士だったものでさえ・・・・」

 

「「「「うがぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

ペルセウスの言葉を遮るように、"ペルセウス"の兵士の死物4人が手にした武器で攻撃を仕掛ける。

 

だが・・・・・

 

「・・・・・この有様だ」

 

そんなものペルセウスにとっては取るに足らないもの。目にも止まらぬ速さで鎌をひと振りして死物の首を切り裂いてしまった。

 

「コミュニティ"ペルセウス"・・・・・本当につまらぬ連中だ。どうせなら我も向こうの相手をしたかったものだ」

 

羨ましそうにアルゴールと戦っている十六夜を見るペルセウス。伝説の英雄たる彼にとっては、この程度の死物兵器では相手としては物足りないようだ。

 

その一方で・・・・

 

「す、凄い・・・・・これがペルセウスの力?」

 

ペルセウスの力を間近で目の当たりにした耀は、驚きをあらわにしていた。

 

耀・・・・そして飛鳥とて死物兵器達と戦ってはいたが、死んでしまってるが故に半ば捨て身のような戦い方をする死物兵器達相手に、苦戦とまではいかずとも僅かに手こずってしまっていた。そしてそれを見かねたペルセウスに割り込まれて先に倒されてしまったのだ。

 

そこからはペルセウスの独壇場。飛鳥と耀が戦う隙などない速さでペルセウスは死物兵器の数を減らしていったのだ。

 

そうこうしているうちに・・・・・・

 

「・・・・・ふんっ、ただただ虚しい戦だった」

 

ペルセウスは周りにいた死物兵器をすべて倒してしまった。

 

その時間は戦いが始まってわずか3分・・・・・3分ですべて終わらせてしまったのだ。

 

「・・・・・すまなかったな娘二人。お前達の出る幕はなかった」

 

「う、ううん。私は別に・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

ペルセウスの言葉に、耀は返事を返す。だが、飛鳥は何も答えずに黙り込んでしまっていた。

 

「ん?おお、そうか。そういえばお前は虚野・・・・いや、今はシナナか。シナナに鍛えられていたのだったな。その成果を発揮する場を奪ってしまったか・・・・・改めて謝罪しよう。本当にすまなかった」

 

ペルセウスは飛鳥に頭を下げて謝罪する。

 

だが・・・・・飛鳥が黙り込んでいたのはそれが理由ではない。

 

別に・・・・・考え込んでいたことがあったからだ。

 

「・・・・いいえ、そのことは別にいいわ。ただ・・・・・あなたに一つ聞きたいことがある」

 

「む?我に聞きたいことだと?なんだ?」

 

「・・・・・瑠々っていうのはどんな人なの?」

 

飛鳥が考えていたのは、先程狂治の口から出た『瑠々』という名の人物のことであった。

 

その名前が出た瞬間に、シナナは狂治に攻撃を仕掛けていた。

 

故に飛鳥は、その『瑠々』という名の人物はシナナにとって何か特別な存在なのだと思い、気になってしまったのだ。

 

「ふむ・・・・・瑠々のことか。これは話してもよいのか否か・・・・」

 

瑠々についてのことを、話していいのかどうかを悩むペルセウス。

 

それはつまり、話すことをしぶらせ、悩むほどには特別な存在であることを示していた。

 

「私達から戦いの場を奪ってしまったことを申し訳なく思うのなら、答えてくれないかしら?」

 

「私も少し気になる。教えてペルセウス」

 

戦いの場を奪ったことを口実にどうにか聞き出そうとする飛鳥。耀もまた気になっているようで、飛鳥に同調して尋ねた。

 

「・・・・・・仕方がないな。いいだろう、教えてやる。ただし・・・・・我はシナナによって呼ばれた存在だ。シナナに対してそれなりの礼節というものがある。一部しか教えてやれぬが構わんか?」

 

「ええ、それでいいわ」

 

「・・・・教えて」

 

「では・・・・・」

 

ペルセウスは『瑠々』について語り始めた。

 

「瑠々・・・・・奴は我らを生んだ彫金師の名だ」

 

「ペルセウス達を・・・・生んだ?それって・・・・」

 

「あのアクセサリーを作った人ってこと?」

 

「そうだ。瑠々はあの世界においてもっとも腕の立つ彫金師であった。奴はある能力を有していて、それ故に奴に造形できぬものはなかった。我のアクセサリーを作れたことが何よりの証拠だ」

 

どうやら瑠々という名の人物がシナナの持つ数多のアクセサリーを作ったようだ。

 

数多の武器や伝承の英雄であるペルセウスでさえ造形してしまったのだから、ペルセウスの言うとおりその腕が相当に秀でているのは間違いのないことであろう。

 

「・・・・・つまりその瑠々という人は虚野十六夜のパートナーのような存在だったということ?」

 

「そうだ。だがまあ・・・・・・それと同時に瑠々はあいつの・・・・」

 

そこまで言って、ペルセウスは口を閉ざしてしまった。

 

「ペルセウス?」

 

「・・・・・すまないが話せるのはここまでだ。これ以上は我の口からは・・・・・」

 

「・・・・うん。わかった」

 

「教えてくれてありがとうペルセウス」

 

全てではないとは言え、瑠々のことを話してくれたペルセウスに、飛鳥と耀は礼を述べた。

 

「礼を言われるようなことではないがな。さて、話は終わったのだ。我々はシナナ達の戦いを見守るとしよう」

 

話を終えた一同は、シナナ達の戦いに視線を向けた。

 

(シナナくん・・・・・頑張って)

 

シナナの勝利を願い、飛鳥は心の中で声援を送った。

 

 




ペルセウスについて

ペルセウスはギリシャ神話に登場する多くの偉業をなした半神の英雄です

もっとも有名な話はゴルゴンの一人、メデューサを打倒したことです

その際にヘルメスの靴、ハルパー、アイギスが使用されたと伝えられます

シナナが具現したのは、そのペルセウスそのものといっていい存在です


それでは今回はこのあたりで

次回もまたお楽しみに
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