問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回でゲームの決着が付きます

サブタイから察することができるかもしれませんがルイオスが原作よりも格好良いです

どうなるかはその目でお確かめを

それでは本編どうぞ


ルイオスの意地

「・・・・・」

 

シナナは狂治がいた場所を一瞥したあと、飛鳥と耀の居るところに戻っていった。

 

「シナナくん・・・・・」

 

「シナナ・・・・・」

 

「・・・・・はあ、二人共なんて顔してるんだよ?せっかく勝ってきたっていうのにこれじゃあ気が滅入るだろ?」

 

心配そうな表情を浮かべながら迎える飛鳥と耀に対して、シナナは苦笑いを浮かべてみせた。

 

「わかっていながらそのようなことを言うとはひどいではないか。あのようなものを見せられれば心配になってもおかしくない」

 

「・・・・まあ、それはそうか。二人には不安な思いをさせてしまったな。わるかった」

 

「・・・・・謝ることないわ。シナナくんは悪いことをしたわけではない。だから・・・・・謝らないで」

 

「私達は大丈夫。大丈夫だから」

 

シナナは申し訳なさそうな表情を浮かべ、二人に謝罪した。そんなシナナに飛鳥と耀は安心させるような笑顔を浮かべてながそう言った。

 

「そうか・・・・・ありがとう」

 

「ふっ、死物に成り下がった身でありながら良き仲間に巡り会えたではないか。せいぜい大切にしろよ?なにせお前は・・・・」

 

「ペルセウス・・・・・ご苦労だったな。まあ助っ人のくせに少しでしゃばってたのはどうかと思うが・・・・とにかくよくやってくれた。もう戻っていいぞ」

 

「む、おい待て。我はまだ・・・・・」

 

何かを言おうとしていたペルセウスであったが、シナナはそれを遮ってアクセサリーに戻してしまった。

 

「シナナ・・・・・あそこで戻すのはひどくない?」

 

「いいんだよ。ああでもしないとあいつ戦い足りないとか言って十六夜の方に割り込む恐れがあったから。ペルセウスは筋金入りの戦闘狂だしさっきの戦いじゃ満足してなかったようだしな」

 

いくらなんでもあれはないとペルセウスを不憫に思い、尋ねる耀に、ペルセウスがいかに好戦的かを知るシナナは頭を抑えてボヤくように説明した。

 

そんな中・・・・・飛鳥はシナナの事をじっと見つめていた。

 

「ん?どうした飛鳥?」

 

「・・・・いいえ、なんでもないわ」

 

「?そうか・・・・・」

 

(・・・・・さっき、ペルセウスは一体何を言いかけたのかしら?シナナくんはそれを私たちに聞かれたくなくてペルセウスを戻したの?)

 

なんでもないと答える飛鳥であったが、その心中ではなぜあのタイミングでペルセウスが戻されたか、そしてシナナは何を隠そうとしたのかを気にしていた。

 

「まあ、それよりも俺達の役割は終わった。あとは十六夜の戦いを見守・・・・るだけでは済まなさそうだな」

 

「シナナくん?なにを言って・・・・・えっ!?」

 

「なに・・・・これ?」

 

突然、黒く染まる宮殿に飛鳥と耀は目を見開いた。そうして二人が驚いている間に・・・・宮殿から無数の蛇が出現する。

 

「なるほど・・・・・そういえばゴーゴンには魔物を生み出す力があったっけな」

 

具現した剣で蛇を切り裂きながら、シナナは納得したような声を上げる。

 

「耀、飛鳥。ジンの護衛に回るぞ。こいつら多分いくらでも湧いて出る」

 

「わかったわ」

 

「うん」

 

蛇を倒しながら返事を返す飛鳥と耀。そして三人は蛇をなぎ倒しながら護衛のためジンのもとに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ・・・・・はははっ!どうだ名無し!これがアルゴールの力だ!」

 

十六夜と対峙するルイオスは、高笑いをあげていた。その体にはいたるところに傷ができており、服もボロボロだ。

 

宮殿の悪魔化・・・・・ゴーゴンの特性を備えたアルゴールの能力の中でも厄介なこの力を使ったのはルイオス、そしてアルゴールが十六夜相手に劣勢に立たされていたからであった。

 

腐ってもコミュニティのリーダーたるルイオスにはそれなりに戦う力は備わってる。そして箱庭において最強種たる星霊の一人であるアルゴールに至っては、その力は並みの戦士では到底かなわないほどに強大だ。

 

だが・・・・・にも関わらず、二人は十六夜に全くかなわなかった。腕力においても機動力においても・・・・十六夜は二人を遥かに上回り、戦いは一方的な蹂躙となっていたのだ。

 

故にルイオスは、アルゴールに宮殿の悪魔化を指示してこの状況を覆そうと考えたのだ。

 

「なるほどな、コイツは確かに厄介・・・・・というよりはめんどくさいな」

 

蛇を倒しながら、十六夜はだるそうに言う。

 

この程度の蛇など、十六夜にとっては取るに足らない。何匹現れようと。その牙が十六夜の肌に突き立てられることなどありはしない。

 

だが・・・・・だからこそ、こんな蛇を延々と対処し続けるのは十六夜にとっては退屈この上ないのだ。

 

「十六夜、この状況何とかしてくれないか?いくらなんでもこいつらを倒し続けるのは面倒だぞ?」

 

「そうよ十六夜くん。鬱陶しいわ」

 

「早急にお願い」

 

「えっと・・・・・私も何とかして欲しいって思ったり」

 

「十六夜さん・・・・・僕からもお願いします」

 

蛇を倒し続けるシナナ、飛鳥、耀、そして黒ウサギとジンまでもが状況の打開を十六夜に求めた。

 

「わかったよ。それじゃあ・・・・・どうにかしてやるよ」

 

ニヤリと笑みを浮かべなが了解する十六夜は、拳を振りかぶる。

 

「な、何をする気だ?」

 

「なにって、そりゃあ・・・・・この宮殿も敵になってるっていうならぶっ壊すだけだろうが!!」

 

叫びながら拳を宮殿に炸裂させる十六夜。その衝撃は凄まじく、宮殿は音を立てながら原型をとどめないほどに崩壊する。

 

「って、おい十六夜!なんとかしろとは言ったがおい。まあ派手にやりすぎだ!驚くだろうが!!」

 

足場である宮殿の崩壊によってバランスを崩しかけてよろけるシナナは、十六夜に対して大声で抗議する。他の者たちも尻餅をついたり倒れてきた瓦礫をどかしたりしていた。

 

「悪いな。これぐらいしか方法が思いつかなかった。なんとかしてやったんだから文句言うな」

 

「たくっ・・・・・」

 

特に悪びれた様子もなく、軽く手を振って返事を返す十六夜。まあ一応はなんとかなったわけなのでシナナはそれ以上文句を言うことはなく、他の者たちも反論しなかった。

 

「ばか・・・・な。宮殿を破壊しただと?どれだけデタラメなんだ・・・・・」

 

よもや宮殿を破壊されるなど夢にも思わなかったのだろう。ルイオスの表情は驚愕に染まり、顔色も青ざめていた。

 

「さて・・・・・と。まさかとは思うがこれで打ち止めってわけじゃあないだろうな?他には何かないのか?」

 

「くっ・・・・・冗談じゃない!僕は・・・・・こんなところで僕は!アルゴール!終わらせろ!」

 

ルイオスの指示のもと、アルゴールは自身を中心にして褐色の光が広がっていった。

 

それはゴーゴンの石化能力。光を浴びたものを容赦なく石へと変える力だ。

 

「ちっ・・・・・仕方がない。下がれ十六夜。俺が・・・・「すっこんでろシナナ」・・・・十六夜?」

 

シナナが以前と同じようにアイギスで反射すべく前に出ようとするが、十六夜がそれを制する。

 

「必要ねえよ。こいつも・・・・・俺がぶっ壊してやる!」

 

光に向かって拳を振るう十六夜。

 

すると・・・・・褐色の光はまるでガラスのように砕け散る。

 

「なに!?ギフトを無効化・・・・・いや、破壊しただと!?」

 

「やってみるもんだな・・・・・思ったより簡単だった」

 

(簡単だと?そんなわけない・・・・・あっていいはずがない)

 

余裕そうに笑みを浮かべる十六夜を、シナナは信じられないものを見るような目で見ていた。

 

十六夜ほどの身体能力を宿しながら、ギフトを無力化させる力が両立している・・・・・それはある意味異常事態であった。奇跡を宿し、奇跡を破壊する魂など、存在そのものがありえないのだから。

 

(これがオリジナル・・・・・逆廻十六夜の力だっていうのか?ははっ、こんなの目にしたら確かに虚野十六夜は残響だって思わざるを得ないな)

 

ありえないと思わせるほど超絶的な存在、逆廻十六夜・・・・・シナナは十六夜に恐怖と頼もしさを感じずにはいられなかった。

 

「さて、これでもう手は尽くしたか?だとしたら・・・・・・この勝負、もうお前に勝ち目はねえ。後は俺が・・・・ぶちのめすだけだ」

 

「・・・・・」

 

圧倒的なまでな戦力差に、ルイオスは黙り込んでしまった。

 

もしアルゴールが万全な力を振るうことができたのならまだわからないが・・・・・それは仮定の話だ。既にこの勝負は誰の目から見てもどちらが勝者なのかは明らかだ。

 

だが・・・・・

 

「・・・・・アルゴール、まだ戦えるな?」

 

その目には、未だに闘争心の炎が燃えていた。

 

「へえ、まだやんのかよ?てっきり降参でもすると思ったんだがな」

 

「黙れ!僕はここで・・・・・こんなところで屈するわけにはいかない!僕はコミュニティ"ペルセウス"のリーダー、ルイオスだ!こんなところで名無し相手に諦めて誇りを汚すわけにはいかない!」

 

初めはただレティシアを取り返し、自分をコケにした"ノーネーム"を叩き潰すことしかルイオスの頭の中にはなかった。

 

だが、今は違う。

 

自らの傲慢さ、思慮の浅さが原因となって部下を狂治に殺され、さらには好き勝手に操られ・・・・・・その上でそんな男を戦力として迎えてしまった悔しさと情けなさ。

 

それでもなお、全く手も足も出ずに劣勢に立たされてしまう不甲斐なさ。

 

そんな劣等感が、ルイオスの意識を変えた。このままではいけないと・・・・・このままでは"ペルセウス"のリーダーに相応しくなどないと、ルイオスにそう思わせた。

 

もはや勝機など欠片も残されていない・・・・・それでも戦うことをやめるわけにはいかない。ここで戦うことをやめれば・・・・・・未来永劫胸を張って"ペルセウス"のリーダーだと言い張ることができないと考えているからだ。

 

「正直、お前のことは取るに足らない小物だと思ってたんだがな・・・・・・撤回してやるよルイオス。ほんの少しだけ認めてやる」

 

ルイオスの心情を察した十六夜は、僅かにだが見直した。

 

今のルイオスは・・・・・十分に一コミュニティのリーダーに相応しい人格を持っていると。

 

「来いよ!敗者を決めるまで・・・・・とことんやり合おうぜ!」

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!」

 

挑発するように指を振る十六夜に、ルイオスはアルゴールに向かっていった。

 

何度殴り飛ばされようと、どんなに地面に打ち付けられようとも・・・・・

 

自らの意識が保つ限り、自らの敗北が決するまで戦うことをやめなかった。




ルイオスの心境について

原作とは違い、狂治に好き勝手されたことから本作のルイオスは少々コミュニティーのリーダーとしての意識が強くなっています

だから強くなったというわけではありませんが、少なくとも一コミュニティのリーダーに相応しい姿になってはいるでしょう


それでは今回はここまで

次回もまたお楽しみに
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