問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~ 作:shin-Ex-
・・・・・あまりデートっぽくないかもしれませんが
それでは本編どうぞ
「♪~」
"ノーネーム"の本拠地にて、シナナは機嫌よさげに鼻歌を歌いながら門に背を預けていた。
しばらくそうしていると・・・・・・
「お、お待たせシナナくん」
飛鳥が現れた。
いつもと同じ赤いドレスを身に纏う飛鳥・・・・ただ、その顔もドレスほどではないにせよほんのりと赤らんでいた。
「いや、そんなに待ってないから気にしなくてもいいよ」
「そう・・・ならいいわ」
「・・・・もしかして緊張してる?」
「なっ!?そ、そんなことないわよ!わ、私が緊張するだなんて・・・・!」
否定の言葉を口にする飛鳥であったが、どう見ても取り乱しているのは明らか。これで緊張していないなど誰が信じられようか?
「・・・・・そっか、飛鳥は緊張してないのか。でも・・・・・俺はしてるよ」
「え?」
「俺は・・・・・ちょっと緊張してる。もしも俺が生きていたなら・・・・・きっと心臓バクバクしてただろうな」
「シナナくん・・・・・」
クスリと笑みを浮かべながら言うシナナ。その笑顔はいつもの余裕の孕んだものでも、からかうようなものではなく、外見相応に少年らしいものであった。
「わ、私だって少しは・・・・・」
「ん?少しはなんだって?ん?」
・・・・・だが、そんなものは束の間。すぐに意地の悪い笑顔を浮かべながら、シナナ飛鳥をからかう。
「ッ~!!なんでもないわ!それよりも行くわよ!」
ムキになってぷいっと顔を背けながら、飛鳥はシナナに向かって手を伸ばす。せっかくのデートなのだから手ぐらいは繋ごうと考えたのであろう。
だが・・・・
「あっ・・・・・あ~・・・・・」
シナナはその手を取らなかった。それどころかどこかどぎまぎしているような様子を見せる。
「どうしたのシナナくん?」
「いや、どうかしたわけじゃないんだけど・・・・その・・・・」
(ああ・・・・・そういうこと)
小さな声で言い淀みながら、シナナは自分の手を見つめるシナナを見て、飛鳥は察した。
シナナは死物だ。それ故に体温というものがない。手をつなげば、その冷たさを飛鳥に伝えることになるのは明白。
以前も手は繋いだことはあるが今日はデートだ。せっかくのデートで、飛鳥にそんなことを気にして欲しくないと考えているのであろう。
(まったく、今までだって手に触れることなんて何回もあったのに変なところで気を遣って・・・・仕方ないわね)
飛鳥はシナナの腕に、自分の腕を絡めさせた。密着しているとはいえ、服の上からなので直接体温を感じることはない。
「飛鳥?」
「ほら、これでいいでしょ?」
(・・・・気づかれたか。まったく飛鳥は・・・・)
自身にしてやったりな笑顔を向けてくる飛鳥を見て、シナナの心は喜びに染まった。
「・・・・・行こうか飛鳥」
「ええ。しっかりエスコートしてよ?」
「もちろんでございます」
腕を組んだまま、二人は門をくぐって街へと歩みを始めた。
「それにしても・・・・・本当に箱庭っていうのは色んな種族がいるんだな」
飛鳥と街中をみて廻るシナナが、ふとそんなことを呟いた。
「そうね。獣人っていうのかしら?色んな動物の耳や尻尾を付けた人もたくさんいるし・・・・・・未だに慣れないわ」
「なら獣人の気持ちを確かめてみるか?これで」
そう言いながらシナナが取り出したのは・・・・・いつぞやのうさ耳のアクセサリーであった。
「それはもういいから・・・・・流石に恥ずかしすぎるわ」
「はははっ、別に堂々としてればいいと思うんだけどな。あ、でもそうしたら俺達月のウサギに間違えられて騒ぎになるかな?」
「そういえばこの箱庭ではウサギっていうのは物凄く希少な貴族だったわね・・・・・普段の黒ウサギを見ていると忘れちゃいそうになるけど」
「箱庭の貴族(笑)って感じだもんな」
「あら?私は箱庭の貴族(哀)だと思っているのだけれど?」
・・・・・・当の本人がいたら文字通り真っ赤になって怒り出しそうである。
「まあ、そんなことより、とりあえずこれからどうする?」
「そうね・・・・・まずはどこかで食事でもどうかしら?」
「いいね。それじゃあどこかよさそうなところを・・・・」
「やめて!離してよ!」
どこか食事ができるところを探そうとするシナナと飛鳥の耳に、叫び声が聞こえてきた。
「ん?なんだ?」
「向こうからね・・・・・行ってみましょ」
「ああ」
二人が声のするところに向かうと、そこには、ジンと同じくらいの年頃の少女が、体つきの大きい男に腕を掴まれてる光景があった。
「おいガキ、この俺にギフトゲームをけしかけておいて逃げるとはいい度胸だなぁ!」
「あんなルール絶対おかしいよ!どう見ても公平なゲームじゃなかった!」
「あぁ?なんだ言いがかりつける気か!?」
「・・・・ふむ、見ていてあまり愉快とは言えないな」
「そうね」
どう見ても大の大人が子供を力づくで脅しているとしか思えない光景・・・・それを目にしたシナナと飛鳥は不快そうに顔をしかめる。
「なあ飛鳥、俺から誘ったデートのさなかにこんなこと言うのはアレなんだけどさ・・・・・首突っ込んでもいい?」
「むしろ手を出してくれても構わないと思っているのだけれど?」
「・・・・・そりゃよかった」
飛鳥から了承を得たシナナはニヤッと笑みを浮かべて二人に近づいた。
「おい、ちょっといいか?」
「あ?いま取り込み中だ。後で・・・」
「ごめん、待てない」
「へぶっ!?」
シナナは男の顔面を殴りつけた。シナナからすればかなり加減はしたのだが、その男には効いたのだろう。痛みでのたうち回っていた。
その隙に、飛鳥が少女に声をかける。
「あなた大丈夫?」
「う、うん・・・・」
「それはよかったわ。ここは私達に任せていきなさい」
「いいの?」
「ええ」
「ありがとう。そっちのお兄さんも」
少女は飛鳥とシナナに俺をを言って、その場を去っていった。
「よし、問題解決だな。それじゃあデート再開・・・・・ってわけにはいかないか」
「小僧ぉ・・・・・よくもやってくれたな!」
殴られた頬を手で押さえながら、男はシナナを凄んでいた。
「こりゃ仕返ししなきゃ腹の虫が収まらねえ・・・・」
「まあまあ落ち着け。いくらリストラされた上に奥さんにまで逃げられたとはいえそこまでムシャクシャするなよ元ハンバーガー屋」
「勝手に悲惨な設定を作るな!」
「シナナくん、ハンバーガーってなにかしら?」
「あ、そっか。飛鳥の時代にはまだないのか・・・・・なら探してみるか?箱庭にはあるかもしれないし」
「そうね」
「逃げんなコラァ!!」
ハンバーガーを売ってそうな店を探そうとその場をあとにしようとするシナナと飛鳥を、男は引き止めた。
「うるさいなぁ・・・・・そんなにカッカすると血圧上がるぞハンバーガー」
「せめて『屋』をつけろ『屋』を!つうか俺は肉屋だ!」
「肉屋・・・・・ああ、なるほど。それでか」
シナナは男の脂肪がたっぷり蓄えてそうな腹に視線を向ける。
「どこ見てやがる!」
「ああ、ごめんごめんついね。つうか肉屋ならハンバーガーの親戚みたいなもんだろ。もうハンバーガーでいいんじゃないか?」
「ハンバーガーがなんなのかはわからないけれどもうハンバーガーでいいわね」
「よくねえ!」
流石は問題児である・・・・・・弄り倒す時の息はぴったりだ。
「この落とし前はギフトゲームで付けさせてもらう!もちろんルールはこっちで決めさせてもらうぜ!」
「なんか勝手に決められてるし・・・・・・」
「器が知れるわね」
「うるせえ!いいから黙ってゲーム受ければいいんだよ!まあ、土下座して謝ってくれるって言うなら特別に許してやるがなぁ」
・・・・・言っていることが小物以外のなんでもない。飛鳥の言うとおり器が知れる。
「わるい飛鳥。もう少しだけ時間とっちゃうけどいいか?流石にこれに土下座するのだけは嫌だ」
「いいわよ・・・・・私もこの男にはムカついていたもの。30分だけ時間を作ってあげるわ」
「30分もいらないさ15分・・・・・いや、10分以内に終わらせてやるよ。とういわけでさっさと始めようぜ。さっきも言ったがデート中なんでさっさと片付けたいんだよ」
「この・・・・・調子に乗りやがって」
挑発的な態度をとるシナナと飛鳥に、肉屋は頭に青筋を浮かべながら怒りを顕にする。
「覚悟しやがれ!すぐに後悔させてやる!ゲーム開始だ!」
肉屋がそういうと、シナナと飛鳥は肉屋の作ったゲームステージに誘われた。
今回の話の内容ですがお分かりの方もいると思いますが乙の展開となっています
まあ、シナナさんと飛鳥さんしかいませんが
ゲームの内容自体は基本的には変わりませんが、どう攻略するのかお楽しみに
それでは今回はここまで
次回もまたよろしくお願いいたします