問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回でデートは終了です

結局あまりデートっぽくなかったかもしれませんが・・・・

それでは本編どうぞ


世界の果てにて

「ここが世界の果て・・・・・十六夜くんの言っていたとおり壮観ね」

 

「そうだな」

 

シナナと飛鳥は、箱庭の外・・・・・世界の果てに赴いていた。

 

目の前に広がる圧倒されるような雄大な光景に、二人の目は釘付けになる。

 

「ずっとここに来たいと思ってたのか?」

 

「ええ、十六夜くんからここのことを聞いた時からね。だって自慢げに話すのだもの。気になって当然でしょ?」

 

「はははっ!それは確かにな。でも・・・・・十六夜が自慢するだけはある。こんなロマン溢れる光景は今まで見たことない」

 

「・・・・・そうね。今日見たこの景色はきっと何があっても忘れないわ」

 

(何があっても忘れない・・・・・か)

 

微笑みを浮かべながら語る飛鳥・・・・・だがシナナはその言葉を耳にして、心が影に覆われた。

 

飛鳥は忘れないといった。だが・・・・・・いずれ今日見たこの景色は・・・・・シナナと見たこの景色の事は・・・・

 

「どうしたのシナナくん?」

 

「・・・・・なんでもない。ちょっとこの景色に見とれてぼんやりしてただけだから」

 

「そう・・・・ならいいのだけれど」

 

(・・・・・だんだん鋭くなってきてるな。喜ぶべきか嘆くべきか・・・・・)

 

少しずつ、シナナの心境の変化に鋭くなってきている飛鳥。それはシナナと飛鳥の距離が近づいている証拠なのだが・・・・・・シナナは素直に喜べなかった。

 

飛鳥に好意を寄せているからこそ・・・・・・だからこそシナナには飛鳥に知られたくない、悟られたくないことがあるのだ。

 

「それにしても・・・・・少し失礼だったかな?」

 

「失礼?それってどういうこと?」

 

「いや?だって隣に麗しいお嬢様がいるっていうのに景色に目を奪われるなんて・・・・・失礼だろ?」

 

「なっ!?あなたは本当に・・・・・どうしていつもいつもキザったらしい言葉で私をからかうの?」

 

またいつものようにシナナにからかわれたと感じた飛鳥は、恥ずかしさから顔を赤らめながらも呆れて溜息を吐いた。

 

「どうしてか・・・・・気になるか?」

 

「え?まあ気にはなっているわ・・・・・教えてくれるのかしら?」

 

「それはな・・・・」

 

「それは・・・・・?」

 

シナナは飛鳥の耳元に顔を近づけ・・・・・

 

「内緒・・・・・だよ」

 

悪戯ぽい笑顔を浮かべながら呟いた。

 

「・・・・・・そう言うと思ったわ」

 

シナナの答えは予測していたようで、飛鳥は呆れ顔だ。

 

「もういいわ。自分で考えるから」

 

「そっか。なら・・・・・一つだけヒントをあげよう。俺があんな態度をとるのは飛鳥に対してだけ。他の奴等には絶対にしない。絶対にな」

 

「それがヒント?」

 

「そうだ。俺から言えるのはそれだけ」

 

(・・・・・何を考えてるんだろうな俺は。答えなんて・・・・・見つからない方がいいのに。そもそも、あんなあからさまな態度までとったりして・・・・・・馬鹿みたいだ)

 

シナナは死物・・・・・・・故に、いつまでも飛鳥達の傍にいられるわけではない。必ず訪れる別れの前には、恋情など後悔、あるいは恐怖という妨げにしかならないのだから。

 

だが・・・・・・それでもシナナは矛盾した言動をとってしまう。

 

それはひとえに恋心というものが難解にして複雑な・・・・身近に存在する中で最大の謎だからであろう。

 

「わかったわ。それじゃあそのヒントを参考にして答えを見つけてシナナくんにつきだしてあげるわ」

 

「ああ。ま、頑張りな」

 

挑戦的な目でシナナを見ながら言う飛鳥に対して、シナナはクスリと微笑みを浮かべ、飛鳥の頭を撫でながら言う。

 

「さて・・・・・そろそろ帰るか?もう結構いい時間だし」

 

既に地平線に日が沈みかけており、辺りは薄暗くなっている。まだ周囲を見渡せる程度の明るさはあるものの、日が完全に沈んでしまうのも時間の問題であろう。

 

「そうね。皆へのお土産もあるし、早く帰りましょ」

 

飛鳥の言うお土産・・・・それは肉屋とのギフトゲームで手に入れた報酬のことだ。

 

あのゲームで獲得した報酬は、肉屋らしくお手軽バーベキューセットであった。今夜はそれを使ってコミュニティの皆で楽しもうと考えているのであろう。

 

「よし、それじゃあ暗くなる前に急いで・・・・・っと、その前に」

 

シナナは飛鳥の後ろへと回り込み、懐からペンダントを取り出して首にかけてやった。

 

「え?これって・・・・・」

 

「初デート記念のプレゼント・・・・・ってところさ。ちょっと前から作ってたんだ」

 

「わざわざ私のために?」

 

「まあ・・・・・な」

 

照れくさそうに頬を指で掻きながら言うシナナ。その仕草は、外見相応の少年っぽいものであった。

 

「・・・・・気に入らないなら別に捨てるなりなんなりしてくれてもいいけど?」

 

「気に入らないなんてことないわ。すごく綺麗・・・・・」

 

ペンダントは真ん中に紅の石のはめ込まれたシンプルなものであった。凝ったものとは言い難いが・・・・・・それでも飛鳥は大層気に入っており、嬉しそうにそれを見つめている。

 

「そっか・・・・・気に入ってくれたならなによりだ」

 

「ありがとうねシナナくん。でも・・・・・」

 

「なんだ?」

 

「・・・・・ごめんなさい。私何もお返しになるようなものなくて」

 

飛鳥はシュンと俯いてしまった。わざわざ自分のためにプレゼントを用意してくれたというのに、そのお返しができないというのは、飛鳥にとっては非常に申し訳ないことであるようだ。

 

「別に気にする必要ないんだけどな・・・・・・・よし、それじゃあこうしようか」

 

「なに?」

 

「それにお返しは・・・・・・次のデートの約束ってことで」

 

「次の・・・・デート?」

 

「ああ。今日一日、飛鳥とデートできて凄く楽しかった。だから・・・・・・いつかまた俺とデートしてくれませんか?」

 

シナナは飛鳥に手を差し出し、ぺこりと頭を下げながら言う。

 

「・・・・・いいわよ。またいつかデートしましょ」

 

飛鳥はシナナの手を取り、それを了承した。

 

(でもまたシナナくんとデートって・・・・・そんなのお返しにならないじゃない。だって・・・・・私もそれを望んでるんだから)

 

シナナだけではない。飛鳥にとっても、今日のシナナとのデートはこれまでにないほど楽しいものであった。

 

だからこそ、飛鳥もシナナとのデートを望むのは当然のことであった。

 

「ありがとう飛鳥。次のデート・・・・・楽しみに待つよ」

 

「そうしなさい」

 

(次のデートは私から誘って・・・・・その時は何か用意しないと)

 

少々偉そうに命令口調で言う飛鳥であったが、内心では次のデートのプランを建てていた。

 

「それじゃあ、今度こそ行こうか」

 

「ええ」

 

今度こそ二人はコミュニティへ帰ろうと歩を進める。

 

コミュニティに到着するまでの間ずっと・・・・・二人の腕は自然に組まれていた。

 

 




今回は説明なしです

次回もまたお楽しみに!
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