問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回は・・・・・ちょっとシリアスになります

ただ、サブタイから不穏な感じを受けるかもしれませんがまだシナナは消滅しませんのでそこは大丈夫です

それでは本編どうぞ


死物は最後に何をしようというのか?

シナナと飛鳥がデートから帰ってきた後、本拠地であの肉屋とのギフトゲームで手に入れた(半ば強奪気味であったが)お手軽バーベーキューセットを使ってバーベキューが行われていた。

 

肉の焼けるこうばしい香りが広がり、焼けた肉に舌鼓を打つ一同、特に、問題児達が来るまで慎ましい生活を送っていた子供達のはしゃぎようは見ていて微笑ましいものだ。

 

そんな中、一番肉を頬張っていたのは・・・・・

 

「・・・・うん、美味しい」

 

「春日部さん・・・・・・あなた食べ過ぎよ?」

 

耀であった。既に他の者たちの3倍近く食べている。

 

「飛鳥はもう食べないの?」

 

「私はいいわ。春日部さんを見てたらお腹一杯になっちゃたもの。それに食べ過ぎると・・・・・いえ、なんでもないわ」

 

何かを言いかけた飛鳥であったが、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。まあこれ以上食べないのは・・・・・・・女性特有の理由であるのだが。

 

(春日部さん・・・・・・なんでこんなに食べるのにスレンダーなのかしら?羨ましいわ)

 

食べる量に似つかわしくないスレンダーな体型を持つ耀に羨望の眼差しを向ける飛鳥。やはり一般的には女性にとっては死活問題なのであろう・・・・・・耀は大して気にしているようには見えないが。

 

「それじゃあ飛鳥の分もいっぱい食べないと」

 

(まだ食べ足りないの?)

 

もっと食べようと意気込む耀に、飛鳥は半ば呆れていた。

 

「あ、そういえば飛鳥」

 

「なにかしら?」

 

「シナナとのデート・・・・・・楽しかった?」

 

耀は箸をおいて尋ねた。

 

「・・・・ええ。すごく楽しかったわ。箱庭に来てから楽しいことばかりだったけれど・・・・・今日はその中でも特に楽しいと思ったわ」

 

飛鳥は無邪気な笑顔を見せながら言う。その笑顔から、彼女にとってシナナとのデートがどれほど楽しかったのかが伺い知れる。

 

「よかったね飛鳥。それじゃあ・・・・・・答えは見つかった?」

 

嫌に神妙な面持ちを浮かべる耀。彼女にとって・・・・それが一番大事なことなのであろう。

 

「・・・・・・残念だけれど見つかってないわ。考えてはいたけれど・・・・・わからないの」

 

「そっか」

 

「でもね・・・・・何も思わなかったわけじゃないの。シナナくんとのデート・・・・・楽しかったけれどなぜか落ち着くことはできなかった」

 

「落ち着けなかった?」

 

「そうなの。なぜかドキドキしちゃって・・・・・・それを表に出さないようにするので精一杯だったわ。ただ、それが嫌だったわけでもない。どこか・・・・・・心地よかった気がする」

 

(飛鳥・・・・・・本当に鈍いんだね)

 

耀は飛鳥の抱いていた気持ちがなんなのか気がついていた。一見すると複雑に見えるそれは・・・・・実は単純なもの。ただ単に好きな人とのデートで緊張してるだけだ。

 

ただ・・・・・・飛鳥は気がついてはいないが。

 

「そういえば・・・・・ねえ春日部さん」

 

「なに?」

 

「シナナくんが私をからかう理由って・・・・・春日部さんの言っている答えに何か関係があるの?」

 

デートの最後に言われた・・・・・・なぜシナナは自分をからかうのか。それも飛鳥にとって頭を悩ませるものであった。

 

「シナナくんはあんなふうにからかうのは私に対してだけって言ってたわ。春日部さんはどう言う意味だと思うかしら?」

 

「それは・・・・・・・シナナと飛鳥が同じってことだと思うよ」

 

「私とシナナくんが・・・・同じ?でも私はシナナくんをからかったりなんてしてないわよ?」

 

飛鳥は耀の言っている事の意味が分からずに首を傾げる。

 

「それでも同じ。だからシナナは飛鳥をからかうし、飛鳥はシナナとのデートで落ち着けなかったんだよ」

 

「・・・・・よくわからないわ。もう少し具体的な言葉はないの?」

 

「あるけど・・・・・やっぱりそれは飛鳥が自分で考えないといけないことだから」

 

「そ、そう・・・・・わかったわ。また考えることが増えてしまったわね」

 

(・・・・・そこまで複雑じゃないんだけどなぁ)

 

答えを見つけようと考え込み始めた飛鳥を見ながら、耀は苦笑いを浮かべる。

 

シナナと飛鳥・・・・・二人を言葉で表すのなら『相思相愛』であることは間違いない。だからこそ、飛鳥が自身のシナナへの気持ちに気がつくことができれば全ての答えが出るのだが・・・・・・・問題はそれがいつになるかだ。

 

(でもまあ・・・・・せめて気がつけるようにサポートぐらいはしないとね)

 

シナナと飛鳥が上手くいくようにサポートしようと心に誓い、耀は再び箸を手に取り、肉を食し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・随分とまあ難儀なことだな」

 

飛鳥と耀の話に聞き耳を立てていた十六夜はそう呟いた。

 

十六夜はわかっている・・・・シナナと飛鳥が相思相愛であることに。そして、耀がシナナに好意を抱きながらも、自ら退いて二人が結ばれるためにサポートに回っていることに。

 

(女ってのはもっと嫉妬深くて独占欲の強いもんだと思っていたが・・・・・春日部のやつ)

 

好意を寄せる者の為、そして大切な友人のために自ら退く選択を選ぶのは中々に容易ではない。だからこそ、十六夜は耀の事を評価していた。

 

(これであの二人が結ばれなかったら不憫どころじゃねえな・・・・・だが実際は・・・・・)

 

十六夜はシナナと飛鳥が結ばれるのは難しいと思っていた。

 

二人は確かに相思相愛・・・・飛鳥がそのことに気がつきさえすれば仲は一気に進展するかと思われるかもしれないが、実際はそうではない。

 

その理由は・・・・・シナナにあるのだから。

 

(シナナはいずれ消える・・・・・俺達が老衰するよりも遥かに早く。それだけならまだしもあいつは自分を・・・・・)

 

十六夜はわかっていた。シナナがいずれ消えてしまうことに。そして、シナナが消える瞬間にとてつもなく哀しく、悍ましいことをしようとしてしまうことに。

 

「・・・・・ままならねえな」

 

十六夜は頭上の月を見上げながら、誰にも聞こえないようにそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ははっ。皆楽しんでるな」

 

シナナは屋敷の屋根から、皆がバーベキューを楽しんでいるのを見て微笑みを浮かべていた。

 

「こんなところで何をしているんですかシナナさん?」

 

そんなシナナに、屋根まで跳躍してきた黒ウサギが尋ねる。

 

「ん?いやまああれだ。俺食べれないからここで見学してたんだ」

 

「見学なら下でも良かったのでは?」

 

「・・・・・子供達いるから」

 

「本当に苦手なんですね」

 

未だに子供達と距離をとっているシナナに、黒ウサギは苦笑いを浮かべる。

 

「まあ無理に降りるようには言いませんけど・・・・」

 

「そうしてくれると助かる。ところで黒ウサギはそれを言うためだけにここに来たのか?」

 

「いえ、シナナさんにお礼を言いたくて」

 

「礼?バーベーキューのことなら成り行きでなったことだから礼はいらないぞ?」

 

「そのこともなんですが・・・・・それ以上にカラッチ・トーロのことにです」

 

「・・・・・誰それ?」

 

シナナは聞き覚えの全くない名前を耳にして頭に『?』を浮かべる。

 

「シナナさん達がゲームをした相手ですよ」

 

「ああ、あのハンバーガーか」

 

「ハン・・・・バーガー?あの・・・・・なんでハンバーガーなんですか?彼は肉屋ですが・・・・」

 

「だってリストラされた上に奥さんにまで逃げられてムシャクシャした元ハンバーガー屋に見えたから」

 

「・・・・・わからなくはないですが」

 

黒ウサギでさえわからなくはないと言うほどとは・・・・・・哀れなりカラッチ・トーロ。

 

「ま、まあともかく。彼の所業は神聖なギフトゲームを汚すものといっても過言ではありませんでしたので黒ウサギとしては許せなかったのです。だから事情はどうあれ懲らしめてくれたシナナさんにお礼を言いたくて・・・・・・ありがとうございました」

 

「そっか・・・・・そういうことなら受け取っておく。どういたしまして」

 

「・・・・・前から思っていましたが、シナナさんって意外と問題児度が低いですね」

 

確かに問題発言、行動をしないわけではないが他の3人に比べれば若干程度が低く思われる。

 

「まあ・・・・・他3人が結構あれだから少し自重してるところはあるかもな。あんまりやりすぎると黒ウサギの胃に穴があくかもだし」

 

「・・・・・・本当にありがとうございます」

 

「あ、でもマジで面白そうなことだったら乗るけどな?」

 

「・・・・・・それは勘弁してください」

 

・・・・・・ただまあ、完全に安心できるわけではない模様。

 

「ところでシナナさん、飛鳥さんとのデートは楽しかったですか?」

 

「ああ、楽しかったよ。『シナナ』になってからは一番楽しかった」

 

「それは何よりです。でも・・・・・・飛鳥さんにお気持ちは伝えないのですか?」

 

黒ウサギは純粋な好奇心からシナナに尋ねた。黒ウサギの目から見てもシナナが飛鳥に好意を抱いているのは明らか。そして飛鳥が少なからずそれを嬉しく思っていることにも気がついている。

 

告白すれば成功するのは明白・・・・・・なのに何故そうしないのかが黒ウサギには気になるようだ。

 

「・・・・伝えないよ。少なくとも俺からはな」

 

「どうしてですか?」

 

「それは・・・・・・まあ、黒ウサギには言っておいたほうがいいかもな」

 

「言っておいたほうがいい・・・・・とは?」

 

「俺は・・・・・いつまでも皆と一緒にいられるわけじゃあない」

 

シナナは悲しそうに・・・・・そう告げた。

 

「それは・・・・・・タイムリミットがあるということですか?」

 

「ああ。大して驚いていないということは、気がついていたようだな」

 

「薄々ですが・・・・・・死霊魔術がいつまでも持つとは思えませんので」

 

「その通りだよ。俺のタイムリミットは・・・・・もってあと2年といったところだろう。この先の戦い次第ではもっと低くなる」

 

本来ならこのタイムリミットはもっと長かった。だが・・・・・白夜叉、そして狂治との戦いで少々消耗しすぎてしまった結果、大幅に短くなってしまったようだ。

 

「・・・・・予想以上に短いのですね。だから飛鳥さんに想いを伝えないということですか?」

 

「ああ・・・・・半分はな」

 

「半分は?それじゃあもう半分は・・・・・なんですか?」

 

理の強制執行(ルール・メイカー)を使って―――――するからだ」

 

「・・・・・え?」

 

シナナの口から語られた理由は・・・・・・黒ウサギにとってあまりにも衝撃的なことであった。

 

「どういう・・・・ことですか?どういうことですかシナナさん?なんでそんな・・・・・」

 

「もう決めたことなんだ・・・・・・そうすれば皆悲しまずにすむだろ?」

 

「でもそれは・・・・・そもそもできないはずでは?前説明したときは30分しか・・・・」

 

「俺の魂を犠牲にすれば可能だ。タイムリミット直前に使えば・・・・・・理は永遠となる」

 

魂を犠牲に・・・・・そうすれば理の強制執行(ルール・メイカー)で創った理は永久のものとなる。タイムリミット直前であれば気にせずに使えるということだ。

 

「そんな・・・・・ダメです!そんなの絶対に許しません!」

 

「許す許さないの問題じゃあないさ。もう決めたこと・・・・・今更撤回はしない。お前がなんて言おうともな」

 

「シナナさん・・・・・・・・もう覆らないのですね」

 

黒ウサギは諦めたように項垂れる。何を言っても無駄だと判断したようだ。

 

「すまないな。本当ならリーダーであるジンに言うべきことなんだがあいつはいかんせんまだ幼い。だから・・・・・・黒ウサギに重荷を背負わせてしまった。申し訳ないと思ってるよ」

 

「・・・・・他の方には言わないのですか?」

 

「言えば反対されるのは確定的だからな。俺自身意思を曲げるつもりはないから面倒になるだけだ。もっとも、十六夜あたりなら気がつくかもだけどな。あいつは『虚野十六夜』のオリジナルだから」

 

「そう・・・・ですか。わかりました。でしたら私も誰にもいいません」

 

「ありがとう黒ウサギ」

 

シナナは黒ウサギに礼を述べる。ひどく儚い表情を浮かべて。

 

「もう戻りな。でないと肉全部食われちゃうぞ」

 

「はい・・・・そうします」

 

「くれぐれも・・・・・誰にも悟られないようにな」

 

「・・・・・・わかっています」

 

黒ウサギは多少強引にでも笑顔を作って、下に降りていった。

 

「・・・・・我ながら残酷だな」

 

シナナは自身の定めた結末の残虐性に、自嘲気味の笑みを浮かべた。




シナナが最期にしようとすることに関して

これは最期のその時になるまで直接明かすことはしませんが、読者の中には何人か察している方はいると思います

もしもあなたがいつか消えてしまうとして、誰にも悲しませないと目に理の強制執行で何をすればいいのか・・・・・それを考えれば答えは出てくるでしょう


それでは今回はここまで

次回もまたお楽しみに!
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