問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回から原作2巻の内容です

そして・・・・・物語は大きく動き始めます

それでは本編どうぞ


箱庭にいて欲しくない人

「・・・・・・」

 

「こんなところで何をしているのかしら?」

 

空を見上げて十六夜の月を眺めていた女性に、斑模様のワンピースを着た少女が声をかける。

 

「見ての通り月を眺めていただけだ。今日の月はあいつと同じ名を持っているからな」

 

少女に問われ、女性は微笑みを浮かべながら返す。ただその目は・・・・・まるで死人のように褪せていた。

 

「大した執着ね・・・・・・そんなに大切なの?」

 

「ああ、愛している。だからこの手で抱きしめたい。もう二度と・・・・・離したくない」

 

思い描くは愛しき者。何よりも大切でかけがえのない・・・・・・縛り付けてでも自身の近くに置きたい愛しき者。

 

「そう・・・・・まあ、私には関係ないことだから別にどうだっていいんだけどね。ただ・・・・・ここにいる以上は協力してもらうわよ?」

 

「わかっているさ。我が剣をもって、あなたの妨げになるものは全て斬る」

 

「ならいいわ・・・・・怠惰な太陽に復讐するときは近い。私は必ず・・・・・!」

 

少女は誓う。何よりも憎い存在・・・・・・怠惰な太陽への復讐を。

 

・・・・その時が訪れるのはもう間もなくだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おひきとりください」

 

「うん、まあ予想はしてたけどさぁ・・・・・」

 

とある用事の為に"サウザンドアイズ"の支店に訪れたシナナであったが、店前で掃き掃除をしていた女性店員に門前払いされる。

 

「白夜叉に用があるんだが・・・・・」

 

「うちは"ノーネーム"お断りですから」

 

「呼んだのは白夜叉なんだが?」

 

「・・・・・・・・確認してきますので少々お待ちを」

 

店員はそそくさと店の中に入っていった。

 

「・・・・・いい天気だなぁ。こんな日和に昼寝できたらどんなに気持ちいいことか」

 

シナナは雲一つない青空を仰ぐ。死物となっている彼は寝ることができない。故に既に昼寝を楽しむこともできず、そのことを残念がっていた。

 

しばらくそうして空を見つめていると・・・・・店員は戻ってきた。

 

「・・・・・確認が取れました。どうぞ」

 

「そっか。それじゃあおじゃまします。お仕事頑張ってね~」

 

店員にヒラヒラと手を振りながら、シナナは店内へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、来たかシナナ。まあそこに座るがいい」

 

「そうさせてもらうよ」

 

白夜叉に促され、シナナは近くにあった座布団の上に正座する。

 

「茶でもどうだ?飲み物は大丈夫なのであろう?」

 

「いただこう・・・・・と言いたいところだが遠慮しよう」

 

「む?私の淹れた茶が飲めないというのか?」

 

「そういうわけじゃないんだが・・・・・もう味覚がな」

 

苦笑いを浮かべながら答えるシナナ。その笑顔は、どこか儚げであった。

 

「ほう、とうとう味覚もなくなったということか。その調子ではおんしが思っておるよりも早くにタイムリミットが訪れてしまうのではないか?」

 

白夜叉は目を細めながらシナナに言う。

 

シナナは白夜叉に自身のタイムリミットの事を伝えてはいなかった。だが、白夜叉は見かけは少女でも長き時を生きているだっけあってかなり頭が回る。死物に時間制限があることなど、とっくにわかっていたのだ。

 

「かもな・・・・・一応黒ウサギには伝えてあるけど」

 

「他の者には良いのか?特に飛鳥は・・・・」

 

「いいんだよ。これで・・・・・いいんだ」

 

タイムリミットのことは他の誰にも話さない・・・・・シナナはそれを違えるつもりはいささかもない。たとえその時がこようともだ。

 

「それよりも、呼び出したってことは狂治の件について何かわかったのか?」

 

シナナは神妙な面持ちで白夜叉に尋ねた。白夜叉がシナナを呼び出したのはシナナに頼まれていた狂治のことに関する調査の結果を教えるためだったようだ。

 

ちなみに、白夜叉が調査を引き受けたのはシナナが自身との決闘に勝利した報酬であるのと・・・・・シナナから提示された別の報酬が理由だ。

 

「ああ。といっても大したものではないがな」

 

「それでも教えてくれ。重要なことなんだ」

 

「わかった。あの狂治という男だが、どこのコミュニティにも所属しておらんかった。だが、箱庭中で奴が参加していたであろうゲームの記録はいくつか見つけることはできた。奴はどうやら雇われてゲームに参加する傭兵のような事をしておったらしい。ただ・・・・・」

 

「なんだ?」

 

「狂治を雇ったと思われるコミュニティはどれも黒い噂が耐えなくての。魔王の配下のコミュニティもいくつもあるのだ。ゲームの内容もどれもこれも殺伐としておる」

 

どうやら狂治は傭兵といってもやばい連中にばかり手を貸していたようだ。まあ、彼のような異常者を雇うのだからある意味では当然と言えるが。

 

「まあ、そのへんは予想できたよ。あいつは殺戮を好むろくでもないやつだからな」

 

「ろくでもないというのには同感だの。あまり表立ってはおらぬが、下位の階層の各地で心臓を抉られた死体が多数見つかっておるらしい。さらに行方不明者も出ておる。手口からして間違いなく・・・・」

 

「狂治だろうな。心臓をえぐり出して殺して使えそうなのは死物に変えて操ったといったところだろう。気になるのは表立っていないということだが・・・・・・誰かが情報を操作して表に出ないようにしてたってところか?」

 

「かもしれぬの。狂治には協力者・・・・・あるいは利用していた者がいたという可能性も示唆しておる」

 

「そいつが狂治を箱庭に手引きした・・・・・といったところか」

 

二人の推理は的を得ていた。なにより狂治はシナナとの戦いの時に自分で召喚してくれたものがいると言っていたのだから。

 

「その手引きしたと思われる奴のことは何かわからなかったか?」

 

「残念ながらなにも。調査の結果わかったのはさっき話したことだけだ。すまんの」

 

「いや、調べて欲しいと頼んだのは俺の方だ。調査結果には何も文句は言わないさ」

 

「そう言ってもらえると助かるの。だが・・・・・やはりおんしとしては気になっていたのではないか?おんしや狂治以外にこの箱庭に来たという者のことが」

 

狂治はシナナに倒される直前に言っていた・・・・・・箱庭に来たのは自分やシナナだけではないと。他にもシナナ・・・・・正確には虚野十六夜がだが、彼が存在していた世界から箱庭に召喚された人物がいるというのはまず間違いない。シナナはそれが誰なのか知るために白夜叉に調査を依頼したと言ってもいい。

 

もっとも・・・・・

 

「まあ確かに気にはなる。だが・・・・・・それが誰なのかはある程度目星はついている」

 

その人物が誰なのか・・・・・シナナはある程度のあたりをつけていた。

 

「ほう、誰なのかわかっているのかの?」

 

「あくまで推測に過ぎないが・・・・・正確には一番そうであって欲しくない人物なんだけど」

 

「一番そうであって欲しくないだと?」

 

「ああ。もしも箱庭に来たのがそいつで、敵として立ちはだかったら厄介というレベルの話ではない。なにせそいつは・・・・・白夜叉と同等かあるいはそれ以上の強さを備えているからな」

 

シナナは苦々しい表情を浮かべながら言う。

 

箱庭において上位の実力をもつ白夜叉と同等化それ以上の強さを持つ人物・・・・・そんな者が敵だとしたら確かに厄介という一言ではすまない。

 

「自分で言うのもなんだが私以上というのは並大抵ではないぞ?それほどのものとなると・・・・・おんしでも止めるのは厳しいのではないか?」

 

「ああ。下手をするとタイムリミットを縮めてあっという間に消滅するかもしれない・・・・・もしも敵として会ったら腹を括る覚悟でいかないとならないだろうな」

 

「そうか・・・・・・」

 

「・・・・ま、あくまでもそれは俺の推測が当たっていた場合の話だ。外れている可能性もあるからあまり構えすぎないようにするよ」

 

少し重くなってしまった空気を変えるべく、シナナはおどけたような笑みを浮かべた。

 

「そうだの。備えることはいいが心配しすぎるのはよくない。あくまでもその可能性がある程度にとどめておけ」

 

「そうするさ。さて、それじゃあ今回の調査の報酬渡さないとな・・・・・ほら」

 

シナナは懐から十数枚の写真を取り出して白夜叉に渡す。

 

その写真は・・・・・十六夜と黒ウサギの日常を映し出したものであった。

 

「おおっ!どれもいいアングルだ!流石はシナナだの!」

 

「結構撮るの大変だったんだぞ?黒ウサギはともかく十六夜は中々鋭いから撮る隙を見つけるのに苦労・・・・・って、聞いてないなこれ」

 

写真を手にして外見相応にはしゃいで見せる白夜叉。二人のプライベートな写真など白夜叉でもそう簡単には手に入らないから仕方のないことだろう。

 

「ま・・・・喜んでもらえたならいいか」

 

はしゃぐ白夜叉を見て、シナナは微笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、シナナはまだ知らなかった

 

シナナの推測は的中してしまっていた事に

 

そして・・・・・・その人物と最悪な形で邂逅してしまうことに

 

 

 




箱庭に来て欲しくない者について

シナナが本編で言っていた人物に関してですが・・・・・勘のいい人ならばなんとなく察していると思います

その人物は異常なまでに強く、シナナでさえ危惧するほどです

そしてその人物は・・・・・敵として立ちはだかることになります


それでは今回はここまで

次回もまたお楽しみに!
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