問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~ 作:shin-Ex-
まあ、まだ向かうだけなのですが・・・・
それでは本編どうぞ
「よし用も終わったし、俺はそろそろ・・・・」
「シナナくん!」
用を終えたため、帰ろうとしたシナナであったが、その瞬間飛鳥が現れた。
「飛鳥?どうしてここに?」
「それはこっちのセリフよ!どれだけコミュニティの敷地内を探したと思ってるの!」
どうやらシナナを探していたらしい飛鳥は、ひどくご立腹のようだ。
「そ、そうか。ごめん飛鳥、ちょっと白夜叉に用があってさ」
「白夜叉に用って・・・・・・・もしかしてシナナくんあのこと知っていたの?」
「あのこと?知っていた?何の話だ?」
飛鳥の言っている事がさっぱり理解できていないシナナは、頭に『?』を浮かべながら首を傾げる。
「その様子じゃ知らないようだな」
「あ、十六夜。それに耀とジンも・・・・・いつの間に」
シナナはいつの間にやらすぐ傍にいた十六夜と耀、そして十六夜に引きずられているジンに視線を向ける。
「・・・・・さっきから居たよ。シナナって飛鳥にしか意識向いてないの?」
「いや別にそんなこと・・・・・あるかもな」
「否定しないのかよ・・・・・まあいいけどよ」
「それよりもおんしらはどうしてここにおるのだ?まあだいたい予想はつくが」
「ああ、それは・・・・・」
十六夜は白夜叉と事情の知らないシナナに説明した。
「つまり祭りに参加するために北に行こうとしたが圧倒的に金が不足しているっているとか」
「まあそういうことだ」
十六夜から事情(脱退云々は除く)を聞いたシナナは、納得したように頷いた。
「なるほどな・・・・・・ねえジンくん。事情はよ~くわかったけど祭りのことを隠すなんてひどいと俺は思うんだけど?」
「そ、それは・・・・・・」
「これはジンくんとは半日ほど時間を使ってじっくりと話をする必要があるかもしれないなグスン」
シナナはあからさまな嘘泣きをしながらジンに言う。
「す、すみません・・・・・・反省しますので勘弁してください」
「・・・・・まあお話に関しては後ほどということで、どうだ白夜叉?」
「ふむ、よかろう。路銀は私が支払ってやる」
白夜叉は笑みを浮かべて快く彼らの願いを聞き届けた。
「あら、あっさり」
「拍子抜け」
随分と簡単に要求が通ったことに飛鳥と耀は肩すかしをくらったような気分になった。
「随分と気前がいいな・・・・なにが狙いだ?」
ただ十六夜は何か裏があるのではないかと思っているようで白夜叉に問いただした。
「鋭いの。だがまあそう構えるな。東のフロアマスターとして"ノーネーム"へ正式に頼みたいことがあるだけだ」
「"サウザンドアイズ"が"ノーネム"に正式な頼み?それ正気か?」
シナナは訝しげな目で白夜叉を見つめた。まあ大手コミュニティが名無しのコミュ二ティに依頼をするのだから客観的に見れば確かに不自然ではあるのでもっともであろう。
「まあ、色々と込み入った事情があるのだ」
「その頼みっていうのは面白いことなの?」
「それはおんしら次第だな。とりあえず聞くだけ聞いてみろ」
「まあ構わないけれど」
ひとまず白夜叉から話を聞くことになった。
「さてジン殿。北のフロアマスターの一角が世代交代したのは知っておるかの?急病で引退だとか」
「い、いえ・・・・」
白夜叉の質問に思い当たるものがないジンは首を横に振った。
「そうか。おんしらにも誘いをかけた"火竜誕生祭"とはその新しいフロアマスターのお披露目を兼ねた大祭なのだ」
「その主催はどのコミュ二ティなのですか」
「"サラマンドラ"だ」
「"サラマンドラ"?」
ジンはコミュニティの名前を聞いて顔色を変える。
「知ってるのか?」
「ええ。"サラマンドラ"とはかつて親交がありましたから。それでどなたが党首に?長女のサラ様か次男のマンドラ様でしょうか?」
「いや・・・・おんしと同い年のサンドラだ」
「なっ!?」
白夜叉の発言にジンは驚きをあらわにした。
「サンドラはまだ11歳ですよ!?それなのにフロアマスターって」
「あら、ジンくんだって11歳で私たちのリーダーじゃない」
「なんだ?御チビの恋人か?」
「ほう、その歳で既に嫁持ちか」
「そうですけど・・・・って、いやっ違います!恋人でも嫁でもないですから!」
どさくさにまぎれてからかううように言った十六夜とシナナの言葉を否定するジン。
「さて、そのサンドラだが此度の大祭でこの私・・・東のマスターに共同の主催者(ホスト)を依頼してきたのだ」
「・・・・・・妙だな」
「どうしたの十六夜?」
疑問の声を上げる十六夜に耀は説明促す。
「そういうのって同じ北のマスターに依頼するのが普通だろ。わざわざ区画の違う白夜叉に依頼するのは筋が通らない。北に他のマスターがいないなら話は別だが・・・・・・」
「"階層支配者"とは箱庭の秩序を守り、コミュニティの成長を促す役職なんですが北側では複数のマスターが存在します。北側は多数の種族が混在する土地で治安が良くないためにそうなっているんですが・・・・十六夜さんの言うとおりフロアマスターの誕生祭なら同じ北のマスターたちと共同主催すると思います。サンドラはなぜ白夜叉様に・・・・?」
ジンはサンドラの意図するところが理解できず、思案顔になる。
「大方、新たに生まれる幼い権力者をよく思わない奴らがいる・・・・・てところだろ?くだらないな」
おおよその事情を知ったシナナ、わかりやすく不機嫌そうにする。
「随分不機嫌そうね」
「そういうのは前居た世界で散々見てきたからな。知性と権力を持った愚か者が行き着くところなんてどの生き物も変わらない。良くも悪くも例外的に考えられるのはごく僅かの聡明な者かよほどの馬鹿ぐらいだ・・・・・・・本当にくだらない」
シナナは忌々しそうな表情で言った。どうやら元いた世界でそう言った愚か者を嫌になるほど見てきてうんざりしているようだ
「シナナ・・・・・言うことがキツイの」
「事実だろ」
「まあ否定はせぬが・・・まあこの件に関しては様々な事情があって・・・・」
「ちょっと待った!それ長くなるか?」
話を始めようとする白夜叉に十六夜は待ったをかけた。
「年寄り扱いはやめんか。手短に一時間程度に纏めるつもりだぞ?」
「長っ」
「確かに。5分ぐらいにまとめられないのか?」
長いとツッコミを入れる飛鳥とシナナ。まあ、それは普通の反応である。
「でも流石にそれは不味いかも。黒ウサギに追いつかれる」
「白夜叉様、どうかこのまま・・・・」
「ジンくん黙りなさい!」
咄嗟に白夜叉に頼み込もうとしたジンを飛鳥が"威光"を使って黙らせた。
「??黒ウサギに追いつかれる?どういうことだ?」
「それは・・・・・・まあ色々あってな」
十六夜はシナナへの説明を省いた。まあ完全に面倒くさかったからであろう。
「ともかく白夜叉!悪いが俺達は今すぐに北に向かう!」
十六夜が凄みのある剣幕で白夜叉に言い放つ。
「まあそれは構わんが・・・・私の頼みごとの内容も聞かずに受けるのか?」
「ああ。そのほうが面白い!」
「・・・・ふむ。面白いか」
ニヤリと笑みを浮かべる十六夜に対して白夜叉もまた同じように笑みを浮かべる。互いに同じように娯楽を愛する者同士、どこか通じるものがあるようだ。
「ならば・・・・仕方がないの!」
パン、と柏手を打つ白夜叉。その瞬間、漂う空気が変化したのをその場にいた全員が感じ取った。
「着いたぞ」
「「「「・・・・え?」」」」
ニカッと笑う白夜叉に対して呆けたような声を上げる問題児4人(ジンは未だに飛鳥の威光で声を出すことができずにいる)。
・・・・・まあ980000kmもの距離をわずか一瞬で移動してしまったのだから当然の反応であろう。
だが・・・・
「よし、行くか」
「うん」
呆けていたのはほんの一瞬。十六夜と耀は期待を胸に店の外に走り出した。
「若いってのはいいな、バイタリティMAXで」
「若いって・・・・・あなたいくつよ」
「死物になってから10年。シナナになってからは約1ヶ月」
「どちらにしたって私たちより若いじゃない・・・・・」
飛鳥は呆れたように額に手を当てる。まあ、虚野十六夜から換算すれば年上なのだが・・・・
「まあいいけれど・・・・・俺よりも私達も行きましょ」
「そうだな」
飛鳥が促すと、二人は並んで外に出て行った。
「ふむ・・・・・・仲睦まじいことだ」
シナナと飛鳥の後ろ姿を眺めながら、白夜叉はシミジミとした様子でそんな感想を漏らすのであった。
今回は説明はなしです
次回もまたお楽しみに!