問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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まあ、サブタイ通りですね

今回は箱庭の北側に来てすぐのお話です

それでは本編どうぞ


怒れる黒ウサギ襲来

「これが箱庭の北側・・・!」

 

飛鳥は周りの景色を目を輝かせながらキョロキョロと見渡す。

 

「東とは随分と文化様式が違うんだな。東側よりも面白そうだ」

 

「むっ、それは聞き捨てならんぞ。東側だっていいものはたくさんあってだな・・・・」

 

「ねえ!」

 

今まさに白夜叉が十六夜に東側の美点を述べようとしたとき、飛鳥が遮るように声を上げた。

 

「あっちのガラスの歩廊に行ってみたいわ!いいかしら?」

 

「ああ構わんよ。話の続きは夜にでもしよう」

 

「ありがとう。行きましょシナナくん」

 

「はいはい。わかったからそんなに慌てるなって」

 

白夜叉から了承を得た飛鳥はシナナの腕を引っ張って急かす。そんな飛鳥に、シナナはクスリと微笑みを向けた。

 

「・・・・・相変わらず仲がいいことで。俺達も行こうぜ春日部」

 

「うん」

 

十六夜に促され、耀も行動を開始しようとする。

 

その時・・・・

 

『・・・・・ようぉぉぉぉやく見つけたのですよ問題児様方』

 

「「!?」」

 

シナナと十六夜は背筋に強烈な悪寒がはしるのを感じた。

 

(・・・・・・なんか嫌な予感が。ひとまず・・・・)

 

「飛鳥!」

 

「えっ!?」

 

「やっべ!!」

 

「えっと、わ」

 

悪寒の正体がわからないものの、何かまずいことが起きると察知したシナナは飛鳥の手をとってその場から逃走を図ろうとする。それ同時に十六夜と耀も走り出そうとする。

 

その瞬間・・・・・轟音を鳴り響かせながらシナナ達の近くに弾丸の如き凄まじいスピードでそれが飛来し、あたりに砂埃が舞った。

 

「ふふ・・・・・フフフフフフッ・・・!」

 

「黒ウサ・・・ギ?」

 

砂埃がおさまり、シナナは飛来してきたもの・・・・黒ウサギを見て思わず疑問形で聞いてしまった。

 

だがシナナがそう聞いてしまうのも無理はない。なにせ今の黒ウサギは・・・・今までにシナナが見たことがないほどにドス黒いオーラを纏い、不気味な笑みを浮かべているのだから。

 

感情が高ぶった時に現れる普段なら色鮮やかに思える緋色も、今はまるで触れたものを焼き尽くす業火のように思わせる。

 

「・・・・・・とりあえず任せた十六夜!」

 

「シ、シナナくん!?」

 

「ちょっと待て!逃げんなシナナ!」

 

状況はイマイチ飲み込めていないが、とりあえずなにかマズイと判断したシナナは飛鳥を横抱きにして走り去る。十六夜が引きとめようとしたがすでに手遅れ、シナナと飛鳥は遠く離れてしまっていた。

 

「わ、私も逃げないと・・・・」

 

「捕まえたのです!」

 

数瞬遅れて耀も風を巻き起こして空に逃げようとするが時すでに遅し。黒ウサギに捕らわれてしまった。

 

「耀サン。後デタップリ御説教タイムナノデスヨ。覚悟シテクダサイネ♪」

 

「りょ、了解」

 

妙に凄みのあるカタコトで黒ウサギに宣言され、恐怖のあまり耀は怯えながら頷いた。

 

「ワカレバイイデス!」

 

ブンッ!

 

「きゃ!」

 

「グボハァ!」

 

黒ウサギに白夜叉に向かって耀を投げつける。あまりにも突然だったために白夜叉といえど受け止めきることができずに耀とぶつかってしまった。

 

「おいこら黒ウサギ!最近おんしはいささか礼儀を欠いておらんか!?これでも私は東側のフロアマスター・・・・」

 

「耀さんのことをお願い致します!黒ウサギは他の問題児様を捕まえなければなりませんので!」

 

「そ、そうか。よくわからんが頑張れ黒ウサギ」

 

白夜叉が抗議するも聞く耳を持たない黒ウサギ。その勢いに押されて白夜叉は思わず頷いてしまった。

 

「それでは十六夜さん・・・・・・・カクゴハイイデスカ?」

 

「くっそ・・・・・捕まってたまるか!」

 

「逃しませんよ!!」

 

猛スピードで逃げ出した十六夜を、黒ウサギはかつてない怒気をその身に纏わせて追いかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・どうシナナくん?」

 

「どうやら黒ウサギはこっちには来てないようだ。今頃十六夜を追いかけているんだろう」

 

「そう。良かったわ」

 

シナナと飛鳥は近くに黒ウサギが来ていないことがわかるとホッと安堵して息を吐いた。

 

「それにしても・・・・・こんなに早く追いつかれるなんて思わなかったわ」

 

「というか・・・・・俺はそもそもなんで黒ウサギに追われているのかわからないんだが?事情を説明してくれ事情を」

 

朝から白夜叉のもとに訪れていたため、シナナはなぜ黒ウサギがあそこまで激怒しているのかの事情は一切わからないのだ。

 

「それはまあ・・・・・・・脱退の効果が抜群すぎたってことかしらね」

 

「脱退?」

 

「本拠地を出るときに黒ウサギに置き手紙を残したの。祭りの事を秘密にしていた罰として今日中に私達4人を捕まえられなければ脱退するってね。さっきのはその結果よ」

 

「・・・・・・そうか」

 

飛鳥から事情を聞いたシナナは嫌に神妙な面持ちで何やら考え込んでいた。

 

「どうしたのシナナくん?」

 

「・・・・・飛鳥、ちょっと」

 

「?」

 

シナナは飛鳥を手招きする。どういうことかよくわかっていないものの、とりあえず飛鳥は言われるがままシナナに近づいた。

 

そして・・・・・・シナナは飛鳥の額に少し強めにデコピンを食らわせる。

 

「痛ッ!!シナナくん、いきなりなに・・・・・・を?」

 

いきなりデコピンしてきたシナナに抗議しようとする飛鳥であったが、その言葉は途中で勢いを失ってしまった。

 

というのも・・・・・・飛鳥の目に映るシナナが明らかに怒っているように見えたからだ。

 

「飛鳥・・・・・・俺が今怒ってるっていうのはわかるか?」

 

「え、ええ」

 

「じゃあ何に怒ってるかは?」

 

「その・・・・・・勝手に巻き込んでしまったから?」

 

飛鳥は思い当たることを恐る恐ると尋ねてみた。

 

「そっちじゃないよ。むしろ俺もその場にいたら乗ってたと思うから別に怒るようなことじゃない。俺が怒ってるのは・・・・・・・脱退のことだよ」

 

「え?」

 

「黒ウサギは・・・・・・・仲間を失う悲しみと苦しみを知っている。例え冗談だとしても、脱退なんて言われたらその恐怖が呼び起こされちゃったかもしれない。あれだけ怒ってるのはその裏返しの可能性も考えられる」

 

「・・・・・・・」

 

咎めるような口調で言われて、飛鳥は反論できずに黙り込んでしまった。

 

魔王に襲撃され、コミュニティを破壊され、そして仲間を失った・・・・・・それ故に、黒ウサギが仲間を失うことを過剰なまでに恐れている可能性は十分にあり得る。それこそ、今回の脱退云々で傷ついてしまったかもしれない。

 

「俺はさ・・・・・まあ自分でも問題児だって自覚はしてるよ。それでも超えちゃならない一線っていうのはわきまえてるつもりだ。生前含めればお前達以上の経験を積んでるから・・・・・・・苦しいことも悲しいことも絶望も知ってる。だからこそ、そんな思いを極力仲間に味わって欲しくないんだ。それを・・・・・・飛鳥たちにもわかってほしい」

 

「・・・・・そうね。今回はあまりにも軽率すぎたわ。ごめんなさい」

 

「俺に謝ったってしょうがないだろ」

 

「・・・・・後で黒ウサギにも謝るわ。許してもらえるかはわからないけれど・・・・・・」

 

自分達のしでかしてしまったことがいかに酷いことだったのかを自覚した飛鳥は、シュンと下に俯きながらそう言った。

 

「許してくれるかは黒ウサギ次第だけどな」

 

「・・・・・・わかってるわ」

 

「なら・・・・・・」

 

シナナは飛鳥の頭をそっと撫でる。

 

「シナナくん?」

 

「これ以上俺からはなにも言わないよ。飛鳥はしっかりと反省しているようだしな。もう二度とこんな過ちは犯すなよ?」

 

「ええ・・・・・・肝に命じるわ」

 

「それでいい。偉そうなこといってすまなかったな。それとこれも・・・・・・痛かったか?」

 

「ええ、痛かったわ・・・・・・でもこれは罰として受け入れてるからいいわ」

 

シナナが飛鳥の額に指で触れながら尋ねると、飛鳥は微笑みを浮かべながらそう答える。

 

「そうか・・・・・・さて、それじゃあこの話はここまでだ。せっかくだしこのまま街を散策してみるか?」

 

「そうね。それじゃあ今回もエスコートお願いできる?」

 

「もちろんでございます」

 

シナナと飛鳥は腕を組んで、街の散策を始めた。

 

 




今回は説明なしです

それでは次回もまたお楽しみに!
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